遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

3 / 111
 リサのバースデー記念二つ目です。この話は『もしもキンジのルームメイトが潤だったら』というIFの世界観で書いています。
 なお、これ書き始めてる時点で今日が終わる五分前です。間に合う訳ねえ()
 それでも良ければ、読んでやってくださーい。
 
 



リサ誕生日記念2 キンジの甲斐性?

「ったく理子の奴、何が「デートと言えば待ち合わせが基本デスヨキーくん!」だ、一緒に行けば手間も省けるだろうに……」

 あーどうも、遠山キンジだ。……誰に言ってるんだ、俺? やめよう、これ以上考えると余計疲れそうだ。

 今日はリサの誕生日、ということで、折角だからデートでもしてこいとバカ二人(潤・理子)に追い出された。アイツ等が何してるかは知らん、多分ろくでもないことだろうが。

 了承したのは「偶には世話になってる礼でもしてやれ、じゃねえとクズ人間認定されるぞ」なんて言われたからではない。女と二人っきりとか気は重いが、まあ確かに……リサには世話になりっぱなしだしな。

 ちなみに金がないと言われたら、潤から金一封をポンと渡されて引っくり返りそうになった。どんだけ準備いい上に躊躇ないんだよ、余ったのは好きにしていいって言われたし。一緒に渡された『サルでも分かる恋愛術(初級編)』に関しては、桜花(ツッコミ)を入れてやったが。余計なお世話だっつうのっ。

 待ち合わせに関してはアリアで懲りているため、新宿にある公園の一角で三十分前に立っている。多少おめかしさせられたので、見られる服装ではある、と思う。クロメーテル衣装を用意された時は、思わず理子も桜花(ツッコミ)デコピン決めてやったが。どんだけやらせたいんだアイツ、やらねーよ。

「ご主人様、お待たせしましたっ」

「いや、リサも早いくら――」

 後ろから声が聞こえて振り向き、リサの姿を見て思わず言葉が止まってしまう。

 肌に合わせ純白のワンピース、肩に夏用の薄手のカーディガンをはおい、ドレッサーを外して手に日傘を持っている姿は、普段のメイド姿とは違う、清楚な印象を与える。いつぞやのように髪を後ろで軽く纏めているのも、その印象を強めている。

「……ご主人様、如何なされました? も、もしかして服装におかしいところがあったでしょうか? 理子様に用意していただいたのですが……」

「い、いや、大丈夫だ。……あー、良く似合ってるぞ、うん」

 ぶっきらぼう、かつ目を逸らしながらの言葉だったが、それでもリサは嬉しそうな顔で笑い、腕にくっついてくる。ああもう、合わせだと来るんだよ勘弁してくれ。暑いし。

 ……あのバカ二人が『耐ヒステリア訓練』と称して、色々やらされたのが功を現してるな。前だったら甘ヒスくらいなってたかもしれん。内容は思い出したくもないが……何が「モッテモテのキーくんだもん、これくらい慣れとかないとね!」だ、思い出したら腹立ってきた。

 とにかく、驚きはしたがヒス性の血流はまだまだ余裕だ。女子と接するのはプラスだと思う、心臓には悪いが。

「よし、じゃあ行くか。予定より早いし、今からなら昼食まで時間あるな。リサ、行きたい場所とかあるか?」

「ご主人様と一緒なら、リサはどのような場所でも構いません」

「あー……いや、折角の誕生日なんだし、リサが行きたい場所ものでいいぞ」

 資金もあるしな、潤からのだけど。……そう考えると情けなくなってきた、もう少し金になる依頼増やすかなあ。

「えっと、良いのですか? それでは――」

 

 

「モーイ! 日本の皆様の技術力は素晴らしいですね、ご主人様!」

「へえ……確かに綺麗だな」

 リサの希望で、俺達はショッピングモールの一角にある和風の雑貨屋に来ていた。扇子や巾着袋の他、変わったところで和風の金属アクセサリーや装飾品も売られている。和紙で出来たマトリョーシカとか触るの怖いんだが、出来はいいけどさ。

