Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.2『装着せよ。強き自分』その1からの続きです。先にそちらを読むことをお勧めします。




♯.2 『装着せよ。強き自分』 その2

「鈍い連中ばっかりで厄介だな。畜生」

 

 魔理沙は空中で旋回しながら悪態を吐いていた。それは彼女の真下、香霖堂近くの道で蠢く機械の兵士達に向けられたものだった。その数は五体。彼らは香霖堂を目指しているらしく威嚇でスペルカードを使ったが反応はなかった。続けて魔理沙は実際に攻撃力を持つ魔法を数発放ったがそれも無視されていた。

 

「ここいらでドカンと一発当ててやるしかないかな」

 

 箒の先端部の紐に吊るされた八卦炉に魔理沙は手を伸ばそうとしたが地上から攻撃が来た。

 瞬時に体を傾け銃撃をよける。どうやら相手はこちらの動きを一応は警戒しているらしい。

 

「ったく、鈍いのか鋭いのか分かりづらいったらありゃしない。こうなったら手数で攻めるしかないな」

 

 魔理沙は箒を上に引き急上昇した。そしておもむろにポケットからカードを二枚取り出し前方に投げ呪文を唱える。直後にカードは薄緑の光に包まれ球体を形成した。

 球体は箒の動きに合わせるように魔理沙の左右を浮遊している。

 

「これならどうだ!」

 

 眼下の標的をめがけ一気に急降下する魔理沙の左右の球体からは、純粋な破壊の力を持った魔法の弾丸が高速で発射されている。それに対して地上のドローン達は内蔵された銃器で応戦する。敵の反撃をぎりぎりで回避し魔理沙は再度上昇した。

 

「ようやくこっちを向きやがった。もう一回いくぞ!」

 

 再度急降下をしようと反転する魔理沙だったが、地上から思いもよらないものがこちらへ向かってきた。それは先ほどまで地上にいたドローン達だった。

 

「なんだよ。あっちも飛べるのかよ。本当に厄介な連中だぜ」

 

 ドローンは三機で残りの二機は地上から攻撃を続けている。目の前の状態に魔理沙は苦笑いする。

 

「さすがに一対三は面倒くさいな。しかも応援つきだぜ」

 

 その時だった。高速で迫るドローンの一機に背後から光が直撃し、きりもみしながら墜落した。地上を見下ろせばそこには香霖堂でみた銀色の鎧が胸から煙を上げ立っている。鎧はこちらを見上げ叫ぶ。

 

『待たせたな!かりを返させてもらうぞ!』

 

 どうやらあの男、トニーは間に合ったようだ。

 

「これで一対二か…ついてきなガラクタ三等兵!」

 

 魔理沙は急加速し残った二機のドローンと空中戦を開始した。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

『さて、なんとか一機は落とせたが…』

 

 地上でトニー・スタークは道の先に立つ二機の人型を見つめていた。一機は陸軍仕様のドローン。もう一機は見たことがないタイプの敵だ。

 

『あのメカは一体なんだ。とてもじゃないがハマーが作ったやつにも見えないし』

 

 それは明らかに異質なパワードスーツだった。ドローンより一回り小さく、非常に簡素なフォルムはレトロなブリキのロボット玩具を連想させた。しかも星条旗が胸の辺りに描かれている。つまりアメリカが関係しているのかもしれない。だがトニーはあんな形の兵器は見たことがなかった。これでも元はアメリカ軍の兵器開発に従事していた身である。似たものを見たことがあれば記憶に残っているはずなのだ。

 しかしトニーはその考えを打ち切った。優先事項は思考するよりも行動することだった。

 

『今はそんな場合じゃないな』

 

 さきほどの攻撃はなんとか空中の敵に命中し落とすことに成功したが、Mk-Ⅰに追加したユニビーム発射機構はアーク・リアクターからのパワーに耐え切れず壊れてしまっていた。やはり有り合わせの急造品では無理があったようだ。

 残りの武装は両腕の火炎放射器のみ。かつては左腕部に小型のロケット弾が装備されていたが現在のMk-Ⅰには発射ガイドしか残っていない。相手は無人のパワードスーツだ。たかだか火炎放射では目眩ましにもならないだろう。となれば物理的な衝撃でエネルギーコアか中枢部を破壊するしか動きを止める方法はない。

 

『近接戦をこちらから仕掛けるしかないか』

 

 分の悪い勝負なのは最初から分かっていた。射撃できる武器もなくパワーでもスピードでも劣っている以上、不用意に相手に格闘戦を挑むのは自殺行為に等しい。しかし他の戦い方は残されていない。すでに敵は目の前に迫っていた。それに相手はどういうわけか銃器を撃ってこない。先ほどの空への援護で弾切れを起こしているのだろうか。だが確認している余裕はなかった。トニーは正面から陸軍仕様のドローンに突進した。

 

『っく!!』

 

 鉄と鉄とがぶつかり合う金属音が響いてMk-Ⅰとドローンは地面に倒れこんだ。急いで体を起こそうとするトニーだったが、右腕の装甲の一部が敵にひっかかりうまく上体を起こせない。そこにもう一体の異質な敵が襲い掛かってきた。

 

『クソッ!これでもくらえ!』

 

