DXオーズドライバーSDX   作:トライアルドーパント

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今回のお話は、話数の都合で切り離したこともあり、完全に少佐と5963の夢のお話となります。最終的に約10000字もかかってしまったのです。ナンテコッタ。


第27話 メダルと記憶と全部のせ

久し振りに会った少佐は“燃える闘魂”って感じの赤いパーカーを着て、熱く激しく絶叫していた。

 

「みなさんお待ちかねーーー! 第38回『ぼっくんが考えたサーヴァントが一番強いぞ聖杯戦争』大会ぃいいいいいいいいいいいッッ!!」

 

「……前と違うパーカーですね?」

 

「何をしているんだシュレディンガー! 聖杯戦争はとっくに始まっているんだぞ!」

 

「もたもたしてると、あの『黄金聖闘士【ゴールドセイント】』みたいな人にボコられんぞテメー!」

 

そう言われながらドクから手渡されたのは、青色と黒を基調とした半袖のパーカーだった。何でも『仮面ライダースペクター』とか言う、兄属性を持つシスコンの仮面ライダーらしい。よく分からんが着ておくか。

 

「それでこれは一体……」

 

「私の名前はモンティナ・マックス! ビギンズナイトでアバズレのサイボーグに殺され、生き返るつもりは毛頭無いが、『仮面ライダーゴースト』となって、英雄の『眼魂【アイコン】』を集めている!」

 

「auのアイコン?」

 

人の話を聞くつもりが全く無い少佐が勝手に何か話し始めたが、「auのアイコンを集める」だと? やはり『仮面ライダーゴースト』とは、『仮面ライダー555』の後継的なスマホを使って変身する仮面ライダーと言う事なのだろうか? 何となく『仮面ライダーディケイド』の強化アイテム「ケータッチ」の在庫処分の匂いがしないでもない。

 

「うむっ。『英雄の眼魂』を15個集めると何でも願いが叶うのだ。完全なる死者蘇生さえも可能になる」

 

「たった15個の『auのアイコン』で!?」

 

何となく『ドラゴンボール』っぽい気がするが、何て簡単そうと言うか、滅茶苦茶に緩い制約なんだ。そんな制約ではこの世が地獄に変わってしまう様な気がする。

 

「……何か物凄い勘違いをしているようですので、ちゃんと説明しますわ」

 

そう言ってリップバーンが俺に細かく説明してくれた。なるほど、「au」じゃなくて「英雄」の魂が宿ったアイテムを集めるのか。それに変身前のパーカーが敵を攻撃する点は『カブト』のゼクターっぽいが、「素体の状態から鎧となるものを装着する」点は、『電王』や『鎧武』と同じであると推測出来る。

しかし、グレイトフルとか言うてんこ盛りがあって、その次にムゲンという最終形態があると言う設定は、どこか『ウィザード』をオールドラゴンや、インフィニティースタイルを髣髴とさせる。

 

「ちなみにそれとは無関係だが、ドクが君へのプレゼントに新たな金策を考えてくれたぞ」

 

「金策ですか?」

 

「そうだ! IS世界を廃滅させる為にも、強大な軍団を維持する為にも、先ずは先立つものが必要だ!

そこで! 日曜朝7時から9時までのニチアサキッズタイムを乗っ取り、関連商品を法外な値段で売り捌くのだ! 玩具は勿論の事だが、ムック本を出したり、映画を作ったり、CDを出したり、外伝でVシネマを作ったりするんだ!」

 

力説する少佐に圧倒され、とりあえず候補に上がっていると言う番組に目を通してみたが、どれもこれも酷い内容と言うか、程度の悪いパクリ番組だった。一部を紹介すると……

 

『激闘! クラッシュトライドロンTURBO』

『欲望戦隊ホシガルンジャー』

『ふたりは世紀王』

『地球戦隊メモリー5』

『オカ魔女きょうすい』

『夢の千年王国』

『明日の魔蛇【マージャ】』

 

……まあ、こんな感じだ。

 

ちなみに「仮面ライダーゴースト」のみ乗っ取らないとの事で、ある意味で錚々たる番組構成であると言えよう。

 

「なあに、だいじょうぶだ。大丈夫。ダイジョウブ。絶対に大丈夫だから、危なくなったら同人にすれば大丈夫」

 

同人にしたって、危険極まりないわ。特に『夢の千年王国』ってアンタが主人公じゃないか。内容的に、絶対地上波で流せないぞ? のーみそ、くすぐっちゃうぞ(物理)ってか?

