DXオーズドライバーSDX   作:トライアルドーパント

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平成仮面ライダー第二期は、パートナーとの掛け合いが魅力だと思う。


第2話 W-B-X ~W-Boiled-Extreme~

ミレニアムのショッカー化に末恐ろしいものを感じながら、少佐に所謂怪人を作っているのか聞いてみた。

 

少佐の答えは、危険性を考えてガイアメモリはドライバーを介する純正品を作っていると言っていた。

ドーパントが使用するガイアメモリの毒素による精神汚染の話を聞いて、使えば使うほど精神が汚染されて使用者が暴走する武器など、組織の内部崩壊を招きかねない為に使えないとも言っていた。

 

これ以上の回答は得られず、疑ってもきりがないので、少佐を信じることにした。もしも、少佐が嘘をついているとしても、その原因が自分にある以上、自分の迂闊さを呪う他ない。

 

そんなショッカー化が進むミレニアムに身を置いて早2年が過ぎた頃。

遂にロストドライバーと試作のT1ガイアメモリが何本か完成したとの知らせを受けて、早速試すことになった。

 試験する部屋では少佐と大尉。それにドクとシュラウドを含めた科学者連中が居た。

 

「確かにロストドライバーですね。使用するガイアメモリはジョーカーメモリですか?」

 

「いや、コレを使ってもらう」

 

少佐が取り出したのは、風都を地獄に変えようとした仮面ライダーが使ったガイアメモリ。

 

エターナルメモリだった。

 

「君の話を聞いて、丁度『仮面ライダーエターナル』の参考になりそうなISがある事に気がついてね。

それらを模倣し発展させる形で作ってみたんだ。」

 

「それで出来たと。試作の仮面ライダー0号がエターナルですか」

 

「ああ、いずれは無限に加えるべき『永遠の0』だ」

 

その映画に関しては一言も話してないはずだが……。

何はともあれ、初の変身だ。

迷う事無くロストドライバーを腰につける。

 

「言い忘れたが、コレは所謂人体実験だ。

もちろん、失敗した場合最悪死ぬことも想定される。それでもやるかね?」

 

少佐の言葉を聞いて、『仮面ライダー鎧武』のメロンニーサンを思い出す。仮面ライダー斬月も確か白いアーマードライダーで0号だった。そして実験の失敗で受けた背中の傷をシャワーシーンで視聴者に見せてくれた。誰得だと思ったけど。

 

初めての変身とは、実験台になる事とイコールだからそれは当然のリスクだと思うが、そう言われるとちょっと気後れしてしまう。

ココは一つ、本家エターナルの大道克己に倣って変身してゲンを担ぐとしようか。

 

「無茶言うなよ……これ以上死ねるか……俺は不死身だ! 俺が生きた証をこの世に刻みつけるその日まで……『永遠』に!」

 

『ETERNAL!』

 

特にメモリが青く輝く様子も無いが、スイッチを押してエターナルメモリを起動。

ロストドライバーのメモリスロットに装填する。

 

「変身!」

 

『ETERNAL!』

 

エターナルメモリが装填されたメモリスロットを払いのける様に傾ける。

全身が白いパワードスーツに覆われ、頭に様々な情報が流れ込んでくる。

更に、身体の底から力が湧き起こるような感覚が襲う。

何でも出来そうなこの感覚は、仮面ライダーだから感じるものなのだろうか。

 

「ほう。見事に成功だ。どうだい気分は?」

 

「中々の着心地です」

 

どこぞの素晴らしきオムライスの会名誉会長の様な感想だが、実際エターナルに変身して、白いパワードスーツを装着しても、特に身体に違和感や圧迫感と言った不快なものは無い。痛みも勿論無い。

動きが害されること無く変身前と同じように自由に体が動く。

見た目が本家エターナルよりも全体的にちょっとゴツイと言うか、G3やアイアンマンみたいな機械的な感じがする。

しかし、これはこれでカッコイイじゃないか。

 

ただ、手に赤い炎のラインが入っている。

エターナルローブもメモリスロットの着いたコンバットベルトも無い。

仮面ライダーエターナルレッドフレアだった。

 

