Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

♯1.『俺にはさっぱりわからねえ!』その1からの続きです。先にそちらを読むことをお勧めします。


♯.1 『俺にはさっぱりわからねえ!』 その2

 霧の湖から博麗神社を目指して三人は歩いていた。視界に広がる霧はいまだ晴れず、辺りに何があるのかまったく分からない。

 

「何にも見えねえな。ほんとに道わかってんのか?」

 

「うん、こっちを行けばそのうち山道に出るぞ」

 

「あと少しすれば霧も晴れてきます。はぐれないで下さいね、カミナさん」

 

「へい、へいっと」

 

 二つ返事をしつつカミナは思う。やっぱり分からないと。

 なぜ自分はここにいるのか、なぜ『博麗神社』とかいう所に向かっているのか、そもそもなぜ自分は生きているのか・・・。

 今状況に流されているのははっきりと認識できる。だが、この状況の原因の部分がどうも思い出せない。おぼろげに覚えているのはあの胡散臭い女『八雲紫』の事だけだった。シモンやヨーコ達を仲間と見送った後、あの女はどこからともなく現れ自分に何かを頼んだ。そして気がついてみればこの状況だ。

 

「あ~わからねえなー!畜生!・・・うん、考えるの中止だ!!」

 

 とりあえずカミナは考えるのを止めて歩くことにした。分からないことを悩むのは性に合わない。とりあえず突き進むのが自分のポリシーだ。

 

「大ちゃん大ちゃん、なんかカミナがぶつぶつ後ろでいってるぞ」

 

「大丈夫よチルノちゃん。なんか吹っ切れたみたいだし」

 

「おう、その通りだ!行こうぜ二人とも」

 

 そしてしばらくたわいのない会話をしながら大妖精達の後をついて行くと徐々に霧が薄くなり、気がつけばカミナは山道を歩いていた。

 

「・・・で、大ちゃんもチルノもその妖精ってやつなのか」

 

「ええ。ちなみにチルノちゃんは氷の妖精でわたしは普通の妖精です。まあ普通っていうのであってるかは微妙ですけど」

 

 普通の妖精といわれても、そもそもカミナは妖精の基準が分からないのでとりあえず頷いて見せた。周りに目をやると木々が生い茂り深い森を形作っている。カミナのいた世界とはまるで違う。

 

「しかしここら辺は木ばっかりだな。俺がいた場所は岩と砂だらけだったぜ」

 

「そうなんですか」

 

「ああ。しかもみんな地面の下で暮らしてやがってな、俺は地上に兄弟と出たんだ」

 

「地面の下か、おくう達みたいだな。カミナには兄弟がいるのか」

 

「おう!シモンってやつでな天を貫くドリルを持つ弟よ!!」

 

 そういってカミナは誇らしいげに空を見た。思うことはたくさんあるがなんとなく空を見上げたかった。あの日見た空を思い出すように。

 

「じゃあカミナさんはお兄さんですか」

 

「そうだ。俺がアニキってわけだ。まあ、血は繋がってはいねえが魂が繋がってる兄弟なんだがよ」

 

 魂の兄弟という説明はいまいちわからなかったがカミナの顔を見て大妖精は納得することにした。

 

「はあ・・・よく分かりませんが、いい弟さんなんですね」

 

「ん?なんで分かるんだ?」

 

 大妖精は少し微笑みながらカミナを見て告げた。

 

「だってカミナさんすごくいい顔してましたよ。弟さんの話をしてるとき」

 

 それを聞いてカミナはすこし照れくさそうな表情をしたがすぐにまた遠い目で天を見上げた。

 

「あいつはすげえやつさ。まあ、もう会えねえけどよ」

 

「どうしてですか?帰ったら・・・」

 

 大妖精が言い終える前に突然カミナは叫んだ。

 

「すまねぇ!大ちゃん、チルノ!」

 

「え・・・っきゃ!」

 

 とっさにカミナは二人をつかみ隣の茂みに倒れこんだ。

 次の瞬間三人の歩いていた場所に何かが撃ち込まれ爆ぜた。閃光の後に爆発音が響き、その場所には穴が開いている。そしてカミナは前方にこの場所に似つかわしくないものを見ていた。

 

「なんだありゃ、鉄の化け物みたいなやつがいやがる。知り合いかチルノ?」

 

「あんなやつ知らない。はじめてみるぞ」

 

 それはあきらかに異質な存在だった。人の形はしていたが全身は鉄で覆われており大きさは2m以上はある。歩くたびに機械の作動音と鉄と鉄とが擦れあうような音がし、その前方に突き出された右腕からは硝煙が上がっている。

