週に一回の投稿を目指してみたけど、思ったよりキツイかった。
次は2週間後位になるかと思います。それでは読者の皆様、良き週末を……。
ドイツ軍の追っ手を撃退し、デウス・エクス・マキナ号が往く。いやにハイテンションなウサギを乗せて。
「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ、束さんに教えてよ~。ねぇねぇ~」
「うるせぇなウサギ女! ちゃんと『白騎士』と『暮桜』のISコアは渡したろうが!」
束がしつこく俺にさっきのアレはなんなのか、グルグルグルグルと俺の周りながら、ねぇねぇねぇねぇとしつこく聞いてくる。
アンクの言うとおり、『白騎士』と『暮桜』のISコアは既に渡してある。このデウス・エクス・マキナ号に隠されていた。他にも何かとんでもないものがある気がしないでもない。
だが、『オーズ』が束の興味の対象となってしまったらしく、さっきから猛烈にアピールされている訳だ。
「……ねぇ。もしも、教えて調べさせてくれるなら、束さんの事好きにしていいよ?」
くるくる回るのを止めて、今度は後ろからぎゅーっと抱きつかれ、耳元でやたら艶のある声でそんな事をささやかれた。禁断の果実をグイグイと背中に押し付けてくるし。
しかし、何でもとな。それなら俺が提示する条件はただ一つ。
「本当に好きにしていいのか?」
「そうだよ。好きにしていいよ」
「それなら、歌を歌ってくれないか?」
「……歌?」
コテンと首を傾げる束。彼女にとって予想外の答えだったようだが、俺の答えに不服だったヤツがいる。
「おい! 『オーズ』の情報の代価が歌って、何考えてやがる!」
「束にその可愛くて綺麗な声で歌を歌って欲しい! それが俺の欲望だ!」
「全ッ然ッ! 割りに合わねぇっつってんだ馬鹿!」
いいじゃないか、どこぞのリア充破壊爆弾を撒き散らす蜘蛛のドーパントとは違うんだから。無理やり掻っ攫って『俺だけの為に歌ってくれ、メリッサ~』とか言った訳でも無い。
アンクと割りとガチで言い争いになって、結局しばらくの間、束のラボに居候する事で決着した。もちろん、束には歌もきっちり歌ってもらう。
野を越え、山を越え、海まで越えて、漸く砂漠地帯に造ったと言うラボに到着した。周りには位置関係の参考になるような物は何も無い。
「オ~プンセサミッ!」
束がどこぞの『天の道を行き総てを司る男』の様に天に指を向けて叫ぶと、地下にあるラボへ通じる入り口が現れた。この怪物マシンが入るほど大きい。怪物マシンを指定された位置に格納して、束の後ろをついて行くと、さっきのラウラ・ボーデヴィヒとよく似た子が待っていた。
「くーちゃん、ただいまー! 今日はお土産があるんだよー!」
「お帰りなさいませ、束様」
束にとって俺達はお留守番しているこの子のお土産と言う認識なのか?
くーちゃんと呼ばれた少女は両目を閉じているが、特に問題なく行動できるみたいだ。盲目なのか、それ以外の理由で閉じているのか。
「初めまして、ゴクロー・シュレディンガーだ。こっちはアンク」
「初めまして、私はクロエ・クロニクルです。以後お見知りおきを」
●●●
束に『DXオーズドライバーSDX』を提出し、『オーズ』の戦闘データをモニターに移したとき、クロエが両目を開けた。開かれたクロエの両目は金色の瞳と黒色の白眼だった。両目を閉じていた理由はコレか。
先程のクラリッサとラウラとの戦闘データを見た後で、クロエはこっちをじっと見つめてこう言った。
「……何も聞かないのですか?」
「聞いて欲しいのか?」
「………」
「まあ、予想はつくがな。さっきの眼帯女はドイツ軍のデザイナーベイビーだ。それとよく似たコイツも同じ計画から生まれたデザイナーベイビーってトコだろ。ここに居るって事は失敗作ってトコだろうな」
アンクめ、言わんでもいい事を。どう考えても触れて欲しくない話題だろうに。
「はっ! お前が聞かないから言ったまでだ」
「……ラウラ・ボーデヴィッヒ。アレはなれなかった私の完成形」
「……完成形ね。そんなに価値のあるものとは思えないが」
「ッッ……完成形の貴方には分からない」
完成形の貴方? この俺が?