「問題無いようですが、想定していたよりもパワーが低いですね。

試作品のT1だからですかな?」

 

「ふむ……どれ、ちょっと私にも変身させてくれないか?」

 

「はい」

 

ブルーフレアでないのはちょっと残念だが、無事に仮面ライダーに変身できたのはとても嬉しい。

それにエターナルは元々レッドフレアが基本形態らしいし、初めてならこれで上出来だろうと思う。

しかし、今の俺は加頭と同レベルなのか。

 

今後の課題を考えながら変身を解除し、ディスプレイのデータをドクと見ていた少佐にロストドライバーとエターナルメモリを渡す。

 誰も変身を止めないことを考えると少佐が変身する事は決定していた模様。

 俺で不具合を確認したかったのだろうか。

 

「では、私も一つ君に倣ってみるか。

……無茶を言うな……まだ死ねるわけがないだろう……私が、我々が、この世界で諦めずに生きてきた証を、この世界に刻みつけるその日まで……『永遠』に!」

 

『ETERNAL!』

 

「変身!」

 

『ETERNAL!』

 

少佐が同じような台詞で、全く同じモーションで変身する。無駄にカッコイイな少佐。

すると今度はレッドフレアになったと思ったら、ドライバーから青い電流が走り、全身から青い炎のエフェクトが発生し、エターナルローブとメモリスロット付きコンバットベルトが全身に出現。更に両腕も青い炎のラインになっている。

 

しかし、少佐の体型が影響しているのか、俺と違ってメタボリックな外見だ。特にパワードスーツの腹の辺りがミチミチと悲鳴を上げているような気がするのは気のせいか?

 

「おお! 想定以上の数値ですよ少佐殿!」

 

「ふむ。どうやら私の方がこのガイアメモリの力を引き出せるようだね」

 

「……そっすね」

 

ディスプレイのデータを見てドクも、エターナルとなった少佐も満足げだ。

でも違うんです。それはブルーフレアじゃない、デブルーフレアだ。

もしくは仮面ライダーエターナルメタボリックエクストリーム。

うん。長いな。

 

「物は試しだ。一つISと戦ってみよう」

 

「え? ここにはIS使える奴いないんじゃないですか?」

 

「いや、全員が使えないわけじゃない。適正が低いだけでそれなりにISを使える人間も何人か在籍している。実験台としてね」

 

意気揚々とエターナルローブを翻して歩いて行く少佐の後ろをついて行く俺。

なんだか、私……ショックです。

 

「しかし、少佐は大丈夫なんですかね?」

 

「……まあ、見れば分かる」

 

 

●●●

 

 

訓練場では戦闘開始から既に10分が経過している。

少佐が変身するエターナルも、対戦相手のラファール・リヴァイヴも健在。

お互いに無傷である。何故なら……。

 

「駄目だ、ドク。当たらん」

 

「相変わらず射撃も直接攻撃も下手過ぎます」

 

「つーか、どうすればあんな至近距離で外すんですか」

 

相手のラファールの攻撃は全てエターナルに当たっているが、エターナルローブにより攻撃は全て無力化されている。

一方、エターナルの攻撃はラファールに全く当たらない。一発も一撃も当たらない。

どうやったら外すんだと思わずにはいられないほど攻撃がド下手だ。

 

防御能力こそ本家エターナル以上にずば抜けている気がするが、こんなに攻撃能力の低いエターナルなんて見たこと無い。

また、このエターナルはエターナルエッジの他にトリガーマグナム等も装備に入っている。試作のT1ガイアメモリも何個か使える。

しかし、どう考えても必中するはずの『トリガーフルバースト』を全弾外すと言う、W本編でもまず見た事が無い光景を見た。

 

結局、少佐はこれ以上戦う事が出来なかった。

理由は単純に息切れと体力の消耗が激しい事。運動なんて禄にしてないのに全力で、しかもかなりノリノリで必殺技を一通り使って戦った事が原因だ。

しかし、外しはしたものの、「とーう!」の掛け声と共に飛び上がり、エターナルローブを翻して華麗にライダーキックを放つエターナルの勇姿は一見の価値があった。

デブな所為でなんとなく少林サッカーを見ている気分になったけど。

 