 

「そしてシュレディンガーよ! 君に再びゴイスーなデンジャーが迫っている!」

 

「!! 遂にあのアバズレが動き出すのですか!?」

 

「いや、全然違う。国際IS委員会の馬鹿共が、漸く君が“全てのコンボを使えないのではないか”と疑い始め、今の内に君を倒してしまおうと動き出している」

 

なんだ。漸くあのアバズレをボコボコにする機会が巡ってきたと思ったと言うのに……って、それはそれでヤバイか。

 

「何故今になって“コンボが使えないんじゃないか”って疑い出したんですかね?」

 

「君が対凰鈴音戦で『ガタキリバコンボ』を使い、更に分身に他のコンボを使用させたが、IS大戦では『ガタキリバコンボ』さえも使わなかったからさ」

 

「『ラトラーター』と『ブラカワニ』以外のコンボを使わなかった事では無い……と?」

 

「そうだ。君も知っての通り、戦場において“力”とは、それが“恐怖の対象”である事に越した事はない。どんなに武装した自分達よりも強い力を持つと知れば、誰だって戦う気は失せる。

そう考えれば『ガタキリバコンボ』の能力は実に圧倒的だ。アレを使えば一気に片を付けることが出来たし、50人に増える能力があると知れば戦意喪失だって簡単に狙える。しかし、君はそれをしなかった」

 

「だから“ワザと使わなかった”のではなく、“本当は使えなかった”のでは無いかと疑い、最低でも『ガタキリバコンボ』は“IS大戦以降に使える様になった”のでは無いかと推測された?」

 

「うむ。そして全ての『コンボ形態』を使えないとするのなら、『オーズ』と戦うのは早ければ早い程良い。

そこで国際IS委員会は、ここで鬼札の一枚を切り、篠ノ之束奪還作戦では不発に終わった最大戦力を投下する事を決定したと言う訳だ」

 

アリーシャ・ジョゼスターフか。IS大戦で戦う事は無かったが、あのまま戦闘に突入していたらどうなっていただろうか。下手すれば相討ちに持ち込むのがやっとだったかも知れない。

 

「今の国際IS委員会は、世界中のIS操縦者の中から君を倒すための人材を選出している状態だ。アリーシャ・ジョゼスターフ以外に4人ばかり、選りすぐりのIS操縦者が君の前に立ちはだかるだろう」

 

「つまり、公式戦の相手としてぶつけてくるって事ですよね? 少佐は誰をぶつけてくると思いますか?」

 

「私の予想では、アメリカのイーリス・コーリングと、ナターシャ・ファイルス。ドイツのクラリッサ・ハルフォーフ。イギリスのイライザ・ヒギンズと言った所だな」

 

「その理由は?」

 

「アメリカは対『オーズ』を想定した専用装備の開発に成功し、ナターシャ・ファイルスは先日、専用機『銀の福音【シルバリオ・ゴスペル】』を『二次移行【セカンドシフト】』させている。

イギリスはティアーズ型のBT試作機第二号『サイレント・ゼフィルス』を完成させ、ドイツには例のVTシステム改悪パッケージがある。

とにかくコレが、私の考える最強の布陣だ。それに彼女達はメディアへの露出も多く、認知度がかなり高いからメモリやメダルの奪取なんて事も出来ない」

 

「? メモリやメダルの奪取と言うと、俺から奪うと言う事ですか?」

 

「違う。君が国際IS委員会に売り渡したメモリとメダルの事だ。表向き彼女達はIS学園の外部講師としてやってきた上で、君との公式戦に望む訳だが、対シュラウドを想定したお使いも頼まれているのだよ」

 

つまり、彼女達はメディアへの露出が多いから、選ばれた5人の内の誰かがドサクサに紛れてメモリとメダルを総取り……みたいな事をすれば、ソイツの名声は地に堕ちると言う訳か。

