DXオーズドライバーSDX   作:トライアルドーパント

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とりあえず、今回はここまで。
明日から三連休です。
皆様に良き週末があらんことを……。



第3話 ビギンズナイト

オーズドライバーからお馴染みの串田アキラボイスでタトバの歌が流れ、『仮面ライダーオーズ』への変身が完了する。

エターナルへ変身する時と同じ様に色々と情報が頭に流れ込んでくる。

しかし、変身して感じる体から力が溢れてくる感覚はエターナルの時よりもしっくりと、フィットすると言うか、身体に馴染むような感じがする。

 

『オーズはエターナルで得られたデータを基準に、お前専用に調整して作ったものだ。お前の身体に馴染まないわけがない』

 

なるほど。つまりは『ブァカ者がァアアアア! ミレニアムの科学力はァアア世界一ィイイイイ!! 仮面ライダーエターナルのデータを基準にイイイイイイイ……仮面ライダーオーズは作られておるのだアアアア!!』と言う訳か。

 

このオーズの見た目は、全体に原作のオーズとあまり変わらないように見えるが、エターナルと同じくちょっとゴツイ気がする。

また、CASを搭載した事で、パッケージとして背中にイオンターボブースターが二機追加されている。

ブースターが白いからか、少しフォーゼっぽいような気がする。

 

パッケージのスペックを見ると、使用している『Type-ZERO』は飛行能力と、セルメダルを使ったセルバーストによる、パンチ力とキック力の強化が追加される……か。

要するに『ストライクレーザークロウ』を、セルメダルのライダーキックとライダーパンチで使えると考えればいいか。

あまり、メダルやメモリを邪魔しない仕様なのでいい感じだ。

あと、トラクローの活躍が多くなりそうで何よりだ。

 

『まだ勝手が分からないと思うが、今はやるしかない』

 

「そうだな。行くぞアンク!」

 

怪物マシンから飛び出し来た道を戻ると、来るときに閉めた防御扉が破られそうになっている。

 

扉を蹴り飛ばすと、そこにはフランスの量産型ISラファール・リヴァイヴと、日本の量産型IS打鉄を纏った二人の女がいる。

 

「なんだ!? IS!? それも全身装甲!?」

 

「それにしては小さくないか?」

 

「違う……これは『オーズ』。どれ程のものかは……戦ってみれば分かる」

 

「何だか分からないが、喰らえ!」

 

ラファールの女がアサルトカノン「ガルム」を、打鉄の女はアサルトライフルの「焔備」を発射してくる。

トラクローで弾丸を弾き、バッタレッグの力で廊下の壁を蹴り、三次元的な動きで先ずはラファールの女の懐に飛び込む。

トラクローでラファールの女のマシンガンを切り裂き、怯んだところをバッタレッグの連続キックを相手に叩き込む。

初戦にしては結構いける。

しかし、相手を攻撃するたびにチャリンチャリンと音が鳴るが、コレは何だ?

 

『相手から削ったシールドエネルギーをセルメダルに変換している音だ。但し、直接攻撃した時だけ発動する能力だ。それ以外の攻撃ではセルメダルが溜まらん』

 

なるほど、要するにエネルギーリムーブの能力か。

会話している間に、打鉄の女が振り下ろした葵を、メダジャリバーを召喚して受け止め、絡め取る。

物は試しと、メダジャリバーで「焔備」を破壊した後、打鉄の女を何度か斬りつけるが、確かに直接殴る蹴ると言った方法以外ではセルが貯まらないようだ。チャリンチャリンと音がしない。

 

しかしのんびりしていられない、早いところ決めなければ。

廊下の中では高くジャンプできない。だから、必殺技は此方を使わせてもらおう。

ジョーカーメモリの入ったメモリスロットをタップ。これでジョーカーメモリは最大出力を発揮する。

 

「コレで決まりだ」

 

『JOKER・MAXIMUM-DRIVE!』

 

「ライダーキック!」

 

助走をつけて紫色のエネルギーを纏った右足の飛び蹴りを打鉄の女に叩き込む。

 

「セイヤァアアアアアアアッッ!!」

 

「!! うああああああッッ!!」

 