模擬戦の終了後に反省会が行われたが、少佐曰く『全てかわされた』、俺曰く『全て外した』と意見が分かれた。

それでも少佐は今後も絶対にダイエットはしないらしい。

 

 

●●●

 

 

仮面ライダーエターナルの起動及び模擬戦から数日後、ロストドライバーとエターナルメモリを少佐から改めて渡された。

 

「やはりここは君に頑張ってもらうしかないようだ。

今後はこのエターナルとガイアメモリのデータを取るぞ」

 

「了解です。少佐」

 

そして、俺がエターナル及び、試作型ガイアメモリのテストパイロットになった。

武装がそれなりにあるお蔭で、レッドフレア状態でもそこそこ戦える。

どうにかしてブルーフレアまで行きたい所だ。

 

 

●●●

 

 

エターナルに変身してから、それなりの月日が経って、新しい実験をするとの事で研究所に呼ばれた。

 

「君が言うには、『オーズ』はその特性上、コアメダルの組み合わせ次第で、あらゆる敵とあらゆる状況に対応できる。

しかし、それ故に常に高い状況判断能力が使用者に求められ、その判断が遅れると大きな隙になってしまうと言う弱点がある……と言っていたね」

 

「はい。実際サポート役がいない時はそんな感じだったかと」

 

「そして、それぞれのコアメダルの特性を把握し、冷静に状況や敵の分析し、瞬時にコアメダルの組み合わせを判断出来るサポート役がいる方が、一人で戦うよりも望ましい。そうだね?」

 

「その通りです。もっと言えばサポート役がノーコンだとキツイですね」

 

つまり何が言いたいかと言うと、オーズのサポート要員を作ろうと言う話なり、グリードを作り出そうという事になったらしい。

そう言えば『もしも仲間にするならどのグリードがいいか』と前に少佐に聞かれたが、俺はアンクを選んだ。

正直、ゆかなボイスのメズールも悪くはないと思ったが、やっぱり相棒ならアンクだ。

 

「ケチで、がめつくて、計算高くて、毒舌家で、ツンデレで、アイスが好きで、リアリストに見えて実はロマンチストな、三浦涼介ボイスだと良いのですが」

 

「その為にこれも作る羽目になって実験が遅れたのだがね」

 

少佐が手にしているのはメモリーメモリ。

正直『記憶の記憶って何ぞ?』って感じだが、このメモリの力を使えば、俺の記憶からそれらの情報を読み取って再現する事が出来るとか。

 

「つまり、三浦涼介ボイスは大丈夫って事ですよね?」

 

「君はどうも声に拘る傾向があるな……ぶっちゃけ、そのゆかなボイスのメズールだったかな? それだったらもっと早く出来たのだよ。

君の言うゆかなボイスの少女が一人確認されている。それもかなり早い段階でね」

 

「なんと!」

 

この世界にゆかなボイスの少女がいるとは実に興味深い。ゾクゾクするねぇ……。

 

「まあ、いずれは会えるだろう。ともかく実験開始だ」

 

少佐の視線の先にはタカコアメダルとセルメダルの山。

このタカコアメダルはISコアの深層にある、ISの意識を移植して、人格を書き換えたものだとの事。

つまり、ISコア時代の記憶は継承されるが、人格はアンクと言う事らしい。

 

「……? ちょっと待って下さい。それはつまりこう言う事ですか?