 

「さて、これから君が取れる手段は、大きく分けて二つある」

 

「? 決戦の日までに新たにコンボを獲得する以外に何かあるんですか?」

 

「ある。君は先日『エターナル』の完全なるエクストリームへと至っただろう? 私とは少し違う姿のブルーフレア。名付けるなら『仮面ライダーエターナルブルーフレア レッドティアーズエクストリーム』と言ったところかな?」

 

「……略して『ブルーフレアRX』?」

 

「その通りだ。よく分かったな」

 

何となくそう思ったら当たっていた。ちゅーか、名前が長すぎる。『仮面ライダーW サイクロンジョーカーゴールドエクストリーム』よりも長いぞ。

 

「そして、完全なるエクストリームに至ったと言う事は、エクストリーム理論に基づいて『ガイアインパクト』を起こすことが出来る様になると言う事だ。正直なろうと思えば、君は新世界の神になれる」

 

「旧世界を破壊してうやむやにすると!?」

 

少佐の言う「ガイアインパクト」とは、『仮面ライダーW』における敵組織ミュージアムの最終目的であり、エクストリームに至って激太りした上に、声がおっさんの様になった若菜姫へ「地球の記憶」内の膨大なデータを全て流し込み、地球と完全に一体化した「地球の巫女」へと昇華させて地球に変革をもたらすと言う、一種の人類補完計画だ。

 

TV本編では人類を地球と一体化させて不滅の種族にしたり、メモリの適性の無い人間を消滅させようしたりしているが、劇場版の『運命のガイアメモリ』で大道克己が行なおうとした風都市民のネクロオーバー化は、「エクストリームに至ったエターナルメモリと25本のT2メモリの力によって行なう、限定的な『ガイアインパクト』なのではないか?」と俺は思っていた。

 

もっと言えば、エターナルメモリの効果を受け付けない25本のT2ガイアメモリは、大道克己が発現させた「エターナルブルーフレア」を前提として造っているとしか思えない。更にT2メモリ以外のガイアメモリを軒並み無力化している事を考えれば、財団Xの本来の計画では、「エターナルの力で誰にも邪魔される事無く、確実にガイアインパクトを起こす」つもりだったのではないかと、俺は推測している。もしかしたら、大道克己のクローンなんかも確保していたのかも知れない。

 

「そうだ。例えば世界中の♀を♂に変換して世界を一つにするとか、ロリとショタだけの世界にするとか、人間と動物を合成させて鳥人間や猫娘に改造するとか、巨人やゴキブリ人間が魍魎跋扈する世界にする事だって思いのままだ」

 

「……人類が全員♂になったら、人類が滅びるじゃないですか」

 

「人間の価値観は時代と共に大きく変化し、今やありとあらゆる性癖が世に受け入れられ、BLや百合と言った同性愛はもはや特別なモノでは無くなった。それを証明するように、最近では男の娘が孕むエロゲーさえ存在する。

仮にある日突然、IS学園の男女比が逆転したとしても、男同士でも子を成す事ができる世界になったとしても、それはなんら不思議な事では無く、全く驚くに値しない些細な事だ」

 

なるほど。確かに少佐の言う事には一理ある。

 

「……いやいや! 不思議で驚くに値する事以外の何者でも無いですよ!? クトゥルフ神話以上の狂気と怖気を感じます!!」

 

「ちなみに衆道で人類廃滅を目的とするなら、世界中の女子の顔面を画伯が描いた絵の様に強制改造し、世界中の男子を自主的に衆道に走らせるように仕向けるのがベストだと私は思うぞ。元が美少女であればある程、醜くなる様に設定してな」

 

少佐はIS学園が一瞬で魔窟に変わる様な事を考えていた。強制的に性転換するよりよっぽど性質が悪い。

 

「……確認したいんですが、ブルーフレアになれば『ガイアインパクト』を起こせるんですか?」

 

「うむ。この場合はエターナルメモリの力を極限まで引き出せる人間と、データ人間の代わりとなるAからZまでの26本のガイアメモリを必要とするがな」

 

つまりは「若菜姫=俺」で、「フィリップ=26本のガイアメモリ」と言った具合で代用する訳か。「from A to Z」で“初めから終わりまで”を意味するらしいし、理屈としてはあっている……のか?

