Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.2『装着せよ。強き自分』その3からの続きです。先にそちらを読むことをお勧めします。


♯.3 『忍者、飛ばされるの巻』 その1

「おいサスケ、なんか楽しい話でもしろよ」

 

「またですか音速丸さん。では僕が海老川デザインなリアルロボット系に乗って、囁く声が聞こえる行動的な美少女といい関係になりつつ世界を救ってラブ&ピースな話の続きをしましょう」

 

 その二人は妖怪の山ではまず見ない格好をしていた。サスケと呼ばれた男は全身黒の忍者装束姿で、もう一人の音速丸と呼ばれた生物は羽が生えた丸く黄色い姿をしている。

 

「バカ!長いんだよ!それにその話は今日三回は聞いたぞ。いい加減別の話をしやがれ、このスカポンタン!!」

 

「大声あげなくたっていいじゃないですか!あの話しはまだまだ続きがあるんです!音速丸さんこそ海産物系の名前の家族の婿と、毒にも薬にもならない会社生活を送る夢はもうウンザリだって、今日五回以上は言いましたよ!」

 

 二人はイライラしているようで会話に穏やかさは一切ない。声から分かるのは苛立ちと疲れだった。

 

「飛び過ぎて頭が回らねーんだよ!大体ここはどこの山奥だ!こんな馬鹿でかい滝は忍者学園の近くにはねえぞ!!」

 

「知りませんよ!気がついたら山にいて音速丸さんしか周りにいないし、忍ちゃんもほかのみんなもまったく見あたらないし・・・最初は何かの罰ゲームかいたずらかと思いましたが私ら間違いなく遭難してますよね?」

 

 まさにその通りであった。現在彼らは妖怪も入らないような山道の崖をひたすらに迷っている。どうしてこうなったのかまったく見当もつかない。

 目が覚めたとき彼らは忍者学園の自室ではなく何処とも知れぬ森の中にいた。行き先も分からず二人は歩き続け、疲労は限界寸前だ。

 

「そ、そんなわけあるかよ。適当にハイキングしてればどっかに出るもんね!いくぞオラッ!!」

 

 やけになっているのか音速丸は適当に林に突っ込んだ。その後をサスケは追う。

 

「置いてかないで下さいよ!ってうわあああああ!!!」

 

 草と木で見えづらくなっていたそこは崖だった。

 二人は落ちる。音速丸は本来羽で飛べるのだが落ちる瞬間サスケが体を掴んだ為、一緒に崖下に真っ逆さまだ。

 

「離せよ手前ェ!まだ死にたくな~い!!」

「旅は道連れ世は情けっていうじゃないですか!!一人で落ちるのはイヤ――――――!!!」

 

 走馬灯が脳裏をよぎりもう駄目かと思った瞬間、二人の体に衝撃と水の感触がきた。一瞬気が遠くなるがすぐに現実へと引き戻される。

 聞こえたのは悲鳴、それも女性達の声だった。

 

「キャ――――――――!」

「変態よ!変態―――――!」

「誰か―――――――――――!」

 

 サスケと音速丸が水面から立ち上がると目の前に三人の女性がいた。彼女達は全裸でどう見ても警戒した面持ちでこちらを睨んでいる。

 二人は頭を回転させた。

 

・山で迷って崖から落ちたがすぐ下が水浴び場だったようで助かった。

・しかし人がいたようで水浴びしていた目の前の女性達はほぼ裸。

・彼女達はこちらの事情は知らない。ストレートに状況を見てどう思うか。

・つまり自分達は天空の城のヒロインというより、覗きをしていて落ちてきた変態…←今はここ!

 

「どわー!間違いです!変態じゃないです!事故です!事故!!」

 

 サスケはあたふたと手を振り必死に叫んだ。しかし逆に怪しく見える。

 

「その通りさ、レディー達。怖がることはない。全然僕ら怪しくないし3D世代だし勘違いしてもらっては困る」

 

 冷静そうに振舞う音速丸も微妙なことを口走りあきらかに動揺している。

 

「何事だ!?」

 

 挙動不審な二人は声のする方を見た。そこに立っていたのは一人、全体的に白い格好をした少女だ。

 

「悲鳴が聞こえたので駆けつけてみたが、貴様らどこの所属だ。返答次第ではこの場で叩き切るぞ」

 

 凛々しい声でこちらを威嚇するように睨む彼女の姿を見て両名は歓喜の涙を流し抱き合った。

 

「お、音速丸さん犬耳ですよ!犬耳!しかも盾と剣装備で完全に騎士やら剣士じゃないですか!ここはもしやファンタジーなとこなんじゃないのでしょうか!ていうか夢!?」

 

「よく見れば羽とか尻尾とかなんか夢のようなオプションが他の彼女達にもついてるじゃありませんか!サスケ、どうやら俺達はついにあっち側の世界に来てしまったようだな!ありがとう神様!!!!」

 

 テンションが最高まで上がったバカ二人は、頭から現在おかれている状況が完全に抜けてしまっていた。そんな彼らを哀れむように一瞥し白い剣士は言った。

 

「・・・言葉が通じんようだ。遠慮なくいくぞ」

 

「え?」

「ん~?」

 

 言うまでもなく二人はお縄になった。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 同時刻:守矢神社前

 

 

「音速丸とサスケさんは大丈夫かな・・・」

 

 ピンクの忍者装束に赤い大きなリボンが印象的な格好の少女は、腰より長い黒髪を揺らし一人空を見上げた。その表情からは不安がうかがえる。

 

「あんまり心配しすぎると、忍さんが大丈夫じゃなくなってしまいますよ」

 

「あっ、早苗さん」

 

