Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.5『博麗の巫女1/楽園の管理者』その2からの続きです。先にそちらを読むことをお勧めします。


♯.5 『博麗の巫女1/楽園の管理者』 その3

 私は正直その言葉に驚いていた。

 一瞬聞き間違いかとも思ったが、確かに〝博麗の巫女〟と目の前の少女は口にした。

 当然のことながら〝私〟が疑問と否定を投げかける。

 

「博麗の巫女…あなたが?なかなか面白い冗談だけど、もう少し笑えるようなのにしといたほうがいいわよ」

 

 強く睨み続けるもう一人の私とは正反対に涼しい顔で彼女は返してくる。

 

「ジョークは苦手なのよね。でも残念だけど本物の巫女は私。あなたは不良品だから処分させてもらうわ」

 

 その言葉に〝私〟は完全に切れてしまった。『不良品』という単語がとにかく気に入らないらしい。

 相手の素性がはっきりしない以上は、冷静さを忘れないで欲しいが今の〝私〟では無理だろう。それに人格が切り替わっている以上私はどうすることもできない。ただ後ろから見ているだけだ。いつものように。

 

「話が通じないタイプってぶっちゃけていうと大嫌い……最後に言いたい事とかあったら今のうちにどうぞ、本物さんとやら」

 

 札を取り出し身構えた〝私〟は視線と腕を対象に向けた。瞳からは刺すような殺気が放たれている。

 そんな様子を見た彼女は小さく笑い、右手で宙に何かを書いた。

 

「フフフフフ、じゃあ遠慮なく。消えるのはあなたよ…偽物さん♪」

 

 直後、何かを書いた空間に文字が浮かび上がり、禍々しい色の光に変わった。

 そして赤黒い閃光が一直線に〝私〟を貫き、文字に込められた意味が力となって身体を飲み込んでいく。だから彼女の意思は十分に伝わった。

 

 

 ―――――――すべて無に還れ―――――――

 

 

「なッ!?この力!まさか、これ…あなたは……」

 

 そこで〝私〟は何かに気がついたようだが、それが何かを知る前に私は〝私〟を感じられなくなり、体験したことのないスピードで身体へと引き戻された。感覚を確かめる間もなく意識は闇へと沈んでいく。深い、とても深い底に落ちていくように……。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

「ちょっと霊夢!しっかりしなよ!霊夢!!」

 

 境内で光に貫かれ倒れた霊夢を急いで抱き起こしたにとりは何度も彼女の名を呼んだが、一向に目覚める気配はない。

 

「やっぱり出来損ないは駄目ね。もう少し頑張ってくれるかと思ったんだけど……期待外れだわ」

 

 蔑むように言い放った黒い巫女は視線を異邦人達へと移し愉快そうに微笑む。

 

「さて、前座が退場したところで真打のみんなの出番なわけだけど、何か言いたそうだから、質問がある人は今のうちにどうぞ」

 

 突然の提案に答える声はなく、しばらくの沈黙が博麗神社の境内に流れる。

 

「誰も答えねえようだから俺からスタートさせてもらうぜ」

 

 そう言ってカミナはサングラスを掛け直し手に持った刀を担いで前へと出た。

 

「聞くまでもねえが、この間俺たちを襲った連中はあんたの差し金か」

 

 それを聞いた黒い巫女はわざとらしく大げさに答える。

 

「大正解!いや~なんで分かっちゃったかな!まあ、最後にちょこっと見に行ったからだと思うけど。で、それに対しての抗議か何かかしら?」

 

 赤いグラスの奥の瞳は静かに燃えていた。

 その炎は紅蓮、怒りの色だ。

 

「俺を狙ってやがることには文句はねえ……だがな、どうして大ちゃんやチルノにまでちょっかいを出しやがった。あんたが気にいらねえのは外から来た俺みたいな存在だけじゃないのか?二人は無関係だろう」

 

 カミナは納得できなかった。外から呼び出された自分だけでなく、なぜこの世界の住人である二人まで危険な目に遭わせたのかと。

 

「関係ないってわけじゃないのよ。じゃあ次!」

 

 しかしその一言で黒い巫女は終わらせてしまう。カミナただ彼女を睨んでいる。

 

「では私から質問を二つさせてもらおう」

 