 

「だったら何で少佐は『ガイアインパクト』を起こさなかったんですか? それが出来るだけの準備をする時間はありましたよね?」

 

「「………」」

 

少佐とドクは黙り、俺から目を背けた。なんて正直な人達なんだ。

 

「何かあるんですね! 何かトンでもないリスクがあるんでしょう!?」

 

「そ、そんな事がある訳ないじゃないか。『ガイアインパクト』を起こしたら、体に流し込まれる情報量に脳が耐え切れなくなって死ぬなんて事は絶対に無いぞ?」

 

「そ、そうだぞシュレディンガー准尉。ぶっちゃけ、一人で地球がこれまでに蓄えてきた何十億年と言う膨大な記憶を御する事は、まず不可能だとは思っていないぞ?」

 

「だからまずは君をエクストリームに至らせ、それから『真のオーズ』へと成長させた上で、最終的に『オーズ』と『エターナル』を組み合わせた状態で『ガイアインパクト』を起こそうだなんて考えた事も無いぞ?」

 

「そうだ! 具体的にはこんな風に!」

 

少佐とドクが頼んでもいないのに次々と重要な事を暴露した後で、ドクがリモコンを弄って空中ディスプレイを展開した。そこに映し出されたのは……。

 

『タカ! イマジン! ショッカー! ターマーシー! タマシーターマッシー! ライダァ~~~ダッマッシー!』

 

タマシーコンボにチェンジしたオーズだった。三種類の怪人の力によって変身した怪人系コンボは、S.I.C.的な何とも禍々しい風貌をしていた

そして、エターナルメモリが装填されている左腰から青い稲妻が走り、オーズにコンバットベルトとエターナルローブが出現する。お蔭でカッコ良さと禍々しさが三割ほど増した気がする。

 

『ZONE・MAXIMUM-DRIVE!』

 

オーズはエターナルローブを脱ぎ捨て、ゾーンメモリのマキシマムを発動。それによって空中に出現したのは24本のガイアメモリだけでは無かった。色とりどりのコアメダルがオーズを中心として、円を描く様に規則正しく空中に浮んでいる。

 

『ACCEL・ KEY・BOMB・QUEEN・CYCLONE・JOKER・LUNA・METAL・HEAT・TRIGGER・FANG・SKULL・NASCA・ROCKET・VIRUS・ICEAGE・DUMMY・WEATHER・PUPPETEER・YESTERDAY・GENE・OCEAN・UNICORN・XTREME・MAXIMUM-DRIVE!』

 

『タカ! クジャク! コンドル! ライオン! トラ! チーター! クワガタ! カマキリ! バッタ! シャチ! ウナギ! タコ! サイ! ゴリラ! ゾウ! サソリ! カニ! エビ! コブラ! カメ! ワニ! プテラ! トリケラ! ティラノ! サメ! クジラ! オオカミウオ! ムカデ! ハチ! ゴキブリ! セイウチ! シロクマ! ペンギン! ウシ! ガゼル! シカ!』

 

空中のガイアメモリがコンバットベルト目掛けて一斉に殺到し、右腰のオースキャナーが勝手に飛び出して空中のコアメダルをスキャンする。お蔭で立木文彦ボイスと串田アキラボイスが混ざり合い、途中から何と言っているのか良く聞き取れない騒音と化していた。

スキャンされたコアメダルは光と化し、オーズのオーラングサークルへと吸い込まれていった。コアメダルが取り込まれる度にオーズの体が光り輝き、装甲が鋭角的に変化していく。

 

『ETERNAL・MAXIMUM-DRIVE!』

 

最後にエターナルエッジに装填した、エターナルメモリのマキシマムが発動。緑色の複眼が輝き、背中に翠色のオーラを纏った物凄くラスボスっぽいオーズ・タマシーコンボが完成した。

 

「そして気になる戦闘シーンはコレだ!」

 

「超ノリノリじゃないですか」

 

