Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。
 それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.11『WAR GAME side:blue』その3からの続きです。
 先にそちらを読むことをお勧めします。


♯.11 『WAR GAME side:blue』 その4

『今回の依頼、輸送のみで加勢は無しなのだったな』

 

 妖怪の山の上空に大きな鳥のような影が一つ。

 そして声は二つあった。

 

「うん、こっちは警備」

 

 万屋〝地獄亭〟の霊烏路 空と彼女のパートナー『焔』だ。

 

『ああ、向こうは旧都の連中が固めているだろうし問題はない。

 だがこの山にある入り口付近は自治権の問題でそうもいかん』

 

「ふーん…それより終わったらご褒美~」

 

『さとりの手作り菓子か、あれは確かに美味い』

 

「うにゅ?」

 

 と、何かの呼び出し音が鳴った。

 空は腰に着けている無線機のスイッチをONにする。

 

『…ちらHellcat、こちらHellcat。Raven応答せよ』

 

 聞こえてきた声に彼女は相手の名前を呼んだ。

 

「何?お燐」

 

 数秒の沈黙の後、無線機の向こうにいる相手は呆れ気味に返した。

 

『……あーたね、通信の時はコードネーム使えっていっつも言ってんじゃん?』

 

 それを聞いた空は無感情に一言、

 

「面倒」

 

 と答えた。

 

『ったく、気分とか雰囲気の問題なのよ!……まあ、いいや。で、現状どうなの?』

 

『山は敵の襲撃で混乱状態にあるようだ。警護隊が奮戦しているので今は問題ないだろう』

 

『今はね。とりあえず動きがあったら連絡。あーたら、すぐ忘れんだからさー』

 

 念を押すような声に二人は真剣な様子で返した。

 

「気をつける」

 

『うむ、善処しよう』

 

『はいはい、一応期待しとく……以上、Hellcat通信終わり』

 

 影は再び地上の監視を再開した。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 林の中で両者は対峙していた。

 すでに椛を抱えて逃げたサスケの姿はない。

 

「貴様、今度は何をするつもりだ」

 

「何と言われても……私の目的は変わりませんよ。

 力を手に入れる。例えどんな手段を使ってでもね」

 

 ウェザー・ドーパントはそう言い放つと、二人に背を向け歩き出した。

 

「待ってください!」

 

 妖夢はすぐ駆け出そうとしたが、

 

「ストップよ、妖夢」

 

 彼女の隣で滞空している小さな主に呼び止められた。

 

「よーく周りを見て」

 

 次の瞬間、妖夢は言葉の意味を感覚で理解した。

 隣の覚悟は既に気が付いていたようで構えが先程と変わっている。

 

「やはり気がつきましたか。

 あなた達が現れたのは想定外なんですが、タイミングとしてはちょうどいい。

 少し彼等達に付き合ってあげてください」

 

 刹那、周囲に潜んでいたドーパント達が一斉に飛び出してきた。

 その数は少なくとも10体以上はいる。

 

「覚悟殿、ここは拙者が!」

 

「ちょっと気をつけたほうがいいわね」

 

 最初に迫ってきたのは里でも戦ったドーパントだ。

 ハンマーのような腕が振り下ろされ、妖夢は刀で防御する。

 

「ッく!この前の敵よりも一撃が重い!?」

 

 焦りながらも妖夢は敵を弾き飛ばした。

 そこでようやくウェザー・ドーパントは足を止めた。

 

「驚きましたか。その顔では聞く必要はないですね」

 

 彼女の反応が期待通りだったのか、白い異形は饒舌になる。

 

「妖怪という存在は素晴らしい。人以上の身体能力を持っている。

 それが超人の力を手にしたらどうなるのか。

 思ったとおり、いい結果ですよ。

 残念ですが、今はあなた方の相手をしている暇はありません。

 実験はまだ途中なのですから……それでは失礼します」

 

 再び背を向けた彼は竜巻となってその場から消えた。

 

「余裕綽々だこと。

 とはいえ、ここを突破しないとね」

 

『うむ』

 

「先に進んで下さい。何か嫌な感じがします」

 

 一歩前に出た妖夢は楼観剣を構えた。

 その横では小さな幽々子が踊るように回っている。

 

「しかし…」

 

 渋る様子の覚悟に、幽々子は回りながら近づき、肩の上にのった。

 

「そうそう。ここは妖夢と私にまかせて、覚悟君と零はあの白いのをやっつけに行くべきだわ。

 ガイアメモリとかいうのは妖怪には有害っぽいし、急がないと不味いかも」

 