 リサはキラキラした瞳で、アクセサリーの類を見て回っている。こういうところはメイドというより女の子だな、新しい一面が見れ……

 いかんいかん、あまり見てると何が爆弾になるか分からんからな。ただでさえ腕を引かれてリサの甘いメープルシロップのような匂いと、マシュマロのような柔らかいものを押し付けられているし。店員さんからも微笑ましい目で――あ違う、これ営業スマイルで固定してるだけだ、青筋見えるし。

「ご主人様、お許しいただけるならリサに似合うものを選んでいただけないでしょうか?」

「……俺はそういうセンスないぞ?」

 金がないのもあるが、服なんて機能性を重視したもんばっかだしな。アクセサリーとか動く時の邪魔にならないよう、必要な時以外付けることないし。

「大丈夫です、ご主人様が選んでくださるものはきっと良いものですから!」

「その根拠のない自信はどこから来るんだよ……」

 無垢の信頼が胃に悪い、どっかのバカどもが騒ぐよりいいけど。今日はアリアに抑えてもらってるが、果たしてアイツの胃は無事だろうか。

「そうだな……お」

 適当に見回してみると、一つの髪飾りが目に付いた。白桔梗の柄が施されたそれは、リサのイメージにピッタリだと思う。

「リサ、これなんかどうだ?」

「……モーイ、これは良いものですね! 流石ご主人様です!」

「たまたま見つけただけだよ、いいから付けてみろって」

 これ以上ご主人様呼びされて、周囲の女性から白い目を向けられるのはキツイ。違う俺は犯罪者じゃない、寧ろ逮捕する側だから。

「ご主人様、ど、どうでしょうか?」

「……」

 髪飾りを付けて恥ずかしそうにこちらを見るリサは――うん、良く似合っているな。リサの髪に良く映える。

「じゃあこれにするか」

「あ……」

 髪飾りを外してやると、リサは驚いたような声を上げた。何だよ、何かおかしいことでもしたか?

「いえ、ご主人様からこんなに近付いてもらえるとは、思ってもいなくて」

「……」

 言われてみると、自分から女子に近付くことは珍しいことだ。……改めて言われると、恥ずかしくなってきた。

「い、いいからこれ、買ってくるぞ。いいんだよな?」

「は、はい。よろしいのですか?」

 お互い赤い顔になるも、リサは嬉しそうに聞いてくる。なんだこの変な感覚、ムズムズする。

 「いいよ、これくらい」と言ってから、レジに持っていく。値段は結構したが、潤から貰った資金で十分だった。ホントなんでこんな大金ポンと渡せるんだよ、アイツ。

「……ほら、誕生日プレゼントだ。大したものじゃなくて悪いな」

 店を出て、目を逸らしながら紙袋を渡してやる。我ながらとんだ渡し方だなと思うが、

「――はい、はい、ありがとうございます、ご主人様……リサは果報者です、一生大事にします」

「……大袈裟だな」

 まあ、リサのこんな顔が見れるなら――偶には悪くない、かもな。

 

 

 なお、帰ってから白雪に何か言われたリサが、偉く感動した顔で、

「ご主人様、ご主人様……! リサは、一生ご主人様のお傍で仕えます!」

 などと言われて、なんだなんだとされるがままになっていた。白雪には「キンちゃん、メイドはお妾さんにカウントしないけど、最初は私だよ?」といい笑顔で言われ、アリアからは白い目を向けられた。なんだよ、せめて何か言えよ。

 ……後で聞いたのだが、桔梗の花言葉は『永遠の愛』、『深い愛情』らしい。気付いて悶えていると、「いやあ流石キーくんですなあ」、「これは責任取るしかないな」などとバカ二人が煽ってきたので、それぞれ桜花のデコピン、頭突きを喰らわせてやった。

「俺だけ容赦なさすぎじゃね?」

「うるせえ殴り飛ばすぞ」

 

 

 




あとがき
 耐性は出来ても天然タラシなのは変わらないキンジ君でした。なお、彼とアリアはバカ二人のツッコミ役で胃痛枠です。代わりにHSSなしでも桜花が使えるくらいのパワーアップは果たしてますが。
 もう遅い? 寝てないからセーフということでお願いします(真顔)
 それでは今回はここまで。感想・評価・誤字訂正など、良ければ書いてやってください。凄い喜びます。
 それでは読んでくださり、ありがとうございました。
 
 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。