遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

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 今回はいっしーさんリクエストの話となっております。しかしリサ大人気やな……先行で出して今更ですけど、皆さんはリサ好きですか?



リクエスト小話 いつから定番所に行くと錯覚していた?

 

 秋葉原。別名『武偵封じの街』。海外メディアでも日本のオタク街として有名であり、外国人観光客も多い場所である。

「ですがリサはアキバではなく、中野に行くことを選択しました」

「何でキリッとした顔で言うんだよ」

 どうも、遠山潤です。本日は俺とリサの依頼休みが重なったため、二人でデート中(リサが言うには)である。場所はリサの言うとおりアキバでなく中野、カオスのオタクビル中野ブロード○ェイが存在する、隠れたオタク街だ。

 アキバは何回か回ってるが、中野は初めてだな。隣のリサはウキウキしているのが分かる表情で周囲を――オイ、犬耳出てるぞ。

「あ、申し訳ありませんご主人様! んん……戻らないです」

「興奮すると戻らないもんなのか……? まあいいか、コスプレと思われるだろうし」

 アキバみたいにコスプレイヤーが大量にいる訳じゃないから目立つが、元々白人系の美少女ということで注目されているため、大して変わることはない。100に1を足す理論だな。

「しかしなんで中野? アキバの方が欲しいものは多いと思うが」

「メイドカフェを見ると一言物申したくなるもので」

「ご意見番かお前は」

 まあ言いたいことは分からんでもない。本職からすれば客商売でやってるメイドカフェに思うところはあるのだろう。

「あとこれはリサ個人の問題なのですが、流行りものに便乗するのは負けた気がしてしまうんです」

「ウチのメイドは厨二病なようです」

 マイナー路線カッケー心理に聞こえるぞ。というかお前理子と今期のアニメ毎週欠かさず見てるじゃねえか。それは別問題? アッハイそうっすね。

「まあいいけどさ。つってもブロード○ェイ以外何があるのかねえ」

「ご主人様、あちらにコアラの○ーチ焼きというのがありますよ。世界でここだけの販売だそうです」

「ふうん、結構並んでるな」

 形もコアラの○ーチなんだな。ふむ……

「皆様へのお土産用と、今食べる分に幾つか買って行きますか?」

「……顔に出てたか?」

「はい、物欲しそうな子供のようでした」

 クスクス笑われてしまった。しょうがねえだろ、日本人は限定って言葉に弱いんだよ。誤魔化すために笑ってる顔も可愛いなと褒めたら、リサは(犬)耳まで真っ赤にして「ご主人様にそこまで褒めていただけるなんて……リサは、リサは……」と、何か辛抱たまらんみたいな顔してたが。帰ったら変なことされそうだなあ……

 なお、並んでた最中なので野郎どころか女子からの嫉妬ビームもやばかったのは言うまでもない。人を妬む暇があったらいい人でも探した方がいいと思うぞー。……殺意が混じったな、なんで全員心読んでるんだよ。

 

 

「ヘルモーイ(素晴らしいです)!」

 ブロード○ェイ内でリサの第一声がこれである。周りの客が何事かとこちらを見て恥ずかしそうにしてるが、叫ぶのも無理はない。正直ネットで話題に上がるほどの場所か? と思っていたのだが、いい意味で予想を裏切られたわ。

 ガイドブックを見ながら店を冷やかしつつふらつく。ふうん、地下はスーパーと飲食店になってるのか。その気になれば一日中遊べそうだな、まさにオタクのデパートってか。

「まん○らけ多いな、どんだけ分かれて存在してるんだこれ」

「ご主人様、こちらでスマホのオリジナルカバーを作ってくれるらしいですよ! これでネコ○ルクペアルックなんて……キャッ」

「え、それで恥ずかしがるの?」

 いや面白いけどさ、お前持ちキャラ白○ンなんだからそっちのセットにしろよ。

 などとカバーのデザインを考えたり(結局複数個作った)、

「おーいリサ、そっち成年誌のコーナ」

「……よ、世の中には色々なプレイがあるのですね。モーイ、勉強になります」

「無理に取り繕わなくていいから」

 というか未成年が読むなよ。あとメイド物を気にしながらこっち見るのやめような?

 などと(リサが)恥ずかしい思いをしたり、

「ネタTシャツも集まるとカオスだなあ。あ、壁殴り代行」

「ご主人様、てめぇ馬鹿か! Tシャツありますかね?」

「それはしんよこに行った方がいいんじゃないかなあ」

(お前等見てる方が壁殴り代行頼みたくなるわ!!)