葵を召喚してガードしたものの、ライダーキックをまともに受けた葵と腕の装甲は破壊され、打鉄の女は廊下の床をガリガリと削りながら、勢いをそのままに突き当たりの壁に激突。壁に蜘蛛の巣状のヒビとクレーターを作って停止した。

爆発はしなかったが、ダメージによって打鉄が解除される。

 

「はぁ!?」

 

『JOKER・MAXIMUM-DRIVE!』

 

「ライダーパンチ!」

 

ラファールの女は信じられないものを見るような目で、吹っ飛んだ打鉄の女を見ている。

傍目から見て大した演出も無い、紫色のエネルギーを纏っただけのシンプルなキックがこれほどの威力を持つとは思わなかったのだろう。

 

その隙を逃さず、再びジョーカーのマキシマムドライブを発動させる。

ポーズを取り、右手に紫の炎を宿して、ラファールの女の懐に飛び込む。

 

「セイヤァアアアアアアアッッ!!」

 

虚を突かれた所為でガード出来なかったラファールの女は、ライダーパンチをまともに受けて吹っ飛んだ。

そして、打鉄の女のすぐ隣へ同じように壁に蜘蛛の巣状のヒビクレーターを作ってめり込んだ。

纏っていたラファールもダメージで解除される。

 

『ふん。もう少し稼いでおきたかったんだがな』

 

「急ぐぞ!」

 

 

○○○

 

 

左半身を砕かれ、地べたに座る私を、スコールは愉快だと言わんばかりに見下ろしていた。

 

「量産機とは言えISを使わずにISを3機も倒すとは貴方のわんちゃんも大したものね。流石に私の『ゴールデン・ドーン』には敵わなかったけれど。

さて少佐、何か言い残す事は無いかしら。知り合いのよしみで聞いてあげるわよ」

 

「ふん。我々の、ミレニアムの技術を使って生きながらえ、簡単にISに尻尾を振ったアバズレが何を言う」

 

「私には貴方の方が理解に苦しむわ。この世界で最初にISに選ばれた男。そして、ISを拒絶した愚かな男」

 

「……ああ、確かにそれは素晴らしい事なのだろう。それを使う事は歓喜なのだろう。だが、それだけは出来ない。それだけは……絶対に」

 

嘗てシュレディンガーが言った。

諦めが人を殺す。諦めを踏破した人間は運命を踏破する権利人となる。

その通りだ。諦めないことこそが、唯一運命を踏破する方法だ。

 

だからこそ、私はISを拒絶したのだ。

 

今を遡ること10年前の事。

 

日本の篠ノ之束と言う科学者が宇宙空間での活動を想定し、開発したマルチフォーム・スーツ『インフィニット・ストラトス』。通称ISを発表した。

宇宙開発を大きく前進させるであろうそれを、世界中の誰もが否定した。

それまでの常識を大きく覆すモノである事も否定された要因の一つだろうが、最大の問題は開発者の『現行兵器の全てを凌駕する』の一言だろう。

あれがなければもう少しは受け入れられたと思う。

 

あれは言うなれば科学ではなく魔法の類の代物だ。

科学と魔法の違いとは、科学者を含めた大多数の常人が認めるか否かにある。

少なくとも、当時はISが常人には決して認めることの出来ないモノだった事は確かだった。

 

しかし、ISの存在が発表されてから1カ月後、白騎士事件が起こった。

否、篠ノ之束が白騎士事件を起こした。

 

日本を射程内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射された。

 

そんな事が出来るのは篠ノ之束をおいて他にいない。

 

その約半数を搭乗者不明のIS「白騎士」が迎撃した上、それを見て「白騎士」を捕獲もしくは撃破しようと各国が送り込んだ大量の戦闘機や戦闘艦などの軍事兵器の大半を無力化した。

 

『現行兵器の全てを凌駕する』と言う言葉は現実となった。

『ISはISでしか倒せない』と言う言葉は真実味を帯びた。

 

宇宙空間での活動を想定し、開発した筈のマルチフォーム・スーツは、何よりも強力な破壊兵器へと成り下がった。

 

そして、篠ノ之束は本来の目的を見失った。

 

