普通いない方が珍しいんですけどね」
キンジ(以下キ)「……」
( ゚д゚)「どうしましたキンジさん」
キ「いや、一応本編終了したのに今更出番って言われてもな……」
( ゚д゚)「別作品では出番ありましたけどね」
キ「オイその話はやめろマジで。大体一年近く更新してないだろ亀作者」
( ゚д゚)「ガチ遅筆ですいません……」
キ「で、今更俺を出すのはどういう了見だ?」
( ゚д゚)「ちょっとしたテストを兼ねて書いてみました」
キ「なんか嫌な予感するな……まあそういうわけで約四ヵ月半ぶりの更新、良かったらどうぞ」
(; ゚д゚)「具体的な日数言わんといて!?」
「たでーま「キンジ! アンタ、アタシの奴隷になりなさい!!」――はい?」
……どうしてこうなった。
えーとどうも、遠山キンジだ。……誰に言ってるんだろうな、これ。
今俺は、朝の武偵殺し(俺のバイクに爆弾が仕掛けられていた、クソが)で共闘したクラスメイトの女子、神崎・H・アリアにトンデモ宣言をされてた。
『決まった!』みたいな渾身のドヤ顔すんなよ、意味分からねえから。あと人を指差すんじゃありません。
で、タイミング悪く同居人にして同い年の義理の弟、アホ――もとい、遠山潤が帰ってきやがった。
奴は扉開けた体勢のまま、日常ではまず聞けない言葉にしばし固まっていたが、
「……失礼しました。お二人とも、ごゆっくり「って待てお前えええ!?」」
こいついち早く逃げようとしやがった!?
ドアの隙間に足を挟んで閉められないようにし、背中を向けた薄情な義弟の肩を全力で掴んで動きを止める。
「え、何今の動き」とかアリアが驚いてるけど、今はあとだ。コイツ絶対誤解してるし余計なこと言うからな!(経験談)
「イデデデデ!? オイキンジ、脱臼するから離せ!!
つーか空気読んで出てこうとしたのに何故止める!?」
「読んでねえから止めてるんだよ! いいからこっち来い、お前いた方が話早いんだから!」
「嫌だよ何が悲しくてお前らのそういう関係に首突っ込まなきゃいけねえんだ!?
というか女の好みそっちだったんだな!」
「どっちも違うわ! 俺とアリアは想像してるような関係じゃねえ!
大体お前ここで離したらないことないこと言いふらすだろうが!?」
「人を詐欺師かマスゴミみたいに言うんじゃねえよ! 精々白雪と理子くらいだ――」
「オラア!」
「ヨーツンヘイム!?」
確実に暴走する白雪と、喚くスピーカーになる理子とか最悪のチョイスじゃねえか!?
逃げようと抵抗する潤の肩を外し、背骨に膝蹴りを追加でプレゼント。
骨からしちゃいけない類の音が聞こえた気がするけど、潤なら大丈夫だろ(圧倒的謎の信頼)
「おおお、腰が、腰があ……キンジお前、そこまでやるか普通……」
「逃げなきゃここまでしなかったっつうの。ちゃんと(アリアが)説明するからこっち来い、あと交渉役してくれ」
「だが断――わーったよいるから桜花はヤメロォ!? 貸し一つな!」
「菓子一つでいいとは太っ腹だな」
「高級チョコのセット頼んでやろうかコラ」
「ふざけろ、お前俺より金持ってるだろ。
……っと、悪いアリア、待たせちまって。駄々こねてるけど、このバカも話に参加させていいか?」
「え、ええ。大丈夫よ、うん」
……しまった。いつものノリで潤をしばいたが、初見の人間から見ればドン引きの光景なんだよな、これ(一応自覚あり)