戦闘シーンと称する映像に切り替わると、全身から光を発するオーズが、スコールとオータムの二人と戦っていた。

専用ISの『ゴールデン・ドーン』を操るスコールと、『アラクネ』を纏ったオータムの二人は、息の合った抜群のコンビネーションでオーズを攻めていたが、オーズは武器の類を一切使わずに徒手空拳のみで二人を完全に圧倒していた。

 

「がぁああああああああああッッ!!」

 

「きゃああああああああああッッ!!」

 

「今までとは出力が違う……終わりだッ!」

 

『スキャニング・チャージ!』

 

「貴様等が避ければ、地球は粉々だぁああああああああああああああっっ!!」

 

スーパーサイヤ人の様に発光した状態でベジータの様な台詞をのたまい、「ギャリック砲」ではなく「かめはめ波」の構えで「魂ボンバー」を放とうとするオーズ。しかし、ただでさえタマシーコンボに使う三枚のコアメダルで、1000tの破壊力を発揮する「魂ボンバー」に、36枚のコアメダルと26本のガイアメモリの力が加わっているこの“てんこもり状態”なら、避けなくても地球が破壊されそうだ。

 

そして、俺の予感は見事に当たった。

 

最大威力の「魂ボンバー」を受けたスコールとオータムは、ジュッと音を立てて呆気なく消滅し、地球は「魂ボンバー」によって巨大隕石が衝突したかと思う程の大爆発を起こした。

 

「……あの……その、『ガイアインパクト』って言うのは、こーゆー事じゃ……」

 

「言いたい事は分かるが、間違ってはいないだろう?」

 

いや、確かにある意味「ガイア」を「インパクト」した感じではあるし、ある意味らしいと言えるが……。

 

「まあ、コレは流石に例えが悪かったが、本当に何でも出来る様になるのだよ? 例えば、『悪事を犯した後に本気で更生しようとする人間を、優しく受け入れる世界』にする事も出来る」

 

「!!」

 

「そもそも、君はこの世界の有り様が気に入らなかった筈だ。多くの国家がISを兵器として活用しているが、兵器とは大量の人間の命を殺傷し、無差別に人間の財産を破壊する為の物だ。この場合は同格の力を持つISを、巨大な建造物を、貿易の拠点を、工場や農場等の生産地を、そして名も知らぬ無力な人間を……だ。

君はIS操縦者の精神性に関して色々と批判しているようだが、IS操縦者に最も必要とされる資格とは、“生身の人間にISの武装を展開出来る事”だ。特にISの高い適正を持った人間にはそうなってもらわないと有事の際に困る。だからこそ、彼等は生身の人間に対してISの武装を向けやすい環境を作り出し、そうなるような教育を施した」

 

「………」

 

「君が凰鈴音を助けた本当の理由はそれなのだろう? 確かに凰鈴音には元々素質があった。しかし、自分達の欲望に利用する為に、そうなるように教育を施した人間達が、罪に対する罰の名目で凰鈴音を欲望の捌け口にし、間違いを認めてやり直そうとしていた凰鈴音の未来を奪おうとした。それが君は気に入らなかった。違うか?」

 

ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべ、全てお見通しだと言わんばかりの瞳で、少佐は俺の心情を的確に代弁する。

 

「しかし、君は気づいている筈だな? この世界で最も人間の自由と未来を奪うモノが一体なんなのかも、人間を守る為に戦う事が実は矛盾しているのだと言う事も」

 

「………」

 

「いずれにせよ君に残された時間は少ない。そこで、今夜にでもこの座標の位置へ向かうといい。ここに『ミレニアム』の総力を結集した『最後の切札』が隠されているのだ」

 

「……『最後の切札』ですか?」

 

「ああ。全ての試練を乗り越えて、誰も手にした事の無い高みへと至り、只一人の王として君臨する。その時君は、全ての世界を制するんだ」

 

何故ここでDJサガラの台詞が出るのか? ちゅーか、どうしても俺を新世界の神か、宇宙の帝王にでもしたいようにしか聞こえないのは気のせいだろうか?

