Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.3『忍者、飛ばされるの巻』その2からの続きです。先にそちらを読むことをお勧めします。


♯.3 『忍者、飛ばされるの巻』 その3

「・・・ということがありまして、この二人は昨日話が回ってきた連中のようでしたから、こちらに引き渡しにきました」

 

 守矢神社の門の前で早苗と椛は話していた。椛の後ろには音速丸とサスケが立っている。

 

「ご苦労様でした。これ警護隊のみなさんで召し上がってください」

 

 早苗から差し出された大きな包みを受け取り、椛は頭を下げた。

 

「いつもかたじけない。それでは失礼します。サスケに音速丸、あまり守矢の方々に迷惑をかけるなよ。それと貴様達の話は面白かった」

 

 そのときの椛の顔はにこやかで二人は初めて彼女の笑顔を見た気がした。道中他愛もない会話をしながら三人は山を登ってきたが、終始彼女は固い口調で事務的だった。

 おそらく彼女は職務に忠実すぎるのだろう。自分勝手な上司が苦手なのもその為に思える。

 

「大きなお世話でい!・・・道案内感謝するぜ、ありがとよ」

 

「お世話になりました椛さん!」

 

 二人は手を振り白い剣士を見送った。そして後ろの巫女へ振り向く。

 

「あなたが守矢神社の方ですか?」

 

「話題のハンサムボーイ、音速丸です!」

 

「話の通り元気な方々のようですね。私は巫女の東風谷早苗と申します。お二人のことは皆さんから聞きました」

 

 その言葉を合図のようにして、門の影から見慣れた仲間達がぞろぞろと現れ二人を取り囲んだ。

 

「音速丸もサスケさんも無事で本当によかった。二人が見当らないから、怖い妖怪に食べられてもう消化されてるんじゃないかと思って心配してたのよ」

 

 忍は泣きそうな顔で二人を見た。そして周りの忍者達も一斉に口を開いた。

 

「まさか覗きで捕まってたなんてね・・・」

「最低です!」

「見損ないました!」

「ゲーム返してください」

「というか先ほどの犬耳の美少女は誰ですか?」

 

 矢継ぎ早に忍者達から言葉が浴びせられ音速丸とサスケは否定の声をあげる。

 

「誤解だ!覗きなんてするわけないだろ!あれは何者かが俺達を陥れるために計画した罠だ!なあ、サスケ!?」

 

 慌てた音速丸は奇妙な動作でサスケに同意を求めた。サスケは大げさなポーズを取り叫ぶ。

 

「その通り!信じてくれよみんな!僕達は楽園を垣間見ただけでいやらしい感情なんて微塵もなかったんだ!・・・でもあの娘達はまさに天使でしたね」

 

 激しい動きから一転し、何かを思い出すようにサスケも奇妙な動作をはじめる。

 

「まったくだ。なんていうか…その…下品なんですが…フフ…オッパッちゃいましてね…I LOVE おぱーい!!」

 

 その二人の様子に周囲は呆れているようで罵声が飛んだ。

 

「やっぱり最低だ!」

「あんたら、ほんとに妖怪に食われちゃえばよかったのに!!」

「ちなみにどこまで見たんですか!」

「二人の釈明はどうでもいいんでケモ耳少女の名前を早く教えてくださいよ~」

 

 そんな調子でわいわいと騒いでいると二神がやってきた。

 

「ったく騒がしいね。なんか黄色い妖怪もいるし」

 

「あれは忍達の仲間だよ。昨日聞いたじゃない。それにしても楽しそうだな、おい」

 

 対照的な態度の二神を見て音速丸は忍に耳打ちする。

 

「あいつら何様?それとどういう状況だ?手短に説明してみろや忍」

「ええと~斯々然々で・・・」

 

 音速丸の耳元で忍はごにょごにょと何かを言った。それに対して音速丸はしばし考え、ポンッと手を叩いた。

 

「なるほどそういうわけか。つまり俺が幻想郷を救ってラブ&ピース!」

 

 右手を掲げ声高々に叫ぶ音速丸に周りが沈黙し、哀しそうな視線が突き刺さる中、神奈子は笑顔で彼につっこんだ。

 

「そこの黄色いの、あんた頭は大丈夫かい。神様でもそういう病気は治せないよ?」

 

「何だと!神様だからって偉そうにしやがって~!男は怒るときは怒らねばならないのだ!たとえ相手が強大な力を持つ正義だったとしても!!」

 

 音速丸は〝自分的にカッコいいと思っているポーズ〟を決めると、両腕をグルグルと回し勢いにまかせ神へ突撃した。

 

「さっきから鬱陶しいね。少し黙ってな」

 

 黄色い球体が目の前に迫る瞬間、神奈子は右手を軽く上に振る。その刹那、音速丸の真下から〝御柱〟が出現し股間にクリーンヒットした。

 

