遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

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潤「……なあリサ」
リサ「はい、なんでしょうかご主人様?」
潤「いや、もう動くのは問題ないから。くっついてなくても大丈夫だぞ?」
リサ「駄目です。リサはご主人様に守ってもらう誓いを立てましたが、無茶をして欲しいなどとは一言も言っていません。
 なのでリサはメイドとして、ご主人様を癒やす義務があります」ギュー
潤「いやこれ拘束だろ」
リサ「それに、最近ご主人様はリサに構ってくれません。リサはご主人様から構ってもらうご褒美を要求します」プゥ
潤「いやそんな構ってないわけじゃないと思うが……あーこら、もっと押し付けるんじゃない」
リサ「ああ、ご主人様かわいいです……」




第三話 自分より周囲がやる気満々なんだが

「くふふー」

「うふふ」

「……」ニコニコ

「……」

 何だこの状況。どうも、遠山潤です。

 孫(サイ○人にあらず)にボコられてから一夜明け、俺も五割程度は回復。とりあえず動いたりは問題ないため、改めて作戦会議となったのだが。

「んじゃあ、孫の対策についてだが」

「私が占星術で探して」

「理子とユキちゃんがボコり」

「連行したら私がトドメを刺します」

「何だその私刑サイクル」

 上から白雪、理子、メヌの発言である。大半の奴が助からねえだろ、肉体も精神も。死んだ方がマシな状態にされそう。

「……えー、じゃあ藍幇の拠点は」

「爆発物設置は任せろバリバリー」

「邪魔する輩は刀の錆にします!」

「ルートはリアルタイムで案内しますよ」

「お前ら何でそんな殺意高いの?」

「「「え? 普通ですよ?」」」

 アリアー助けてー、この人達殺意高過ぎるのー。

「アンタの代わりにやる気なのよ、愛されてるわねジュン」

 言いながら目を逸らさないでくれませんかね。諦めないで、武偵は諦めないしこのままだと香港藍幇が炎に包まれるから。リサはニコニコしてるだけで止める気配皆無だし、寧ろ賛成派だよこれ。

「では、作戦決行前に状況の整理をしましょう」

 この空気を無視して平然と話すレキさん流石ですわ。スケッチブック取り出したのは謎だけど。

「まず、昨日の遭遇戦で潤さんがやられました」

 何で俺がヤムチャしてるんだよ、しかもTSしてるし。

「その後、アリアさんと理子さんが夜まで捜索を行いましたが、接触はなし」

 何で二人ともフル武装なんだよ、こえーよ。

「潤さんは戦線離脱で指揮に専念、今回はアリアさん、理子さん、白雪さんの四名で相手拠点を中心に捜索する予定です」

 指揮する俺がキングプロ○アみたいになってるのなんなの? あと立ってる三人が明らかに制圧三秒前の状況なんですが。後ろのメヌに至っては裏ボス感満載だし。

「以上が、現在の状況です」

「なんでイラストで説明したんだ」

「特に意味はありません」

「アッハイ」

 こいつもうちょい合理的に動いてなかったっけ(白目)

「というわけで潤さん、前日の時点で闇雲に探すのは非効率的なのが分かりました。何か方法はありませんか?」

「最後俺に丸投げかよ。まあ前回の戦闘で魔力パターンも把握したから、探索くらいは出来るだろうが……」

 チラリとメヌの方を見ると、ニヤリと邪悪に(見た目だけは綺麗に)笑い、車椅子を動かして横に並んだ。おうなんだよ怖いからこっちくんな。

「では目には目を、歯には歯を、奇襲には奇襲で行きましょう。ジュン、ターゲットの居場所は?」

「……あー、ちょっと待って。白雪、理子、これ孫の魔力パターン」

「ありがとう潤ちゃん、じゃあちょっと探るね」

「手伝うよ~ユキちゃん」

 白雪は地図上から孫の魔力を探り、理子がリアルとリンクするよう補助する。普段ポコポコ(弱表現)殴り合ってる癖に、こういう時はコンビネーション抜群だよなこいつ等。

「……っ。見付けた。香港市内を移動中、他に目ぼしい敵はいないね」

「ありがとうございます。さて、その上で作戦なのですが――」

 メヌが語る作戦に、白雪は驚き顔、理子は面白そうだと笑い、アリアは顔を引きつらせた。あーこれは、トラウマ再発かな?