 

「そしてこの施設に入る為にはパスワードが必要になるのだが……タダでは教えられないんだな、コレが」

 

「……何が望みですか?」

 

「なぁに簡単な事だ。私にちょっと君の欲望を教えてくれれば良いんだ。具体的には君の周りにいる女の子達にしてもらいたい事だ」

 

「何故ですか?」

 

「君も知っての通り、コアメダルは使用者の欲望に強く反応する。そして欲望と言うものは心の内に秘めた物ほど強力だ。つまり、欲望の力を使いこなすには、自らに秘めた欲望を解放する事が必要となるのだよ」

 

うーむ、もっともらしい事を言っているだけの様な気もするが、少佐の言う事にも一理ある。欲望を解放する事でコアメダルの力を引き出す……か。

 

「さあ! 遠慮なく私に君の欲望を告白するんだ!」

 

「そうですね……とりあえずは『プトティラコンボ』を使う時に、イリヤコスの本音に『やっちゃえ、バーサーカー!』って言って欲し――」

 

「違ぁああああああああああああああああああああうッッ!!!」

 

「!?」

 

「私が求めているのはそんな事では無い! もっと下品で! 低俗で! 有害で! 放禁バリバリの! イケナイ欲望を言えと言っているんだ!

具体的に同じFateネタで言うなら、山田真耶に間桐桜のボンテージコスを着て『君にするのもされるのも、私じゃなきゃ駄目なのに』と言って迫って欲しい位は言え! 勿論設定は全年齢版じゃない方だ!」

 

それはアンタの欲望じゃないのか……と思ったが、実際にそんな状況をちょっと想像してみた。普段とは違う、妖しい色気を纏った山田先生……か。

 

「……………アリですね」

 

「そうだろう、そうだろう。乳の大きさに悩んでいる所とか、ぴったりな配役だろう」

 

我が意を得たりと言わんばかりに、少佐はニタニタと笑っていた。つまりは、そーゆー事を言えと言う訳か……。

 

「ほらほら、私の耳元でこっそりと言うだけで良いんだ。早くし給え。君にだってあるだろ? そーゆー欲望が?」

 

「…………み、皆には内緒ですよ?」

 

俺はボソボソと正直に言った。すると少佐の顔が邪悪に歪み嫌な予感がした。その瞬間、何時の間にか背後にいた大尉が俺を羽交い絞めにして身動きを封じた。

 

「みなさん~~~~聞いてくださーーい~~。この男、メイド服姿の篠ノ之箒に『萌え萌えきゅ~~~ん!』ってやって欲しいんだってさぁ~~~~~~! バッカじゃないのぉーーーーッ!!」

 

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

「ミレニアム大隊各員に伝達! よぉ~~~~~~く聞け! シュレディンガー准尉はセシリア・オルコットに上目遣いで『あ、あたらしいご主人様ですか?』と言って欲しいそうだ! コレどう思う?」

 

「やめてくれぇええええええええええええええええええええええっ!!」

 

『【速報】シュレディンガー准尉が、更識楯無と下着泥棒について論議し、「そこに価値があるのよ」と言って欲しいと言ってきた』

 

「拡散希望と♪」

 

「いやぁあああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

ツイッターに俺の欲望を書き込んだ少佐は、これが最後と言わんばかりに猛烈な勢いで紙に何か書き込み始めた。デブの体が邪魔になっていたが、「篠ノ之束さんへ シュレディンガーは君に人魚の格好をして『ゴッくん、束さんの卵に――』」と、ここまで見えた。血の気が引いた。

 

「止めだっ! 今からコレを篠ノ之束の脳内に送信してやる!」

 

「!?!? ウ、ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」

 

「「!?」」

 

俺の体の中から飛び出した3枚のメダルは大尉を吹き飛ばし、何時の間にか腰に巻かれたオーズドライバーにメダルが装填される。装填されたコアメダルの色を確認し、迷う事無くオースキャナーを振り下ろす。

 

「超・変・身!」

 

『ラブ! ラブ! ラブゥウウウウウッ!!』

 

仮面ライダーオーズ・恋愛コンボ。その二度と変身するまいと考えていた、禁断の力が再び解放された。

 

「俺は光の使者ッ! キュアオーズッ! 貴様だけはっ! 絶対にっ! ゆ゛る゛さ゛ん゛っ゛!」

 

