遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

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 酒呑ちゃん可愛い、ただし持ってはいない(何)



第三話 説得というより仲間にする感じ

 

 

「く、や、この、離しなさいよ……!!」

「くっふふふー、アリアんが好きなとこはどこかなー、ここかなー?」

 …………

「……助けないんですか?」

「……行かないとダメか?」

「私が潤の立場だったら見ないことにする一択ですけど、このままだと彼女の貞操が危ないような」

 いやまあ、そうなんだけどさ。アレに干渉しなけりゃならないの、俺?

 あ、遅れながらどうも、遠山潤だ。今は眞巳の案内でアリアがいるだろう部屋に案内されたんだが……

 到着して目にしたものは、アリアを髪で拘束して服の中に侵入しようとする理子の姿だった。人がさっきまで殺り合ってたのに何やってんだこいつ。

「あーうん……しゃあないか」

「くふひひ、さあアリアちゃーん、身体検査のお時か」

「オラアアァァァ!!」

 喰らえ伝家のマーシャルキック!!

「あべし!?」

 おお、ボールみたいに良く吹っ飛ぶな。

「あの、凄くいい感じの鈍い音が聞こえたんですが……」

「クリティカルで入ったッぽいな」

 まあ白目向いてピクピクしてるから、ちゃんと生きてるだろ。

「ああでも、反応が普通だったからちとやばいか?」

「『あべし!』は普通の反応なんですか……?」

「普通普通、いつもに比べれば超普通」

 まあいいか、急所に入っててもアリアの蹴りの方が強いだろうし。

「おーいアリア、大丈夫か?」

 倒れたアリアに手を差し伸べる。が、

「触んないでよ!」

 思いっきり手を払いのけられてしまう。警戒心の塊みたいな表情で立ち上がり、こちらから一気に距離を取る。

「アリア? どした、理子がセクハラしてたので気が立ってるなら」

「うるさい! 気安くアタシの名前を呼ぶな、近寄るな! 風穴開けるわよ!!」

 こちらの言葉を遮り、ガバメントをこちらに向けながら叫ぶアリアは――敵意と不信、か。完全に情緒不安定で、こちらの話を聞きそうにない。

「……ふむ」

「何よ、怒ったの? いきなり怒鳴られたことが気に入らないの? じゃあかかってきなさいよ、殺せるもんなら殺して」

シャーロックに何を吹き込まれた(・・・・・・・・・・・・・・・)?」

 今度はこっちがアリアの言葉を遮り、質問する。

「な、何よ突然。曾お爺様は関係ないでしょ!? アンタの質問に答える気はない!」

 目に見えて広がる動揺。まあそうだよな、この状況でアリアに吹き込むのはアイツしかおるまい。

「その顔が答えみたいなもんだがねえ」

「! 来ないでよ、これ以上近寄るなら撃つわよ!」

「警告してくれるとは随分優しいねえ、いつもなら問答無用で殴り飛ばすだろうに。

 まあそうだな、それに返すなら――撃ちたきゃ撃てば?」

 一歩一歩、ゆっくりと近付いていく。そんな俺に対し、アリアは――引金を指に掛けたまま動かず、動揺が強まるばかりだ。最近感情制御(ポーカーフェイス)も上手くなってきたんだが、今はまるで隠せてないな。

 結局アリアは引金を引かないまま、俺がすぐ目の前まで来るのを許してしまった。

「じゃ、もう一回聞こうかな。シャーロックに何を吹き込まれたんだ、アリア?」

 ギリ、と奥歯を噛み締める音が聞こえる。よく見たら、口元から血が流れていた。

「……アンタも理子も、ホントそう。何もかも隠して、その癖平然とアタシの隣に立って、ここにも平然と入ってきて。何様のつもりなのよ!」

「隠し事の一つや二つ、別に珍しくもあるまいに」

「ええそうね、アンタにとって別段珍しい隠し事でもないでしょうね――9条破り(・・・・)!」

 はっきりと、アリアは侮蔑の表情を浮かべる。武偵法9条破り――端的に言うなら、『人殺し』だ。

「ねえ、一体何人殺してきたの? 武偵になる前、お兄さんの養弟になる前一体何をしていたの?