まあ後ろで「おーいて、ちったあ手加減しろよ」とか言いつつ、バキボキ骨を鳴らしながら整体してる潤も原因だろうが。もうちょっとどうにかなるだろ、音。
「で、奴隷って何のことだよ」
「
潤が淹れたコーヒー(客がリクエストした通りのもの)を飲みながら言ったアリアの要求は、シンプルなものだった。納得できるかは別だが。
「今朝の動きを見て確信したの。アタシについてこれるパートナーは、アンタしかいないって」
「……まあ、そういわれるのは光栄だが」
テーブルから身を乗り出して真剣な目で見つめてくるアリアに対し軽く身を引きながら、世辞で返す。顔近いっての。
……思い出すのは今朝のこと。アリアと俺が偶然共闘した、バイクジャックの事件。
完全武装したトラックに追われるわ、マイバイクが吹き飛んだと思ったら大量のセグウェイに撃たれるわで散々だった。……やめよう、思い出すと鬱になる。あと犯人見つけたら泣いても殴る(決意)
「しかし、なんで俺なんだ?」
事件時に見たアリアの動きについていけるとしたら、三年の先輩でも一部、二年以下なら両手で足りる範囲だろう。
逆に言えば、全くいないわけではないのだが。
「今理由を言ったじゃない。アンタ、話聞いてた?」
「難聴系ラブコメ主人公じゃないから大丈夫だぞ、体質と経歴はそれっぽいけドーベンウルフ!?」
「うるせえ黙ってろ」
「おおお、鼻があ……お前が話し合いに参加しろって言ったんだろ……」
裏拳入れられた潤は鼻を押さえている。茶々入れろなんて誰も言ってねえよ。
「……ねえ、流石にやりすぎなんじゃない?」
「寧ろツッコミなしだと悲しむから、仕方なくやってるんだけどな」
「……」
「ドMの変態を見るような目はやめてくれないですかねえ神崎さん。俺はノーマルだから」
どう足掻いてもアブノーマルだろ。というか裏拳喰らう直前に動いてダメージ減らしてる癖に、大袈裟なんだよこいつは。鼻血も出てないし。
「……まあ、あんた達がそれでいいなら、アタシから言うことじゃないわね」
「いや変態認定は良くないぞ」
「で、何が不満なのよ? キンジ」
「不満というより、理由もなしにコンビを組めっていうのは流石に無理があるだろ。お互いあの事件が初対面なんだし、信用も何もあったもんじゃない」
「武偵ならそれくらい知っておきなさいよ」
「……」
「スルーいくない」
中々の暴論にどう返すべきか思いつかず横目で潤を見ると、しゃーねえなあとカップをテーブルに置き、口を開く。
「神崎さん、キンジは頼みごとをするなら、筋を通してくれって言ってるんだよ」
「スジ? スシの親戚か何か?」
「いや食い物じゃねえから、仮にそのスジなら肉系だよ。
分かりやすく言うなら、理由だな。例えばだけど、神崎さんがいきなり見知らぬ生徒に話しかけられて、理由も告げずチームに入れって言われたらどう思うよ」
「ぶん殴ってから風穴開けてやるわ」
「血の気が多い回答をありがとう、鏡いる?」
「どういう意味――アタシがそういう輩と同じだって言いたいの!?」
テーブルを叩いて立ち上がったアリアがツインテールを振り乱しながら、ツリ目で思いっきり睨みつける。今テーブル歪んだんだが、どんなバカ力だよ。
今にもガバメントを抜きそうな剣呑さだが、その程度で怯むような遠山潤ではない。兄さんに悪戯して本気でどつき回される直前でも笑ってるからな、こいつ。
「Be cool,be cool。いきなり押し掛けてあんなこと言われたら、そう思われても仕方ないって話だよ。