そう言われてつい笑ってしまった。
「何が可笑しいのですか……」
「冗談はよしてくれ。俺なんて出来損ないもいいところだ。俺も。アンクも。ドライバーも。結局のところはコピー商品さ」
「うん? ちょっと待って? それってつまり本物があるって事だよね?」
束が俺とクロエの会話に入ってきた。まあ、気になるわな。そんな事を言われれば。
「……今から話す事は真実だ。今から言う言葉に嘘は無い。その前提で話をする」
それからこの世界に来た経緯とミレニアムの活動をアンクと一緒に話した。
ミレニアムの奇妙な実験。ISを模倣して作られた仮面ライダー。アンクの誕生。コアメダルとガイアメモリの製造。
俺自身も、アンクも、このDXでSDXなドライバーも、全てが紛い物なのだと言う事を。
「平行世界の人間ねぇ。確かに信じがたいけど、束さんは信じるよ。そうでないと辻褄の合わない事もあるし」
束の近くには『白騎士』と『暮桜』のISコア。そして、さっき俺が取り出したエターナルメモリとロストドライバー。
アンクが言ったことで分かったことだったが、『ミレニアム』は『仮面ライダーエターナル』の教材として『白騎士』と『暮桜』のISコアを回収したとの事。何故、俺に詳しく教えなかったのは疑問だが、絶対裏で何かやったな。
「そう。俺の身体は他人のクローン体で、ドライバーも模倣した紛い物。本来ならこの世界に居ること自体が間違っている……と言っても良いだろう」
「……それでも見方を変えれば貴方は成功例です」
「そうだな。ミレニアムから見れば俺は成功例だった。だが、それは俺とは関係ないだろ?」
「………」
「むしろ、成功した事で、他人の求める人間になる事を強いられる。俺の意思とは無関係に。それは造った人間からすれば当然の事で、造られた人間のあるべき姿なんだって感じがした。実際、そんな感じだった。だが、『そこ』に『俺』は居ない」
シュラウドが俺に憎しみを植えつけようとしたように。大隊のメンバーが俺に自分達の憎しみを晴らしてもらおうとしたように。
少佐も俺を仮面ライダーにしようとしていたが、少佐は『俺』を見てくれていた。何故かは分からないが、そんな感じだった。
「誰が何と言おうと、俺は俺だ。俺は俺として生きて、俺として死にたい。この体が、この名前が、この手に掴んでいる力が、この生きている世界が本来のものじゃないとしても。ここにいる俺は、紛れも無く俺だ」
右手を心臓の位置に置いてしっかりとクロエの両目を見つめて宣言する。
俺は俺なのだと。
「それでクロエ。君は一体何者なんだ?」
「私は……クロエ・クロニクルです」
「そうだ。クロエ・クロニクルだ。クロエ・クロニクルとして生きて、クロエ・クロニクルとして死んでいく。君がクロエ・クロニクルだからだ。俺は俺で、君は君だ」
○○○
『白騎士』と『暮桜』のISコアを回収してくると単身飛び出していった束様が見た事も無い巨大なマシンに乗って帰ってきた。
マシンと一緒に束様が連れてきたのは、『白騎士』と『暮桜』のISコアを奪取したと言う『ミレニアム』なる組織の構成員にして、開発した対IS最終兵器『仮面ライダーオーズ』の使い手とその相棒。
ゴクロー様とアンク様。
束様は彼らの戦闘記録を私に見せてくれた。その対戦相手の一人がよりによって、ラウラ・ボーデヴィッヒだった。
私の成れなかった完成形を倒した所を見せられた。それを見てこの人も私の成れなかった完成形なのだと思った。そんな思いとは裏腹に、ゴクロー様は自分の事を笑いながらコピー商品だと言い切った。
ゴクロー様の話した内容はとても信じられない話だった。しかし、束様は信じた。私にはイマイチ分からないが、そう考えると辻褄の合う事も幾つか有るのだとか。
才能の有る者は、それを持っていない者の気持ちを理解できない。ゴクロー様は持っている人だから『完成形に意味があるのか』なんて事が言えるのだと思っていた。
それは違った。
さっきの話が本当なら、ゴクロー様は本来の自分から紛い物になってしまったのだ。本来の自分の記憶を持つゴクロー様はどんな気持ちだっただろう。他人から『他人にとって都合のいい偽物の自分』を求められて、『本来の自分』を求められない。
