遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

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潤「なにこのサブタイ、俺の心の代弁?」

( ゚д゚)「ハロウィンの悪夢再来」

潤「あの時と同じようなことになったらお前殺すわ」

( ゚д゚)「何故に!?」

潤「何で殺されないと思ったんだよ」



第二話 何、お前らそんなに俺を追い詰めたいの?

『うおお後ろ取られたあ!? ちょ、ヘルプ! 誰か助けてくれえ!?』

 

「だから後方注意もしろって言っただろ阿呆が…おい剛、カバーしといたぞ」

 

『さっすが! 愛してるぜ、潤!』

 

「キショい去ね、この世から」

 

『死ねよりひでえ!?』

 

『遠山君、そっちの援護向かおうか?』

 

「いや大丈夫だ、亮はそのまま拠点落としてくれ。ここで沈めば、俺達が落とされても挽回できる」

 

『了解、任されたよ』

 

 どうも、遠山潤です。現在男三人でゲーセンプレイ中である。戦〇の絆は古い? よーし今言ったやつ表出ろ、ジャイアントバズの餌食にしてやる(マジ顔)

 

 剛の奴が突撃ばっかするから危うく負けそうだったが、亮が拠点を落としてくれたおかげでなんとかなった。頼りになるは冷静な仲間である、いやマジで。

 

「ふう、お疲れさん。勝ったしいい時間だからメシでも行くか、奢るぞ」

 

「いいのかい? それじゃあ折角だし、ご馳走になろうかな」

 

「おい潤、A5ランクのステーキ食いに行かねえか? 近くに店が出来たらしいぞ」

 

「お前は少しくらい遠慮しろ」

 

 被撃墜数一番多かった奴に選ぶ権利はねえよ。

 

 亮の希望で、学園島内にあるとんかつ屋で夕飯を食うことになった。選んだ本人曰く、一人で入る雰囲気じゃないけど入ってみたかったとか。女子向けの喫茶店に入れない男子みたいだな(←一人でも甘味を求めて突撃する奴)。

 

「野郎だけで集まるのも、久しぶりな気がするな」

 

「そうだね。大抵は遠山君が女の子を引き連れてるし」

 

「その言い方だと俺が尻軽みたいなんだが。エルでも呼ぶか?」

 

「実際尻軽だろうが轢くぞオラァ羨ましい! というか女顔でも男を増やしてどうするんだよ!?」

 

「とんかつ食いたがってたのを思い出した」

 

 まあ今日呼び出しても断られるだろうが、しかし良かった、剛の奴は可愛ければいいやって程飢えてる訳じゃないみたいだな。

 

「なんか不本意な安堵の仕方してねえか潤」

 

「気のせいだろ、冤罪は武偵法三倍だぞ」

 

「そういえば遠山君、唐突に誘ってくれたけど何かあったの? 明日はイベントでしょ?」

 

「可愛い女子からチョコを貰える素敵デイ、バレンタインがな!」

 

 愛を成就させるとかではないのな。

 

「そのチョコを作るからって追い出されたんだけどな。『お兄ちゃん、今日はキッチンが戦場になるからどっか行ってて! できれば朝まで帰ってこないで!』って言われて」

 

「あーなるほど……大変だね、女性との同棲は」

 

「同棲じゃなくて居候な」

 

 色々教務課に働きかけて黙認されてるけど、変な言い方するとまた面倒な絡まれ方されるから勘弁してくれ。追加の賄賂、もとい心付けを用意するのが面倒なんだ。

 

「いーいよなあ貰えるあてがある奴はよお! なあ不知火!?」

 

「うーん、あんまり多いとお返しが大変になるんだよね……」

 

「お前もかブルータス!?」

 

 店ででかい声出すなよ、迷惑ーーいや店員さんに他のお客さん、何うんうんって頷いてるんだよ。ここはモテない野郎の巣窟か(スゴイシツレイ)

 

「で、実際どうするの? 遠山君」

 

「どうするって、何がよ」

 

「いや、チョコを貰ったとして、そこでもしかしたら告白されるかもしれないでしょ? 遠山君の場合、複数の女の子からされる確率が高いから、どうするのかなーって」

 

「てめえ潤、恋愛に興味ありませんみたいな顔して抜け駆けどころかハーレム作るとか「そろそろうるせえ」」

 

