Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。
 それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.11『WAR GAME side:blue』その1からの続きです。
 先にそちらを読むことをお勧めします。


♯.11 『WAR GAME side:blue』 その2

           ●

 

 

―――――今日はひどく暑い。

 季節が夏なので当たり前かと一瞬思ったが、理由はそれだけではない。

 この幻想郷(せかい)がおかしくなっているのだ。

 噂によれば、鬼の四天王の一人が突然反乱を起こし、大結界の一部を壊したらしい。

 そのせいで天候が崩れ、場所によってはここのような異常な猛暑、

 場所によっては夏場であるにもかかわらず吹雪が吹き荒れている。

 あの博麗の巫女でさえ、この現状を解決できない。

 なんとなくだがこの世の終わりというのを感じてしまう。

 せっかく面白くなってきたというのに……。

 

「おい、勘平。聞こえてるのか?なあ」

 

 不意に聞こえた声で現実に引き戻された。

 どうもさっきから呼ばれていたらしい。

 

「……すまねえ、ちょっと考えごとをしてて聞いてなかった」

 

「しっかりしてくれよ。ここでMSをまともに仕上げられるのはお前と班長だけなんだ」

 

 自分を呼んだ男はやれやれという調子だ。

 

「分かってる……しかしな、ジョニー、

 たまには班長のほうで直してもらったらどうなんだ?俺よりも正確にやってくれるだろ」

 

「毎回先約が入ってるんだよ。

 ちなみに今は本郷のバイク、次は神夜の剣、その次は銀髪パーマの原付だとさ。

 さすがに頼めなかった」

 

 あの人は頼まれたら断れない性格なのが難点だといつも思う。

 もう少し弟子の自分を頼ってくれてもいいものなのだが……。

 

「なるほど、無理そうだな。しかし今回も派手にやってきたもんだ」

 

 ふと見上げた20mの巨体の各部は所々が破損していた。

 特に右肩に接続されているL字型の盾は、損傷が激しく交換が必要だ。

 それに、外れかけている腰と足の動力パイプも再接続しなくてはいけないだろう。

 

「五機同時に相手をすればこうもなる。せめてドムが使えれば少しは楽なんだが……」

 

「この前もって帰ってきたやつか。

 あれは数が少ないみたいでな、なかなか部品が揃わねえんだよ」

 

「しばらくはこいつにがんばってもらうしかないか」

 

「すまねぇが、そうなるな」

 

 

「勘平さ~ん、ジョニーさ~ん!

 桜華ちゃんが差し入れ持ってきてくれましたよー、休憩しませんかー!」

 

 突然聞こえてきた声の主は元気よく手を振っている。

 どこかのお姫様らしいが、あの格好はちょっと駄目だろう。

 動くと色々見えそうだ……まあ嬉しいからいいけど。

 

「おう、分かった!ジョニー、先に行ってくれ、ここだけやっちまう」

 

「いつも悪いな。じゃあ、お先に」

 

 パイロットスーツを着崩した男は、軽く敬礼して歩いていった。

 ……しかし今日は暑い。

 さっさと仕上げて上がろう、差し入れが待っている。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 妖怪の山の地下、様々な機械が積み上げられた大空洞の作業場では、

 河童達が忙しそうに動き回っていた。

 

「どっからいくよ?

 あ、それとだな、あんま説明はうまくねぇから勘弁してくれ」

 

 大型エレベーター近くの仮設休憩所で腰を下ろした河童の老人は目の前の二人に言った。

 

「ん~、そこらへんは気にしないから、オヤジさんの好きにして」

 

「こちらもだ。話を聞かせて下さい」

 

 問いの答えに、勘平は数秒考えてから口を開いた。

 

「そうだな、じゃあ最初からにするか……大昔、俺が生まれるよりもっと前の話、

 この世界に妖怪や人間が移住してきたばかりの頃、

 幻想郷を計画した賢者達は移り住んできたそれぞれに住処を割り振った。

 で、〝鬼〟〝天狗〟〝河童〟の三種族に宛がわれた場所が今のここ、

 『妖怪の山』というわけだ」

 

「へー、初耳!」

 

「賢者達とは?」

 

「詳しくは知らねぇが、世界を作った連中でどいつもこいつも規格外の化け物だったらしいぜ。

 八雲紫って知ってるか?あれが最後の生き残りって話だが、本当かどうかまでは分からねぇ」

 

「興味深いな」

 

「そうだけど、なんか話が脱線してない?」

 