私には想像する事しか出来ないが、この世界の目に付くもの全てが、自分が為してきた事全てが、何もかもが紛い物だと思ってしまうのではないだろうか。
ゴクロー様は自分の胸に手をやって、私を真っ直ぐに見て言った。
「この体が、この名前が、この手に掴んでいる力が、この生きている世界が本来のものじゃないとしても。ここにいる俺は、紛れも無く俺だ」
ゴクロー様に何者なのか尋ねられて、私はクロエ・クロニクルだと答えた。
何の事はない、さっきも言った自己紹介の言葉。
しかし、それは完成形であるラウラ・ボーデヴィッヒと、失敗作の自分を比べて、自分に言い聞かせるつもりで、自分を慰めるつもりで、自分に仕方ないのだと言い訳をするつもりで。
この名前を口にする度、そんな思いを自分で知らず知らずの内に込めていたのではないだろうかと思った。
「そうだ。クロエ・クロニクルだ。クロエ・クロニクルとして生きて、クロエ・クロニクルとして死んでいく。君がクロエ・クロニクルだからだ。俺は俺で、君は君だ」
ゴクロー様の目はとても力強く、確固たる自分を持っている様に見えた。
そして、私は唐突に言葉ではなく心で理解した。
この人の考え方が、この人の生き方こそが、ラウラ・ボーデヴィッヒではない、私が心のどこかで求めていた『クロエ・クロニクルとしての完成形』なのだと。
例えこの体が幾らでも何度でも造れるモノなのだとしても。
きっと人工的に合成された遺伝子が私の全てなのだとしても。
この心は、この意思は、この魂は、私だけの唯一無二のオリジナル。
私は……私なのだ。
私はクロエ。クロエ・クロニクル。
真っ直ぐに、堂々と胸を張って言える様な気がした。
○○○
ずっとクロエの目を真っ直ぐに見つめて、クロエに若干ネタの入った自分の考えを話し続けた。クロエの顔が、何か憑き物が晴れたような、何か悟ったような顔になった……と思いきや、なにやら今度はハッと思い出したように俺に質問してきた。
「あの、気になら無いのですか?」
「何が?」
「えっと……いえ。何でもありません」
「そうか」
「くーちゃんは目の色が気になら無いのかって聞きたいんじゃないかな?」
束に指摘されて、クロエに別に気になら無い事を伝える。白眼が黒目のメンバーも居たからだ。それ以上に目立つ刺青が体の右半分に入っていて、『THEガッツ』のコスプレが異常に似合う男前な姿の方が目に付いたし。
「ところでクロエ。俺の髪を見てくれ。コレを見てどう思う?」
「えっと……金髪に黒のメッシュです」
「おう。お揃いの色合いだ。気にしてるって点でも」
「そうなんですか?」
「ああ。せめてどっちかに統一されればと思ってるだけど、染めるのもな……」
大道克己が茶髪に青メッシュだが、俺は金髪に黒メッシュだ。
当初は童顔のフィリップ似のショタだったが、成長するにつれて段々と克己っぽくなってきたことが余計に髪の色を「なんだかな」と思わせるのだ。
しかし、毛根にダメージを与えたくないので、染める事は今後も考えていない。
「私はカッコ良いと思いますよ?」
「ありがとう。クロエの目も綺麗だよ」
クロエが褒めてくれたので褒め返す。自分がコンプレックスとして気にしている所を褒めてくれたなら、尚更褒めてあげなければなるまい。
「……そ、そう言えば、アレの事を兄妹と言っていましたよね?」
「……ああ」
少佐からラウラの事を聞いたときに、劇場版『AtoZ~運命のガイアメモリ~』の大道克己がフィリップに言った台詞を、ラウラに会った時に是非とも言ってみたかったんだ。しかし、一応は妹に当たるラウラをアレ呼ばわりとか……まあ、仕方無いとは思うけど。
「それなら、私だって兄妹と言っても良いですよね?」
「ん? まあ……そうだな」
「それで、ですね……兄様と……呼んでもいいですか?」
クロエは下を向いて指を動かしながら、ぼそぼそと小声で話しているが、ちゃんと聞こえているし、クロエの耳が真っ赤になっている。