まあ、言い方が悪かったのはすまんかった。だが、キンジからはそう見えちまう以上、協力を頼むなら筋を通すべきだと思うぞ。相互不理解は不和を生むからな。
Do you undeastand?」
「う……それは……」
(……相変わらず、口が上手いこった)
例を出して分かりやすく伝え、敢えて相手を怒らせるようなことを言ってから素直に謝り、落ち着かせてから会話の主導権を握る。
俺が言いたいこともしっかり伝えている辺り、真面目ならこいつに口で勝てないんだよな、真面目なら(大事なことなのでry)
「それに、頼み事をするならキンジにも利益をやるべきだろ? 相当厄介な案件だろうしな」
「……なんで分かるのよ、厄介事だって」
「いや分からなかったぜ? 今、神崎さんが口にするまではな」
「……」
ブラフを掛けられたと理解したアリアが、むくれてそっぽを向いてしまった。そんな姿も絵になるんだから、美少女というのは本当に「やっぱお前そっちもいけるんじゃねえか」読心するなどつき回すぞ。
「そっちが何とは言ってないんだけどねえ」
「そっちって何よ?」
「いんや、ネコり言。
で、改めて聞くけど。キンジをパートナーにしたい理由は何だ? 強襲科のSランクが二人とか、大抵の事件じゃ過剰戦力もいいとこだろうに」
「……」
アリアは目を伏せ、黙ってしまった。待つ間にコーヒーを飲み干したころ、
「……言えないわ」
ようやく顔を上げて、口を開いてくれた。答えは望んだものじゃなかったが。
「……それじゃあ、協力は出来ないな。理由も言えないのに協力するほど、俺はお人好しじゃない」
女関連なら尚更な。口には出さず、付け足しておく。女絡みで破滅した話なんて、武偵じゃなくてもごまんとある。
「割とそういうとこあるけどなあ、キンジは」
どっちの味方なんだ、お前は。
余計なこと言う潤を睨みつけてやったが、当然のように素知らぬ顔でお茶請けのクッキーを喰ってやがる。実力はともかくメンタルでは勝ちようがないんだよな、こいつには。
「そういう訳で悪いが、他を当たってくれないか」
「……嫌よ、キンジが頷くまで帰らないから! 長期戦も想定済みよ!」
「ああ、そこのトランクって宿泊セットか」
「……はあ!? いや待て、女子が男子寮に泊まるなんて大問題だろうが!?
オイ潤、暢気におかわり注いでないで何とかしろよ!?」
「いやあキンジよ、これお前がイエスマンになるまでどうにもならんと予測するぞ」
神崎さん見てみい、と言われて顔を向ければ――
「……う」
完全に決意した顔になっており、思わず唸ってしまう。こういう表情をする奴は梃子でも動かないのは、経験済みだ。
「いやそれよりも、女子が男子寮に泊まる方が問題だろ!?」
「アンタ達が女をつ、連れ込んでるのは調査済みよ!
……何してるのよ!? このヘンタイ、ケダモノ!」
「誤解を呼ぶ言い方するんじゃねえよ!? 俺は連れ込んでねえ!?
オイ潤、いつもやってるのはそっちだろ!」
「ゲームソフトとお菓子のフル装備を持って突撃してくる理子に釣られた、俺は悪くねエンダーマン!?」
「どう考えてもお前のせいだろうがあ!?」
手加減抜きで桜花の拳骨を落としてやった。凄い衝撃音が響いたが、こいつなら背が縮まるくらいだろ(真顔)
というか最近覚えのない不躾な視線とヒソヒソ声はそういうことか!? 隠蔽くらいしっかりしておけよ、そういうの得意だろお前ら!
(白雪ですら時間になったら帰るのに、こいつはホイホイ女を招きすぎなんだよ!)