 

「おうおうおう!誰だてめえ!!」

 

 威嚇するようなカミナの口調に対して返事はなく、その異形はただ一言、

 

『・・・・・排除・・・・』

 

 と、くぐもった電子音でつぶやきそれが答えのようだった。

 

「たいしたあいさつだな。下がってなチルノ、大ちゃん」

 

 カミナは刀を構え二人の前に立った。

 

「カミナさん!?」

 

 大妖精は心配そうに目の前の異邦人を見た。

 

「おら!いくぞ機械野朗!」

 

 カミナは一直線に異形へと飛び込み、相手の懐を狙いすれ違いざまに一閃した。異形は何の抵抗もせず腹の上辺りから真っ二つになり地面へと倒れた。

 

「おお!すごいぞカミナ!!」

 

 その様子にチルノはおおいに興奮し、大妖精はほっと胸を撫で下ろした。

 しかしカミナは手応えのなさに違和感を覚える。

 

   ・・・おかしい・・・

 

 相手はどう見ても鉄で覆われた機械の塊だったはずだ。それなのに刀はすんなりと鉄の装甲を切り裂き相手は真っ二つになった。後ろを振り向き倒れた異形へと目をやるとその体は徐々に黒ずみ地面に溶けるように消えていく。

 

「大丈夫ですかカミナさん。怪我とかしませんでしたか」

 

 大妖精とチルノが駆け寄ってきたがカミナは後ろを向いた。

 

「どうしたカミナ?」

 

 彼の直感は何かを告げていた。

 

「いや、どうやらまだ終わってねえみてえだぜ」

 

 直後カミナ達の前方に巨大な対極図のような魔方陣が現れ、そこから次々と機械の異形が出現する。形はさまざまで先ほどの異形と同じ物も見受けられた。

 異形の群れの視線はカミナ達に向けられている。

 

「あんなにいっぱい・・・」

 

 大妖精は息を呑んだ。どう考えてもこちらのほうが分が悪い。しかし残りの二人は違うらしい。

 

「グレンがありゃまとめてぶっ潰せるんだがな。無い物ねだりしても仕方ねえ・・・よし!まとめてかかってきやがれ!男カミナ逃げも隠れもしねえぜ!!」

 

「あたいもいるぞ!まとめて雪像にしてやる!!」

 

 やる気十分な二人に大妖精は泣きそうな声でつっこむ。

 

「ちょ、ちょっと!ざっと見て三十体以上はいますよ。いくらなんでも状況がまずいです。いったん逃げましょう」

 

 そんな彼女を尻目にカミナは叫ぶ。

 

「ここで逃げたらグレン団の名折れだ!いくぜチルノ、大ちゃん!今日からお前らもグレン団だ!!」

 

「おう!!」

 

「ええー!?」

 

 カミナとチルノが突撃しようとした刹那、異形の群れを横一列になぎ払う閃光が轟音とともに彼等の目の前を通り過ぎていった。

 

「何だこりゃ?」

 

「むむむ!この光はまさか・・・」

 

 目も眩むような閃光の後に残ったのは数体の異形と残骸だけだった。

 そして閃光が来た方向から何かが飛んでくる。それは箒に乗った少女であった。少女はカミナ達の前に降り立つ。

 

「へへッ、珍しい客を連れてるなチルノ」

 

 軽い調子で黒と白の少女はこちらを見ている。目を引く大きな帽子、左手に箒、そして右手には八角形の石のようなものが収まっている。 

 

「魔理沙!」

 

 どうやらチルノの知り合いらしい。少女は残りの異形のほうを見た。ほとんどは消し去られたようだがまだ動いているものも数体いる。それらは少女に銃口や武器を向けていた。

 

「ありゃ?まだ残ってる。こっちのもしぶといみたいだな。ちょっと下がってな、もう一発ぶち込んでやるから」

 

 魔理沙は右手を異形へと向け、さらに左手も添える。直後手の中に収まっている八卦炉が展開し光があふれた。

 

「モード変更、出力10パーセント追加・・・いくぜ!マスタースパーク!!」

 

 次の瞬間、エネルギーの塊が一直線に残りの鉄の化け物達を直撃した。先ほどよりも閃光は大きいが範囲は短い。光と轟音の後には削られた大地と倒れた木々、そして文字通りのガラクタが残っているだけだった。

 カミナはそれを見て驚異とも感嘆ともとれる声をあげる。

 

