遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

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 デラーズ紛争MS解説を見て懐かしさに浸っているこの頃。やっぱ統合計画のジオンMSっていいですよね、特にリック・ドムⅡ(何
 ところで友人がハイスクー○D×Dを勧めてくるんですが……なんで主人公とイケメンキャラの絡みネタを多用す
 氷||(´・ω・`)||氷ピキーン
ジ「個人的な時事ネタで投稿遅れたのを誤魔化す輩は氷漬けだ」
 氷||(´・ω・`)||氷(ライターください)
「こいつ脳内に直接……!? いや違う、ライターくらいでその氷が溶ける訳ないだろうが!」




第四話 御託はいいから殴り合おう(前編)

 

 東京スカイツリー。高さ634m、地上160階に及ぶ巨大電波塔兼観光施設であり、現在でも国内外を問わず人気が高い。

 午前二時、SV1000をかっ飛ばして到着し、エレベーターで目的の階を押す。普通なら深夜でも警備員や監視カメラが動いているものだが、人払いの結界とハッキングにより不気味なほど静かだ。まあ結界は俺がやったんだけどな。

 エレベーターの上がる音をBGMに、ワトソンのデータを脳内でおさらいしていく。手紙には装備に制限を設けていなかったため、ワトソンが望むのは交渉でないだろう。アリアを誘拐した理由までは推測の域を出ないが、ここまで来たら直接聞いた方が早いか。

 チン、と到着の音が鳴り、扉が開く。目的の場所――展望台エリアにて、ワトソンは窓の外を見ながら待っていた。

「ジャストだ。時間を守れるのは英国紳士として評価するよ、トオヤマ」

 振り向いた(彼女)の格好は、防弾・防刃性のトレンチコートにベスト、コンバットブーツ。黒一色に統一された完全武装だ。まあ俺も防弾制服に黒コートと、似たような格好だが。

 お前紳士じゃないだろ? ツッコミ入れる空気ではないので、

「そりゃどうも。で、誰も来ないよう諸々の処置までしてご苦労さんなことだが、用件は何だ?」

 見たところ罠はなし、その代わりかワトソン自身は薬を使っているようだ。見たところ痛覚と恐怖心の減少、身体能力上昇、軽度の興奮状態か。

 俺の質問に手袋が投げつけられる。

「君なら分かっているとは思うが、決闘だ。二人を取り戻したければボクを倒してみろ」

 こちらを見据えるワトソンの瞳は、敵意と殺意に満ちている。

「見捨てると後が怖いからやるけど、戦闘じゃなく決闘なのはどういうつもりだ? 普通場所を指定したなら自分に有利なフィールドを作るだろうに」

「そんなの簡単だ。君には離間等あらゆる搦め手が効かないのは理解した。ならば下手に策を講じて逆に利用されるより、正面からやりあった方が勝ちの目はある。

 

 

 そして何より、ボクはお前のことが気に入らない」

 

 

