特に山もオチも時系列もないですが、お暇でしたら読んでやってください。間に合ってるといいネ!(他人事)
「ヘルモーイ! ここは素晴らしい場所ですねご主人様!」
「たしかにすげえ数だけど、持ってないのあったんだなお前」
「やはり通販や人伝だと限界がありまして……イ・ウー時代では諦めてましたが、日本ならコンプリートも夢ではないかもしれません!」
「その間に幾ら金が飛んでいくんだろう」
「大丈夫です、値切りはリサの十八番です!」
店が潰れるからやめなさい、あとイ・ウーって下手に言わない方がいいんじゃねえの? もう滅んだけどさ(←滅ぼした一因)
というわけでどうも、遠山潤です。本日はリサの誕生日なのだが、現在アリア達によってパーティーの準備中である。俺? アリアに「サプライズにしたいから、アンタはリサとデートでもしてきなさい」って炎天下の中放り出されたでござる。まあ思いっきりリサに聞かれてて、影で微笑ましそうに見られてたけど。お前ホントに隠し事できないな。
というわけで、リサの希望により久々のアキバなう。何でもまだ持ってないクラシックゲームが欲しいとのことで、俺が知ってる店を周ってるんだが……いやあ、目の輝きが凄いこと。ゲームソフト両手で抱えるやつ久々に見たぞ。
「あ、あの、ご主人様、これ……」
「ああ、全部いいぞ。折角の誕生日だしな、欲しいものくらい買ってこうや」
「! ご主人様、リサは、リサは幸せ者です……!」
いや、そんな本気で感動するほど? ちなみにリサの格好はワンピース風メイド服(理子作)なので、周囲(店員含む)から『え、そういうプレイなの……?』みたいな視線を感じる。残念プレイじゃなくてガチなのです。
ホクホク顔のリサと手を繋ぎながら(ゲームは部屋に送った、三十本以上は流石に洒落にならん)、手近な喫茶店(メイドに非ず、リサの目が厳しくなるんで)に入って一息入れる。俺はともかくリサにこの炎天下はキツイしな。
「やはり日本の方々が作るものは繊細でありながら素晴らしい味ですね……ココナッツミルクのしつこくない甘さ、リサももっともっと精進しないといけません」
「これ以上精進すると白雪の立つ瀬がなくなりそうなんだが」
「大丈夫です、リサは人の立て方を熟知していますので!」
違う、そうじゃない。ただでさえ危機感を感じてる白雪をこれ以上(無意識に)煽るんじゃない。俺とかなめ? 腕前の差程度で凹んでたら遠山兄妹は生きてらんねーよ(真顔)
シュークリームをむぐむぐしながら対面でニコニコしているリサを何とはなしにジッと見る
「……」
「……」
何でお見合い状態になっているんだろう。リサも頬杖突いて見返してくるだけだし。こーら、その体勢は胸が強調されるからやめなさい。可愛いけどあざといから。
「なあリサ」
「何でしょう? ご主人様」
小首を傾げながら返してくる姿、あざとい。これを天然でやっているから倍あざとい。でもリサだから許される(確信)
「いや、折角の誕生日なのにいつもと一緒だからな。お前がいいならいいんだが……」
対面のリサが、現状に十分なほど満足しているのは分かるんだが。誕生日って何か特別なことをするもんじゃないのかね。個人によるだろうけど、
リサは言われてキョトンとした顔になるが、
「ご主人様のお心遣い、リサは本当に嬉しく思います。でも――」
リサは少し身を乗り出し、こちらの手を握ってくる。理子達とは違う、柔らかな手の感触が伝わってくる。鍛えてないとこうなるのかね(違)
「 ……イ・ウーにいた頃、リサは求めていたご主人様に出会えず、お世辞にも良い扱いとは言えませんでした。リサは弱かったですから。
だからリサは、ご主人様に出会えて、『いつも』と言えるほどのものを十分頂いているんです。本当に、本当に毎日が幸せで一杯ですから」