いくらヒス的に耐性が出来たとはいえ、マジで勘弁して欲しい。こいつこそ尻軽かタラシの称号を受け取るべきだろ。
「白雪で比較してるあたり、もう抜け出せないところに来てるんだなっテラーバイト!?」
「だから妙な言い回しするんじゃねえよ!?」
「ちょっと、漫才始めたからって誤魔化されないわよ!?」
「いや漫才じゃないからな!?」
「真面目にツッコミ喰らうのも辛いものがあるんですがそれは」
口を開けば余計なことしか言わないからだろ。そもそも手応えからして舌噛んでたのに、なんで普通に喋れてるんだホントに。
(ああもう、どうしたもんだか……)
頭を抱えながら、俺は必死に考える。悪例がいる以上規則を盾にできないし、アリアはどうも男性に対する警戒心が薄いように見える。
潤? こいつ恋愛とかには無関心かつ忌避感全開な癖して、貞操観念がゆるっゆるだから1ナノミリも役に立たん。
(考えろ、考えろキンジ。これ以上変な噂を拡散させないためには――)
ヒステリアモードでもないのに、頭を全開まで回して――一つ、思いついた。潤を巻き込むが、まあこいつだしいいだろ(普段の恨み含む)。
「……なあアリア、お前は俺の腕を見込んで自分のパーティーに入れたいんだよな?」
「何よ急に。何度も言わせないで、アタシにはアンタが必要なの」
「……その言い回しは、勘違いする奴が出てくるからやめた方がいいぞ」
「?」
「え、お前がそれ言う?」
アリアは不思議そうに首を傾げている。うん、俺以上にその手のことに鈍いのかもしれんなこの子。
そしてそこのアホ赤髪、黙ってろ。俺は何も……してない(目逸らし)
「話す気がないならこれ以上理由は聞かん。だが、俺は実力が確かじゃない奴と組む気はない」
「へえ……言うじゃない。それなら、力を見せろってこと?」
俺の目を見てその気になったのか、アリアは好戦的な笑みを浮かべる。小柄な癖に、そういう顔似合うな。もっとも、
「ああ、ただし俺じゃない。そこにいるアホ――じゃなくて、潤を先に倒してもらう」
「――はあ?」「あん?」
二人揃ってぽかんとした表情になる。よし、意表は突けたな(違)
「……アンタ、正気? こいつ、強襲科じゃないでしょ? なのに戦わせるとか鬼なの?」
「なんだ、潤を倒せる自信がないのか?」
「――やっすい挑発ね、上等じゃない。じゃあアタシが二人とも勝ったら、アンタと、アンタの弟をドレイにしてこき使ってやるわ」
「……オーイお二人さん、盛り上がってるとこ悪いけど俺はやるなんて一言も「やるなら俺と白雪に媚薬を盛った一件は不問にしてやる」あれ最高にギリギリの展開で面白かったよナックルジョー!?」
「何も面白くないだろうがバカ野郎!? 二人っきりで放置しやがって、マジで大変だったんだからな!?」
「自制心と欲求の狭間で苦しんでる姿は最高に愉悦でした」
「煩悩の数だけ桜花を決めてやろうか?」
「普通に殺す気か!?」
「墓場に送ろうとした奴が何言ってやがる!?」
「人生の墓場送りとか寧ろ幸せだろ! ご祝儀は剛と連名で弾んでやるよ!」
「それ武藤に対する嫌がらせだろうが!?」
あいつ白雪に惚れこんでるんだぞ!? 本人の口から思いの丈を聞いたら、血の涙を流しながら応援してたけど!
「いーだろ本気で嫌がったらやらねえから! というか桜花の構え取りながらこっち来んな!?」
「改めて反省してないのが分かったし、頷かねえ限り泣いてもボコるからな……!」
「あやばいこれマジでピンチだ」
俺はいつだって(お前へのツッコミは)本気だよ。
「わーったよやればいいだろ、負けても文句言うなよ!?」
「手を抜いたりわざと負けても同じだからな」
「鬼か!?」
「鬼畜外道が何言ってやがる!?」
「アンタ達、いっつもそんな感じなの……?」
「いつもじゃねえよ、いつもじゃ。
……まあそんな訳でアリア、やること決まったからもうここに泊まる意味ないだろ」
「ジュンが逃げたらどうするのよ」
「地の果てまで追いかけてぶっ飛ばしてから連れてくる」
「……そ、そう」
「俺の兄は貞〇か青〇のようです」
人を怨霊みたいに言うんじゃねえよ、お前の方が似合ってるだろ。
「でも、そう言ってキンジの方に逃げられたらたまったもんじゃないから、今日だけでも泊まってくわよ!」
(チクショウ、なんでそうなる!?)