 表情、瞳からその言葉が本気であることが分かる。

「……幼稚だと笑うかい?」

「――いいや」

 ワトソンの言葉に俺は首を横に振り、

「感情に従った行動なら合点がいった、興も湧いた。いいぜ、決闘に小難しい理屈はいらねえ、存分に殺り合うとしようか」

 笑いながら背負っていたギターケースの先端をワトソンに向ける。

「……君も良く分からない男だな。てっきり奇天烈なことをしながらも合理的に行動するかと思っていたんだが」

「合理だけに従う奴が不利な殴り合いなんざするわけねえだろうよ。本来俺は後方支援と情報収集が仕事だぞ」

「……そうか、そうだね。じゃあ会話はここまでだ、始めようか」

 片手にSIGを構え、もう片方に1ユーロ硬貨を取り出す。

「これが合図だ」

 ピィン、と小気味いい音を立ててコインが弾かれる。と同時、SIGから銃弾が吐き出された。

 一拍遅れたが、こちらもギターから砲身が競り出て銃弾を叩き落す。落ちてからとは言ってないからな。

「やはりエ○・マリアッチか。妙なものを使っているね」

「汎用性が高いから好きなんだよ。まあ使いにくいってもっぱら評判だが」

 こんな風にな、とデスペラード砲の構えでミサイルを撃つ。無論アッサリと避けられ、逆にSIGの一斉掃射を浴びる羽目になった。

 当たり前だが、こんなポーズじゃ素早く動けないのでギターケースを盾にする。一発腿に掠ったが、移動に支障はない。

「うん、やっぱこの構えはないな。隙でかいし」

 様式美に拘った結果がこれだよ! などとふざける暇もなく追加の銃弾を弾き、避けながらマシンガンで反撃するが、さっぱり当たらない。

 身体能力はクスリ込みでも眞巳より下だが、技術面では上だろう。今もこちらの隙を突く形でSIGの跳弾を死角に撃ち込んでくる。面倒な手合いだねこりゃ。

「銃撃戦では一歩劣るか。アリア以上の技量とは流石だね」

「全弾回避してる癖してよく言う、ぜ!」

 散弾に切り替えてぶっ放すが、これも外れ。軽業師のような身軽さで接近され、首を狙ったコンバットナイフの一撃を間一髪で避けるも追撃の肘撃ち、はかわしきれないのでマ○アッチで受ける。

「仕込み刃ね、全身凶器の類か」

「そうだ、マ○アッチで受けたのは正解だね。でも、近接戦の方が不得手なのは本当のようだ」

「そう思うなら手加減してくれませんかねえ」

「手加減する相手じゃないさ、ボクは君の能力と実績が見合わないのを知っている。

 さて、まずはその物騒なギターを頂こうか!」

 ギターケース越しに伸ばされた手で弾かれ、マ○アッチを離してしまう。見事な盗む技、ゲームなら『Steal!』と表示されるくらい鮮やかだ。まあ、

「欲しけりゃくれてやるよ」

 余計なおまけ付きでな、と自分から手を離し、マ○アッチごとワトソンを蹴り飛ばす。

「な!?」

「はいドーン」

 距離が離れたところで仕掛けを作動、驚愕するワトソンを巻き込んでマ○アッチはしめやかに爆発四散! ワザマエ!

「ふむ、不意を突くには爆弾もいいか。実用性は及第点、課題は取り回し易さ」

 か、と言い切る前に煙の中から長針が飛んできた。ダメージにならないのは予測していたが予想より対応が早――

「ぐえ!?」

 針を取り出していたUSPの銃弾で弾いた直後、顔面に何かを掛けられた。目が見えん+粘り気が良すぎて剥がせねえぞこれ!

 そうして怯んでいる内に、身体を糸で縛られる。鋼線じゃねえなこれは、毛髪か?

「爆発に巻き込んだ直後に追撃もなしとは、詰めが甘いね。まさかあれで勝ったつもりだったかな?」

 だとしたらくたばらなくて失礼した、とワトソンの声が聞こえるが、全方位から聞こえるような錯覚を感じる。幻覚、しかも超能力(ステルス)ではない類か。

「顔に付いてるものは無理に剥がさない方がいいよ? (にかわ)よりも強い粘着力だからね、皮膚ごと持っていかれかねない。

 まあ、ここまで言えば君が今受けているものがなんなのか分かるだろう?」

 衣擦れと金属音。それらが聞こえる中俺は答えを口にする。

「……長針の毒に吸着の痰、蝶の幻術に髪の糸。爆発は壁に入る隠行で逃れたか。

 甲賀と伊賀十人衆の技を同時に複数使うとか、どんだけデタラメなんだよ」

 しかも恐ろしいのは、これらの技に一切の魔力を感じないこと、つまり超能力(ステルス)ではない。どんな修練を積んだら十人衆の業なんか使えるんだよ、しかも複数。俺じゃあ超能力で再現するのが精一杯だぞ。

「お褒めに預かり光栄だよ、文字通り血の滲むような努力をして会得したからね、この対超能力用の『忍術』は。

 ……あ、ちなみに服はもう着てるからね!? 決してボクは露出狂じゃなくて技のせいだから!」

「うんそこまで聞いてねえよ、というかスルーしようとしたのに自分から口にするとか」

 そこの欠点は解決してないのね、本当に緊急離脱技のようだ。見えなくてもワトソンの顔が真っ赤なのは想像に容易い。

「……ゴホン。失礼、取り乱した。

 とにかく、これこそボクが『西欧忍者(ヴェーン)』と呼ばれる由縁。バジ○スクに登場する二つの里の技を修め、他にも忍者の技能を修めたエージェントさ」

「リアル現代忍者と。じゃあスレイヤーなあの技も」

「それはボクの勉強不足でまだ観てない。というかネタ衆がプンプンするんだが」

 正解。口には出さないでおいた。

「ふう。……さて、ダメージも癒えたし続きといこう。といってももう詰みの状態だが、どうするんだい?」

「どうするって」

 こうするよ。言うと同時全身から炎を発し、顔面の痰と拘束する縄を焼き払った。そうしてUSPを構えるが、

 

 

「それは読んでいたよ」

 

 

 妖しく光るワトソンの瞳。俺はそれを直視してしまい、意志とは無関係に自らのUSPを側頭部へ突き付けてしまう。

「君らしくないミスだねトオヤマ、この展開なら読めていたと思ったけど。それとも生理的な不快感は拭えなかったかな?