 アタシは知ってる、曾御爺様から聞いたわ。アンタが人殺しを育てる組織に居て――何人もその手に掛けてきたって!」

「ふむ、それで?」

「理子はイ・ウーの命令だった、アタシもいずれその手を汚すこともあるでしょうね。

 でもアンタは違う! 自分の意志で、罪の有無に関わらず大勢の人を殺す『悪』を行った! 違う!?」

「いや、全くその通りだ。俺は俺の意志で、お前の言う『悪』を、兄貴に拾われるまでやっていた」

「!」

 特に迷いなく肯定すると、アリアが俺の左胸――つまり心臓部分にガバメントを突きつける。

「後悔は、ないの?」

「いや、別に」

「罪悪感は」

「何だそれ?」

「アンタ――最低最悪ね」

「よく言われる。なあ理子?」

「そうだな、潤は女子供にも容赦のない鬼畜野郎だ」

「そこは擁護しろよ」

 いつの間にか復活した理子が、裏モード口調でやれやれと肩を竦めている。まあこいつから見ても言い訳無用だわな、俺は。

「で、どうするんだ潤? 今更だが少しは誤魔化したらどうなんだ」

「いや、ここまで来て嘘吐けば余計不信買うだろうよ。なあアリア?」

「……っ、う、るさい、うるさいうるさいうるさい!! 何でいつも通りなのよ、撃てないと思って舐めてるの!?

 ふざけないでよ、アタシはやるわ、ママを助けるためならアンタを殺すことだって!!」

「だろうな、お前には汚れる覚悟があり、それをする資格がある。ああそうだ、アリア」

 狙うならここだぞ。そう告げて、極自然な手付きでガバメントを俺の額に導く。

「っ、潤!?」

「な――なんの、つもり」

「いや何、武偵殺すつもりなら頭狙わないとな。心臓だと防弾服の影響で致命には達しないし」

 俺の場合制服だけでなく、私服も防弾繊維で作られてるからな。確実に殺すつもりならここが一番だろう。

「あと殺さずに捕縛するつもりなら、四肢の継ぎ目を狙うといい。稼働率の関係からどうしても防御が薄くなっちまうからな」

「……っ」

「まあ、別にイ・ウー所属だからって絶対に殺す必要はないだろうけどな。それでも俺や理子、シャーロックと同じ穴の狢になる気なら、今の内に覚悟を決めるといい」

「……曾御爺様は、アンタと違う。あの人は、己の使命のため」

「いいや、同じさ。崇高な理念があろうと、薄汚い欲求からだろうと、『人を殺す』という行為に変わりはない。

 必要なのは、相手の命を背負う『罪悪感』じゃない。命を奪う蛮行を受け入れる『気概』だ」

「……アンタ、死にたいの? この距離なら、絶対に外さないわよ……!」

「いいや、全く。まだまだやりたいことは腐るほどあるさ。

 ただ、因果応報呪わば穴二つ。人を殺したなら、例え法が裁かなくとも殺される覚悟はしなきゃならん。だからそれとこれとは別の話だし、アリアがこの距離で外すなんて夢は見てないさ」

 『死にたい』のではなく、『死を受け入れている』だけの話。実際大して違いはないが、それが魔術師(・・・)である頃から俺の規定。要するに、『殺されても仕方ないし恨まない』、ということだ。

 ……ま、実際殺されてそんな綺麗事言ってられるかは知らんけどな。その時はその時、少なくともアリアなら恨みはしない。

「で、どうするアリア? 俺の命はお前の掌にあり、引いても引かなくても『覚悟』は決められるぞ」

「っ、どこまでも、下に見てるわね……! いっつも馬鹿にして! 嫌い、アンタも理子も、大嫌いよ!!」

「嫌われるのも憎まれるのも、今更さ」

 そういう仕事をしてたもんでね。

 暫しの静寂。それを破ったのは、掠れたアリアの声。

「……じゃない」

 突き付けていたガバメントが下がり、手から滑り落ちる。

「出来る訳、ないじゃないのぉ……」

 その場に崩れ落ち、女の子座りになったアリアは――目に手を当てて、涙を流した。

「出来ないわよ、無理よ……アタシにジュンを殺す覚悟なんてないし、したくもない。

 やっと見つけたパートナーを、ジュンを、理子を、友達を……人殺しだからって、嫌いになんてなれるわけないじゃないのお!!」

 子供のように泣きじゃくり、嫌々と頭を振る。その姿はひどく弱々しく、まるでただの少女だ。

「ごめんなさいママ、私はママをすぐにでも助けたいのに。ごめんなさい曾御爺様、曾御爺様の力になりたいのに……

 でも、でもでもでも、アタシはこんな、こんなの嫌なの、望んでないの! 皆と一緒にいたいの、誰も死んで欲しくないし、殺したくなんかないのお!」

 謝罪を繰り返し、後はただただ泣くばかり。二兎を追う者は一兎をも得ず、分かっていても求めずにはいられなかったのだろう。その矛盾から起こる重圧は、耐え切れるものじゃなかったのだ。

