遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

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小話 必殺技とか安易なものを求めるべきじゃない

「あー、えーと、つーわけでアリアの代理を頼まれたんだ、よろしくな」

「……」

 ジトーっという言葉が似合う目で後輩ちゃんに睨まれるワタクシ、遠山潤。別に睨まれる覚えはないのだが。……いや、彼女の場合俺の立場だけで理由になるか。

「……なんでアリア先輩の頼みを引き受けちゃったんですか? 遠山先輩」

「何でって言われてもねえ……断る理由がないし、パートナーの頼みだし」

「……」

「うん、気持ちは分かったし不用意な発言をした俺が悪かったから、その視線やめてくれない? 間宮さん」

 作り笑顔で彼女、アリアの戦姉妹、間宮あかりに言ってみるが、ジト目は強まる一方だった。デスヨネー。

さて、何故こうなったかというと、話しは昨日に遡る。

 武偵殺し――要は理子の一件が終わって一週間。その間事件の詳細に関する報告を(一部伏せて)行い、アリアに(俺だけ正座で)知っている事情を吐かされたり、殴られそうになったり、アリアの母親の裁判が武偵殺しの分上手く引かれたり、蹴られそうになったり、依頼をこなしながら事後処理をしたり、撃たれそうになったりと、まあ一件片付いたら割といつも通りだ。

 ただしアリアはあの一件以来、へそを曲げ気味だが。事件や実力(後者は意図的じゃないし手の内だが)を隠していたのが相当お気に召さなかったらしく、顔をあわせるたびに上記の暴力+エトセトラをかましてくる。まあ全部防ぐか避けるかしているけど。

 とはいえ、裁判関係で自分の母親――かなえさんという、やたら若いというか姉にしか見えない女性――に吉報を伝えられたことで大分機嫌も直ったが。俺のことを彼氏か? と聞かれると凄い微妙な顔をして「違うわ」と言っていたが。ああ、理子の件が引っかかったか。

 ちなみに理子と言えば、マジであのふざけた宣言どおり海外に行っていた。最初に中国、モンゴルと渡っていき、今はロシアを旅しているらしい。世界一周でもする気かアイツは。

 何でそんなこと知ってるかって? 一日最低一回は向こうからメール届くんだよ、俺とアリアに画像付きで。最新のものでは同い年くらいのロシア人少女とVサインで一緒に写っていた。……なんかこの子、どっかで見たことあるような。主にテレビで。

 『ユーくんとアリアんお土産何がいい?』と、帰ってくる気満々な内容を見て「敵対したのって何でだっけ……?」とアリアが頭を抱えていたが、色々考えるのを辞めた方が楽だぞ。理子に敵味方の概念なんてあるのかも怪しいし。

 まあそんなこんなで一件片付き、概ね元の日常に戻った最近。電話を終えたアリアが難しい顔でこちらに近付き、「ねえ潤、頼みがあるんだけど」と切り出してきた。以下、その内容。

「明日なんだけど、裁判関係で話があるからって呼び出しを食らっちゃったのよね」

「何か予定でもあったのか?」

「うん、戦姉妹(アミカ)に特訓の約束してたのよね」

「あー、間宮さんか」

「何、知ってるの?」

「前に怖い顔で絡まれた」

「アンタ何したのよ……まあとにかく外せない用事だし、かといって約束反故にして自主練させるってていうのもアレだし、アンタ特訓に付き合ってやってくんない? 連絡はアタシが入れておくから」

「自主練だけでいいと思うが……俺が教えるって言えば嫌がるんじゃねえか?」

「だからアンタ何したのよ……まあ普段ならそれでもいいけど、もうすぐランク考査あるじゃない? 試験対策にも先輩が教えた方がいいじゃない」

「まあそういうことならいいが、予約の依頼もないしな。ところでアリア」

「何?」

「間宮さんどのくらい強くすればいいんだ? ラディッ○クラス?」

「アタシの戦姉妹を戦闘民族にする気か!?」

 

 

 とまあそんなやり取りがあったのだが、予想通り合流した間宮さんは死ぬほど嫌そうな顔をしていた。アリア大好きだからなあこの子、さしずめ俺は大好きな先輩を横取りしたにっくきクソ野郎ってところか。