 さあ、これで本当にチェックメイトだ。自らの銃弾でそのよく回る頭に風穴を空けるといい」

 それアリアのセリフだろ。一言を口にすることすら叶わず、引鉄に掛けた指へ力が籠もり――

「おらよ」

 引鉄は引かず、全力でUSPを投げつけてやった。

「――え、な!?」

 瞳術が破られると思わなかったのか、一瞬硬直するワトソン。条件反射か顔面に迫るそれは難なく弾くが、その頃には俺も動いている。

 制服の上着を脱ぎ捨て、右手には薄手のナイフを。一直線に飛び掛るが、ワトソンとてただ固まっているわけではない。息を吸い、こちらの進行先にかまいたちを発生させる。触れれば全身を切り裂くそれを跳躍で回避し、天井に一瞬張り付いて再度突撃。

 反応が後手後手になっているが、それでも再度かまいたちの防壁を即座に張るのは流石と言えるだろう。

「極彩と」

 防御が無意味、という点を除いてだが。

 不可視の防壁はただのナイフにあっさりと切り裂かれ、

「散れ」

 技の後で硬直していた相手に、ナイフの一閃が走った。

「――ぐ、う……なんで、瞳術が解かれ」

「解いてねえよ。単純な話、敵意も悪意も一切持たなければ(・・・・・・・・・・・・・・)

「――はは、やっぱり君は、デタラメだよ」

 ドサリ、と音を立てて倒れる。起き上がろうと必死に足掻いているが、まあ無理だろうな。気力でどうにかなる状態じゃない。

「チェックメイト、でいいかね?」

「……ああ、悔しいけどボクの負けだよトオヤマ。まるで身体に鉛を注入された気分だ」

「いやそれ死ぬだろ」

「比喩だよ、分かるだろうそれくらい。というか一体何をしたんだい? 外傷はない筈なのに全く動けないんだが」

「ナイフで神経系の機能を一時的に切らせてもらった。超能力による神経攻撃の類で」

「要約すると?」

「非殺傷設定の魔力ダメージ」

「神経系がどうこうって言ってなかったかい?」

 お前がざっくりまとめろって言うから簡単にしたんだろ、俺は悪くねえ(何)

「んで、アリアとメヌはどこに隠してるのよ?」

「ボクを殺せば分かる、と言ったら?」

「死体は喋らんし吐けないだろ」

「ボクの死が扉を開く条件かもしれないじゃないか」

「魔王城の門番でもない限りねーよ。というか九条破りをさせんな」

「君ならどうとでも誤魔化せるだろう? というかさっさとトドメを刺してくれ、ボクは負けたんだから」

「なんで自殺志願者になってるんですかねえ……」

 あと『私、死を受け入れています』みたいな顔してるけど、USP向けたら反応してるのバレバレだからな。

「……正直、頭が冷えた。君への嫉妬でアリアとメヌエット嬢を巻き込み、無理矢理決闘に挑ませた自分の醜さに死にたくなってきてる」

「俺なんぞに嫉妬してどーするよ」

「傍から見れば幾らでも感じられるものだよ? 強襲科Sランクの腕前、にも関わらず誰とでも親しげにいられる姿勢、それでいて頼りになる仲間に囲まれて自由気ままに過ごしている。

 ……男であるよう教育され、躾けられ、誰にも正体を明かさないでまともな友達もいないボクからすれば、君という存在は妬ましく、憎らしい存在だ」

 そして何より。それまで淡々と語っていたワトソンの瞳がありったけの憎悪と嫉妬を孕む、視線に威力があるなら殺せそうだな。

「超能力を使う素質がある!! ずるいじゃないか、それだけの力と人脈を持ちながら他人にも教えられるくらいの知識を持ってるってアリアから聞いたし!

 ボクだってN○RUTOの忍術とか使いたかったのに、なんで天は君にばかりボクが欲しいものを与えているんだい!? サノバ○ッチ!!」

「……えぇー」

 一番怒る理由それかよ、というか色金前提の理子より魔力が低い俺に嫉妬するとかどんだけ――ああ、先日の模擬戦か。

「……はあ、もう色々吐いたらどうでも良くなってきた。トオヤマ、君の手で終わらせてよ」

「闇堕ちした味方かお前は。というか適正開放すればお前だって超能力くらい使え――」

「使えるようになるのかい!?」

 飛び起きて両肩を掴まれた。痛い痛い力込めすぎだから! というか衰弱状態だったのにいきなり起き上がるとかどんな精神構造してるんだ!?