 などと店員から負のオーラを感じたり(チラ見したら慌てて営業スマイル浮かべてた。おせーよホセ)、

「これと、これ……あ、店員さん、こちらのショールームにあるのもお願いします」

「化粧品随分買うな、どれも切らしかけてたっけ?」

「いえ、これは理子様から依頼されたご主人様女装用のセット」

「よし今すぐ戻せ」

 などと女装用化粧セット購入を阻止しようとしたり(結局買われた)、色々見る場所は多かった。そんでもって本日の本命、

「ここが噂の中野T○F……北斗の聖地ですね!」

「違……わないな。うわあ、人間やめてるプレイヤー多くね?」

「ご主人様、リサ行ってきていいですか?」

「そこで目を輝かるリサが流石だよ。いいよ、楽しんできな」

「はい、ありがとうございます!」

「ああん? なんだあ姉ちゃん、女だからって手加減しないぜー?」

 ……なんでここにもモヒカン(ガチ)が湧いてるんですかねえ。

「はい、全力で楽しみましょう」ニコッ

「……ポッ」

「あの兄さんは童貞」(適当)

 アタァ!!

「ギィヤァーーーー!?」

「ありがとうございました」

 しかもこの強豪勢に勝つし。常連相手に二十連勝していったリサは『謎の白人美女ゲーマー』として、しばらく噂になったとか。ただの(キチガイレベルの)格ゲーマーメイドです。

「お帰りー、見事に勝ち逃げしてきたな。……どうした、ニコニコして」

「ご主人様、リサが最初の方に笑って挨拶した時、ちょっと複雑そうな顔してました」

「んー? そんな顔してた?」

「はい、してました」

 マジかよ、自分で気付かないとか脳味噌がいかれたか、俺。

 ニコニコしっぱなしのリサと腕を組みながら、ゲーセンを去る。世紀末チックなお兄さん達から嫉妬の視線を頂くが、もう慣れたよ。

 

 

「ブラックコーヒーとシュークリームでお願いします。ご主人様はどうなさいますか?」

「ホットココアとショートケーキ、あとモンブランで」

「は、はい、かしこまりました」(男の人甘いもの多!? というかご主人様って……)

 同じブロード○ェイ内の喫茶店、店員さんのギョッとした視線を受けつつ注文を済ます。すいませんね、変な関係では……あるか、現代的に考えれば。

「ご主人様、今日はありがとうございました」

 注文が届いてからしばらく雑談していると、リサが頭を下げてきた。なんぞ、改まって。

「い、いえ、ご主人様の貴重なお休みをメイドであるリサのために使って頂いたので……」

「ああ、そういうこと。気にしなくていいぞ、俺も楽しかったし、普段家事やってるリサには見合うものがないとな」

 寧ろ普段の仕事っぷりを考えたらこの程度の対価では足りないくらいである。リサ一人の参加で家事と家計の負担が一気に軽くなったからなー。もうリサに足を向けて寝られん。

「そ、そんなことないです。寧ろご主人様が主義を曲げてまで受け入れてくださらなかった時のことを考えると、リサの方が感謝しても仕切れません」

「アレは意地張ってたみたいなもんだよ。俺一人の主張を曲げて人一人が救われるなら十分合理的だろうよ」

 

 

「はっ!? 今お兄ちゃんが凄い波長の合う表現をした気がする!」

「……最近変な電波を定期的に受信するねフォース。クスリでどうにかなる身体じゃないでしょうし、頭でも打った?」

「愛の成せる(わざ)だよ!」

「ああなるほど、(わざ)なら納得したわ」

 

 

「リサはもうちょっと我侭行ってもいいんだぞ? それくらいの成果は上げているさ」

「え、そんな、でも、リサはご主人様のメイドで、こんな出過ぎたお願いを何度も言うのは……」

「立場で遠慮する必要はないぞ、少なくとも俺に対しては」

 ココアを飲みながらそう言うと、リサは感動に潤んだ目で、

「ヘルモーイ、やはりご主人様は素晴らしい御方です……でしたら、あの、またお休みが重なった時、一緒にここへ行きませんか?」

「ん、いいぞ。まだ見れてないところもあるからな」

 正直俺もここ気に入ったし。頷いて肯定すると、

ダンキュウェル(ありがとうございます)、ご主人様」

 華の咲くと呼ぶに相応しい笑顔で、リサは微笑んだ。次いでテーブル越しに俺の手を掴み、笑顔から一転顔を赤らめて、

「あ、あの、ご主人様。ぶ、不躾ながらもう一つお願いが」

「――んー、ちょっと待ってくれ」

 手を掴んだままのポーズで困惑するリサを背に席を立つ。そうして俺達の二つ隣、黒髪の女子高生三人組の前に立ち、

「で、お前何するつもりだったんだ理子(・・)

