「ガッ!」
彼が感じたのは痛みだった、全身を抓られながら引きちぎられるそんな感じの痛みを、激痛のあまり目尻に涙が溜まる。
「うぐ………ウガァァ」
彼は目を見開いた、周りには生理的に不快感を催す蟲達が自分の肌を食い破るのが見えた、皮が捲れて赤い肉と血が見える。
「ーーーーー」
彼は思った、自分は平穏な日常を送っていた一般人の筈だ、何も悪さもせずにかといっても良い事をし続けたわけでも無い。
なのに、この仕打ちは何なのだろうか、肉は食い破られ、体の中を這い回って不快感を与え続ける、彼はこれが異常と捉えた。
「ーーゴボッ!」
口から血の塊が吐き出される、蟲達にかかると喜んだ様に見えた。
それが堪らなく不快で彼はこう思った
ーー破壊するーー
すると周りに変化が訪れた、蟲達が苦しみ始め、そして
パァン!パァン!
蟲達は破裂した、次々と苦しんだと思った瞬間、音を立ててその生命を終わらせていた。
「……こ………壊してやる」
ーー俺の平穏を取り戻すためにーー
ーーー
ピキピキ…パリンッ!
「お、お客様…だ、大丈夫でしょうか!?」
時計塔のとある喫茶店でコーヒーの入ったカップを粉々にした男に声を震わせながら店員は話しかけた、原因は男の容姿に問題がある
「すまないが、布巾を貸してくれないか?それと伝票にはコーヒーの代金と弁償費を書いておいてほしい」
男がそう言うと、店員はてんやわんやしながら布巾と伝票を置いてその場を後にする。
「………で?雁夜………蟲ジジイは養子を取ると言っていたのか?」
『ああ、どうやら兄貴が間桐の魔術を捨てた事と俺が出奔した事で養子を取る事にしたらしい』
男は木の板を耳に当てて男を会話していた、どうやら木の板に呪印が彫られており携帯電話の様な役割をしている様だ、通話先の相手が男の事を兄貴と呼んでいるという事は弟か弟分という事になる。
「ふむ、何処の誰を取るんだ?蟲ジジイの事だ、普通の事ではあるまい」
『………遠坂家の次女…桜ちゃんだ』
ガタッ!バキッ!ペキパキ…と椅子が倒れ砕け散る音とテーブルに亀裂が走り軋む音と共に男は立ち上がった、周りにいた時計塔の学生達は驚きと恐怖で周りから離れて行く。
「…それは本当かね?」
『ああ、兄貴が昔渡したお守りを持って行ったから、まだ大丈夫かもしれないが時間が無い………俺だけでもどうする事も出来ないから、助けてほしい』
「わかった、直ぐに休暇を取ってそちらへ向かう……二日後、空港に迎えに来い」
『わかった、車で迎えに来るよ』
男は木の板を着ているボロボロのコートのポケットに入れると店員にカップと椅子そしてテーブルの弁償を済ませてその場を後にした。
「ついに始まるのか………」
男は空に見上げた、その顔にはルーン文字のみならず呪詛の様なものが彫られていた
ー男の名は間桐鶴野、時計塔の呪詛科の講師、冠位は
付いた異名は
ーー魔術の獣ーー
どうも、ダラク・ニンジャです。
見ていただきありがとうございます。
誤字脱字があったら教えて下さい、よろしくお願いします。