完全に私怨である。途中から何か何処かおかしくなり、「こんなプリキュア、ぶっちゃけありえない」なんていう幻聴が聞こえるが気にしない。日本中の幼女と少女と大きなお友達が阿鼻叫喚となる様な気がしないでもないが、俺の知ったことでは無い。

 

そして吹き飛ばされた大尉は俺を再び拘束する事無く、何処からか取り出したカメラのフラッシュをバシャバシャと焚き続けていた。

 

「もう遅いっ! 既に篠ノ之束への脳内へ送信する準備は出来ているッ! そしてっ! もう限界だッ! 押す――」

 

「リボルケインッ!」

 

右手に意識を集中し、IS大戦前のひぐらしコスの時に入手した「悟史」と書かれた部分が塗り潰され、「リボルケイン」と書かれた金属バットを召喚し、少佐に向かって思いっきり投げつけた。金属バットは送信ボタンを押そうとしていた少佐の右手とFAXを見事に「粉砕・デストロイ!」する事に成功した。

 

「うげああああーーッ!!」

 

『スキャニング・チャージ!』

 

「とぉおおおうっ!!」

 

少佐が激痛で右手を押さえる中、俺は速攻でキュアオーズの必殺技を発動する。少佐は大きなハート型のエネルギー体に拘束され、俺は上空高く飛び上がる。

 

「私は矢だ! 常に真実を射抜く矢だ! 喰らえぃ! ライダー・ラブ・シュート・アロォオオオオオオオオオオッッ!!」

 

「うぼぁああああああああああああああっっ!!」

 

射手座のラスボス理事長の様な事を言いながらハート型のエネルギーを撒き散らし、自らを矢と化す両脚蹴りのライダーキックを叩き込む。成す術なく必殺キックの直撃をどてっ腹に受けた少佐は盛大に吹っ飛び、ボドボドの体になっていた。

 

それでも何がそうさせるのか。少佐は力を振り絞って立ち上がり、俺を指差してこう言った。

 

「わ、忘れるな……『オーズ』はいずれ『白き闇』と等しくなるだろう……」

 

「!? それはどう言う――」

 

「ザ、ザケンナァアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

少佐は不気味な予言を言い残して前のめりに倒れると、何故か半端じゃない大爆発を起こした。

 

……あ、パスワードを聞くの忘れた。




キャラクタァ~紹介&解説

イライザ・ヒギンズ
 本作オリジナルのイギリスの国家代表操縦者。名前は何時ものアナグラム……ではなく、映画『マイフェアレディ』の登場人物から。色々考えた結果、原作ではマドカが使用していたBT二号機の『サイレント・ゼフィルス』を使って貰う事にした。
 原作二巻の一夏と弾の会話によると、イギリス代表操縦者の専用機は「メイルシュトローム」と言う機体らしいが、発売されているゲームでは「技が弱くて、コンボが微妙」との事。恐らく手数で勝負するタイプだと思われるが、詳細は不明。



タマシーコンボ
 劇場版限定の怪人系コンボ。ある意味では『ミレニアム』最強の怪人。「魂ボンバー」が「かめはめ波」に見えたのは作者だけではないはず。『HERO SAGA』によると、頭に無数の蛇が絡んだショッカー首領にも近づきたくない一心で「魂ボンバー」を繰り出したらしい。それが1000tもの威力を引き出した“欲望の源泉”だとすれば、へび獣人やベノスネーカーと相対したらどうなるだろうか?

恋愛コンボ
 白を基調とした(公式が)病気のコンボ。専用武器は金属バット「悟史」……もとい、「リボルケイン(油性マジック)」。必殺技は『You Tube』で適当に動画を見て考えたが、必殺技の名前を考えるのに妙に手間取ってしまった。

仮面ライダーエターナルブルーフレア レッドティアーズエクストリーム
 名前が超長いので、略称は『ブルーフレアRX』。初めはアルティメットクウガの様な「レッドアイズ」にしようと考え、実際に複眼を黄色から赤色にしてみたら予想以上に禍々しい印象になってしまったので没にした。エターナルの複眼は黄色が一番。
 その後も何か良い案は無いかとずっと考えていたら、BSプレミアで放送していたゴジラの「三式機龍」を見て、複眼の下の黒いラインを赤くする事を思いついてこうなった。血涙みたいな感じが「怒りの王子」的な要素を上手く表現できている……気がする。