そんな中、開発された第1世代ISを秘密裏に一機回収した時だ。

数々の男性隊員がいくら触れても反応が見られなかったISが、私が触れた時に限って反応を示したのだ。

あらゆる情報が頭の中に入り込んでくる感覚。

ISの持つその圧倒的な能力を瞬時に理解した。

 

なんと素晴らしい。

 

それはきっと誰も見たことの無い力なのだろう。

 

きっとそれは何者をも超越できる力なのだろう。

 

その強大な力を思うままに振るう事はきっと歓喜なのだろう。

 

だが、冗談じゃない。真っ平御免だね。

 

魂の、心の、意思の生き物。それが人間だ。故に、人が、人たらしめるものは、確固たる自分の意思だ。

 

決して折れない。決して屈さない。決して揺らがない。そんな魂を、心を、意思を持った生き物である筈だ。

 

否定されることは辛い。見てもらえない事は苦しい。忘れ去られる事は寂しい。

 

しかし、その痛みこそが諦めを踏破し、運命を変える最初の一歩の筈だ。

 

しかし、篠ノ之束は当初の目的を諦めた。

 

諦めを踏破する事を諦めた人間が、運命を変える権利人になる。

 

そんな事は断じて許さん。決して許さん。

 

だからこそ私はISを認めない。篠ノ之束を認めない。

 

遂に私は宿敵を見つけた。そして、宿敵を打倒する為に営々と準備を始めた。

 

フィクションやオカルトに関する研究もその為だ。

 

常識の通用しない相手に、常識で立ち向かって勝ち目は在るだろうか。私は「否」だと思う。ISが常識を超えた存在なのだから、打倒する為には此方も相手の常識を上回る必要がある。

 

そんな考えの下で行なわれた奇妙で様々な実験は、595回の失敗と、1回の成功を生み出した。

 

幾多の困難と、膨大な失敗と、塵芥となった屍を乗り越えて。

遂に科学の様な奇跡を、奇跡の様な科学を手に入れた。

彼から齎された異世界の知識と発想によって、我々の研究は飛躍した。我々の技術は向上した。

 

そして、私は決めた。我々が諦めを踏破した証として『仮面ライダー』を造り出すと。

 

シュレディンガーは「『仮面ライダー』とは、打倒する敵と同じ闇から生まれる存在であり、打倒する敵とは紙一重の存在」だとと言った。

 

そこで我々は、『仮面ライダー』を造るために、ISを模倣し、発展させる事から始めた。

そのモデルとして注目したのは『仮面ライダーエターナル』と言う、全てのガイアメモリを統べる仮面ライダー。

その最大の特徴はガイアメモリの無効化攻撃。

 

その参考とした教材こそ、かつて織斑千冬が、ブリュンヒルデが使用した二機のIS。『白騎士』と『暮桜』だった。

片や全身装甲、片やバリア無効化攻撃を持つ、これらのISコアの回収には苦労した。

回収した『白騎士』のISコアは初期化されていたが、『白騎士』は決して消えずに、その深奥に確かに存在して、『暮桜』と交信していた。

 

そして、回収したISコアを。篠ノ之束が諦めた証を。彼女の夢の残骸を。

 

叩き割り、切り刻み、張り合わせ、混ぜ合わせ、使い潰し、残骸にし尽くした。

 

そしてこの世界で、仮面ライダー0号と言うべき存在を、『仮面ライダーエターナル』を造り出す事に成功した。

 

そこから『仮面ライダーエターナル』のデータを基準として『仮面ライダーオーズ』は製作された。

 

ISの『単一能力【ワン・オフ・アビリティー】』を、コンボの固有能力に置き換えて。

 

ISコアを材料に、生物の特性を持ったコアメダルを作り出して。

 

ISコアの意識をコアメダルに封印し、その人格を書き換えて。

 

ISコアとの意思疎通を、実体を与える事で簡易化して。

 

ISコア24個を一人と一つの為に犠牲にして。

 

それらの実験と模索の果てに、我々はISコアの生産も可能になった。皮肉なことに、打倒すべき敵を生み出すことも可能になった。確かに紙一重だった、仮面ライダーとそれが打倒する敵は。

 

残るは操縦者の問題。シュレディンガーをコンボの力に耐えられる器にする事。

 