「まあとりあえず、始めよーや。とりあえず今日は来るランク考査対策のため、基礎の確認と試験のポイント解説だな」

「……よろしくお願いします」

 めっちゃ不承不承ながら頭を下げる間宮さん。うむ、嫌な相手でも目上に礼儀を忘れないのは大切だぞ(←出来ない奴)。

 ところ変わって強襲科(アサルト)訓練場。毎度襲い掛かってくるアホな連中を適当にぶっ飛ばし(何か間宮さんの俺を見る目が少し変わった)、蘭豹先生にジャーマンスップレックスをやられたり(振られた腹いせらしい、何でや)しながら射撃レーンに到着、間宮さんの撃つ様子を観察する。

「ふーむ」

 UZIを撃つ姿は多少不恰好ながらも特に問題はない。なのに的に当たる箇所は随分とずれている。

「なあ間宮さん」

 マガジンを二本使い切ったところで声を掛けると、不貞腐れた目でこっちを見てきた。何でや。

「なんですか、私の射撃が余りにも酷くて早くも匙を投げるつもりですか」

「どんだけやる気ないんだよ俺。そうじゃなくて、狙いをわざとずらしてるのは何でだ?」

「……何のことですか?」

 あ、目逸らした。嘘吐けないタイプみたいやな、口思いっきり閉ざしてるし。

「間宮の癖は中々抜けない?」

「!?」

 喋りそうにないので一気に核心を突くと、彼女はビクンと肩を震わせ、信じられないといった顔でこちらに振り返る。

「……アリア先輩が喋ったんですか?」

「いんや、自分で調べた。ウチと間宮家は縁があるしな」

 遠山家のご先祖は、テレビで有名な遠山の金さん、遠山金四郎。その父親である景晋(かげみち)の家臣が公儀隠密、所謂忍者の間宮林蔵という男。それが彼女、間宮あかりの先祖だろう。聞いたところによると暗殺術を代々継承して現代にも伝えているらしい。

「そうですか。……? ウチと遠山先輩のお家に関係?」

 アリアがチクった訳じゃないと知ってほっとしている間宮さんだが、ご先祖の主従関係は知らないみたいだ。まあ自分の家のルーツを詳しく調べる奴なんてそういないわな。

「まあそれは置いといて。精度が甘いのは間宮の癖が染み付いてて、急所を狙っちまうから無理矢理軌道を逸らしてる、ってところかな?」

「……はい」

 沈んだ顔で肯定される。やっぱりな、撃つ時の顔が無理してる感凄かったし。

「間宮さん、君は銃を撃つ時どういう気持ちで撃ってる?」

「へ? 何ですかそれ?」

「いいからいいから」

「えーと、うーん……敢えて言うなら『一撃必殺』、でしょうか」

「ふむふむ。じゃあその気持ちで、今度はターゲットの真ん中を狙って撃ってみ」

「……何か意味あるんですか、それ?」

「まあ騙されたと思って。あ、無理矢理逸らすのはしなくていいからな」

「……それだと」

「よし頑張れー」

 発言を途中で遮ると、渋々といった様子ながら銃を構え、放つ。

 すると今まで掠りもしなかった弾が、中心からはやや遠いものの的の中に入っていた。

「――え?」

 自分のしたことが信じられないといった顔でこちらを見るが、「もうちょいやってみー」とドーナツを食べながら促すと向き直り、撃ち続ける。

 先程と同じくマガジン二本を使い切った頃に終了。バラつきはあるものの全部が的に命中しており、通りかかった蘭豹先生も「おお間宮、今日は調子いいやんけ」と褒めていた。本人は茫然としているが。

「な、なんで? 今までこんなに当たらなかったのに」

「間宮さんは下地は出来てるんだが、培ってきた技術を無理矢理封じてきたから歪になってるんだよな。多分癖で急所狙いになっちまうからなんだろうが、今回はそれを『逸らす』んじゃなくて『変える』ことにしたんだ」