 ノーフレームで目潰ししてやった。いい加減迷惑なんだよ、俺に(真顔)

 

「うおああああああ!? 目が、目がああ!!?」

 

「うわあ……すごい痛そうだね」

 

「失明する威力じゃないから大丈夫だよ、それに股間クラッシャーされるよりはマシだ」

 

「それは怖いね……で、実際どうなのかな?」

 

 やけに食いつくなコイツ、誰とくっつくか賭けでもしてるのか? というかお前こそ身を固めろよ、アテは校内外問わずあるんだから。

 

 まああれだ、

 

「多分そうなった場合、俺の意思に関係なく包囲網が出来ると思う。ロマン? 純愛? 何それ食えるの?」

 

「……あー」

 

 納得しちゃうか―、じゃあどうしようもないな。というかウチのメンツは一人に惚れてる癖して、マジの奪い合いとか喧嘩しないで自然と結束出来てるんだよな、恐ろしいわ(ほっといた奴)

 

 余談だが去年、蘭豹先生が一目惚れしてた男にチョコを渡そうとしたら逃げられ(斬馬刀背負ってたらしい、阿呆なのだろうか)、その腹いせに危うくバレンタインを中止する暗黙のルールが出来そうになったらしいが、俺がその人を探し当てて仲介し、何とか渡すのに成功したらしい。

 

 なんで俺がやんなきゃいけなかったんだろ、いや武偵校中のモテない男女達から依頼されたからなんだけどさ。

 

 オチは一か月も経たずに振られたらしいけどな。お陰で卒業式シーズンに暴れて、校長先生にこっぴどく叱られてたっけ。『お前のせいやぞ遠山あ!』とか八つ当たりされたけど、俺が何したよ(白目)

 

 

 さて、明けて翌日二月十四日、世はバレンタインデー。昨日は適当なビジネスホテルに泊まったため、ちょっと遅めの登校だ。家主なのに追い出されるってなんなんだろうな(悟りの目)。

 

 教室に入ると、三学期にもなって座る奴が減る席は、今日に限って満員御礼。男女問わず独特な空気を放っている気がする、何この無意味な攻防を警戒しているみたいな状態。

 

「あ、ジュンおはよう。はいこれ、ハッピーバレンタイン」

 

「お、サンキュ―アリア。お前さんが一番手か」

 

「そりゃまあ、お世話になってるしね。義理チョコだけど、ありがたく食べなさいよ」

 

「お返しはレオポン型のお菓子で「期待してるわ」」

 

 食い気味に返事されたよ、型造らないと(決心)

 

(((((そんなあっさり渡し渡される、だと……!?)))))

 

 なんかクラスメイトから畏怖の視線を向けられてるんだが、なんだお前ら。このももまん風味チョコは俺のだからやらんぞ(違)

 

 

※ここからダイジェストです

 

 

屋上 休み時間

「キンジさん、ハッピーバレンタインです」

 

「お、レキありがとな。まさかお前さんから手作りを貰えるとは」

 

「理子さんに折角だからということで誘われましたので。味は保証できませんが」

 

「いやいや、十分だよ。お、チョコクッキーか」

 

「皆さん、ジャンルが被らないようにしていますので」

 

「そか。気遣いに感謝だな」

 

「……」ジ―

 

「……」

 

「…………」ジジー

 

「……食べるか?」

 

「はい、ご相伴に預かります」

 

 色気より食い気だなこの子は、ホントに。

 

 

昼休み、教室

「さてジュン、私からもこちらを差し上げます」

 

「……お前料理できたのか、メヌ」

 

「失礼ね、抉り穿つわよ。リサに教えてもらって出来るようになりました、お姉様よりは上手よ」

 

「メヌより先に教わって抜かれるアタシって……」ズーン

 

「手先が器用だからな、仕方ねーべ。さて、中身はーーお、チョコドーナツか」

 

「ただのドーナツじゃないわ。なんとーー」

 

「なんと?」

 

「チョコとドーナツには、市販の十倍相当に達する高カロリーの材料を練り込んだわ」ニヤァ

 

「「「「「!!」」」」」

 

「へえ、どれどれ。……うん、クッソ甘いけど美味い。カロリーだけじゃなく、味もしっかりしてるな。上手じゃん、メヌ」

 

「「「「「!!?」」」」」

 

 ……なんか女子から恐怖の視線を向けられてる気がするが、気のせいか?