「うひは~!お、俺のメルヘンスティックが!これが八坂の力か…ぐふっ」

 

 股間を押さえ彼は地面で動かなくなった。やれやれとまたかと周囲が思っていると、神は視線を別の方向に向けた。

 

「一人は静かになったか。でももう一人気になるのがいるんだよな」

 

 神奈子が見たのは忍達が立つ門の外側、山道に下りる階段の辺りだ。そこにはサスケが自身を指差し立っている。

 

「え?僕ですか。ちょっと待ってくださいよ!御柱なんて受けたら僕もエクステンドしちゃいますよ!信仰が足りませんでしたか!?」

 

「あんたじゃないよ、下がってな」

 

 言われてサスケはそこからどいた。神奈子の視線はそのまま何もない場所に向けられている。

 

「うまく隠れたつもりなんだろうけど、出てきたらどうなんだい?」

 

 しかし返答はない。そして諏訪子もそこに向けて口を開く。

 

「なんだ神奈子も気づいてたんだ。まあ案外分かりやすかったしね。見えてるというより、見せてるが正しいのかな」

 

 どういうことかと早苗も忍達もその何もない空間を凝視した。やはり返答もなければ変化もない。しばらくして神は痺れを切らし、強い口調で言った。

 

「出てこないなら実力行使させてもらうよ」

 

 先ほどのように神奈子は右手を動かした。すると無数の御柱が一斉に現れ視線が集まる空間に叩き込まれた。

 通常であれば御柱同士が激突し木材の破砕音がするはずだが、御柱はぶつかることなく一瞬で細切れになり地面に落ちた。その光景に二神以外はただ唖然とするほかない。

 

「怖いね~。やだやだ」

 

 今度は諏訪子がどこからともなく取り出した鉄の輪をそこに投げつけた。輪は高速で回転し、その場にいた者たちの視界から消える。

 直後、何もなかった空間に光で描かれたような対極図が出現し、そこから人が現れた。光のせいで影しか見えないがそのシルエットは女性のもので、手には刀のようなものと先ほどの輪が握られている。対極図は一瞬強い光を発して消えた。

 そして現れた人物の姿を見て全員が驚愕の声を上げる。

 

「あれってまさか!?」

「どういうことなんだ!」

「ええー!」

「?????」

 

 皆が混乱する中、最もショックを受けていたのは忍だった。彼女は顔に手を当て、確かめるように目の前の人物を見た。

 

「・・・私がもう一人」

 

 対極図から出てきた人物、それは服装と肌の色こそ違うが忍と瓜二つの少女だった。その肌は褐色に近く、全身は黒を基調とした巫女風の服に包まれ、腰の後ろには刀の鞘が下げられている。髪は後ろで一つにまとめられ、忍より短く色も同じだがリボンと鉢巻は身に着けられてはいない。

 少女は手に持った輪を投げ捨てると刀を収め二神を見た。

 

「さすがは神か・・・ここで争うつもりはない。私はそこの異邦人達を監視していただけだ」

 

「監視?一体何の為にさ」

 

「答える必要はない」

 

 少女は冷たく諏訪子に言い放ち、忍達へと視線を移した。

 

「必要以上に幻想郷に関るな、今すぐ元の世界に帰れ。さもなくば貴様達に明日はない」

 

 その目から感じられるのは拒絶という感情だった。睨まれた忍達は威圧感で、喋ることも動くこともできず、ただ少女を見つめ返している。

 

「物騒な物言いだが何者だい?そこのくノ一と同じ面のようだけど」

 

 空気を変えたのは神奈子だった。彼女は腕を組み黒い忍をじっと見つめた。しかし答えは同じだ。

 

「答える必要はないと言ったはずだ…警告は確かにした。すぐに立ち去れ、二度目はない」

 

 念を押すようにそういうと黒い忍は後方へと跳躍し、そのまま落ちるように石段へ消えた。

 早苗と忍は急いで階段の下を見たがそこには影も形もなかった。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 守矢神社の遥か上空では赤と黒の少女が忍達を見下ろしていた。その表情は愉快そうであったが、何か考えているようにも見える。

 

「う~ん・・・おかしいわね。あの優しいくノ一さんのコピーは失敗したはずなんだけどな~。しかもなんか自分勝手に行動してるみたいだし、どういうことかしら?」

 

 しばらく考えていた彼女だが、すぐに飽きてしまったようでため息を吐いた。

 

「難しいのは嫌いなのよね。やっぱりシンプルが一番!うんうん」

 

 何かに一人納得し、彼女は妖怪の山の向こう側へ視線をやった。

 

「あっちのお友達は元気にやってるかしら」

 