「それはどういう事ですか?」

 

 問われた彼女は動きを止め、周囲の敵を見回しながら告げた。

 

「妖怪っていうのは人間に比べて霊的、自然的な要素が強い存在なの。

 そこにあの機械が作用すると魂のバランスが悪くなるみたい。

 私にしか分からないけど、ここを囲んでる人達の魂が悲鳴を上げてるわ」

 

 その声にはいつものような呑気さも茶目っ気もない。

 ただ事実なのだろうと覚悟は感じた。

 

「…分かりました。ですが無理はなさらないように」

 

「心得ております!」

 

 妖夢の言葉に頷いた覚悟は勢いよく駆け出し、前方を塞ぐドーパント達を軽く飛び越した。

 白いマフラーがはためく。

 

「いくぞ、零」

 

『よし』

 

 その背中を見送った半人半霊の少女は、

 腰からもう一振りの短刀〝白楼剣〟を抜き放ち名乗りを上げた。

 

「魂魄妖夢、いざ参ります!!」

 

「あ~あ、山にいると果物が食べたくなるわね。秋はまだ先だけど」

 

「ここからは拙者のステージ!はあぁぁぁー!!」

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「上は騒がしいみてぇだな」

 

「そのようです」

 

 地下の作業場で二人は座り込んでいた。

 床には分解された状態のMk-Ⅴがある。

 彼等の周りでは多くの河童たちが各々の作業に戻っていた。

 この閉じ込められている現状ではやる事もないのだろう。

 

「……どうしていいか分かんねぇって顔してるな。そんなに悩む事かい?」

 

 トニーの険しい表情を見て勘平は聞いた。

 

「正直悩んでいます。

 幻想郷に来てドローンを撃破したとき、

 私はこの事態を何とかしないといけないと思っていた。

 あれは私の世界の物だからと……しかし、神社であの巫女と対峙したとき、

 得体の知れない恐怖を感じた。

 何か分からない。どう表現していいか分からない恐れを。

 それから分からなくなりました。自分はどうしたいのか、何をすべきなのか」

 

 それは霊夢がうけたあの禍々しい光を見た時からだろうと彼は思う。

 あの瞬間からどうにも恐怖心を拭い去ることが出来ないでいる。

 

「恐れか…まあ、怖いもんは怖いよな。だったら止めちまえばいいんじゃねぇの?」

 

 作業を続けながら河童の老人はトニーに言った。

 

「誰もあんたを責める権利はない。だって勝手に呼ばれたんだろ、賢者様にさ」

 

「その通りです。しかし…」

 

 そこでトニーは口篭ってしまう。

 八雲紫の家で自分は確かに降りると言った。本当にそのつもりだった。

 だが今はそれすらも迷っている。

 あの青年の眼を、熱い眼差しを見てから。

 

「どうにかしたいってか。まったく難儀だ…」

 

 そこで突然勘平の手が止まった。

 

「んん~?このマスク」

 

「どうかしましたか」

 

「なるほど、あんたのだったか。ちょいと来てくれ、見せたいもんがある」

 

 勘平は立ち上がり、歩き出した。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 いくつかの作業場を通り抜け、案内された先は狭い通路の奥だった。

 周囲は岩盤で覆われており、ここだけが綺麗に削られている。

 

「着いたぜ」

 

 そこでトニーの目に飛び込んできたのは見覚えがある扉だ。

 

「これは私のラボの入り口!?」

 

「ビンゴってわけだ。つい最近ここにいきなり扉が現れたのさ、でこいつが転がってた」

 

 差し出されたのは試作中だったアーマーの頭部、

 特徴的なアイアンマンのマスクであった。

 

「無理矢理こじ開けようかと思ってたんだが駄目でよ、放って置いたわけだ」

 

 説明をしていた勘平の横で、

 トニーは扉に備え付けられた端末を操作し、ラボの状態を確認した。

 

「…よし、非常用電源はまだ生きてる。

 Mr.カンペイ、電気ケーブルをここまで引いてもらえますか」

 

「おう、OKだが何をどうする?」

 

 トニーは答えた。

 今の己の思う事を。

 

「分かりません。だが何かをしなければいけない」

 

 ラボの扉が開く。何かを成し遂げるために。




 どうにも書けなくてこんなに時間が過ぎました。
でもなんとか最後まで書きたいんです。
そんなわけで次回。
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