「意味ねえ」
納得させたと思ったら、肝心な部分が解決せずまた頭を抱えることになる。こいつ男女が一緒にいることの問題分かってないのだろうか。
「潤、この頑固娘どうすりゃ……オイ、メールしてないで何か案出せ、案」
「ちょい待ち、今解決するよう仕組んだから」
「は? オイちょっと待て、嫌な予感しかしな「キンちゃん、大丈夫!?」うお、白雪!?」
「お邪魔します!」
「お、おう。じゃなくてどっから入ってきたんだお前!?」
朝と同じ巫女服姿――なのはいいのだが、何故か完全武装になっている白雪が潤の横に開いた黒い穴から出てきた。
というかもう刀抜いて交戦準備完了してるし!?
「潤ちゃん、キンちゃんを誑かそうとした泥棒猫はどこ!?」
「目の前にいるピンクツインテール」
「天誅――!!」
「え、アタシ!? って危なあ!? いきなり何すんのよアンタ!?」
「黙れこの泥棒猫! キンちゃんを奴隷にするとかは、破廉恥なこと!
逆だったら私も考えたけど!」
「何の話よ!?」
「やったなキンジ、愛の奴隷ゲットできるぞ」
「そんな趣味ねえよ!? なんで白雪呼んだお前!?」
「一番手っ取り早く解決出来る人材を選んだ」
それ以上に混沌としてるだろうが!?
刀振り回してアリアを追いかけている白雪の姿を横目に、やりきった顔な潤の襟首を掴んで全力で揺らす。
もちろんこの程度では応えてないどころか、
「白雪ー、神崎さんここにお泊まりしてキンジをゲットしようとしてたぞ」
「このアバズレ(ピ――――)女が――!!」
「ホントなんなのよー!? というか(ピ――――)って何!?」
「そんな言葉口にするなアリア!? というか白雪、頼むから落ち着いてくれ!」
「いやあカオスですあだだだだだ!?」
「お前のせいだろうが愚弟!?」
気分は観戦モードになってるんじゃねえよ!?
ヘッドロックを掛けるが、いてえいてえと喚くだけで止める様子はない。ホント何も考えてないのかこいつは。
結局「もーキレた!」と叫びながら反撃を行ったアリアだが、バーサーカーモードの白雪に銃弾は切られるわ、刀は弾かれるわで散々な目に遭い、
「もうやだなにこいつー!?」
と、半泣きになりながら部屋から出ていった。結果としては当初の目的を達成した、達成したけどな……うん(遠い目)
余談だが、アリアのお泊まりセットはそのままになっていた。俺を心配した後謝り倒した白雪が、心底憎々しげながら回収していたが。
……切り刻んで返したりしないよな?
「ガルルルル……」
「めっちゃ唸ってるし睨まれてるんだけど」
「当たり前の自業自得だろ。ほら、潔く死にに行ってこい」
「完全に生贄じゃないですかヤダー!?」
どっちかというとサンドバッグだろ(真顔)
ドレイ宣言と白雪強襲から翌日、強襲科の訓練棟で唸りながら対戦相手を待ち構えているアリアに対し、逃げようとする潤をぶっ飛ばしてから引きずってきた。
なんでこっち見た瞬間クラウチングスタートで逃げたんだ、このアホは。
「この鬼畜女タラシガリガリクン!?」
「誰が女タラシだ!? というかお前に言われたくないわ!?」
「俺だってねえわタコ! というか決闘始める前にダメージ与えるんじゃねえよ、お前負けて欲しいのか!」
桜花抜きとはいえ全力で腹パンしてやったのに平然としてる奴が言うことか、それ。
「勝ってもらわなきゃ困るが、アリアに立てなくなるくらいボコられて欲しいというのも本音だ」
「真顔で言うなよ俺に恨み骨髄か兄弟!?」
今までの所業を思い返せ愚弟(真顔)
「くぉらあ遠山弟、いつまでもくっちゃべってないではよリングに入れや!」
「グリフィンドール!? 腹の後に背中撃つのはやめてもらえませんかね蘭豹先生!?」
「お前がトロトロしてるのが悪いんやろが! はよ殺し合え!」
強襲科の名物ゴリ、もとい女教師蘭豹先生に怒鳴られ、渋々リング内に入る潤。というか防弾制服越しとはいえ、M500で撃たれても平気なんだから文句言うなよ。
「ジュン、昨日はよくも恥かかせてくれたわねえ……!」
「俺じゃなくて白雪なんですがそれは」
「呼んだのはアンタでしょうがあ!? 風穴ボルケーノにしてやるから、覚悟しなさい!」
「ごめんそれどういう状態?」
「真顔で聞くんじゃないわよ!?」
いやアリア、傍から聞いても意味分からんぞ。
恥ずかしさと赤い顔を誤魔化すように、ガバメントを二丁構えるアリアに対し、潤はポケットに手を入れ、銃も取り出す様子はない。
「……何、アタシのこと舐めてるの?」
「レディーファーストってことで、お先にどうぞ」
「……ぶっ飛ばす……!」
血管が切れるんじゃないかってくらい眉間にしわを寄せて睨みつけているが、照準は正確に潤を狙っている。
挑発されても動作は冷静だな。……冷静だよな?