肉体の方は幾らでもなんとでもできた。だが、「身体に金属を埋め込むと生身でも磁力を操る相手に弱くなる」と熱弁していたから、薬物や有機ナノマシンによる強化を行なった。彼なりに考えての事なのだろう。

 

問題は精神面。シュレディンガーの否定には拒絶が無い。シュレディンガーの否定は相手を理解しようと最大限の努力をした上での否定だ。それは例えるなら、食べ物の好き嫌いで、『食わず嫌い』と『食ってから嫌いになる』位違う。

 

シュレディンガーは篠ノ之束を理解しようと最大限に努力するだろう。

 

その上で、我々の目的であるISの打倒も成そうとするだろう。

 

自分のできる事を精一杯するだろう。

 

篠ノ之束を『自分の弱さを攻撃に変えたか弱い女』と呼称したお人好しの君は。

 

我々の事を気にかけて過去を詮索しない、今現在の我々だけを見るお優しい君は。

 

シュレディンガーと隊員達との接触を制限したのは意図的なものだった。情報漏えいを避ける事もそうだが、普通の感性を失ってもらっては困る。優しさを失ってもらっては困る。人の死に鈍感になられては困る。

 

何故なら、それでは『真のオーズ』として覚醒しないからだ。

 

自身に対する欲望の枯渇。

 

他人のエゴさえも引き受ける自己犠牲。

 

心を通わせた人間の死。

 

自分だけが無事に生還してしまった事による罪悪感。

 

そして、信頼していた人間の裏切りによる絶望。

 

それらが無ければ、『真のオーズ』として完成しない。その為に細心の注意を払ってここまで来た。

 

そして今夜。『ミレニアム』の壊滅によってそれは成る。君が我々の死を目の当たりにする事によってそれは成る。君だけが生き残ることでそれは成る。君がいずれ真実を知ることでそれは成る。

 

部下の裏切りも、組織の壊滅も、私の死も。全ては計画通り。順調。全くもって順調だ。

 

「それじゃ、さようなら少佐」

 

心残りはアストロスイッチとフォーゼドライバーを作る事が叶わなかった事。

それは人類が、人類に対して働きかける宇宙の意思的存在であるプレゼンターとの接触を試みるにあたって、人体に負担のかからない手段として開発されたシステム。

 

プレゼンターとの接触。それはもしかしたら、篠ノ之束が諦めを踏破する事で成したかもしれない、一つの未来なのではなかろうかと思った。

 

アストロスイッチとフォーゼドライバーの設計図は『デウス・エクス・マキナ号』にデータとして残しておいた。名前は勿論『KENGOメモリ』だ。

 

いつの日か、プレゼンターとの接触をシュレディンガーが叶えるかもしれないと考えて。

 

止めが刺されようとする刹那、扉が豪快に破壊された。そこに居たのは、黒をベースに上下三色の装甲を身に纏う異形の戦士。

 

やはり、助けに来てくれたか。

 

予定通りとは言え、絶体絶命のピンチに都合よく助けに現れるなど、まるでアメリカンコミックのヒーローの様だな。

 

「助けに来たぜ、少佐」

 

「ああ、なんとかね。なぁに、まだまだこれからさ」

 

サイボーグでデブの、死に損ないの大隊指揮官がヒロインの作品など、あまり面白くは無さそうだがねと自嘲しながら、私は未完成の鬼札に向かって不敵に笑ってみせた。

 

 

○○○

 

 

扉の向こう側に居たのは、全身黄金のISを身に纏う女と、完全に左半分が破壊されて座り込んでいる少佐。

 

「なるほど。これが貴方達の切り札ね」

 

「ああ、我々の最高にして最強、そして最後の鬼札だ」

 

周りには破壊されたISの残骸らしきものがあり、大尉の姿は見えない。

 

「初めまして鬼札君。『亡国機業』の実働部隊「モノクローム・アバター」のスコール・ミューゼルよ」

 

「……『ミレニアム』所属。ゴクロー・シュレディンガー准尉」

 

『気を付けろ。アレは第三世代IS「ゴールデン・ドーン」。炎を操る能力を持った機体だ』

 

ふむ。しかし、全身が金色のカラーリングと言えば、某種運の金ぴかモビルスーツを思い出すのだが。あの装甲はレーザー系を無効化したりするのか?