 続けてトニーが疑問をぶつけた。

 

「こんな大量のドローンや他の無人機を使って何をするつもりだ。我々だけを排除するにしては数が多過ぎる。そしてどこでこれだけの数を手に入れた?」

 

 ドローンの機体数は明らかに多かった。少なくとも50機以上が周囲を取り囲んでいる。それらが一斉に起動すれば10分とかからずこちらを殲滅できるだろう。

 

「あ~、お友達のこと?ちょこっと私の手伝いをしてもらおうと思ってね。まあ、簡単なお話しよ。あなたの知っている私のかわいいお友達は本物じゃないの、まあ偽者っていうには微妙だけれど」

 

「どういう意味だ」

 

 黒い巫女は腕を組み、すこし考えてから口を開いた。

 

「ん~大結界の外でフラフラしていた彼らを捕まえて、私が作った『器』に入れたの。でも完全再現とはいかなくて、やられると砕けちゃって直せないのよ。それに頭も弱いし……だけど十分よね、ちゃんということは聞いてくれるんだから」

 

「つまりこいつらは劣化複製されたレプリカか」

 

「偽者呼ばわりは酷いわ。ここいる全員が最初に作ったお友達の本物の偽者、本物だけど本物じゃない、偽者だけど偽者じゃない。何ていうのかしらね……う~ん、やっぱり説明無理だわ!難しい質問は終了!次!」

 

 そして早苗が続いた。

 

「あなたは自分を博麗の巫女だと言いましたが、それならば何故世界を壊すような真似をするのです。博麗の巫女は幻想郷の守護者ではなかったのですか」

 

 早苗は考えていた。目の前にいる得体の知れない少女が、仮に博麗の巫女であるなら一連の行動はそれに反しているのではないかと。

 

「壊す?なにか根本的な部分で勘違いしてるみたいね。私はこの世界を正しい状態に戻すために出てきたのよ。今の幻想郷は異物が多すぎてもう戻れないところまで来てしまっているわ。だから掃除をしなければならないの、綺麗にね」

 

「それはつまり消すということですか?」

 

「なーんだ、分かってるじゃない。そうよ、一旦全てをリセットして本来あるべき姿の幻想郷に戻すの……簡単でしょ?その為に全部滅ぼして全部消すわ、異物だけじゃなく人も妖も漏れ無く全てね」

 

 早苗は声を荒げた、こんなのはおかしいと。

 

「狂っています。あなたは絶対に間違っている!!」

 

 だが黒い巫女は静かな口調で激昂したもう一人の巫女に語りかける。

 

「悪い冗談ね。私は管理者、間違うことのない大結界の意思よ。それにあなたにどうこう言えるのかしら『守谷の巫女』さん?」

 

「どういう意味ですか」

 

「あなたの神様達は妖怪の山やら地面の下で好き勝手に色々しているそうじゃない。それが幻想郷にどんな影響を与えているか考えたことはある?例えば八咫烏の件とかね。あれが仮にあのまま地上に出て暴れまわっていたら大変な被害が出ていたと思うけどな~」

 

「そうなる前に神奈子様と諏訪子様は必ず止めます」

 

「まあ楽勝よね。守谷の神々であればそれくらいは造作もない事だもの。ついでにその力を見た人や妖連中から信仰を集めることもできるし……思わず勘ぐっちゃうわ、最初からそうする為にあんな事をしたんじゃないかって♪」

 

「違います!お二人はそんな卑しい考えであの地獄烏に力を与えたりはしません!あの力は……」

 

 必死に反論する早苗を見た彼女は面倒くさそうに会話を切り上げた。

 

「はいはいごめんなさい。そんな顔してると可愛いのが台無しよ?さて、お喋りも飽きてきたしそろそろはじめましょうか―――ルールは簡単。ここにいるお友達全員と遊んで最後まで生きていたら私とラストゲーム、そういうわけで頑張ってね!」

 

 それを合図にして機械の兵士達は動き出し黒い巫女は後ろへと下がる。

 

「来るぞ!全員油断するな!』

 

 地面に置いたMk-Ⅴを装着しながらトニーは叫んだ。

 

「面白くなってきたな。いくぞチルノ!!」

 

「おうよッ!」

 