 

「当然よ、その気になれば料理くらい余裕です」

 

「かなえさん直伝だもんな」

 

「……そうよ、悪い?」

 

 恥ずかしそうに顔を背ける。相変わらず、母代わりのかなえさんには弱いなあ。

 

「悪くないさ、寧ろ美味くてありがたい」

 

「そう、それならいいのよ。……ふふっ」

 

「? 何よ」

 

「いえ、誰かに食べてもらうのもいいものだと思いまして。

 あ、ちなみにカロリー以外にも隠し味がありますので」

 

「カエルの肉とか言わないよな」

 

「それは合わないでしょ……桃子特製のシロップよ」

 

 毒じゃねえか、クロロホルムかトリカブトでも入れてるのか。どっちも甘くなるし平気だけどさ。

 

 

昼休み 生徒会室

「あ、潤ちゃん! ごめんね、呼び出したりしちゃって」

 

「別にいいぞ、用事あるわけでもないしな。それで、呼び出したってことは」

 

「はい、ご期待通りのーーハッピーバレンタイン、です!」

 

「ありがとな、今年もくれて。

 お、チョコの大福とーー栗ようかん?」

 

「あ、ようかんは風雪からの分だよ。潤義兄様にお渡しくださいって言われて。チョコはあんまり自信ないから、これにしたんだって」

 

「ようかん造る方が難易度高いと思うんだが。

 ……うん、美味しい。チョコ大福、しつこすぎないくらいの甘さでいい感じだな」

 

「良かった、喜んでもらえて。……あ、あのね? 潤ちゃん」

 

「ん? どした?」

 

「その、来月のお返しなんだけど……お菓子じゃなくて、潤ちゃんでもいいかな、って……」カアァ

 

「いや普通にお菓子用意するから」

 

「真面目!?」

 

 

午後休憩時間 廊下

「おっにいちゃーん!!」ドンッ

 

「おおう。廊下で突撃するんじゃないぞ、マイシスター」

 

「えへへ、ごめんごめん。お兄ちゃんを見たら嬉しくなって、つい。

 さって、モテモテのお兄ちゃんに追撃を選択! これがアタシのチョコだ!」

 

「でっかい声で言わなくても貰うって、ありがとな。

 ……お? 生キャラメルチョコのマフィン?」

 

「うん、チョコとキャラメルの黄金比を求めた自信の一品だよ! リサお姉ちゃんに太鼓判も貰ったし、メヌちゃんには及ばずとも食べ応え抜群!」

 

「あいつのはカロリーで殺しに来てる部類だけどな。

 ……こ、これは……!? チョコとキャラメルの、奇跡のコラボレーショーーオイマイシスター、何一緒に混ぜた」

 

「媚薬成分を抽出したクルミをふんだんに使ったよ!」

 

 なにする気なんだよ、メヌよりは普通の食材だけどさ。あと効かねえからな、俺には。

 

 

放課後 第三男子寮

「ただいまー」

 

「お帰りなさいませ、ご主人様。……すごい戦果ですね、リサはちょっと嫉妬してしまいそうです」

 

「大体は義理だったりお返し目当てだったりだけどな。まあこれだけあれば、三日分の菓子にはなるだろ」

 

(つまりリサ達以外に本気の方もいるのですね……これは負けてられませんっ)

 

「ではご主人様、リサの想いも受け取ってくださると嬉しいです」

 

「もちろん、喜んで。

 ……お、ホワイトチョコで包んだ特大オレオか。というかでかくね?」

 

「ご主人様は甘いものをいくらでも食べられますし、折角なので大きいサイズをご用意しました」

 

 それにしたって薄型のせんべいサイズは予想外だわ。

 

「……うん、ただ甘いだけじゃなくしっかりした味わいだな、紅茶に合うお菓子だ、俺は好きだな」

 

「! モーイ、お気に召していただけたようで何よりです。夕飯はご主人様の好きなものを造りますので、ゆっくりなさってください。

 ……それとも、リサを召し上がりますか?」

 

「今そんなことしたら確実にバレるだろ」

 

 何故だろう、修羅場より便乗される未来が見えた。

 

 

 粗方チョコというかお菓子を受け取り、俺は腹ごなしに近場を散歩していた。夕飯はリサと白雪が張り切ってたからな、少し空けた方がいいだろう。決して意味深な視線を感じたからではない。