「よーしじゃあ、お前ら存分に殺し合えやあ!」
蘭豹が天井に向けてM500をぶっ放して試合開始、と同時にアリアはガバメントを連射しながら自分も突っ込んでくる。速攻で決めるつもりか、潤相手なら悪くない判断だ。
対し潤はポケットに手を入れたまま、ニヤリと笑い--
……この時、俺は失念していた。
潤という男は格の上下関係なく用意周到であり、狡猾であり。
--同時に、とんでもなくアホなことを大真面目にやるド阿呆だと。
「あポチっとな」
発砲とほぼ同時、潤のポケットからカチリと小さな音が聞こえ--アリアの向かう先に、☆マークが付いた赤いトランポリンが出てきた。
「へ? --みぎゃあああああああ!?」
突然出てきたそれに対応できず、思いっきり踏んでしまったことでアニメ声の絶叫を上げながら吹き飛んでいき--
ゴン! とものすごく痛そうな音を立てて天井にぶつかり、タンコブをこさえたまま落ちてきた。
--って、白目剥いてるじゃねえかアリアのやつ!? あれじゃあ受け身も取れな--
「--ほい、軟着陸っと」
俺が慌てて駆け出そうとする中、銃弾を横っ飛びで避けた潤が、いつの間にか持っていた本が光ると、アリアがゆっくりと降りてきて事なきを得た。
頭は漫画みたいなタンコブこさえたままだけどな。
自分も着地し、本を仕舞った潤はこちらに向けてサムズアップし、
「勝った「アホかお前はあああああ!?」ゼベル!?」
何渾身のドヤ顔で勝利宣言しようとしてんだよ!?
衝動に任せて二倍桜花のドロップキックを決めた俺は悪くないと思う。
急展開過ぎてポカンとしていた見学の生徒達が、
それでも敢えて言おう、俺は正しいことをしたと(真顔)
「何してくれんだキンジゴラァ!? 胴体真っ二つに泣き別れするかと思ったわ!?」
「何してんだはこっちのセリフだアホ潤!? あのしょーもないトラップはなんだよ!?」
「前にノリと勢いで装備科の連中と作ったジャンプパッド(仮名)だよ!」
「んなもん作りも有効活用もするんじゃねえ!?」
このアホに協力した装備科の連中、後で洗い出して〆てやる!