「ぎギクゥ!? だ、誰のことですかなー?」

 その発言でお前だって一発で分かるよ。あとその手にあるボールペンに偽装した爆弾を仕舞いなさい。

 観念したのか理子と他一名(一人は黒髪そのままなので白雪)はウィッグを脱ぎ、気まずげな笑顔を浮かべる。リサは「理子様!?」と驚いてるな。

「あ、あははー。いつから気付いてたユーくん?」

「モノレール乗るところから視線は感じてたな」

「最初からばれてましたね、理子」

 対面でクスクス笑うメヌは、反省の欠片も見受けられない。というかお前も元気になったな、数時間歩き回っても平気なんだから。

「え、えーと潤ちゃん、あのね? 駅で偶然二人を見掛けて、それで気になって二人を追いかけて、て……ご、ごめんなさい!」

 土下座しそうな勢いで頭を下げる白雪。うん、素直に謝れるのはいいことだよ、許す。

「気になったので」

「是非もないネ!」

 うん、お前等はダメだ。

 リサは静かに立ち上がり、こちらへと近付いてくる。いつも通りのニコニコ顔だが、ちょっと負のオーラを纏ってるのは気のせいじゃないっぽい。

「理子様、メヌ様。夕飯はヘルシーメニューを提案しようとリサは思うので」

『すいませんでした!!』

 めっちゃ危機感のある顔で謝った。リサを怒らせてはいけない(戒め)。

 リサは小さく溜息を吐いてから、バカ二人のことも許してやった。お疲れ様。

 ……お願いはまあ、別の時に聞くとするかね。内容は大体察せるし、叶えられるかどうかは別だが。

 

 

 




登場人物紹介
遠山潤
 メイドと一緒に休みを満喫してきた主人公。随所でイケメンっぷりを発揮し、周囲の嫉妬ビームを何回も喰らっていた。多くは言わない、もげろ。


リサ・アヴェ・デュ・アンク
 アキバでなく中野をチョイスするややディープな感じのメイド。チョイス理由の一番は格ゲーなのがここの彼女らしい。
 潤に終始ドキドキさせられっぱなしだが、最後の最後で台無しにされたのは流石に溜息もの。ちなみに帰ってから改めて『お願い』を聞かれたが、恥ずかしくして言えなかった模様。
 
 
峰理子
 前回に引き続きストーカー行為に精を出す変態淑女。「ちょっと癖になってきたかもしれない」とは本人の談。やめて差し上げろ。


星伽白雪
 理子とメヌエットに唆されてストーカー同行した巫女さん。リサ相手には流石に嫉妬攻撃も控えめな模様。


メヌエット・ホームズ
 興味本位でストーカーに同行した安楽椅子探偵。罪を罪とも思わないいい根性しているが、夕飯のメニュー変更には勝てなかった。なお、足の調子は走りさえしなければ健常者と然程代わらない模様。
 
 
後書き
※注意:この中野はフィクションです。実際の団体、企業とは関係ありません。
 ……よっし、注意書き終わり。どうも皆さん、ゆっくりいんです。というわけでリクエスト作品、リサメインでお送りしましたが如何でしたでしょうか? 萌えればいいと思います(オイ)
 ちなみに今回何故中野かというと、リクエストアキバだったんですがブラド編でやったのと、実際に作者が中野行ってきたからです。それが活かされてるかは……分かんないネ!(マテ)
 では、次回より第七章『吸血姫と忍者』編をお送りします。新キャラの崩壊度? ハハハ、ナンノコトデスカネエ?
 感想・誤字訂正・評価・批評・質問・リクエストなど、良ければ付けてくださるとこれ以上なく嬉しいです。では読んでいただき、ありがとうございました。


ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?

  • 読みたい!
  • いいから続きを書け
  • 各ヒロインとのイチャイチャを……
  • エッチなのはいいと思います()

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