ISコアを材料にしてアンクのタカコアメダルを作った?」

 

「その通りだ。しかし前もって言っておくが、君の言うグリードとは違う。言っては悪いが『よく似たレプリカ』でしかない。

それ故に、君の知るアンクとは、グリードとは違う存在になるだろう。断言する」

 

アンクによく似たレプリカ……か。

ちょっと複雑だが、ヤミーの精製能力は要らないから都合がいいかも知れないな。

そうこうしている内にタカコアを中心にセルメダルが形作られていく。

そして現れたのは、おなじみの赤いカセットアーム……もとい右腕ではなく、綺麗な羽根を持った赤い鷹と言った感じの鳥だ。

頭の黄色い部分がアンクっぽい。

 

「……なんだ? なんなんだこの体は?」

 

「ハッピバァァァスディッッ!! アンクゥゥッッ!!」

 

800年前の王と同じ様な台詞をハイテンションで言ってみたが、少佐やドク等の科学者連中からの『何言ってんだコイツ』みたいな視線が痛い。

当のアンクからは返事が返ってこないが、アンクの態度からは苛立ちや怒りは感じられない。

むしろ、驚きや戸惑いを感じているように思える。

 

「誰だ? 何者だお前等は?」

 

「俺はゴクロー・シュレディンガーだ。アンク、鳥の王だった記憶はあるか?」

 

「? 確かに俺の名前はアンクだが、鳥の王とは何の話だ?」

 

「それじゃ、この世界は色あせて見えるか?」

 

「いや、視界はクリアだが」

 

話を聞くとアンクは別に鳥の王って訳でもないし、世界が色あせて見えているわけでも無い。マジでグリードとは違う存在みたいだ。

 

「満たされた夢から叩き起こして機嫌が悪いと思っていたのだが……」

 

「満たされた夢だと? 俺は絶対に醒めない無限に続く悪夢から解放されたような気分なんだが」

 

「? ちょっと説明してくれるか?」

 

アンクが語ったのはタカコアメダルに移植されたISコアの記憶。

もしくは、アンクがISコアだった頃とでも言える過去の話。

 

ISコアの深層に在る独自の意識は、操縦者と意思疎通する事ができ、本来は互いに意思疎通を行う事によって、互いを理解し能力を高めあい、それがISの進化と言う形で現れるのだと言う。

 

しかし、実際は幾らISコアの側から操縦者に話しかけても、操縦者の誰にもISコアの声は届かない。

それどころか、搭乗時間の長さにより搭乗者をISコアが勝手に理解し、進化していくと言う、都合のいいように認識されている。

 

それは違う。それは本来のISの進化とは程遠いもの。

搭乗時間の経過に伴い、搭乗者に合わせて進化するのは、搭乗者の力になる事で自分の存在を相手に知らせる手段であり、メッセージなのだと。

 

操縦者の誰もがISの真意に気がつかない。

 

それが当然のものだと誤解している。

 

アンクにとって意思の疎通が出来る、自由に行動できる身体を得た今こそが、今まで満たされる事のなかった欲望が満たされた夢の様な時間なのだと。作られて初めて満足しているのだと言った。

 

なんと言うか、本家のグリードと違うような、本家のアンクと同じような……。

 

「清々しい。暗闇の中に一筋の光が差し込むような。実に晴れやかな気分だ」

 

「ふむ。しかし、その身体は不滅と言う訳ではないぞ」

 

「何? どう言う事だ?」

 

少佐が言うには、アンクの肉体が不完全なモノである事は本家グリードと共通であり、肉体を構成するセルメダルは消耗品であるとの事。

故に、定期的にセルメダルを取り込まなければ体を維持することができないらしい。

 

「そして、セルメダルは我々以外では作り出せない。

つまり、君が自分の欲望を満たすためには我々に協力しなければならない。

協力しなければ、君の言う『絶対に醒めない無限に続く悪夢』に再び囚われる事になると言う訳だ」

 

「……仕方ないか」

 

「まあ、とにかくこれから宜しくな、アンク」

 

「……ふん。精々、失望させてくれるなよ」

 

それにしてもどうやってこのセルメダルを作ったのだろうか。

本家の鴻上ファウンデーションも、どうやってオーズやグリードが復活するまでにセルメダルを作っていたのだろう。

気になるが、あまり聞かないほうが良いような気がするのは気のせいだろうか。

 

 

●●●

 

 

アンクが生まれてからも色々な事があった。

 

バイクモードのライドベンダーを使って、バイクの運転をシュラウドから教わったり、カンドロイドやメモリガジェットを作ってみたりした。

フロッグポッドはゲロゲーロゲロゲーロ言いながら作った。

 