「それが、お前の『無理』なことか」

 やれやれ、最初からそう言えばいいものを。普段はワガママな癖に、肝心な所で尻込みしちまうんだからな。

 俺は屈んで、泣きじゃくるアリアの頭を撫でてやった。

「ジュ、ン?」

「あー、悪かったよアリア。ちと言い過ぎた。そうだな、殺したくないしみんな助けたいなら、そうする方向でいこうや」

「……でも、そんな都合のいい奇跡みたいなこと」

「『奇跡は二流の産物』。どっかの請負人が言ってた台詞だ。奇跡だろうが無謀だろうが、不可能なら可能なように弄くっちまえばいいだけさ。

 だから――アリアの母さん助けて、シャーロックの手も借りる。そんでもって誰も死なないようにする、これを今後の方針で考えていこうや」

「……ジュンに、出来るの?」

「出来る出来ないの問題じゃない――なんて言えればいいんだろうが、まあ俺一人じゃやれることは限られるわな。だーけど三人なら、可能性は大幅に上がる」

「……ホント?」

「ホントホント。だからまた三人でやっていこうと思うんだが、どうかね? 人殺しの俺とは嫌だってなら、また別の方法を考えるが」

「……むぅ」

「ほーらユーくーん? アリアんに意地悪言うもんじゃないよ~。よしよしアリアん、悪いのはユーくんだからね~」

「うん……ジュン、意地悪。全部ジュンのせい」

 俺の所為かよ。泣いた反動で一時的に幼児化してるアリアは、理子に撫でられ抱きしめられつつこっちに頬を膨らませている。何この生き物。

「じゃあ、アリアんはどうしたいのかな? 改めて理子お姉ちゃんに教えて?」

「……ママも、曾御爺様も助ける。アタシと、理子と、……ジュンの三人で」

 うん、俺言うのに一瞬間が必要なくらい嫌な思いさせてしまったらしい。だが私は謝らない(真顔)

「よしオッケーオッケー! よく言えたね偉いよ~。

 ほいじゃあ善は急げ電光石火! 早速教授(プロフェシオン)の元に行くよアリアん、ユーくん!」

「……うん、行く」

 理子の手を借りて立つアリアは、もうこちらに対する嫌悪や恐怖はないようだ。ま、最上の形で一件落着なら悪役(ヒール)でもいいさ。

(ユーくんやばい、やばいですよこれ! アリアんが可愛すぎてヤヴァイ!)

(ちっとは落ち着け、あと鼻血を拭け)

 台無しだよ(白目)

 

 

「……で、眞巳は何で泣いてるんだ?」

「グスッ……すいません、いい話もものでつい」

 涙脆い元パートナーである。

 

 

「あ、そうだユーくん」

「あん? なにより――コンバトラー!? 何するし!?」

「うっさい、ただの八つ当たりだ。……死ぬのを受け入れているとしても、簡単に死にそうな真似なんかしないでよ」

「……あーはいはい、悪かったよ」

(何このラブコメ空間)

 

 