中の人ネタ
 アニメの声優さんによって出来るネタなので、アニメに登場していない虚や、ナターシャなんかのアニメ未登場組では絶対に不可能なネタ。一応答え合わせも兼ねて、他にも考えていたネタを一緒に出しておく。ちなみに楯無は戦場ヶ原や、ルッキーニも候補だった。

 本音……「Fate」のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
 真耶……「Fate」の間桐桜。
 箒……「けいおん!」の秋山澪。
 セシリア……「コードギアス」のC.C.。
 楯無……「まどか☆マギカ」の暁美ほむら。
 束……「浪打際のむろみさん」のむろみさん。
 シャル……「物語シリーズ」の千石撫子。
 千冬……「めだかボックス」の黒神めだか。



激闘! クラッシュトライドロンTURBO
 様々なスーパーマシンを使った激しいカーアクションが魅力。番組の後半から10年の構想と800億もの大金をかけて製作された『VTシステム』なるものを搭載したマシンが登場するが、ヴァルキリーをトレースする訳ではない。元ネタでは「玩具に800億」とか言われるが、どう考えても「覇王翔龍撃」なんてトンデモ技を使うアレが「玩具」にカテゴライズされるとは到底思えない。

欲望戦隊ホシガルンジャー
 物欲・食欲・睡眠欲・金銭欲・支配欲・性欲・愛欲・情欲・独占欲・出世欲・名誉欲……と、ありとあらゆる欲望をテーマにした戦士達の物語。その内容は視聴者の欲望が存分に満たされる出来栄えだが、とても朝から放送する様なモノでは無い。噂ではスーツアクターは全て、一人の人間が50人に分身して行なっているとか。

ふたりは世紀王
 主人公のキュアブラックサンとキュアシャドームーンの二人が、ジャアクキングとその一味を「ゆ゛る゛さ゛ん゛!」の掛け声と共に容赦なく滅ぼす物語。一人でも厄介な奴が二人組になっているので、「ぶっちゃけ、ありえない」レベルのオーバーキル。戦闘シーンは悪党が可哀想に見える。
 続編では「キュアBLACK RX」と「キュアアナザーシャドームーン」にそれぞれ進化し、絶体絶命のピンチになると、大体不思議な事が起こって万事解決してしまう。追加メンバーの三人目? そんな奴は彼等には必要ない。

風都戦隊メモリー5
 風都という町を舞台に、ジョーカーブラック、サイクロングリーン、アクセルレッド、スカルシルバー、ナスカブルーの5人が八面六臂の大活躍をする物語。アクセルやナスカは強化形態で色が変わるため、イマイチ安定感が無い。追加メンバーはエターナルホワイト。

夢の千年王国
 主人公は少佐(当時は中尉)。総統閣下の命令でドクと大尉の二人のお供を連れて、世界中を旅するノンフィクション特撮ドラマ。死神編と天使編があるが、どっちも聖遺物が関係している。最終回では少佐が、本当に脳みそを(物理的に)くすぐっちゃう事になる。

オカ魔女きょうすい
 仲間にブッ刺されて死んだ「世界一不幸な美漢女」こと泉京水は、明らかに怪しいミイラ女の正体を見破って魔女見習いになる。お友達は元OLのドーナツ屋の店長と、元軍人のケーキ屋の店長。一年毎にベビーシッターになったり、パティシエになったり、傭兵になったりする。合体技は「マジカルステージ」と言う名の「ライダーシンドローム」っぽい、得体の知れないナニカ。おジャ魔女戦隊マジョレンジャーではない。

明日の魔蛇【マージャ】
 元ネタの主人公の名前はアップルフィールドなので、「ゴールデンアームズ」は使うけど「リンゴアームズ」は使わないと言う矛盾。EDは『仮面ライダーセイヴァー』が鏡の前で次々とアームズチェンジしながら踊ると言う誰得仕様。最後は必ず小説版の「魔蛇アームズ」にチェンジする。
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