「本当なんだねトオヤマ!? ボクも影分身とか白○とか使えるようになるんだよね!? 嘘だったらリバティー・メイソンの全戦力を賭して君を殺しにいくよ!!?」

「ちょ、待った待った本当だから!? とりあえず落ち着いて手を離し」ゴキン

 あ、外れた。万力だけで壊しにくるとかどんだけだ今のコイツ。

「あ……す、すまないトオヤマ。ちょっと落ち着くことにするよ」

「是非そうしてくれ」

「……ゴホン。もしボクに忍術を教えてくれるなら、リバティー・メイソンはバスカービルへの助力と非々色金の譲渡を約束しよう。元々君にはイクスカリヴァーンを返却されて印象もいい、ボクが一言掛ければ上層部も頷いてくれるだろう」

「私欲で組織の行き先を決めようとしてる件」

「いざとなったら色金を盗んでボクだけでも協力するから、この通り!」

「それ間違いなく指名手配されるからな? まあその条件なら願ったり叶ったりだが」

「! じゃあ?」

「ああ」

 こちらが手を差し出すと、ワトソンは満面の笑みで両手を握ってきた。力は込められていないので女子特有の柔らかい手なのはよく分かるが、瞳が爛々し過ぎて怖い。餌を前にした犬みたいだ。

「契約成立。改めてよろしく、エル」

「ああ、よろしく親友(Close friend)!」

 (親友認定が)はえーよホセ。

 

 

おまけ

「アリアー、メヌー、起きろー」

「んぅ……あれ、ジュン? 朝ゴハン出来たの?」

「今夜中だから、飯の時間過ぎてるってレベルじゃないから」

「……ジュン、髪を整えて顔洗って」

「自分でやるかサシャさんとエンドラさんに頼みなさい。ホラ、ここ寮じゃないんだからシャキッとしろ」

「アリア、メヌエット嬢、大丈夫かい? すまなかった、手荒い真似をし」

「――」パチリ、ギロ

 ドカバキボコグシャバキバキ!!!

「……ぐほぁ。な、何が」

「……うわぁ、王子を誘う魔の○ディールで空中コンボとかえげつないな」

「エル、アンタ食事に睡眠薬盛るとかどーいうつもりかしら? 覚悟は出来てるんでしょうねえ」

「ま、待ってくれアリア! 確かに一服盛ったのは謝る! だけどこんなの珍しくないんだから」

「あらあら、ワトソン卿分かってないようですね? 神聖な食事に何かを盛るということ、それがどれだけ罪深いか教えて差し上げますわ。お姉様、逃がさないようにしてください」

「ジ、ジュン、助けて(Help me)!!」

「いやすまん、我が家には『食材で遊ぶ輩はもれなく極刑』というルールがあるんでな……気の毒だが、存分に死んでくれ」

「う、裏切りものー!」ドップラー

 ドナドナされたエルは十分後、(精神的に)死んでいた。ところでお前等、上にいるだろう二人忘れてないよな?

 

 

 




後書き
 なあにこれえ(真顔)
 どうも、ゆっくりいんです。おっかしいなあ、最初はガチバトルするだけの予定だったんですが……変な厨二病こじらせて実際に使えるようなキャラになっちまったよ……というかバトルも半分以上ネタですねHAHAHA。
 まあこれでワトソンくんちゃんの強化フラグが立ったということで一つ。……ツッコミ役が増えたと思ったのになあ、どうしようかなあ(シラン)
 とりあえず、次回はおバカとシスコンの対決になると思います。というか文化祭ネタどこにぶち込もう……カットしたらダメですかね?(チラッ)
 とりあえず今回はここまでで。感想批評評価等お待ちしてます! あと早めに投稿します! ……嘘じゃないですよ!?(フラグ)
 
PS 
フラグでした! 毎度毎度お待たせしてしまって大変申し訳ありません!
ジ「謝る必要はないぞ作者。この前後編が終わったら活動報告に座談会(言い訳)タイムが待っているからな」
 え、ジャンヌさんによるリンチですか?
ジ「いや、ホームズ姉妹だ」
 ……逃げていいですか?
ジ「逃げられると思うのか?」
 デスヨネー(白目)


ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?

  • 読みたい!
  • いいから続きを書け
  • 各ヒロインとのイチャイチャを……
  • エッチなのはいいと思います()

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