 

『いや、ミレニアムのデータベースにはそんなデータは無い。こいつに変えろ!』

 

アンクのチョイスによりオーカテドラルのコアメダルが変更される。

アンクがドライバーと一体化しているお蔭で、コアメダルを一々入れ替える必要が無い為、メダルチェンジの隙が少ない。

 

『クワガタ! トラ! チーター!』

 

オースキャナーでスキャンし、ガタトラーターにチェンジ。

トラクローの真空刃とクワガタヘッドの緑色の電撃で遠距離攻撃を仕掛ける。

スコールは一歩も動かずに、炎を高速回転させて作ったシールドで電撃と真空刃を防いでいる。

 

遠距離攻撃では有効打を与えられない。専用機だけあってさっきの量産機とは違う。

せめて水棲系コアを登録しておくべきだったかも知れない。

 

ならばと、高速戦闘で撹乱する。

見たところあのシールドは一方向に向けて展開している。

チーターの足で高速移動とトラクローの真空刃で様々な方向から攻撃し、隙を見て懐に飛び込んで決める。

 

仮面ライダーは殆ど身長が変身前と変わらない。対してISは、纏うと1m以上身長が高くなり、手足のリーチも長くなる。

つまり、小回りにおいて仮面ライダーが有利。相手より小さいが故に、相手の懐に潜り込めばリーチの問題もあり、割りと安全に戦えるのだ。

だからと言ってその懐が安全地帯だとは言えないが。

 

スコールは此方の遠距離攻撃を炎のシールドと大きな尻尾の様なもので防いでいるが、徐々に対応出来なくなってきている。

すると、一瞬だが背後に隙が出来た。その隙を逃さずに、一気に接近して決める……つもりだった。

 

「掛かったわね、お馬鹿さん♪」

 

スコールが展開したのは、さっきまでの一方向の炎のシールドとは違う、全方位に展開する熱線のバリア。

熱線のバリアに弾かれ、体勢を崩したところで尻尾の先端部分が大きくがばっと開き、腕ごと身体を拘束される。

迂闊にも相手の術中に嵌ってしまった。

さながらIS版のライオディアスと言った所か。

 

「この!」

 

「おっと、往生際の悪い子ねぇ」

 

蹴りを放とうとするが両脚を捕まれ、完全に身動きが取れない。

炎の鞭が身体に纏わりつき、生成された超高熱の火球を何発も叩き込まれる。流石にこれはヤバイ。

 

「ふふふ。このまま丸焼きにさせて貰うわ」

 

「確かにこのままならヤバイ。だが……」

 

超高温で弄られながらも、今の状況を覆すだろう一手を打つ。いや、撃つ。

 

「この距離なら、あんたもバリアは張れないよな?」

 

『TRIGGER・MAXIMUM-DRIVE!』

 

少しだけだが両手は動く。右手に召喚したトリガーマグナムには既にトリガーメモリが装填されている。

即座にマキシマムモードへ移行し、必殺技を放つ準備をするが、それで終わらない。

更にもう一手を加える。

 

『HERT・MAXIMUM-DRIVE!』

 

『MAXIMUM-DRIVE! MAXIMUM-DRIVE! MAXIMUM-DRIVE! MAXIMUM-DRIVE! MAXIMUM-DRIVE! MAXIMUM-DRIVE! MAXIMUM……』

 

「何を……え!?」

 

ガタトラーターに変える時に、相手が炎を操ると聞いて腰のメモリスロットをジョーカーからヒートに変更しておいた。

 

ところで、ガイアメモリにはレベルと言うものが存在する。

 

ヒートメモリの熱を操る能力を活用する方法を考えたとき、ある事を思いついた。

気化熱を操り吸収する事が出来れば、ヒートメモリ一本で加熱と冷却の二つの能力が使えるのではないかと。

要はディオの気化冷凍法だが、ドクやアンクは無茶だと言った。しかし、俺は熱を奪うことを意識してヒートメモリを使い続けた。

 

その結果、気化冷凍法は無理だったが、ヒートメモリはレベル2へと至り、フォーゼのファイヤーステイツの様に、炎や熱を吸収する能力を得る事が出来た。

もっとも、手にしてから5年近く使い続けて漸くのレベル2なので、ナスカの尻彦に比べてもかなり遅かったが。

 