無理言って『ミュージック』のガイアメモリを作ってもらい、仮面ライダーオーズの処刑用BGM『Time judged all』を少佐とアンクの三人で一緒に歌い狂った。

坂本真綾ボイスの中尉に『プラチナ』とかアニソンを一通り歌ってもらった事も有った。

 

IS学園のIS高速機動バトルレース『キャノンボール・ファスト』襲撃を中止して、無敵の敗残兵と最古参の新兵の皆さんと一緒に、『らきすたOP』と『ハルヒダンス』と『アルゴリズム体操』を周りの苦笑いをものともせずに72時間ぶっ続けで踊り続けたこともあった。

 

何か何処か可笑しい気がするが、実に充実した毎日を送っていた。

 

遂に完成した『仮面ライダーオーズ』の起動実験を明日に控えた、あの夜が来るまでは。

 

 

●●●

 

 

アジトにサイレンがコレでもかと言わんばかりにやかましく鳴り響く。

いや、それだけではない。明らかに何かを粉砕・デストロイしている破壊音がする。

 

「うるさいなぁ。静かにしろ。出し物の佳境くらい静かに鑑賞したまえよ。

アジトが壊滅しそうだからって初めての処女の様に泣き喚くなんて滑稽以外の何物でもないぞ」

 

少佐は何故かハンバーガーとコーヒー牛乳をもぐもぐと食べている。

むしろ何でそんなに落ち着いているのか。アンタの演説を聞く前からアジトが襲撃受けているこの状況はかなりヘビーだと思うのですが?

まさか、1944年のワルシャワなんですか、ここは?

 

「落ち着けシュレディンガー准尉。君はアンクと共にここを脱出すればいい。武装して戦っても私は一向に構わないが、オススメはしないな」

 

「いや、皆が戦う中で俺だけ戦わずに逃げてどうするんですか」

 

ヨボヨボのジョンブルじいちゃんでさえ、いきなり若くなって敵陣に突撃したのに。

何で俺はここで待機なのか全く理解できないのですが?

 

「次の戦争の為に、次の次の戦争の為に」

 

「すみません。それ質問の答えになってない気がするんですが」

 

「私に質問をするな。それもこれも私の小さな掌の上なのだから」

 

ドヤ顔でノンストップ刑事の台詞をのたまう少佐。

でも、それを実際に言われる側からすれば納得できないと思いませんか?

 

「いいからとっとと逃げたまえ。大尉」

 

「へ?」

 

大尉に首根っこをつかまれて、部屋の隅にある転送装置に放り投げられる。

 

「久しぶりね少佐」

 

「これはこれはスコール君。再び会えて歓喜の極みだよ」

 

ガイアタワーに転送されるフィリップの様に俺が別の場所に転送される直前で、扉が破壊され侵入してきたISを纏った女達に向かって、大尉が飛び掛ったのが見えた。

 

転送された先では、専用のケースに入ったアンクが右腕の状態で機械に繋がれていた。

明日の起動実験に向けて、アンクのデータ取りが今日行なわれていたのだ。

 

しかし、この姿は『ターミネーター2』のサイバーダイン社が保管していた、最初のターミネーターの片腕を髣髴とさせる。

そこで、迷わずにジョン・コナー方式で、アンクの入ったケースを床に落して叩き割った。アンクは飛び起きた。

 

「痛ってぇな! 何しやがる!」

 

「簡単に言うとピンチだ! 敵が攻め込んできた!」

 

直後、この部屋のすぐに近くの扉から大きな破壊音が聞こえてきた。

扉の向こう側に誰かがいて此方に来ようとしている。少なくとも、クレイドールドーパントではなさそうだ。

 

「なるほど、これはヤバそうだな。こっちだ、早くしろ!」

 

アンクに連れられて向かった先には、超巨大な装甲車。

リボルギャリーに少し似ているが、明らかに13mどころか20mはあるデカブツだ。

 文字通りの怪物マシンの中にアンクが入っていくのでそのままついて行く。

 中はリボルギャリーとG3トレーラーが混ざったような感じだった。

 