 効果は期待できないと思ったが咄嗟にトニーは左腕からの火炎を敵に浴びせた。すると敵はこちらから距離をとろうと後ろに下がった。どうやらあちらの敵には有効らしい。

 引っかかったパーツを強引にはずしトニーは立ち上がる。そして横で上体を起こしたドローンの頭部に真上から右ストレートを叩き込んだ。パーツの砕ける音と、けたたましい電子音が響きドローンは再び地面に倒れこむ。

 

『少し寝ていろ』

 

 これでしばらく隣のドローンは動けないはずだ。視線をこちらから距離をとった敵に向け両椀を構える。この腕に装備された火炎放射器はある程度の調整ができた。最大出力で放射すればかなりの距離が稼げる。この間合いであればおそらく届くはずだ。

 

『バーベキューは好きか?私は嫌いじゃない』

 

 敵に炎を発射しようとした刹那、突然霖之助の叫ぶ声が聞こえた。

 

「後ろだー!トニー!しゃがめー!!」

 

 その声にトニーは急ぎ体を下げた。その直後、左腕の肩部装甲が弾け飛び背面の駆動ユニットの一部も破壊された。スーツの機能が低下したせいで上半身がいっきに重くなる。

 後ろを振り向けば先ほど墜落した空軍仕様のドローンがこちらに武器を向けている。そのボディーはユニビームと落下のダメージで破損しているが動作に問題はないようだ。

 

『仕留めそこなったか…』

 

 戦況は限りなく不利となった。前後を敵に挟まれ、横ではいつ再起動してもおかしくない状態のドローンが転がっている。しかも今の攻撃でこちらはまともに体を動かせなくなった。このままでは三方向から袋叩きだろう。

 

『万事休すか』

 

 だが次の瞬間、突然背後に立っていた空軍仕様のドローンは何かに殴りつけられたかように横に飛ばされ、同時に周囲は黒い煙に包まれる。トニーの目には一瞬ドローンが立っていた空間が歪んだように見えた。

 そして辺り一帯は煙が広がり視界も確保できない。この状態でどう行動するか考えていると、

 

 ・・・・・・動かないでね・・・・・・

 

 囁くような少女の声が聞こえMk-Ⅰは何かに掴まれ持ち上げられ移動をはじめた。

 

『!?』

 

 困惑するがどうすることもできない。しばらくしてトニーは唐突に黒い煙の中から脱出した。そして頭部のアーマー前部を開放し横を見ると、霖之助も同じように宙に浮いていた。そして彼は自分とトニーの間の歪んで見える空間と会話をはじめた。

 

「ナイスなタイミングだ。助かったよ」

 

『魔理沙が来ないから迎えにきたんだけど、なんか緊急事態みたいだったから』

 

 その空間から聞こえる声は先ほどの少女の声に間違いなかった。どうしたものかと悩んでいると香霖堂の近くまで来ていた。

 

『じゃあ降ろすよ。ついでに解除っと』

 

 地面に降ろされた直後、目の前の空間からカラーインクが染み出すように一人の少女が現れた。

 大きめの緑色の帽子を被り、髪は青く洋服は水色だった。そして背中に大きなリュックサックを背負っている。

 

「さすがに大人二人は重いね。アームに補助動力追加しておいてよかったよ。怪我とかない?」

 

 少し心配そうにこちらを見ている少女にトニーは聞かずにはいられないことがあった。

 

「まさか光学迷彩か。ありえない」

 

 驚いたトニーを見て誇らしげに少女は胸を張った。

 

「はっはっはオプティカルカモフラージュさ!河童の科学は幻想一チィィィィ!!」

 

「はあ、こういう時のテンションは高いよね」

 

 軽くため息をつき霖之助はトニーに視線を向けた。

 

「バラバラだった君の鎧を組み立てたのは彼女なんだよ。店の常連さんでね」

 

「なんかすごく面白かったよその機械鎧。ええと…ああ、あたしは河童の『河城にとり』。そういうメカとか大好きなんだよね」

 

 その口ぶりから本当に機械が好きなのだろうとトニーは感じる。一礼しトニーは少女を見た。

 

「私はトニー・スターク。このスーツを直してくれたのは君だったか、感謝する。それと君が持っているケースは…」

 

 にとりの左手には大きめの赤いビジネス用のケースがぶら下がっていた。その表面は硬質そうな鉄で覆われ金属特有の光を放っている。

 

「これ?その鎧を直した帰りに拾ったんだよ。工房で色々調べたんだけどよくわかんなくてさ。それで魔理沙に見せてから香霖堂の主人に何の道具か聞こうと思って持ってきたんだけど、もしかしてあなたの?」

 

「その通りだ。確かにナイスなタイミングだな。二人とも少し離れてくれ」

 

 二人が距離をとったのを確認し、トニーはMk-Ⅰの装甲強制排除ボタンを押した。一瞬で各部のアーマーが剥がれ地面に落ちる。これはステインからMk-Ⅰを回収した際に取り付けた緊急用装備だった。

 

「あとでまた直すしかないな。ケースをこっちに」

 

「え?はい」

 

 にとりは言われるままにスーツケースをトニーに手渡した。

 

「よし…これで反撃開始だ!」

 

  戦いはこれからが本番のようだ。

 

 




 次回で黄金の英雄篇は終了です。そんなわけで続きます。
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