「武偵なら罠に引っかかった方が悪いんだからいーだろーが別に! 勝てっていうオーダーには答えただろ!?」
「勝ち方ってもんがあるだろうが! 力試しの決闘で堂々と罠を仕掛ける奴がどこにいるんだよ!?」
「ここにいるぞー!」
「胸張って言うんじゃねええええ!?」
もう一回桜花で吹き飛ばした後、空中殺法(三十連撃)を決めた俺に非はないと思う。蘭豹は爆笑してたけど、あんたそれでいいのか。
この後、医務室で目を覚ましたアリアに謝り倒したり、何とか事情を聞き出してパートナーの契約を結ぶことにした。俺としても、他人事じゃない事情だったしな。
「うむ、結果的にパートナー結成」
「さっすがユーくん、自らが
「あれは悪役っていうのかな……? というか、またキンちゃんの周りに泥棒猫が……」(黒いオーラ)
「いやそれ目的にはならんだろ」
「ユキちゃんのあれを見た後じゃねー」
「ちょっと待って理子さん、私のこと何だと思ってるの!?」
「「恋色バーサーカー」」
「え、潤ちゃんまで!?」
……当の本人は
あと白雪、あの状態のお前に関しては俺も擁護出来ないから(真顔)
おまけ
「アリア先輩に恥をかかせた卑怯者の遠山潤はここですか!?」
「……あー、えーと、すまん一年。俺は遠山キンジだが、潤に何か用か?」
「戦妹の間宮あかりです! 遠山潤がここにいるって聞いたので--
ええ!? ちょ、遠山先輩なんで土下座してるんですか!?」
「すまん、ウチの愚弟がホンッとにすまん……俺があいつのアホさ加減を(悪い意味で)見誤ったばっかりに……」orz
「わ、分かりました、遠山先輩がものっすごく申し訳なく思ってるのは伝わりましたから! 頭上げてください!」
「寧ろ誠意しか伝わらなくて意味不明だケテルマルクト!?」
「お前のせいだろうがこのド阿呆!?」
「土下座の体勢から綺麗なサマーソルト!?」
「あ、間宮だっけ。このアホ気が済むまで殴っていいぞ」
「え、ええ……? いや流石にそこまでは、というか今ので結構なダメージ負ってるんじゃ……」
「妙な不意打ちかますんじゃねえよ骨格無視マン!」
「変なあだ名付けんなお笑いトラッパー!」
(あ、全然平気そう)
この後戦姉妹の気が済むまで殴られた。
キャラ紹介
遠山キンジ
今回最大の被害者(声帯的な意味で)
潤によって年単位で鍛えられて素で桜花が使えたり、アンベリール事件の真相と対策を義弟がしてメンタルは大分マシ(ついでに強襲科Sランクのまま)だが、代わりにアホコンビのストッパーとツッコミをする羽目になった。その苦労は推して知るべし。
理子は女子だが遠慮なくはっ倒す。本人曰く、「あれは女子じゃなくて理子という変な生き物だ」とのこと。
ちなみに出演した感想は、「俺、本編出なくて良かったわ」とのこと。作者はお待ちしています。
「やめろ、フリじゃなくてマジでやめろ!?」
遠山潤
今回最大の加害者。キンジ相手だとボケのストッパーが外れている模様。
毎度喰らっている桜花のツッコミだが、本人曰く「捌いてるけど痛いもんは痛い」とのこと。
余談だが、キンジに吹っ飛ばされている光景は最早日常茶飯事であるも、ツッコミの威力に怯えるもの多数。
神崎・H・アリア
今回最大の被害者(ネタ的な意味で)。
ちなみに白雪がトラウマになり、潤は見かけたらとりあえずぶん殴るようになった。ヘイトが減ったよ、やったねキンちゃ(ry)
星伽白雪
恋色バーサーカー。潤という情報源により、泥棒猫(という名のライバル)の排斥は順調に進んでいる模様。
潤と理子にはキンジとの仲を応援されているため、二人には割と寛容。
峰理子
二大トラブルメーカーの一角。今作ではツッコミ役が一人増えているため、その暴走ぶりは察して欲しい。
後書き
いやあ、思った以上に酷かった(書き終わってまず思ったこと)
という訳でどうも、本当にお久しぶりのゆっくりいんです。本編ではなくキンジが登場したらどうなるかな? というIF話を書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?
ちなみにこの話考えたの、数ヵ月前です。……うん、つまりそういうことだよ(何)
さて次回ですが、本編を進め……るのではなく、なんと久々のコラボ小説を書こうと思います! 詳細は次の前書きに書きますので、お楽しみに!
それでは今回はここまで、読んでいただきありがとうございました。そしてお待たせして申し訳ありませんorz
ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?
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読みたい!
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いいから続きを書け
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各ヒロインとのイチャイチャを……
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エッチなのはいいと思います()