 まあ要は心がけの違いだな、と話を締めくくる。完全に矯正するのは時間が掛かるだろうが、続ければ命中精度は段違いになるだろう。

 理由を聞くと間宮さんは嬉しそうに顔を綻ばせていたが、急にハッとした顔になってこちらに向き、

「こ、こんなんで気を許したりしませんからね! でもありがとうございます!」

 何その新種のツンデレ。というかそれは君の戦姉妹が持つ属性だろうに。

 とりあえずもうちょいガンバレーと声掛けながら三個目のドーナツを取り出すと、ジーっと間宮さんの視線が俺、もといドーナツに突き刺さる。

「……食べる?」

 コクコクと頷いたので一つ分けると、嬉しそうに食べ始めた。

「ところで間宮さん」

「んぐ? 何ですか?」

「あっちの子達はお友達か何か?」

 間宮さんにジュースを奢ってあげてひとまず休憩中(ジュースあげたら明らかに態度が軟化した、食い物で心許すとかちょろくて将来が心配)、いい加減気になっていた気配の方を指差す。そこにいたのは黒髪ロングのお嬢様っぽい子、金髪をポニーテイルにした勝気そうな子、最後に金髪フリフリ衣装のミニマムな子がこちらをジッと見ている。黒髪の子からはずっと殺意を向けられてるけど、なんなん?

 というか最後のミニマムちゃん、島麒麟さんじゃん。CVR、ハニートラップを専門とする美少女だけが入れる学科を専攻してて、去年理子の戦姉妹だったから面識あるけど、なんでここに――ああ、金髪ポニテの子を「お姉様」って呼んでるから、新しい戦姉妹になったのか。

「ん? あ、志乃ちゃーん!」

 志乃ちゃんと呼ばれた黒髪少女は駆け寄っていく間宮さんを見て嬉しそうにしている、というか顔がだらしなくなっている。

「あかりさん大丈夫でした、怪我させられてませんか?」

 いきなり失礼やなこの子、というか尾行してたこと言い訳なしかい。

「うん、怪我はないよー。志乃ちゃんたちはどうしてここに?」

「あかりさんが心配で……遠山先輩は戦闘になると誰でもボコボコにするって聞いたことありますし」

 誰だその噂流した奴、誇張じゃねえか。精々四割だよ、調子乗った奴とか突っかかってくる奴限定だし。

 その後も色々聞いている黒髪さんは放置し、苦笑しながら「ども」と頭を下げるポニテの子と島さんに挨拶する。

「遠山先輩、お久しぶりですの」

「おう島さん、お久しぶり。正月以来かな?」

「あれ、麒麟と遠山先輩って知り合いなんですか?」

「島さんの前の戦姉妹繋がりでな。まあ、ちょっと挨拶する程度の知り合いだよ。で、えーと」

「あ、アタシは」

「麒麟の恋人の火野ライカお姉さまですの!!」

「ぶっ!? オイ麒麟、誰が恋人だ!? いや遠山先輩、コイツとは単なる戦姉妹ですから!」

「愛に関係や性別なんて無粋ですの! そしてお姉さまは照れてるだけですの!」

「そういう問題じゃないだろ!? あと照れてるわけでもねえ!」

 三人寄らなくても姦しい火野さんと島さん、置いてけぼり喰らう俺。そーいやこの子百合だったな、それも重度の。

 女子四人それぞれお喋りを始めて完全に蚊帳の外になり、帰ろうかなーと考えていると間宮さんが黒髪さんを伴ってこっちに来る。

「遠山先輩、私の友達の佐々木志乃ちゃんです」

「佐々木志乃です、探偵科(インケスタ)に所属しています。始めまして遠山先輩」

 礼儀正しく頭を下げる佐々木さんだが、先程同様全身から殺気を振りまいている。隣の間宮さんが気付いてないから俺にだけ向けているようだ。何この無駄に器用で無駄なスキル。