 忍と呼ばれた少女の背後に守矢の巫女『東風谷早苗( こちや さなえ )』は立っていた。

 

「そろそろ夕飯なので、皆さんに声をかけに大広間に行ったんですが、忍さんだけ姿が見当らなかったものですから探しにきました」

 

「すいません。何から何まで面倒をかけてしまって」

 

「いえいえ状況が状況なので気にしないで下さい。それにうちの神様は、どちらも賑やかなのは好きですから問題ないですよ。じゃあ行きましょう」

 

 それを聞いて忍の表情は少し明るくなる。

 

「はい。何か手伝うことがあれば遠慮なく言ってください」

 

 二人は神社に隣接した家に向かった。空は赤く染まりつつある。

 早苗は足を進めながら今日の出来事を思い返していた。

 あれは昼前、日課である境内の掃除をしていたときの事だ。

 突然目の前の空間が歪み、そこから裂けるようにスキマが広がった。そして一瞬のうちに二十人ほどの人影が現れスキマは閉じた。現れた人間のほとんどが黒い忍者の格好をしており全員が寝ている。

 驚いた早苗はとりあえずその集団の中に一人だけいたピンクの少女を起こして聞いた。

 

「すいませんがどちら様でしょう?」

 

「はひ・・・あれ明るい・・・んん・・」

 

 問われた少女は寝ぼけていたが、すぐに辺りを見回し姿勢を正すと慌てた様子で早苗を見た。

 

「あの、その、気分はぐるぐる・・・じゃなくて、ええといつの間に昼に!と、とにかく私は忍者見習いの忍です!というかここはどこなのでしょうか!?」

 

 混乱する彼女をなだめ、他の忍者達を起こして幻想郷について簡単な説明をしていると神奈子と諏訪子がやってきた。二人は驚くかと思いきや、いたって冷静に状況を聞き忍達に言った。

 

「とりあえず飯にしよう。まあすぐ出せるのは粥ぐらいだが。腹減ってるだろ、お前達」

「そうだね。じゃあ大広間に行こうか。早苗準備お願い」 

 

 その後昼食をとり、一息ついたところで神奈子は忍達に聞いた。

 

「誰か八雲紫って女から何か聞いてないかい?」

 

 その言葉に反応したのは忍だけだった。

 

「あの怪しい人は力を貸してほしいと言ってました。でも私、『見習い忍者じゃ力不足ですよ』って返したんです。そしたら大丈夫って言われて目が覚めたらここに・・・」

 

 それを聞いて神奈子はなんともいえない表情をしていたが、となりの諏訪子は、

 

「まあ、しばらくはここにいてもらおうか。なんか仲間もほかにいるようだしさ」

 

 そういってケロケロと笑っている。

 よく分からないが二人は何かを前もって知っていたようだ。それがどういうことかは分からない。しかし八雲紫が関っているとなると厄介ごとであるのは明白だ。あの妖怪が絡んでくると大体ろくなことにならない。

 早苗は二人にことの詳細を聞こうとしたが教えてはもらえなかった。

 

「とりあえず今はなんともいえないね。それより、忍の仲間が足りないってのが気になる」

「確かに。あの妖怪は人攫いでミスとかはしないはずだしね」

 

 忍達がいうには仲間の何人かが見当らないという。名前があがったのは二人、音速丸とサスケという人物だった。サスケは他の忍者と同じ格好だが、音速丸という人物(?)はそこらへんの妖怪より奇怪な姿をしているらしい。他にも何人かいないとのことだが、基本的に皆同じ格好のせいで本人達でも正確な数は把握できていないようだった。

 

「無事ならいいんですが、この世界は妖怪とかがいるんですよね。食べられたりしていなければいいのですが・・・」

 

 忍は不安そうに言う。ここは妖怪の山だ。そういう事態になっていることも否定できない。それを聞いて周りの忍者も戸惑いや不安を口にした。

 

「もう胃の中かも・・・南無三」

「貸してたエロゲ返してもらえるかな。まだサブキャラクリアしてないんだよな」

「俺、はじめて神様見たよ!ラッキー」

「神奈子様だろ!普通!」

「需要は諏訪子様のほうが圧倒的だ!」

「おいおいお前等、断然早苗ちゃんだろ。異論は認めない!」

 

 ・・・根本的に違うことを言っている忍者もいるが早苗は無視した。

 とりあえず行方不明の人達の件は山の警備担当の天狗に伝えておくべきだろう。その他にもやらなければいけない仕事もある。

 そして雑務をこなし、気がつけば夕方になっていた。そこで記憶は今に戻る。

 彼女と仲間達がどうして八雲紫に呼ばれたかは分からない。しかし早苗は穏便にことが終わるようには思えなかった。それはさきほど見た天狗の新聞のせいだろう。そこに書かれていたのは、最近の幻想郷で相次ぐ小規模な異変と目撃される怪異の記事だ。それらと今回の件は無関係には思えない。

 何かが起こっている。それもゆっくりと確実に・・・。

 

「どうしたんですか早苗さん?」

 

 はっとして隣に目をやると、忍がこちらを不思議そうに見ていた。どうやら考え込んでしまっていたようだ。

 

「いえ何でもありません。みなさんを待たせても悪いですから急ぎましょうか」

 

「はい!」

 

 二人は駆けていった。夕日はさらに赤を増し、その色はまるで血のようだ。

 そして二人を見送るように、一つの影が先ほど忍がいた場所に立っている。

 

「・・・・・・」

 

 無言の影は黒い少女の姿をしていた。

 




 そんなわけで三話です。アニメ二期はいつだろうな~(現実逃避)。
という感じで次回
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