「まったくとんでもねえ威力だな。誰だいあんた?俺はカミナ、グレン団のカミナだ」

 

「『霧雨魔理沙(きりさめまりさ)』、ただの魔法使いさ。まあみんな泥棒とか変人とか好き勝手いうけどね」

 

 魔理沙はガラクタとなった異形を見た。残っている残骸は少しずつ黒ずみ氷の結晶が砕けるように消えていく。

 

「しかしここにもこういう変てこなやつがいるんじゃ霊夢のところに急いだほうがよさそうだな」

 

 ここにもという言葉に大妖精は反応した。

 

「えっ、他でも出たんですか?」

 

「ああ、姿は違うけど香霖堂にも出たんだ。まあ、やっつけたのはニトリと外から来た人間だけどね」

 

「外の人間ですか。珍しいですね、二人続けて外から迷い込むなんて」

 

「そういうもんなのか?ああ~なんかごちゃごちゃして・・・」

 

 突然カミナは視線を感じて森の奥を見た。そこには黒い影が佇んでおりその影は少女に見えた。

 

「おい、あれは誰だ?」

 

「どこですかカミナさん」

 

 カミナは黒い影のいる辺りを再び見たがそこには誰もいない。カミナは首を傾げた。

 

「おかしいな、たしかに黒い服を着た子供が立ってたはずなんだが・・・」

 

「たぶん里の子供じゃないか。まあ、めったにここら辺じゃ見ないけど。とりあえず博麗神社に急ごうぜ」

 

 魔理沙は箒にまたがり道を進む。その後に大妖精とチルノが続く。

 

「置いてくぞカミナ」

 

 カミナは立ち止まりあの影が見えた場所を睨んでいたが、チルノに声をかけられ再び歩き出した。

 

「おーう、今行く・・・しかしなんだったんだ、あの影」

 

 疑問は増えるばかりだが今は霊夢という人物に会うしか道はなさそうだ。とりあえずはそれしかない。そう自分を納得させカミナはチルノ達の後をついていった。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 カミナ達が見えなくなった後、異形が消えていった場所に先ほどよりも小さい対極図のような魔方陣が現れ、そこから黒い少女が出てきた。少女は削り取られた大地や倒れた木々を見ながら一人つぶやく、

 

「ありゃりゃこっちもか~残念。でも派手にやりすぎだよね~可哀相に」

 

 そういって札のようなものを取り出し真上に投げた。その直後、削れた地面も倒れた木々も時間が巻き戻るように元に戻っていく。だが音さえしない。ただ元に戻っていく。

 

「まあせっかくのお客さんにこの程度でいなくなってもらっても楽しくないし、いいかな・・・まだまだ遊び足りないお友達も大勢いるしね。じゃ~また会おうね、螺旋の勇者さん♪」

 

 そして少女はカミナ達の歩いていった方向を見ながら魔方陣に消えていった。後にはただ深い森が何事もなかったように佇んでいる。

 

 

 一行に魔女が加わり再びカミナ達は博麗神社を目指す。

 黒い不吉な影に見送られながら・・・。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 同時刻 香霖堂前

 

「よし、戸締りは終わったよ。残りの壊れたところは、まあ帰ってきてから考えるとしよう」

 

 壊れた店の入り口に応急措置の板を張り終え、香霖堂店主『森近霖之助(もりちかりんのすけ )』は後ろにいる二人を見た。一人はラフな格好の髭面の男、もう一人は大きなリュックサックを背負った少女だ。

 

「すまないなリンノスケ。帰ってきたら私も手伝おう」

 

 答えた髭面の男の手には見るからに硬質そうな赤いケースがぶら下がっている。

 

「そうしてくれると助かるよ。僕らはこれから霊夢のところに行くけど、にとりはどうする?」

 

 問われた少女は少し考えてから言った。

 

「う~ん色々気になるからあたしも行く。これはただ事じゃすまないような気がするんだよね」

 

「その予感は外れてほしいけど難しそうだな。じゃあ出発だ」

 

 歩き出す二人を尻目に髭面の男は思い返す、どうしてこうなったのかと。

 

「どうしたの?行こうよトニー」

 

「ん、ああ・・・すまない」

 

 そして彼等も博麗神社へと向かったのだった。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 カミナが霧の湖に飛ばされる前、すでに幻想郷に招かれた客人が一人いた。

 

 次回、『装着せよ。強き自分』

 




一話終了です。三日に一度は更新したいところですが前回それで失敗してしまったので、気長に書いていこうと思っています。
そんなわけで次回。
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