 妖怪の山の裏側には三途の川が流れている。しかし彼女が見ていたのはその中間にある通り道のほうだ。

 

「まあ気が向いたら見に行くとしましょう。さてそろそろ帰ろうかしら、また誰か来るかもしれないし・・・次はお友達も連れていくからね、忍者さん達♪」

 

 そして少女は対極図に酷似した魔方陣へ消えた。その存在に気づくものはいないはずだった。

 しかし地上では一人空を見上げる人影がある。それはあの黒い忍だ。

 

「やはりか。必ず殺す、彼らのためにも必ず…」

 

 彼女は憎しみの目で虚空を睨み続けた。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「つまり、俺が何度目かの生死の境をさまよっていた間にデンジャラスでクールなブラック忍が独壇場ってわけだ」

 

「要約するとそんな感じでしょうか。しかし何者なんでしょうね」

 

 黒い忍が去った後、気を失った音速丸は目覚め状況をサスケから聞いた。全員が沈黙し、忍は下をうつむいている。深刻そうな周りの表情を見て音速丸は不思議そうに言った。

 

「お前等何を悩むことがある。その忍の正体は既に割れてるだろ」

 

「ええ――――――――――――――!!!」

 

 その場の全員が声を合わせて叫んだ。 

 

「ハンサムボーイ、どういうことかケロちゃん達に教えてくれるかね?」

 

 諏訪子が聞くと音速丸は一息して告げた。

 

「そいつはおそらく、アニメ版OPで出てきた黒い忍の成れの果てに違いない。出番もないから幻想入りしたんだろ。で、本物が迷い込んできたから、慌てて自己顕示欲にまかせて登場したと」

 

 それを聞いて忍者達はおおと歓声をあげる。忍も音速丸を抱きしめ嬉しそうにはしゃいだ。

 

「盲点だったわ!さすが音速丸!」

「ああ、確かにOPで出てましたよね!」

「そうそう目立ってたけど本編未登場」

「そのせいで詐欺OPでたまに名前が挙がるしな」

「あんた最高にCoolだよ!」

 

 そんなテンションが高い彼らを尻目に守矢神社の巫女と二神は頭を抱えた。

 

「神奈子、予想以上におめでたい頭の連中だよ。あれ」

 

「早苗、あいつらが何を言っているのか分からないんだけど、どういうことだい?」

 

「すいません、私も理解しかねます」

 

 苦笑いする早苗にやれやれという様子で諏訪子は言った。

 

「まあいいや。それより、忍達を連れて博麗神社に行ってきな」

 

「霊夢さんのところへですか?」

 

「そうそう。思ったより厄介なことになってるようだから。ちょっと情報収集も兼ねてさ」

 

 神奈子も続けて早苗に言う。

 

「数日前にあのスキマ妖怪がわざわざ顔を出しに来たんだ。近々幻想郷全体が騒がしくなるかもしれないとね。最近なにかと変な噂も耳にするし、おそらく今回の件もその一つなんだろうよ」

 

 やはりあの妖怪の名前が出た。

 

「とりあえず今日はもう時間がないから明日の朝に出発しな。これからどうなるか分からないし、あいつらも一日くらいぐっすり眠らせてやったほうがいいだろう」

 

「はい・・・」

 

 早苗は思う。これからどうなるか分からない、それは確かだろう。彼らは迷い込んできたわけではなく、こちらに招かれた存在だ。おそらくただでは帰れない。そんな気がする。だが彼らを見て早苗は言うしかなかった。

 

「みなさん、明日になったら博麗神社という別の場所に行きましょう。そこは外の世界と幻想郷が繋がる場所です。もしかしたら帰れるかもしれません」

 

 その言葉に忍達は安堵の声を口にした。

 

「本当ですか!これで楓さんと雅ちゃんに会える!」

「おいおい、これから大冒険地獄偏じゃねーのかよ!」

「音速丸さん、残ってていいですよ」

「帰ったら録画してた番組見ないとね」

「ネットできないから禁断症状が出そうだよ、俺」

 

 忍は誰かの名前を嬉しそうに言い、音速丸はサスケと口論を始め、ほかの忍者もそれぞれ何かを話している。その様子に胸の辺りが痛む気がする。

 

 ―――――――嘘をついてしまいました―――――――

 

 

 そして翌朝、早苗と忍達は博麗神社へと向かうため山を降りた。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 早苗と忍者学園一行が守矢神社から旅立った頃、

 妖怪の山の裏、三途の川に小船が一艘。乗るのは死神と異界の探偵。

 

 次回、『蘇えるS/地獄への行き方』

 




 これで三話は終了になります。しかし、また古賀先生の作品がアニメ化されたりしませんかね…ゲノムとかゲノムとか。
そんなこんなで次回より仮面の探偵篇に移ります。
では次回
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