「まあ聞けや。

 その頃の山は鬼がボスで天狗も河童もその子分だ。

 んで、鬼はそれぞれに仕事を与えた。

 統制が取れてた天狗達の担当は山の警備と他の勢力の偵察、

 手先が器用だった河童達には雑用と山の維持管理。

 そして、その雑用の一部がこの地下『底なしのごみ山』の掃除だ。

 どうやらここは幻想郷ができた当時からこんな状態だったらしい」

 

「当初からこの空間が存在していたと?」

 

「ああ。ここはそもそも幻想郷に不要なもんが定期的に流れ着く場所の一つのようでな、

 元々は賢者達から立ち入らないように警告されてたんだとよ。

 だが鬼の連中は邪魔な物を取っ払って、この場所に何か作りたかったらしいぜ。

 で、来る日も来る日もなくならない機械の山を整理してたある日、

 先祖達は行き倒れの人間を見つけた。

 それが異邦人 〝金田〟だ」

 

 出てきた人名に、にとりはああと反応した。

 

「知ってる、昔話に出てくる『いい人間』でしょ。あれって外の人だったの?」

 

「おう、そうだ。幻想郷に迷い込む前はどっかの軍で鉄人とかいう兵器を作ってたらしい。

 こいつがなかなかの科学者で、助けてくれた礼に先祖達に色々技術を教えてくれたんだと」

 

「ほう…それで、カネダという異邦人はどうなったんですか」

 

 聞かれた勘平はなんともいえない表情をした。

 

「それがだな、ある日いきなり居なくなったようなんだよ。

 伝わってる話から推測するに、迎えにきた誰かがいたらしいんだが

 ……まあ大昔の伝承だから本当のところはわかんねぇ。

 んで、異邦人が去った後、先祖達は習った技術を基礎にして、

 機械の山から色々作るようになったというわけだ。

 これが大まかな河童の科学はじめて物語ってところよ」

 

 一区切りがついたところで、トニーとにとりは河童の老人を見る。

 

「Mr.カンペイ、ここについては大体理解できたが…」

 

「やっぱり脱線してると思う」

 

 二人の言葉に勘平は軽く笑った。

 まるで分かっていると言うように。

 

「へへ、老人てのは昔話をするのが好きなんだよ。

 じゃあここからがお前等が聞きたい本題だ。

 そんなこんなで月日が経って俺がにとり嬢くらいの歳だった頃、

 幻想郷にヤバイ問題が起こった」

 

「確か〝正義〟だったか」

 

 彼は紫の家で見た過去を思い出す。

 かつての四天王の一人を。

 

「ご名答、鬼の大将〝金熊正義〟の反乱

 ……もう知ってる奴も少ねぇが『金熊事変』だ。

 その折に俺は連中、御伽話に出てくる五人の異邦人と出会ったのさ。

 当時の俺はガキでよ、班長って呼ばれた人の弟子として修行中でな」

 

「五人の異邦人…」

 

「あいつらは結界の外から八雲紫が連れてきたようで、

 最初は色々と衝突したり誤解があったが、最終的には協力してくれた。

 おかげで今の幻想郷がある。本当にいい奴等だったぜ」

 

 思い出すように、勘平はゴーグルの下で一瞬目を閉じた。

 

「昔話のあれでしょ?」

 

「そうだ。

 それぞれが別の時空、別の時間から来た連中さ。

 改造人間の 〝本郷猛〟、ジオン軍少佐 〝ジョニー・ライデン〟、

 万屋で甘党の 〝坂田銀時〟、宇宙海賊の 〝コブラ〟、

 それに旅のお姫様 の〝楠舞神夜〟

 ……どいつもこいつも曲者で個性的でよ、あの時は楽しかったよな」

 

 過ぎ去ったいつかは濃密過ぎて、昨日のように感じられると老人は思う。

 

「彼等はどうして幻想郷の為に力を?」

 

 トニーは聞かずにはいられなかった。

 今、彼が抱えている疑問の答えに繋がるであろう、かつての異邦人達の意志を。

 

「どうしてか……」

 

 真剣な表情で問われ、勘平は考えるように腕を組んだ。

 にとりもそんな彼の様子に神妙な面持ちで黙っている。

 

 だが次の瞬間、突然けたたましいサイレンが地下へと響き渡った。

 作業場の河童達は何事かと周囲を見回している。

 

「おっ、警報だな、上で何かやらかしたのか?」

 

「オヤジさん!!」

 

「どうした?」

 

 休憩所に飛び込んできた若い男の河童は、ひどく焦った様子で老人に告げた。

 

「警護隊からの連絡で〝山〟の入り口を今すぐに全部強制閉鎖しろだってよ!」

 