 眞巳とは先程の部屋で別れ、俺達はいつもの三人でイ・ウー内を進んでいく。

「……ああ、死にたいくらい恥ずかしい。なんであんな子供みたいになってたのかしら、アタシ」

「抑制してた反動だろうよ。今は普通なんだし、いいんじゃねえの?」

「理子としてはちょー可愛いアリアんが見られたので何も問題ないですよ! 寧ろ時々はああいう風に甘えて、ああなんでカメラ持ってこなかったのかなあ」

「帰ったら記憶失くすまでしこたま殴ってやるわ」

「りこりん痛いのもいけるからダイジョ」

「バットで」

「バットで!?」

「釘付きの」

「くぎゅバット!?」

「誰がツンデレだ!?」

「思ったけど言ってないよ!?」

「ここに鉛製のならあるが」

「それ『愚神礼賛(シームレスバイ〇ス)』!? 流石のりこりんでもそれで殴られたら死ぬよ、マジで死ぬよ!?」

 寧ろ普通の釘バットなら死なないのか。……理子だと在り得るから怖いな。

 まあ、とりあえず調子も幾らか戻ってきたようで何よりだ。そうしていつも通りの雑談を交わしながら、俺達はシャーロックが待ち構える部屋に到着する。

「んじゃ、開けるぞ」

「え、ユーくん普通に開けるの?」

「どうせ蹴っ飛ばしても効かねーべ」

「そういう問題じゃないでしょ……」

 いいえ、そういう問題です。そうして俺は扉に触れ――すぐに離して横に移る。

「ねえ、その扉に張り付いてるの何?」

「理子お手製『ゆっくり爆弾』」

「はいスイッチドーン!!」

 『ゆ っ く り 爆 発 し て い っ て ね』と、妙にイラッとする間で発言した後に爆発が起こり、その後二回目の爆発が起こった。

「……もしかして、扉に爆弾でも付けられてたの?」

「そのまま開けるなり蹴ってたらジ・エンドやな」

「曾御爺様……入れる気あるんですか」

 横でアリアが溜息吐いてる。尊敬する相手とはいえ、遊び心に余念のない姿は減点対象のようだ。

 入った場所は、先程最初に入ったホールに似た、しかしそれより大きく物の少ない場所だ。端には古めかしいレコードが置かれており、……どこぞの神狩のBGMが流れていた。というか『終〇りなき侵蝕』かよ、分かる奴いんのかこれ。

「やあ、よく来たね。前座の起〇札が本領を発揮しなかったのは残念だよ」

「BGMについて一言」

「僕の趣味だが、何か?」

 アンタ本当に100年以上生きた人間か?

「……曾御爺様、お話があります」

 俺達の横を通り抜け、アリアが一歩前に出る。それを見てシャーロックの顔が面白がってるものからシリアス顔になった。

「ふむ、何だいアリア君?」

「……アタシは、曾御爺様に色々教えていただきました。ジュンが本当はどんな奴なのか、ママを救うのに最短で最善の方法についても。

 それには感謝しています。教えていただかなければ、アタシはずっと無知のままで二人に並んでいたでしょうから」

「気にすることはない、可愛い曾孫のためさ」

「……でも、それだけじゃダメなんです。曾御爺様のやり方なら確かにママを救える。でも、『表』の世界で堂々と歩くのは、難しくなる。だから、別の方法をジュンが提示してくれて、三人で考えました」

「……そうだね。一箇所に留まり続けるのは、君もかなえ君も難しくなるだろう。それでは、どんな方法を考えたのだい? 僕の推理では、君達が僕を逮捕するのが一番確実だと思うが」

「それも考えました。でも、私はママを助けるために、今度は曾御爺様を牢に閉じ込めなんて、アタシは嫌です」

「ふむ――では、どうするのだね?」

「考えてみれば、簡単なことだったんです」

 スッ、とアリアは手を差し出す。それにシャーロックが「ん?」と首を傾げる中、

 

 

「一緒に来て欲しいんです、曾御爺様。ママの冤罪を晴らしていただいて、そして――貴方と一緒に、日の当たる場所で生きていきたいんです」

 

 

 アリアが微笑みながら告げた言葉に、シャーロックは唖然とした顔になった。

 数十秒、数分。棒立ちになっていたシャーロックがようやく口を開く。

「……僕は、君達武偵で言う犯罪者だ。それ以前に、世間では死んだことになっている。そんな僕が、表の世界で受け入れられると思うのかい?」

「ママの冤罪さえ証明してくだされば、私とジュンと理子、三人で強引にでも無罪まで持っていきます。受け入れられるかについては――少なくとも、ホームズ家なら『シャーロックなら生きていても不思議ではない』くらいの感覚で受け入れられると思いますよ?」

「……もう一つ、僕は今日が寿命だ。『緋弾』の継承を行えば、すぐ死ぬ運命にある」

「寿命に関しては――ジュン、どうにかなる?」

「延命治療程度ならここで出来るし、それ以上のこともどっかの組織なり機関なりに頼めばいけるだろうさ」

「というか教授(プロフェシオン)が一番知ってそうですけどね~、りこりんそう推理します」

「――だ、そうです。馬鹿だけど頼もしいパートナーでしょう?」

 誇らしげに言うアリアに(「バカとはなんだバカとはー!?」と喚く理子はスルー)、シャーロックは思案顔で顎に手を当て、

「……確かに、僕の推理でも今の方法は可能だろう、少し時間は掛かるだろうがね。

 はは、それにしても凄いことを思い付くものだ。イ・ウーの長になってから、恐れられたり協力体制を求められることはあったが……僕を表に引っ張り出そうとしたのはアリア君、君が初めてだよ」