「いいよ」
「! はい!」
「お前、随分軽く言うな……どうなっても知らんぞ」
即答した所為なのか、アンクが若干呆れた目で俺を見ている。良いじゃないか、こんな妹分ができても。束が驚いた目で見ているが気にしない。
クロエが兄様と呼んでから2時間程経過した頃、俺はクロエとキッチンにいた。
「ハンバーグはひき肉を使うよりステーキ肉を包丁でミンチにした方が美味い」
「なるほど、勉強になります」
しばらくここにいるのだから料理の一つでも手伝おうと思った訳だが、提案して料理が出来ることを言ったら、クロエが料理を見て欲しいとモジモジしながら言ってきた。可愛い。
話を聞くと、束から『女の子は料理の一つも覚えないといけないんだよー』と言われてクロエが料理を担当しているのだが、どう頑張ってもクロエは消し炭かゲルしか作れないらしい。しかも束は一切教えないときた。それでも束は美味しいと食べてくれるのだが、いつも申し訳ない気持ちで一杯なのだと言う。
「肉を捏ねる前に手を冷やして置かないと駄目だ。肉の脂が手の温度で溶けて不味くなるからな」
「はい、兄様」
ミレニアムではまともに料理を作れるのはドクとバトラーのおじいちゃんだけだった。女子連中は基本的に料理しないので、飯は自分で作る事が基本となり、それなりに作れる。
ちなみに最初に教わった料理は、ドクがザワークラフトを作る為のキャベツの栽培方法で、バトラーのおじいちゃんはバーホーテンのココアの淹れ方と、紅茶の淹れ方である。……何か違う気がしたけど。
その日の夕食はクロエが初めてまともに作れたと言うハンバーグだった。型を作って焼いた目玉焼きも乗せて『ローゼンメイデン』の花丸ハンバーグ風にした。
笑顔でハンバーグを食べる束以上に、それを見て満面の笑顔を浮かべるクロエに癒された。キャワイイ。
「えへへ。ちゃんと出来ました、兄様」
「……ああ、次はオムライスだ……」
次の瞬間、俺は何故かアンクに殴られた。何でも「よくわからないが、おかしな雰囲気を察した」かららしい。
○○○
『マトリックスはお前を見ている。白兎を追え』
そんな意味不明のメールに、行方不明になった『白騎士』のISコアと、凍結封印されている筈の『暮桜』のISコアを秘密裏に奪った組織があり、その拠点の座標が記されていた。
そんな情報が私のラボに送られてきた。この束さんの手でも何故か逆探知する事が出来なかったが、それが逆にこの情報の真実味を感じさせた。
正直、罠の匂いがぷんぷんするけど、『白騎士』と『暮桜』は私の作ったISの中でも特に思い入れが有るモノだ。まあ、この天才束さんの手に掛かれば無問題でしょと考えて、愛しのくーちゃんにお留守番を頼んで出発した。
現場に着いたら、何やら激しくドンパチしていたからチャンスを伺っていたんだけど、突然下から来た強烈な衝撃で気絶してしまった。
気がついたら、見たことの無い男と赤い鳥が居た。男の方は興味無いが、赤い鳥の方はISコアみたいな反応がある。ちょ~っと興味が湧いて『分解して』調べようと思ったら、空気の読めないドイツ軍人がやってきた。勝手に目的を喋ってくれたケド、こりゃ束さんの事もついでに捕まえるつもりだね。
そう思っていたら、赤い鳥のアンクことアンくんが取引を持ちかけてきた。まあ、悪い取引じゃなかったからOKした。どうやって切り抜けるのか興味あるし。
それからの展開には驚いちゃったよ。男の方が見たことも無い道具を使って、変身してドイツ軍人を二人も倒しちゃったんだよ。ISの様な反応があるけど、ISで無い様な不思議な道具だった。変にヒーローっぽいのが気になるけど。
それで男の方、ゴクロー・シュレディンガーのゴッくんの方に興味が湧いたんだけど、変な奴だと思った。
全然相手してくれないから、試しに胸を押し付けて『私の事を好きにして良い』と言ったら『歌を歌って欲しい』と言ってきた。言っては何だが、これでも結構スタイルには自信があるし、経験はないケドそーゆー知識も有る。普通なら男はこーゆー時は興奮して下世話なことを提案するんじゃないの?