そして、本家『仮面ライダーW』が井坂先生にぶち込んだ、トリガーとヒートのツインマキシマム。

ヒートメモリの力で全身が超高温になり、更にレベル2の力で相手の炎も吸収し、自分の火力に上乗せしている。

 

拘束していた炎の鞭がオーズの装甲に吸収され、オーズの全身が更に高温になっていく様と、壊れたテープレコーダーの様に『マキシマムドライブ』を繰り返すガイダンスボイスにより、流石のスコールも危険と脅威を感じたようだ。

 

「このッ! はっ離しなさいッ!!」

 

「おいおい、掴んだのはアンタだろうがよ」

 

離れようとするスコールだが、今度は俺がISの装甲を掴んで離さず、超高威力の炎の弾丸を至近距離で発射する。大爆発が起こり、拘束していた尻尾から解放される。拘束を解除し、有効打を与える事に成功したが、此方も反動ダメージが大きい。

 

スコールを見ると、全身が火傷だらけで左腕が無くなっている。

しかも、その左腕から機械部品と火花がバチバチと散っているのが見える。

頬っぺたも焼けて中の機械が見える。ターミネーターみたいだな……。

 

「少佐と同じ、機械の体か」

 

「そうよ。貴方達『ミレニアム』の開発した技術を使って得た体よ」

 

そんな事はどうでもいい。今ココで逃がすとこの女は危険な感じがする。

殺しこそはしないが、再起不能にはなってもらう。

 

「ココで決めるぞアンク! タカとカマキリ!」

 

『ああ! 勝負は今! ココで決めろ!』

 

『タカ! カマキリ! チーター!』

 

『スキャニングチャージ!』

 

メダルを変更し、タカキリーターにチェンジ。メダルを再スキャンして直ぐに必殺技の発動体勢に入る。

タカの目でスコールをロックオンし、カマキリアームとチーターレッグに力が漲ってくる。

赤・緑・黄の三色のリングが前方に現れ、三つのリングの中を駆け抜けるようにスコールへと急接近する。

 

「くっ、あまり舐めないでもらえるかしら!」

 

スコールは火球を生成して此方に投げつける。走りながら左腕のカマキリアームで火球を弾く。すると、先ほど放った火球と重なるような死角にもう一個火球があった。時間差攻撃か!

 

しかし、二個目の火球は突然爆ぜた。

 

スコールが大きく仰け反るが、スコールは背面から三個目の火球を此方に向かって投げつけてきた。

 

今度は弾かずに火球ごとスコールを切り裂くつもりで、右手のカマキリアームをスコールに向けて突き出して突っ込んだ。

 

「セイヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

またも爆発が起こり、吹き飛ばされるが手ごたえはあった。

爆発が収まり、煙が晴れると、そこには誰もいなかった

 

『爆発を目晦ましに逃げられた。相当なダメージを受けたとは思うがな』

 

逃げられたか。出来ればここで倒しておきたかったのだが。

 

しかし、危なかった。スコールはタカトラーターの必殺技を初見で見切っていた。

 

明らかにカマキリアームを二発の火球で弾かせて、がら空きになった無防備な部分に必殺の火球を叩き込むつもりだった。

現に弾いた一発目の火球と、切り裂いた三発目の火球では明らかに出力が違った。

此方からは見えない位置で火球を生成して意表を突く事も即座に思いついていた。

 

二発目の火球が暴発しなければ多分やられていた。

 

『ああ、あの金ぴか女の誤算はデブの位置からは隠し玉が丸見えだったこと。そして、デブが火球に弾丸を当てるとは思っていなかったことだ』

 

「はははっ! 初めて当たったぞ!」

 

さっきのマキシマムの反動で何処かに飛んでいったトリガーマグナムが少佐の手にある。

偶然少佐の近くに落ちて、少佐が援護してくれたのだ。

この土壇場で、一発で当てるとは、流石少佐だ。

しかも、バズーカ誤当の様に俺には当てなかった。

流石、諦めを踏破した権利人は持っているものが違う。

 

 