 

「あ、来た来た。ユーくーん!」

 

「ん? おう理子、ひょっとして待たせたか?」

 

 女子寮近くにある庭園、そこに座っていた理子がこちらに手を振っている。

 

「ううん、理子が好きで待ってただけだから」

 

 隣空いてるよーと言われたので素直に座ると、笑顔でこっちに身を寄せてきた。寒空の下にいたせいか、いつもより身体が少々冷えている。

 

「わざわざ外で待たなくてもいいだろうに。寒いだろ」

 

「でも理子この場所が好きだし、渡すならここだー! って決めてたから。

 くっふっふー、というわけでユーくん、理子からのバレンタインチョコはー、これだ!」

 

「わあお、こりゃまた甘そうなのが」

 

「スタンダードなストロベリーホワイトチョコだよ!」

 

「お前のスタンダードは世間で言う甘すぎだろ」

 クラスメイト(女子)に友チョコを渡してたけど、あまりの甘さに悶絶してなかったか。砂糖にパルスイート使うのがデフォだし、こいつ。

 

「くふふー、ユーくんは食べられるから問題ないでしょー?

 じゃあ夕飯の前だし、一個だけにしよっか?」

 

「そうだな、そろそろ口の中が甘味一色になりそうだし、そのくらいでーーオイ理子、何してるんだ」

 

「んー♪」

 

 口にチョコを咥え、上目遣いで楽しそうにこちらを見ていた。この状態で食えと?

 

「んふふー♪」

 

「お前な……」

 

 完全に遊ぶ気だな、こいつ。溜息を吐き、チョコに口を近付ける。直接触れなければ大丈夫だーー

 

 

「んー、んっ」

 

 

 ……離れようとしたら理子の腕が首に回され、チョコと一緒に唇が合わさった。

 

「んっ、んうっ」

 

「ん、むっ……」

 

 キスしたままチョコを押し込まれ、甘く蕩けた唾液と舌が混じり合う。脳髄が痺れるような感覚は、気のせいだろうか。

 

「ーーっ、ぷはっ。あはは、ユーくんごちそうさまー。あっまいねえ、美味しかった?」

 

「お前な……」

 

「……あれ、ユーくん照れてる?」

 

「……」

 

 僅かに赤くなった顔で目を逸らし、気まずい沈黙が流れる。さすがに予想外だったんだよコノヤロー、反応に困る。

 

「……え、えっと、じゃあ理子はもう行くね~! お返し期待してるから、ばいばいきーん!」

 

 先に限界を迎えたのは理子だった。赤い顔で、それでも笑顔で庭園を去っていく。帰る場所一緒だけどな。

 

「ったく、なんなんだ……お?」

 

 理子の奇襲と自身の持て余した感情に、甘い味わいとは逆の渋い顔になっていると、口の中に違和感。

 

「……これは」

 

 口から取り出してみると、小さく四つ折りされた紙だった。メッセージカードだろうか、飲み込んだらどうするんだ。

 

 変なところで頭の回らない理子に呆れ、チョコ混じりの紙を開いてみると、

 

 

Je t’aime a la folie(狂おしいほど、あなたを愛している)

 

 

「…………知ってるよ」

 

 フランス語で書かれた紙をたたみ、ポケットに入れる。……ホント、回りくどいなあいつは。

 

 なんとなく、何も考えずに夜空を見上げる。リサが心配で電話をかけてくるまで、ずっとそうしていた。

 

 

 




あとがき
 全員甘い(砂糖吐き)。なおこの結果により、潤の包囲網は順調に縮まっている模様(真顔)
 
 というわけでどうも、ゆっくりいんです。今回は久々の男性陣登場、そして全員から安全にチョコを貰う潤の構図。蘭豹先生を抑えられたのは大きい、他の武偵達も青春を謳歌しているでしょう。

 さて、次回は更に時間を飛ばして『お返し』です。潤の答えと、理子はどう答えるのか? 多分どっちかがちゃんと伝えられないでしょうが(予測)
 
 それでは今回はここまで。読んでくださりありがとうございました。
 
 感想・評価・お気に入り等、いただければテンションが爆上がりして投稿頻度が早くなるかもしれません(真顔)



ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?

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  • 各ヒロインとのイチャイチャを……
  • エッチなのはいいと思います()

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