「やるしかないですね。がんばりましょう」

 

「ええ!」

 

 戦闘態勢に入る各自を横目に見ていた音速丸とサスケは微妙な気分になっていた。

 

「音速丸さん。なんか我々外野になりつつあるんですがこのまま戦闘開始でいいんでしょうか」

 

「どうもこうもねえよ。だってお前、どう見ても俺達みたいな一般ピープルが入り込む余地とか微塵もこれっぽっちもなかっただろう。というか、世界がどうこうとかとんでもないのに巻き込まれてないか」

 

 蚊帳の外にいるような疎外感がなんとも表現しにくいと音速丸は思う。サスケも同様のようだ。

 

「あ、二人とも危ないッスよ」

 

「ん?」

「へ?」

 

 言われて正面を向いた直後、銃弾の雨が二人の横をギリギリで掠めていき土煙が立ち上る。

 

「ゲホッ、ゲホ!ぺっぺっぺ、ばっか野郎!!なんですぐ言わねえんだよ!!危うく蜂の巣になりかけたぞ」

 

「いや、だってみんな下がってるのに二人だけ前にいるんですもん」

「さっそく切り込みに行くのかと」

「それに三分以内で全滅できるって言ってたじゃないですか」

 

 忍者達の言葉に音速丸はヤケクソ気味に怒鳴り、サスケは頭を抱えている。

 

「無理だチクショウ!あんなところに突っ込んでいったら肉片も残らねえよ!」

 

「まだイベントらしいイベントもないのに終了とか聞いてませんけどー!!」

 

 取り乱す二人を無視して残りの全員は構えた。機械の兵士達は無機質な機械の駆動音だけを響かせながら彼らを狙う。こちらが圧倒的に不利なのは誰の目で見ても明らかだ。

 そんな中、にとりは帽子に内蔵してある通信機から声を聞いた、明るく力強い声を。

 

「ん?…はいはい、うん!ナイスだよ!了解―――みんな動かないで!危ないよ~!!」

 

 霊夢を抱きかかえたにとりが叫んだ直後にそれはきた。

 

「マスタースパークッ!!」

『スカル!マキシマムドライブ!』

 

 声の後に二つの閃光と轟音が神社の左右に展開する機械の軍団を飲み込む。光に巻き込まれた無人機は跡形もなく吹き飛び、その数は半数になる。

 それを見たトニーはアーマー内で苦笑する。横に並んでいたカミナも同じだ。

 

『いいタイミングだ。また借りができてしまった』

 

「あんたもか。ほんといいタイミングで来やがるよな」

 

「な、ななな何ですか!ビームですか!レーザーですか!それともジェネシスですか!!」

 

 突然の出来事に混乱する忍を早苗はなだめる。

 

「落ち着いて下さい忍さん。あれは魔理沙さんの砲撃なので問題ありません。ただ、もう一方はわかりませんが……」

 

 閃光が発射されたのは神社の裏側からであり、左右から二人の人影が歩いてくる。

 一人は箒を携えた黒い魔法使い。

 もう一人は無骨な銃を構えた異形の髑髏だ。

 

「なんとか間に合ったぜ。お待たせ!」

 

「さて、約束通り遊んでもらおうか」

 

 その姿を確認した黒い巫女は嬉しそうに彼らを見た。

 

「あらあら、丁度いいタイミングね。どうやって壁を越えたのかは知らないけど待つ手間が省けたわ。それじゃあ追加ね」

 

 彼女は両手をそれぞれ反対側の袖へ入れると、何かを取り出し勢宙へ放つ。するとそれは声を発しながら光を放ち、異邦人と住民達の前へと落ちた。

 

『マンモス!』

『トリロバイト!』

『ダンクルオステウス!』

『メガロドン!』

『オパビニア!』

『パキケトゥス!』

『ディアトリマ!』

 

 

「…ガイアメモリ…」

 

 スカルが反応した直後、直径10cm程度の長方形は質量保存の法則を軽く通り越し、太古の生物がモチーフの異形となって異邦人達の前に立ち塞がった。

 

『生物兵器か!?』

 

「獣野郎のほうがよっぽど愛嬌のある面だぜ!!」

 

「ギャー!なんかやばそうなのが召喚されてるんですけど!!」

 

