セイバーは駆けていた、闇が立ち込める暗く深い森を疾風の様に早く駆け抜け、倒すべき敵キャスターの元へ向け走り続ける、空に浮かぶ月はセイバーの白銀の鎧と頬を伝う汗を照らしていた。
「セイバー、キャスターを倒して」
アイリスフィールの命令を受けてセイバーは直ぐに行動に移した、あの外道、キャスターを討ち滅ぼすべく屠殺場になろうとする場所へ向かった。
教会から来たキャスターの討伐が出たと言うのに、直ぐに行動をしたのだ、キャスターは6騎の中でも最弱、何処かに拠点を築いて引きこもる方が得策だ。
それにアインツベルンの索敵術式と切嗣の監視設備及びトラップを全て突破したというのか、外道で有っても余程戦いに精通した人物とセイバーは読み、まだ若い命である子供らを助ける為に。
「1人、1人だけでも良いーー生き残っていてくれーー」
セイバーとて、子どもの死体を見たことがないわけではない。戦場ではいつも弱者が先に死ぬ、彼女が騎士として剣を振るった戦場では、いつも小さな骸が横たわっていた。戦場では、人はいつでも醜い外道に堕ちてしまう。
だからこそ、『証明』がいるのだ。例えどんな逆境においても、人間は貴く、凛々しく、尊厳を持って立っていられるのだということを身を持って示す見本。簡単に地獄に変わる戦場において、弱き者を背に護る勇猛なその後ろ姿で人々に人間としての矜持を思い出させる勇者。
それが『騎士』だ。戦場の華であり、指針であり、手本であり、餓鬼道に堕ちる者の手を掴む最後の希望なのだ。
(それが騎士としての義務、その中の王の私が請け負った義務なのだから)
キャスターへの怒りと警戒、それと共に騎士としての義務に背を押されてセイバーは疾風になる。
持ち前の豊富な魔力をジェット噴射のように背から噴出し、立ちはだかる木々を紙一重でかわして突き進む。人の尊厳を守るために。騎士の誇りを護るために。
血臭がひときわ濃くなる。何度嗅いでも不快な、戦場の臭い。チリチリと肌を刺す殺気が、戦いの場が近いことを知らせる。そして鼓膜に滑りこんでくる、年端もいかぬ子どもたちの、切羽詰まった甲高い悲鳴。
「ッ!ーー邪魔だァァァァァ!」
ついに焦燥に駆られて、周りの木々をセイバーは吹き飛ばした。
「降れよ!天の光!
「ギャアアアア!おのれェェ!」
吹き飛ばして屠殺場となった場所を見ると、そこには子供らの骸が一つも無く、キャスターの召喚したであろう怪物らが焼き切れて辺りを転がり、天から降ってきた光によって本を持たない腕を飛ばされたキャスターから子供らを引き剥がして自身の後ろにやり、守りながら戦う勇者の姿がーー
「ほう、セイバー…到着が遅かった様だな」
訂正、そこには勇者では無く、魔王がニヤリと笑い立っていた。
説明
名前 天を穿つ多重の塔(エ・テメン・アン・キ)
説明
宝具では無く、黄金の空中庭園に備えられた防衛設備
見た目は塔だが、ビームを発射する
因みに、黄金の空中庭園には様々な防衛設備がある