ギルガメッシュとネブカドネザルの戦いとマスター同士の戦いの二日後、教会から一つの連絡が入った。
「キャスター討伐?」
どうやら、キャスターのマスターは色々とやらかしているらしい雁夜は溜息を吐きながら椅子の背もたれに寄りかかった。
「おじさんどうしたの?」
「何でもないよ、桜ちゃん」
目の前でお子様ランチを食べる桜に笑顔を向けながら、雁夜は意識下で情報を纏めていく。
(まず、キャスターのマスターは世間を賑わせている殺人鬼)
雁夜はメモ用紙を取り出して《殺人鬼》と書く。
(そして、魔術の心得を持っていない……回路を持つだけの一般人)
次に《一般人?》と書き、そして次にサーヴァントについてまとめる事にした。
(サーヴァントはキャスター、殺人鬼に協力するぐらいだ…性格は歪んでいるんだろう)
メモ用紙を一枚捲り、新しい用紙に《ひねくれ野郎》と書きこむ。
(被害者は未成年…それもまだ幼子ばかり)
ひねくれ野郎の次には《ロリショタ野郎》と書き込まれた。
(もしかしたら、正規なキャスターじゃないかもしれない)
《ロリショタ野郎》と後には《魔術師じゃない可能性大!》と書き込んだ。
「おじさん、食べ終えたよ」
「そうか、桜ちゃんは次に何処に行きたい?」
雁夜は桜と話す為に懐にメモ用紙を雑に入れて、顔をそちらへ向ける。
「ううん…おじさん達、今《せいはいせんそう》っていうのをしてるんだよね?」
「うん、そうだよ」
聖杯戦争の事は兄貴が既に桜に伝えていた、人間に余計な事をする器を破壊する戦いと随分歪んだ言い方だったが。
「帰って来れるの?」
「………」
俺は口を噤んでしまった、聖杯戦争は文字通り、戦争であり儀式でも何でもない、あるのは《生と死》のみの戦い、そんな戦いから戻って来れるか、それは不明だ。
何事にも突然は決まっているわけじゃない、上から鉄骨が降るかもしれない、地割れを起こして挟まれるかもしれない、殺人鬼に捕まり内臓引きずり出されるかもしれない、何があるか分からないのだ。
「おじさん達が死んだりしたらーーー」
「桜ちゃん、ストップ」
しかし、雁夜は断言する目の前の親友の娘を遺して死ぬ事があってたまるか、死んだとしても地獄の釜を開いてでも戻ってやる、彼の心にそう誓っている。
「桜ちゃん、俺も兄貴も強いんだ…死にやしないさ、逆に桜ちゃん残して死んだりしたら、地獄で舌を引っこ抜かれてしまうよ」
雁夜は笑みを浮かべて、桜の頭を撫でた、桜の強張っていた表情は氷の様に溶けていつもの笑顔に変わった。
「よし!飯も食った事だし!桜ちゃん!新都に行こう!」
「うん!」
雁夜は笑顔を見ながら思った。
(時臣…一発だけ殴らせてくれよ?)
自身の親友に無茶なお願いをしながらその場を後にした。
その頃、空では
ーーー
「子供を狙うなど…愚者がやる事、ビャクヤ…やる事はわかるな」
「お前なら言うと思っていたからな、今は捜索中だ」
空に浮かぶ庭園に二人の男がいた。