「やはりか。だが使用者なしでメモリを使用できるとは…」

 

 まるで御伽話の魔法のような光景に一同は驚愕する。それはドーパンとを知るスカルも例外ではない。

 怪人達は咆吼し異邦人達に向かって行くがさらなる乱入者がそれを粉砕する。

 

「とおッ!!電光ライダーキッーク!!」

 

 社の屋根から勢い良く飛び降りた萃香の蹴りは怪人の集団に炸裂し正面にいたオパビニア・ドーパントが黒い結晶となって消え、他のドーパントも衝撃でダメージを受けた。

 

「なんだい。こっちも面倒くさそうだね」

 

 遅れて現れた死神はやれやれという調子で屋根から異邦人たちの前に降りたった。 

 

「じゃあ、ぱっぱと頼むよ、萃香」

 

「ああ。あそこじゃ暴れ足りなかったんだよね。さー、来やがれ改造人げ―――」

 

 しかし怪人達の正面に立った萃香は何かに気が付き突然立ち止まる。

 その視線は怪物達の後ろ側、鳥居の近くで浮く黒い巫女に釘付けになっていた。そこに衝撃から起き上がったサメのようなメガロドン・ドーパントが迫るが彼女は動こうとはしない。とっさに小町が萃香とメガロドン・ドーパントの間に入りその攻撃を鎌で受け止めた。

 

「どうしちまったんだい!ちょっと、萃香!」

 

 しかし彼女は答えず、独り言のように言葉を呟く。

 

「なんで…なんでお前がここに居るんだ……お前は確かに……」

 

 萃香は黒い少女を見つめ驚きと悲しみが入り混じった声で叫ぶ。

 かつての友の、過ぎ去ったかつての巫女の名を。

 

「どうしてだ……どうしてなんだ…〝桜華(おうか)〟―――!!」

 

 

 ―――――――桜華―――――――

 

 

 それを聞いた瞬間、黒い巫女の脳裏にいくつものイメージと誰かの言葉が駆け抜けていった。

 

           ●

 

『最初は力をうまくコントロールできなくて苦労したよ。そのせいでおやっさんの店のカップをいくつも壊してしまった』

 

 神社の縁側でお茶を飲む男は懐かしそうにその人物の事を話してくれた。なんとなくわたしも師匠を思い出して暖かい気持ちになる。 

 

           ●

 

『赤い彗星って奴とよく間違われたもんさ。俺の機体の方が赤かったのに』

 

 真紅の巨人の胸の中で金髪の青年は少し不機嫌そうに言う。正面の窓を見ると、赤というよりはピンクに近い色のカニのような巨人が迫ってきていた。

 

           ●

 

『おいおい。マジで勘弁してくれよ。銀さんこういうのまったく聞いてないよ。ぶっちゃけていうと、どっかの死神代行とか自称未来の火影とかの方が絶対役に立つし』

 

 怪物の群れに囲まれた侍は木刀で正面の敵の相手をしながら悪態を吐いた。しかし今のわたしにはそれに答える余裕はなく、結界を張るくらいしか出来る事はない。無力だ。

 

           ●

 

『あのガラス細工までこっちにきてるとは……厄介だな』

 

 その人はタバコを吹かしながら空を見上げた。まるで遠くにいる誰かに語りかけるように。それを見たわたしは少し寂しさを感じた。

 

           ●

 

『どうでしょう。この機会に桜華さんも楠舞一刀流を習ってみるというのは?美容と健康に最適ですし』

 

 背丈ほどの大剣を素振りしながら彼女はにこやかに微笑んだ。確かに体の弱いわたしにはいいのかもしれない。

 

           ●

 

 ―――――――名前?わたしは―――――――

 

 巫女がその名前を口にしようとした刹那、背中からの衝撃が体を襲う。

 

「え?」

 

 後ろへ振り向くとそこにいたのは黒いくノ一だ。

 彼女は殺意の篭った瞳でじっとこちらの目を見ている。

 

「これで〝悪い冗談〟は終わりだ、さっさと消えろ…哀れな亡霊」

 

 驚いた黒い巫女の胸からは血に濡れた白銀の刃が突き出ていた。

 




 はい、そんな感じで三回目です。
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