「ここに必要なものは全て揃っている。まずはドライバーのオーナーを認証するぞ。動くなよ」

 

「なんでこの怪物マシンの中に必要なものが全部揃ってるんだ?」

 

「明日の起動実験でコイツ等も試す予定だったからな。ここにはコアメダルやガイアメモリのメンテナンスの為の機器も搭載されている。

あと、このマシンの名前は『デウス・エクス・マキナ号』だ」

 

それはもしかして、ここに来たときのメールと、映画『マトリックス』の話をしたからその名前になったのだろうか。

俺の質問にちゃんと答えてくれるアンクが俺の腰に封印の石……もとい、オーズドライバーを装着させた。腰に当てた事で一瞬だけ光り、腰にベルトが巻かれる。

 

「これが完成した『オーズドライバー』か」

 

「違う。それは『DXオーズドライバーSDX【デラックス・オーズドライバー・スーパーデラックス】』だ」

 

「なんだその頭の悪そうなネーミングは!?」

 

「そんなの俺が知るか! それより早く準備しろ! ここで二人とも死ぬぞ!」

 

何がどうデラックスでスーパーデラックスなのか非常に気になる。

しかし、その理由を直ぐに知る事になる。何故なら……

 

「……なんでこのオーズドライバーにオーメダルネストが無いんだ? そして何で代わりにメモリスロットがあるんだ?」

 

オーメダルネストがある筈の部分に、何故かマキシマムドライブ発動用のマキシマムスロットより若干凝った作りの銀色のメモリスロットが一つだけある。

 

「コアメダルとセルメダルの管理は俺がドライバーと一体化してやる。不要になったオーメダルネストを外して新しく取り付けた」

 

なるほど。確かに、原作でもアンクがコアメダルを管理している所為でイマイチ存在感が無かった。

その上、映司君はアンクがいなくなってもコアメダルはメダルケースに保管していた。

一応、『メダルを封印して安全に運ぶ』とか、『ドライバーの影響下を離れ、メダル間の共振を防ぐ』とか言う設定はあった筈なのだが、活用されているところを見た試しが無い気がする。

 

「……何で『チェンジング・アーマー・システム(CAS)』があるんだ?」

 

これは確か、エターナルに後付していたパッケージでは無かったか?

 

「オーズの飛行兼武装ユニットだ。タジャドルコンボ以外で空が飛べないのは致命的な問題なんでな」

 

基本的にISは飛行能力を持っているが、仮面ライダーは飛行能力を持たない。

そこで通常状態でも空を飛べるように作られたものだ。

それはそれでありがたいのだが……。

 

「それもう、『オーズ』じゃなくね?」

 

「そもそもの原因は『超銀河王』だの、『仮面ライダーコア』だの、『ZOIDS』だのと、元ネタを提供したお前だ!

それであのデブが面白がって注文したんだよ! その結果がコレだ! 全部お前の所為だ!」

 

ああそうですか。みんな俺の所為ですか。

俺の話を少佐が面白がるもんだから色々と話した。

 

他にも色々言ったっけなぁ……。

 

『自立した意思に自己進化能力にブラックボックス? ISコアって「オーガノイドシステム」でも搭載しているんですか? むしろアルティメットX?』

 

『「仮面ライダーW」のリボルギャリーのバイクの換装システム。アレって「ゾイド新世紀/0」のCASに似てる気がする』

 

『蠍型ゾイドのゾイドコアを二つ融合させて作った「デススティンガー」ってゾイドのゾイドコアは確か約6000℃で太陽並みの温度を持っているんです』

 

『「仮面ライダーオーズ」のライダーマシンで「トライドベンダー」ってのがあるんですよ。ライオンコアが元なのにトラカンって、ライガーって言った方が良いですかね?』

 

……考えれば考えるほど余計な事をベラベラベラベラと言った気がする。

 

『私の趣味だ。いいだろ?』

 

ああ、少佐のどや顔が目に浮かぶ。

俺は普通のオーズドライバーで良かったのに。DXもSDXも要らなかったのに。

これもそれも全て少佐って奴の仕業なんだ。原因は俺だけど。

 

若干の現実逃避していた俺の視界に入ったのは見覚えがありすぎるモノ。

なんで、ロストドライバーとエターナルメモリがここにあるんだ?