 強制閉鎖という単語に勘平の表情が一気に変わる。

 

「何ッ!?警告なしにそんな無茶すりゃ怪我人が出るぞ!あいつら何考えてやがる!」

 

「それがどうも 〝長老達〟からの命令らしくて、警護隊も混乱してるようなんだ」

 

 告げられた名前に彼は激昂した。

 

「けッ!年寄り連中がふざけやがって!!」

 

「……オヤジさんも長老クラスのお年寄りなんだけど」

 

 にとりの言葉に勘平は吼えた。

 

「うるせーな!おい、責任は俺が取るから2分間だけ待たせろ。

 緊急放送して2分後に強制閉鎖だ、いいな?」

 

「はい!」

 

 若い河童は再び飛び出した。

 

「さて、残念だが昔話はまた今度にお預けだぜ。

 色々やらなけりゃいけねぇ」

 

「そのようだ」

 

「……とはいえ、何が何だかさっぱりだな」

 

 あまりにも情報が足りなかった。

 警護隊が混乱状態という時点で何かがおかしい。

 

「あたし上に行くよ。さすがに情報がなくちゃ動けないしね」

 

「私も行く」

 

 赤いケースを持ったトニーの手をにとりが掴んだ。

 彼女は首を横に振り、言い聞かせるように彼の目を見る。

 

「駄目だよ、トニー。今のMk-Ⅴじゃ危険過ぎる。

 整備が必要だったからここに持ってきたんでしょ?」

 

 二回の使用でMk-Ⅴの機能はひどく低下していた。

 そもそもMk-Ⅴは、緊急時の携帯用であり、使い捨てが前提なのだ。

 そのため本来、連続しての変形、装着はできない仕様になっている。

 

「しかし…」

 

「あたしは大丈夫だから、ここに居て。

 オヤジさん、トニーの事よろしくお願い」

 

 言われて勘平は頷く。

 

「応さ」

 

「よし!行ってくるね!」

 

 手を振り彼女は大型エレベーターに向かった。

 トニーはただ少女の名前を叫ぶしかない。

 

「ニトリ!」

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「ひいー!来ないでほしいんだよ!!」

 

 天狗の少女は必死に山を走っていた。

 考えるのはただ一つ、どうして自分がこんな目に遭っているのかだ。

 今日は一日自室で過ごす予定だった。

 しかし今はあるモノに追われている。しかもそれには見覚えがあった。

 ドーパント。

 先日、中有の道で騒ぎに巻き込まれた際に襲われかけた怪物、

 それがどういうわけかここにも存在している。

 

「誰か!!」

 

 叫ぶが返事はない。

 後ろからは数体の異形が迫ってきている。

 前回は異邦人が助けてくれたが今回はそれも望めそうにない。

 

「どうして最近こんなのばっかりなのー!?もう最悪なんだけどー!!!」

 

 涙と鼻水で顔をグシャグシャにしながら走るが、ドーパント達との距離は縮まるばかりだ。

 飛ぼうにも木々が邪魔で離陸は難しい。

 

「あっ!?」

 

 木の根に足がつまずく。

 はたては勢いのまま転び、そのまま横に回転しながら近くの木にぶつかった。

 

「痛ッ!背中がー!!」

 

 痛みに耐えつつ目の前を見れば異形達が立っている。

 血の気が一気に引くのが分かった。

 

「あ…ああ……」

 

 すると怪物の一体が何を取り出した。

 青く透き通った長方形のそれには 〝I〟のような文字が描かれている。

 

「な、何を!?」

 

 次の瞬間、それが投げられた。

 よく分からないが、恐らく自分はどうにかなってしまう。

 そう直感しながらはたては目を閉じた。

 

「はあぁぁッ!!」

 

 刹那、一閃が走り、地面に真っ二つになったガイアメモリが落ちる。

 

「まったく、悲鳴がしたので来てみればあなたでしたか」

 

「ふえ?」

 

 恐る恐る目を開ければ、見覚えがある背中があった。

 はたてはそれを確認して泣きそうな声で叫ぶ。

 

「椛ー!!」

 

 情けない声を背にやれやれと少女はぼやく。

 

「どうしてこうも世話が焼ける人物ばかり回りにいるのでしょうね」

 

 そして盾と刀を構え直した彼女は異形達を睨んで吼えた。

 

「警護隊、犬走椛!山を乱す貴様等に情けは無用!!いくぞ!!」

 

 山の騒ぎは始まったばかりだ。

 

 




 はい!遅れました。すいません。
書けないときはどうしてあんなに書けないのでしょう?
もう大反省です。
そんなわけで次回。
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