 そう言うシャーロックの顔は優しげで、どこか眩しいものを見るようだ。

「良いパートナーを見つけたね、アリア君。僕にもワトソン君がいたが……或いは今の君なら、緋弾がなくても僕以上になれるかもしれない。君の提案は、間違いなく最上だろうから」

「! じゃあ」

「だが」

 喜色を浮かべるアリアに、シャーロックは待ったと手を出す。

「緋弾の継承は僕の最たる望みだ。それなくしては納得できないし――そんな簡単にハッピーエンドでは、面白くないだろう?」

「バッドエンド至上主義かよ」

「いいや、爆破オチかな」

 一番性質わりいぞある意味それは。

「という訳でアリア君、潤君、峰君。君達に二つの試練を与えよう。

 一つ、アリア君へ『緋弾』の継承を行わせてもらうこと。

 二つ、僕に勝利すること。

 この二つを為せたら、君たちの要望を呑もう」

 ステッキを構えるシャーロックに、対するアリアは――不敵な笑みを浮かべた。

「いいんですか、そんな簡単な方法で?」

「何、そう簡単にはいかないさ。年甲斐もなく楽しくなってきたが、存外僕も子供っぽいのでね、面倒だろうが了承して欲しい。

 さあ、戦いに敬老精神も不要、全力で掛かってきたまえ。三人相手でも、易々と遅れは取らないよ?」

「実力差の問題じゃねえさ」

 ちょっと口を挟ませてもらう。大事なことを忘れてるぜ、シャーロック。

「ほう、では何かな潤君?」

「簡単なことだ。『ホームズ家の人間はパートナーの存在によりその進化を発揮する』。

 今のアンタは一人、対しアリアは俺と理子のパートナー付き」

 故に負ける道理はない、そう言ってUSPを構える。「くふふー下克上じゃー!」と言いながら、ナイフとワルサーを構える。

「ハハ、なるほど。まさか部外者にホームズ家の信条を言われるとは、つくづく君には一本取られてばかりだ。

 でもそういうことを言われると――是非とも不可能を可能にしたくなるね!」

 シャーロックが突撃してくる。さあ、戦闘開始だ。

 

 

 




登場人物紹介
遠山潤
 9条破りを平然と肯定した危険人物。殺したことも因果応報の考えも、全て本当のことである。詳細はいずれ解説か本編にて。
 『シャーロックを味方に引き込む』という、とんでもない方法を提案。同じ予測型であるシャーロックにとって、ある意味天敵と言える存在。


神崎・H・アリア
 パートナーと曾祖父の間で揺り動かされた継承者。今回一番ヒロインしてると思う、今までの話全部含めて。
 幼児化して理子に縋りつく彼女を想像して、密かに書き手が萌えていたのは別の話。思い返してみると自分がキモい。
 

峰理子
 セクハラ未遂でマーシャルキックを貰ったTHE・HENTAI。思いっきり急所に当たって死に掛けたが、眞巳が裏で治療して事なきを得た。
 潤と二人分の交流関係を合わせれば、大抵のものは手に入るらしい。想像すると色々怖い(作者が)。


シャーロック・ホームズ
 自身の推理を悉く上回って驚かされる名探偵。内心ちょっぴり自信を失くしているが、潤が特別相性が悪いだけで気にする必要はない。
 レコードでゲームBGMを再現する無駄にハイクオリティな技を披露する。多分途中でまともな曲に変わる、かも? 全てはシャーロックの気分次第である(オイ)


須彌山眞巳
 地味に理子の命の恩人。彼女の超能力(ステルス)が無ければ理子は戦線離脱していたかもしれない、それくらいいいのが入っていた。
 割と涙脆い。潤達と別れて現在、約束どおり菊代の元へ向かっている模様。
 

後書き
 アレ、何で私シリアス書いてるんだろう……まず書き上げて思ったことがこれでした(何)
 という訳でどうも皆さん、ゆっくりいんです。軽い予告詐欺をやってしまいましたが、随所にネタ差し込んでるから問題ないよね! ……すいません、言い訳ですね(汗)
 次回は戦闘パート、そして教授編終了……の予定です。書きたいことが増えなければ大丈夫、のはず。そしてギャグ、のはず……原作だと五巻の約半分なんで、あんまり長引かせたくないんですよね~。
 とりあえず、今回はここまでで。感想・誤字訂正・評価・批評、あのキャラのことが知りたい、こんな話を書いて欲しいなどの質問・リクエスト、お待ちしています。

ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?

  • 読みたい!
  • いいから続きを書け
  • 各ヒロインとのイチャイチャを……
  • エッチなのはいいと思います()

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