まあ、それを免罪符にして油断した所で奪ってやろうと思ったんだけど、ちょっと予想外な提案だったからどうしようかと思った。アンくんと本気で言い争っていたから、多分本当に私に歌を歌って欲しかったんだろう。
でも、今まで声が可愛くて綺麗だ何て言われたことあったかな……。
ラボに戻ってゴッくんとアンくんの話を聞いてドライバーを軽く解析してみた。なんとも出鱈目な話だけど、あの2人は嘘をついてないと機械に出ているのだ。束さんが作ったものだから信じるしかないね。
このオーズは、ドライバーは器で三分割したISコアを交換して戦うようなもの……と言うのが正しいのだろうか。
それ故に、同系統の三枚を揃える事で本来のISコアと同じ状態にして、経験値を稼いでレベル2にならない限り、ISで言うところの『単一仕様』が発動しないんだろう。
中々興味深いけど、これは成長させる為にかなりの労力と時間が掛かるね。
エターナルと言う0号の方も興味深い。でも『マキシマムドライブ』とか言う最大出力は一度も使ってないみたい。ゴッくんに理由を聞いたらこう答えた
「エターナルのマキシマムは、実質生身の人間に最低でも12tの蹴りを叩き込むような技だ。そんな文字通りの必殺技そうそう使えるわけがないだろ」
エターナルの必殺技『エターナルレクイエム』は、『暮桜』の『零落白夜』と同じような能力だ。対象のエネルギー全てを消滅させ、シールドバリアーを斬り裂くことで相手のシールドエネルギーに直接ダメージを与えられるこの能力は、一歩間違えば人を殺してしまうような能力。
正直、束さんは有象無象なんてどうなっても良いと思うんだけど、ゴッくんはお人好しなんだね。大事だろうドライバーを二つとも束さんに預けるなんて、不信感とか無いのかな?まあ、そのお人好しに免じてドライバーは解析するだけにしよう。
もっとも、『白騎士』と『暮桜』のISコアを、他の24個のISコアみたいに破壊していたら、これらのドライバーもメダルもメモリも全部、一つ残らず、完全に分解してやるつもりだったけどね。
他にも、プレゼンターとの接触を目的としたドライバーについても教えてもらったし、データも見せてもらった。こんな事も考えてたんだね、君達は。
うん。いつか、月に秘密基地を作るのもいいかも知れないね。
中々に有益なものが手に入ったけど、それ以上に予想外な、そして面白くないことが起こった。
くーちゃんがゴッくんに懐いている事だ。幾ら束さんの事をママと呼んでと言っても、全然呼んでくれないくーちゃんが、ゴッくんの事を兄様と自分から呼んでいる。
今までほとんど成功しなかった料理を教えてもらって、今迄で一番上手くできた料理を私が美味しいと言った時は、くーちゃんは嬉しくて仕方が無いって感じの笑顔を見せてくれた。ずっと傍に居たけど、あんなくーちゃんの笑顔は一度も見た事が無い。
あれから毎日、ゴッくんからお料理やお菓子の作り方を教えてもらっているくーちゃんは実に楽しそうだ。何故か2人で執事服とメイド服姿でラボを掃除してた時もあったが、それも楽しそうにしていた。
面白くない。とっても面白くない。
くーちゃんとゴッくんが2人で居るのが面白くない。
それであることを考えて、二人きりになったときに聞いてみた。
「ねえ、ゴッくんはもしもくーちゃんがピンチになったら助けに行く?」