「それで今話してたんですが、皆も特訓に参加していいですか? 志乃ちゃんが是非一緒にってことなんですが」

「はい、ご迷惑でなければ」

 ニコニコしている佐々木さんだが、それ建前で絶対目的は間宮さんだろ。『お前には渡さねえぞ』って目が語ってるし。

「俺は別に構わんけど、火野さんと島さんは?」

「え、遠山先輩がですか!? 是非お願いします!」

「ワタクシは遠慮させていただきますの」

 というわけで火野さん、佐々木さんの二人が新たに訓練対象となった。

「ああそうだ佐々木さん」

「何ですか?」

 間宮さんが離れた際に声を掛けると、ちょっといっちゃってる感じの目をしてる佐々木さん。こえーよヤンデレかよ外面取り繕うのやめんのかよ。

「これから近接訓練なんだけどさ、怪我してたら終わった後間宮さんの治療してあげ」

「任せてください!」

 言い切る前にでかい声でガッツポーズされてしまった。

「ふふふ、あかりちゃんに合法的に触れる……」

 美人をグフフ顔で台無しにしている佐々木さん。ブルータスお前も(百合)か。

 島さんにくっつかれてる火野さんが「こんなのばっかでスイマセン」と頭を下げてくれた。苦労人っぽいな、どことなくアリアと同じ立ち位置なのを感じる。

「はああ!」

「よっと」

 再び強襲科訓練場。火野さんの肘討ちを横に避けて背後に回り、腕を取って合気の要領で引っくり返す。「おわ!?」と驚いて受身も取れず引っくり返る。はい二人目ー。

 宣言通りただ今近接訓練中で、倒れた火野さんの横には刀を拾っている佐々木さん。一対三という数では相手が有利な状況だが、素手の俺に翻弄されている。ちなみに武器なしなのはハンデとかではなく、ただの気分だ。

 とそこで、後ろから突進してくる間宮さん。こちらの懐に入り、交差時に俺から何かを取っていく。

『ゆっくりしていってね!!』

「なにこれ!?」

 理子との共同作、リアルゆっくりです。位置をずらしてどーでもいいもん取らせたが、ある意味当たりかもな(ネタ的な意味で)。

 ゆっくり捨てて再度突撃する間宮さん、合わせて別方向から攻めてくる火野さんと佐々木さん。それらの攻撃を全てさばき、反撃を加えていく。

「はあ、もう無理……」

「はあ、はあ……きつい、です……」

 やがてダメージの蓄積と体力切れで動けなくなる火野さんと佐々木さん、残った間宮さんも肩で息をしている。見かけよりタフだな。

「はあ、ふう……」

 乱れた呼吸を正し、それまでと異なる構えを取る。ふむ、大技狙いか。

鷹捲(たかまくり)――」

 技名らしきものを呟き、こちらに飛び掛ってくる。その力は突き出した手の先端に集まっており、当たればただでは済まないだろう。

 まあ、当たればだが。

「へ? うきゃああぁぁ!!?」

 横にずれて回避すると、発動すると止められないのかそのまま壁に突っ込み、

 ゴツン!

 痛々しい音を立てて引っくり返った。悲鳴の上げ方が理子にセクハラされたアリアにそっくりだったな。

「きゅう……」

 たんこぶ作って気絶する間宮さん。多分体内パルスを活用した振動破壊の技だったんだろうが、壁にぶつかったのは咄嗟に腕を引っ込めて不発になってしまったからだろう。まあそのまま発動して壁ぶっ壊したら、洒落にならない修理費が請求されたからある意味正解か。

「当たらなければどうということはない」

 某大佐の名セリフを呟き、その日の訓練は終了となった。

「志乃ちゃんくすぐったいよ~、自分で出来るってば」

「ダメですよ、自分じゃ分からないところもあるんですから(あかりちゃんの手! お腹!)」

「おい麒麟、そこは怪我なんてしてないだろ!? というか抱きつくな!」

「ふふふ、お姉さまも麒麟を堪能してくださいですの」

 なお、その後の治療タイムがもんのすごく百合百合しくカオスだったのは割愛する。俺? いると面倒起こるのが目に見えてる(紳士)だから早々に離脱したよ。

 同日夜、男子寮の我が部屋にて。アリアと二人夕食を取りつつ、本日の一件について話をしていく。

「アンタの特訓、あかりにはいい経験になったみたいね。帰りに会ったんだけど、「いつか遠山先輩をぶっ飛ばしてみせます!」って張り切ってたわよ」

「そら良かった。まあ見た限り、間宮さん達はかなり伸び代あるし今後に期待だな」

「ぶっとばす発言はスルーなのね」

「いや目の前で言われたし。まあ近接術も多少指導したし、次のランク考査は大丈夫じゃねえの?」

「あら、それはアタシの指導が下手だって言いたいの?」

「んなこと言ってねーだろ、怖い顔すんなっての」

「クス、冗談よ。なんにせよ助かったわ。これ報酬代わりにお土産」

「お、なんだ? ――おお、東京バ○ナ! 全部食っていいのか!?」

「いやアタシの分も残しなさいよ!?」

 などとツッコミありつつも和気藹々な会話、平和やなー。

 なお余談だが、後日のランク考査で間宮さんはギリギリDランク合格したらしい。実技では教えたのもあって中々高得点だったんだが、座学で珍回答を出しまくって足を引っ張りまくり、危うく不合格直前だったらしい。ガチでアホの子じゃねーか。