そう言い切るリサの顔は、本心から幸福に満ちたものだった。そっか、それならいいんだ、いいんだけど。
「いやいやリサ、これで幸せの頂点みたいに言われても困るんだが? 先は長いんだ、もっと楽しくおかしくしてくれ、俺のメイドならさ」
「……ふふ、ご主人様は欲張りなのですね」
「欲張りなくらいが人生は丁度いいのさ」
遠慮してると足りなくなってきちまうからな、具体的には夕飯のおかずとか。
「じゃあ……欲張りということで、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「答えられる範囲なら構わんぞ」
俺が答えると、リサは一つ頷いて真剣な顔になる。え、ここで真面目な空気になるのか。
「ご主人様は、リサを受け入れて――後悔、していますか?」
「……」
主義主張を曲げてまで、彼女と主従の契約を交わした。リサは内心、気にしていたのだろう。
「んー、そうだな。あの時はとんでもねえ約束しちまったと頭を抱えたもんだが」
その言葉に、リサは悲しそうに目を伏せるが、
今は、お前が居てくれて良かったよ
最後にそう告げると、リサは驚いてから顔を伏せ、
「~~~~ご主人様!!」
感極まった表情で抱きついてきた。あの、ここ店内ですけど
「Ik zie u graag(心より愛しています)、ご主人様……」
リサの豊満な部分が顔に押し付けられ、甘いメープルシロップのような香りが不思議と落ち着かせる。あっちこっちから視線を感じるが、もう慣れてきたよこれ(真顔)
結局、リサの気が済むまで抱きしめられてた。正気に戻った彼女が羞恥で真っ赤になり、「はしたないメイドに罰を与えてくださいませ……」と言っちゃうもんだから、余計に好奇と嫉妬の視線が強まったのは言うまでもない。
おまけ
「「「「「「Happy Birthday、リサ!」」」」」」
「皆様……ありがとうございます! リサは本当に、幸せ者です……!」グスッ
「ううん、私達もお世話になってるから。みんなリサちゃんを祝ってあげたかったからやったんだよ」
「白雪様……!」
「おーおーユーくん、リサのいい匂いがしますな~」
「お? お兄ちゃんついに一線越えちゃったの? 詳細をプリーズプリーズ」
「おう違うの分かってて聞くのやめーや」
「ご、ご主人様が望むなら、リサはいつでも……」
「ひ、昼間っから何ピンクな妄想語ってんのよバカジュン!!」
「え、俺が悪いの?」
その後、俺とかなめの合作である『戦略シミュレーションSF』(別名リアルGジェネ)をプレゼントしたら、ひたすら「ヘルモーイ!!」と連呼して暇な時間ずっと遊んでた。喜んでもらえたなら何より。
おまけ2
「あ、あの、ご主人様……まだ起きてますか?」
「……ん? どうした、リサ」
「あの、ご主人様が良ければなんですが……同衾を、お許しいただけますでしょうか?」
「……いつも勝手に入ってきてるくせして、何故改まって言うのか。
……まあいいか、ほら来な」
「! し、失礼します……」ゴソゴソ
「……」
「……」
「リサ」
「は、はい! なんでしょ」
ギュ
「――え、ええ?」
「ん。じゃあ、お休み」
「………………っ!!」
(ご、ご主人様から抱きしめてくださって……ああダメ、興奮して尻尾も耳も出ちゃいます……)ピンッ
(ね、寝れる気がしません……)
(チッ、あのマイブラザー、先手を打って一線越えるのを防いだぜ!)
(わざわざ焚き付けて何がしたいんだよマイシスター)
あとがき
はい、短いですがここまでです。まあ、リサの可愛さを少しでも感じていただければ。
感想・評価・誤字報告などいただければ幸いです。
では読んでくださり、ありがとうございました。改めてリサ、誕生日おめでとう!