○○○

 

 

スコール・ミューゼルを撃退したシュレディンガーを見て、笑いが込み上げてくる。

 

倒せはしなかったが、最低限の武装でここに来たようなので、それを考えれば上出来だろう。

 

「ははは、やっと勝った。敗北続きの私の人生で、漸く勝った」

 

改めて、近づいてくるオーズに目を向けた。シュレディンガーはオーズには複数の意味があると言っていた。

 

オーメダルの内、三枚を組み合わせて戦う事。

 

『オーズ』という読みは陰謀を企てる敵怪人の幹部、すなわち怪物の王が複数存在する『王s』と言う意味である事。

 

「Over ∞ (無限大以上)」。即ち、無限大すら超越した最高の満足を表す事。

 

「この日の為に生きてきた。この一瞬の為に生きてきた」

 

私はこんな意味を込めて名付けた。

 

無限の終わりと始まり。

 

∞を冠するISと、0号のエターナルから生まれた存在。

 

故に『オーズ【∞0】』と。

 

「そうか……これが勝ちか。良いものだな」

 

私は今、満足している。心の底から満足していると胸を張って言える。

 

「いい、いい人生だった」

 

ああ、聞こえる。あの懐かしい喧騒が。

 

ああ、思い出す。あの懐かしい戦場を。

 

 

 

『新刊デース』

 

『見てクダサーイ』

 

『ゲルマンキン総受け本でーす』

 

『おんぷちゃんロックオン』

 

『大尉……急に喋ったと思ったら』

 

『……なんなんだ此処は? 欲望の巣窟か?』

 

 

 

『ガガガガ~ガガガガ~ガガガ~♪』

 

『ベキベキベキベキベキベキベキ♪』

 

『中尉。「プラチナ」歌ってもらえます? あと「ループ」も』

 

『え? 私「魔弾の射手」位しか知りませんよ?』

 

 

 

『秋葉原へブリッツクリーク!』

 

『アソビットシティに突撃ーーッッ!!』

 

『エロゲー売り場を円周防御ーーッッ!!』

 

『セイバーはぁあああ! 俺の嫁ってえええええ! 言ったろぉおおおおおお!!』

 

『いいや! 私の嫁だって言ったでしょうがぁああああああああああ!!』

 

『おい、ゴクロー。あんな事言ってるが、あいつら一体何人の嫁がいるんだ?』

 

『……さあな』

 

 

 

『え~突然ですが~、「キャノンボール・ファスト」襲撃を中止して~。大隊全員でハルヒダンスとらきすたOPとアルゴリズム体操を踊ります。ちょっとでもミスったら死刑ね全員』

 

『ハァ!?』

 

『それはどう言う……』

 

『何ですかあのペイント弾? 頭べちゃべちゃしてますけど』

 

『葛。本物は危ないからね』

 

『踊んない奴はも~全員ぶっ殺す!! ブリュンヒルデ!? んなモンほっとけ! 全艦目標京アニ!! て言うか宇治市ぃぃっ!!』

 

『おいゴクロー、この大隊ってこの為に作られたのか?』

 

『……かもな』

 

『さあ、皆様お手元のしおりをば、「対京都上陸戦第1次あしか作戦」のしおり。3P目の「京都大火篇・ぶっちぎりアニヲタサイボーグ」の項をご覧下さーい』

 

 

 

仮面ライダーオーズ完成記念コスプレ大会

 

『なあ、ドク。この顔と表情維持するのすっげぇ辛いんだけど』

 

『頑張ってください! 大賞間違いなし!』

 

『まだ完全に顔は克己化していない、今ならまだいけそうだ。ゾクゾクするねぇ……』

 

『わいは大阪住まいやさかいのう……って何だこの服と台詞は!?』

 

『十本刀のニワトリちゃん』

 

『誰がニワトリだ!』

 

『大尉? なんで尸良?』

 

『おっかねぇ……』

 

『立ってる○○○は親でも使え』

 

『逃げろーーー! 男も孕ませられるぞーーー!』

 

『に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!』

 

『ああ! シュレディンガーのイーヴィルテイルが危なーーいッッ!!』

 

 

 

ははは。今際の際に思い出す事がこんな光景だとは。

 