 とそこで、スマホに着信が掛かった。曲はBeatm〇niaのRe;gegenaration。

『あ、もしもし潤ちゃん? ごめんね、ご飯時に』

「おう白雪、気にすんな。急にどうした?」

 電話の相手は星伽白雪。数年前から付き合いのある友人で、普段は大人しく大和撫子の鑑みたいな女子だ。実家は星伽神社で巫女もやってる。

『えっと、青森から研修帰ったきたんで、報告とお土産渡そうかと思って。潤ちゃんの好きなリンゴパイだよ』

「マジか。ナイス白雪、ちょうど糖分が欲しかったんだ」

「まだ食べる気なのアンタ……」

 アリアが呆れた声で言うが、別にいいだろ甘いもん好きなんだよ。

『……潤ちゃん、今どこにいるの? 峰さんと一緒?』

「寮の部屋だけど。理子は海外出張中」

『あ、そうなんだ。……待って、じゃあ誰がいるの? 女の子?』

「神崎・H・アリアっていう女子だけど」

 正直に答えると、急に白雪は静かになった。あ、これ始まったな。

『うふふ、そうなんだ。ちょっと待っててね、今行くから』

 そう言って、不気味に笑いながら通話を切る白雪。まあこうなるよな、アリアが声を発した時点でしゃーない。

「アリア、今から俺の友人がお土産持ってくるんだけど」

「そうなの? じゃあアタシは引っ込んでた方がいいかしら」

「いや、しなくていいよ。それより戦闘準備しといてくれ」

「はい? アンタ何言って――」

 アリアが言い終わる前、ガラガラ! と玄関から何かが崩れる音が聞こえ、

「神崎・H・アリアー! 潤ちゃんをたぶらかす泥棒猫ー!!」

 巫女装束に鉢金、手には抜き身の刀という完全武装の女子、件の星伽白雪が現れた。

 普段は大和撫子な白雪だが、俺の周りにいる女子を武力で排除しようとするヤンデレであり、彼女最大の欠点である。

「ちょ、いきなりなんなのよ!?」

「てーんちゅー!!」

 席を立って戸惑うアリアに、問答無用で据わった目の白雪が刀を振りかぶる。まあとりあえず、

「死ぬなよアリアー」

「いやアンタ助けなさいよ!?」

 




登場人物
遠山潤
 必殺技より連撃派二年生。訓練が終わったら後輩達に飯を奢ってやった。

神崎・H・アリア
 理不尽な目に遭ってばかりの二年生。フラグも立ってないのに襲われるあたり、ぶっちぎりの不幸度かもしれない。強く生きろ。

間宮あかり
 Dランクにぎりぎり合格した一年生。本作では戦闘力が上がった代わりにアホの子化するかもしれない。食べ物に釣られやすい。

佐々木志乃
 あかりを率先してストーカーしていた一年生。潤の態度を見てそういう雰囲気ではないと感じ、露骨な警戒や殺意はなくなった。

火野ライカ
 間宮チームの良心である一年生。あかりがアホの子化しているため、原作より気苦労多いかも。アリアと気が合いそう。

島麒麟
 お姉さま大好きな中学三年生。男は嫌いだが潤はそこそこ紳士なため嫌ってはいない(好きでもないが)。

星伽白雪
 ようやく登場したヤンデレ系二年生。潤と一緒にいるアリアの関係をろくに聞かずに襲い掛かる。キレててもお土産のりんごパイはしっかり持ってきている出来る娘。


後書き
 あかり馬鹿じゃないもん!(本人様からの言い訳)。
 はい、というわけでAA組の特訓回でした。色々はしょってるというかなんか全体的に大人しめなような……まあ、普段はふざけてる潤君も後輩ちゃんの前では比較的真面目モードなんで。
 さて、次回からは魔剣編です。アリアは白雪の誤解を解き、生き残れるのか!?(違)
 感想・批評・誤字脱字報告、デスソース級コメントでもどんとこいやあ!(マイルドしか受け付けない精神構造)。


追記
1/6 本文・後書き修正しました。

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