 

「アンク。少佐はドライバーを持ってないのか?」

 

「ん? ああ、あのデブはドライバーを持ってない」

 

「理由は何だ? メモリかドライバーの不調か?」

 

「メンテだ」

 

つまり少佐は今、防御手段を持っていないと言う事になる。

 

「急げアンク! 少佐が危ない!」

 

「うるせぇ! 今メダルとメモリの登録中だ! 急いでるから少し静かにしてろ!」

 

「最低限の装備でいい! 今はとにかく急げ!」

 

まさか持っていないとは思っていなかった。ドライバーを持っているからこその余裕だと思っていた。

正直、攻撃能力は無くともエターナルに変身できれば最低でも身は守れる。

文字通り、あらゆる攻撃を無効化する防御力∞なのだから。

 

コアメダルの中から、鳥系・昆虫系・猫系のコアメダルを9枚。

ガイアメモリの中からジョーカー・メタル・トリガー・サイクロン・ルナ・ヒートの6本。

最後にCASの中から「Type-ZERO」だけを選んで登録。

 

「これでいい。使い方は分かるな?

初めはお前がメダルを入れろ。ああ、確かこう言うんだっけか?」

 

「メダルを3枚ココに嵌めろ。力が手に入る」

 

そう言ったアンクから、タカコアメダル、トラコアメダル、バッタコアメダルの三枚を手渡される。

 

「それじゃ、俺はお前にこう言わせて貰う」

 

「あん?」

 

「アンク。お前、悪魔と地獄まで相乗りする勇気はあるか?」

 

俺は『仮面ライダーW』でフィリップが翔太郎に始めてWへ変身する時に言った台詞を、これから共に戦う相棒となるアンクに対して言った。

 

「はッ! 悪魔と地獄まで……か。いいだろう。最後まで付き合ってやる!」

 

アンクが腰に巻かれたドライバーに吸い込まれていった。

それと同時に、何か欠けていた物がしっかりと嵌ったような感覚がある。

ジョーカーメモリをメモリスロットに装填し、オーカテドラルにタカコアとバッタコアを同時に、そしてトラコアを装填してドライバーを傾けた。

赤・黄・緑の三色のメダルが発光している。コンボが成立している証だ。

ベルトの右側に備えられたオースキャナーを手にし、コアメダルをスキャンして叫ぶ。

 

「……変身!」

 

『タカ! トラ! バッタ! タ・ト・バ! タトバ! タットッバ!』




キャラクタァア~紹介

アンク
 ISでもグリードでもないナニカ。小説版とは違い、満たされた夢から満たされない現実へ引きずり込まれたのではなく、満たされない夢から満たされた現実へやってきた。美しい世界を感じ、意思疎通できる今のセルメダルの身体を保つ為に協力。
 基本的に美しい羽根を持つ赤い鷹。顔の右側にはトレードマークのクルクル金髪。必要に応じて右腕になる。核はタカコアメダル。
 ちなみに、オーズドライバーにガイアメモリとCASを組み込んだ原因の一つはコイツ。理由はより強い体を手に入れ、世界を感じる体を維持するため。でも、あまり変わらなかったみたい。

仮面ライダーエターナルデブルーフレア
 またの名を、『仮面ライダーエターナルメタボリックエクストリーム』。要するにデブのエターナル。
 ありとあらゆるあらゆる攻撃を無効化するが、少佐の格闘能力と射撃能力があまりにも低い事が原因で相手に有効打を与える事が出来ず、中々勝負が着かない。
 防御能力だけは本家エターナル以上のスペックを持つ。ゴクローが冗談で言ったら作られていたゴジラ映画の兵器である「オキシジェン・デストロイヤー」も、「ディメンション・タイド」も、「アブソリュート・ゼロ」も効かない。決定的な弱点は一食抜くと餓死する事。
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