「ん? そりゃ、勿論助けに行く」
「それじゃ、束さんがピンチになったら助けてくれる?」
「ああ」
「……それでもしも、世界中がゴッくんの敵になっても?」
「問題ない。クロエも束も助ける。あれだ、数日前からの長い付き合いってやつだ」
即答だった。そこまで言うなら証明してもらおうじゃないか。
隠しカメラにはさっきの会話がちゃんと撮れていた。あとは、こないだの戦闘とは比べ物にならない位の状況を作り出すだけ。とてつもなく危機的な、絶望的な状況こそ、人の本性が顕になる。
その本性が、今まで見てきた有象無象と同じ、口先だけのクズなのか。
そこらへんに転がっている凡愚と同じ、いざとなれば平気で掌を返すのか。
恥も外聞も無く無様に泣き出して助けを求め、許しを請うのか。
或るいは、私達を生贄にして自分だけ助かろうとするのか。
どっちにしたって、その本性を見ればくーちゃんも幻滅するだろう。そしてまた、前みたいに2人きりでどこかで暮らそう。
それとも……本当にその言葉の通りに、助けてくれるのかな。
「見せてもらうよゴッくん。偽物を使う偽者が、どれだけ本物を相手に戦えるのか」
どうしても確かめたい。
ゴッくんの本性を。
その言葉が嘘ではないのかどうかを。
○○○
ゴクローとアンクが束のラボに居候してから一週間後。『テロリストに拘束された篠ノ之束博士を救出する』と言う大義名分を掲げて、複数の国の軍部のIS操縦者で構成された複数の国からなる連合軍が、大量のISが束のラボを取り囲んでいた。
キャラクタァア~紹介&解説
篠ノ之束
原作において『それもコレも全部篠ノ之束って奴の仕業なんだ』と言われる全ての元凶にして、本作における少佐の宿敵。そしてシュラウドの怨敵。興味のある事には全力疾走な狂ったウサギ。その為なら使えそうなものは全部使う。人間不信の気があるが、その本心は……。
面白そうな玩具位の認識でゴクローとアンクを拾ってきたつもりだが、実の娘として扱っているクロエがゴクローに懐いた事によって嫉妬の黒い炎をメラメラと燃やす。その結果、多少の期待を込めて、自身を利用してライダー大戦ならぬ、IS大戦を引き起こす。ちなみに自分とクロエだけは安全に逃げる算段を既につけている。
クロエ・クロニクル
ラウラの姉にあたる束の娘。ゴクローとの会話で、少佐によく似た『私は私だ』と言う信念を持つに至る。自分の完成形を見つけ、自分から完成形の妹ポジに立候補。『範馬刃牙』の烈海王みたいに巨大な自分自身の完成形(幻影)じゃなくて良かったかもね。
オルコットサンド以上の壊滅的料理テクニックはゴクローと二人で作れば問題ないが、一人で作ると『きんぴらゴボウ』を作るつもりで『金ぴかゴボウ』を作ったり、『芋の煮ころがし』を作るつもりで『芋の二個焦がし』を作ったりする。まあ、改善はされている。
白騎士&暮桜
本作におけるミナ・ハーカーポジにして、ある意味でアーカードポジ。打倒すべき敵として、仮面ライダーに立ちふさがってもらう為に破壊されずに残されていた。
原作における白騎士のISコアの行方不明と、暮桜の凍結理由となった私闘は、本作においては『ミレニアム』って奴等の仕業なんだ。でも結局は束の元に無事に返った。ちなみにマトリックスメールの送り主は少佐。