「さよならだ、准尉。コミケ会場でまた会おう」

 

「……はい?」

 

困った顔をした鬼札に見送られて、私はヴァルハラへと旅立った。

 

 

○○○

 

 

「なんだよ。今際の台詞がコミケ会場で会おうって……」

 

『何でもいいから急げ!』

 

崩れ行くアジトの中、少佐の遺体を抱えて走り、スタッグフォンの遠隔操作で『デウス・エクス・マキナ号』の発進準備を整えておく。

乗り込んだところで、アンクが右腕の状態でベルトから出てきた。アンクの向かった先には、メモリスロットがあった。

 

「ヒートのメモリをココに入れて、マキシマムを発動させろ」

 

アンクの言うとおりに、ヒートメモリをメモリスロットに装填し、マキシマムドライブを発動させる。

 

『HERT・MAXIMUM-DRIVE!』

 

すると、車輪が下向きに展開し、ハードマンモシャーの様に車輪から火を噴いて急上昇した。

勢いよく天井をぶち破り、脱出に成功したと思った矢先、何かとぶつかった衝撃と破壊音がした。

 

何とぶつかったのか直ぐに確認すると、そこには完全に『粉砕・デストロイ』している人参型の乗り物っぽい何か。

見事に気絶しているウサ耳を着けた20代位の女。

そして無傷のデウス・エクス・マキナ号。

 

「……アンク」

 

「なんだ?」

 

「一応聞いておきたいんだが、こいつも『財団X』の仲間か?」

 

「だから『亡国機業』だって言ってんだろ。それとこいつは篠ノ之束だ。お前、分かって言ってるだろ」

 

ああ、分かっていて言った。どうやら、まだまだ災難が続くらしい。

 

 

○○○

 

 

それから数時間後、ドイツ軍に潜伏している『ミレニアム』の協力者達は、『ミレニアム』からの定時連絡が途絶えたことで、何かしらの緊急事態が起こったと考えた。

 

そこで、彼らは軍を動かし、実態の解明に乗り出した。

 

秘密裏に譲渡したISコアを回収する為に。

 

あわよくば、ミレニアムの成果を自分達の物にする為に。

 

ドイツ軍の中で選ばれた部隊はIS配備特殊部隊『シュバルツェ・ハーゼ』。通称・黒ウサギ隊と呼ばれる、3機のISを所有するドイツ最強のIS部隊である。

 

彼女達に課せられた任務は、『ミレニアム』が秘密裏に奪取したISコアの回収。

そして『ミレニアム』が作り出そうとしていた、対IS最終兵器の回収・もしくは破壊である。




キャラクタァア~紹介

少佐
 全身が機械の世界一カッコイイデブ。『ミレニアム』のリーダー。但し、そんな自覚はない。アーカードがいないこの世界で、ようやく篠ノ之束を宿敵として認定。スコール・ミューゼルとは旧知の間柄。実は本当の意味で世界最初の男性IS操縦者になりえたナチスの微笑みデブ。
普通の感性を持つゴクローを『仮面ライダーオーズ』として完成させるために、ISコア24個と、自身を含めた『ミレニアム』を丸々使い潰した。最後にもう一度、コミケに行きたかった……。

スコール・ミューゼル
 全身が機械のターミ姉ちゃん。実はコイツがサイボーグだから少佐とミレニアムを出そうと思ったんだ。後悔はしていない。
 原作において楯無会長と因縁のあるお方だが、本作ではそれ以上にミレニアムと因縁がある。相当な高齢故に、戦闘経験が豊富な強いキャラにしてみたつもり。ゴールデン・ドーンも原作より強めに設定。プロミネンス・コートはライオディアスみたいに使えると思ったんだ。後悔はしていない。

仮面ライダーフォーゼ
 ご存知、『宇宙キター!』なリーゼントの高校生が変身する仮面ライダー。髪型のせいなのか、ジョジョネタが結構多かった気がする。
 実は『対京都上陸戦第1次あしか作戦』の目的はアストロスイッチを作る事が目的だったりする。失敗こそしたが、ゴクローは大惨事先輩……もとい、大文字焼きはしっかりと見て、幻視して満足して帰った。

次回、束とラウラとクロエが登場。
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