「む、無茶苦茶だねメヌちゃん……」

「でもこれなら奇襲にはピッタリだね、ボッコボコですよボッコボコ!」

「……マジでやるの?」

「今のお姉様ならこれくらい問題ないかと」

「いやまあそうだけど……え、ジュン他にないの?」

「……奇襲仕掛けるならそれが一番だな。この結界は『隠蔽』の術式も兼ねてるから、出るまでは気付かれないだろうし」

「……アタシ、こっからでも超能力で援護できるわよ」

「ビームぶっ放してビルとかターゲット以外をぶっ壊さないって確約できるならそれでもいいけど」

「うぐっ」

 痛いところを突かれた、と胸を抑え「抑える胸がな」「だらっしゃあ!!」「イーターオブワールド!?」読心して吹っ飛ばされるとかわかんねえなこれ、あと俺を睨むな、何も不埒なこと考えてねえから。

「アリア、大丈夫だよ。いざとなったら私が支えてあげるから!」

「いや、そういう問題じゃないんだけど……あー、分かったわよ。行けばいいんでしょ行けば」

 投げ遣りに返事をする。まあアレだ、頑張れ(投げ遣り)。

「もうちょっと考えなさいよアンタは!?」

 ハハハ、俺がメヌ以上のプランニング出来るわけねえじゃん(真顔)

「ところでリサ」

「はい、何でしょうご主人様」

「そろそろ離してくれない?」

「申し訳ありませんが、その命令は受け付けません」ギュー

「えー……」カァァ

(弄り倒したい)byメヌエット

(リサちゃん……羨ましい!)by白雪

 

 

 

 ……神崎・H・アリアよ。今私達はホテルの屋上(鍵は理子が開けた、手馴れ過ぎでしょ)にいるんだけど……不安しかないわ。

 ジュンの仇討ち(死んでないけど)にみんなが燃えてるのはいいんだけど、いつも以上に無茶苦茶な作戦なのよね……

「それじゃあヌエっち、調整よろしく!」

「任せなさい理子、頭から行くようにします」

「普通にしなさいよ!? というか頭からとか死ぬわよ普通!?」

「高度300メートルから直下して無傷だった奴が何を言うか」

 アレは理子が強引に外での模擬戦中に自爆技仕掛けてきたからよ! 超能力使ってなかったら重傷だったわ間違いなく!

「ほらほらアリア、ちゃんと備えないとメヌちゃんの言った通りになっちゃうよ?」

「いつもは止める側なのに、やる気満々ね白雪……」

「当然だよ、潤ちゃんをこんな目に合わせた犯人は、骨も残らずしょうめ……いや、拘束するから!!」

「殺意が溢れきってるじゃないの!? ちょっと炎、色金殺女から炎出てるから!」

「アリアー、動くとメヌの言った通りになるぞー」

 潤が後ろで警告してくる。いや熱っついんだけど、熱がこっちに伝わってくるんだけど!?

 ……そんなアタシ達の後ろには、潤が取り出したヘンテコな道具が置かれていた。見た目はアレね、業務用のでかい扇風機。まあ察しの通り、魔導具の類なんだけど……

「ねえ、これ本当に大丈夫なのよね……?」

「ダイジョーブダイジョブ、この『ボムディ君二号』は座標さえ間違えなければ確実だから」

「……間違ってたら?」

「死にはしない」

「そういう問題じゃないでしょうが!?」

 不安しかないんだけど!? というかいつまでリサとくっついてるのよ! 見てるこっちが恥ずかしいわ!

「よし、調整完了です。レキ、お願いしますね」

「はい。ではポチッと」

「え、そんな急なのわきゃあああああ!?」

「ひゃあああああ!?」

「ヒャッホーーーー!!」

「いてらー」

 アタシ達は『ボムディ君二号』から発生した突風によって、香港方面へと一気に吹っ飛んでいった。ちょ、これ幾らなんでも早すぎィ!? 風圧は大丈夫だけど!

「アリアん、もう着地するよお!」

「え、もももう!? 理子、着地手伝ってえ!」

「うー、らじゃ! ユキちゃんは!」

「大丈夫! なんだったらアリアも私が助けるよ!」

「だーめ、アリアんは理子に助けを求めたのですから!」

「どっちでもいいから早くしてぇ!? もう地面が来てるから!」

「理子達が向かってるんだよなあ」

 呑気なこと言ってる場合かあ!? というかこの速度(体感でマッハ)で空中飛行とか、怖過ぎるわよ!? 以前のハイジャックがかわいく感じられるレベルじゃない!?

「ほいほいっと」

 ぶつかる前に、理子のツーテールが浮かび上がり、落下速度を緩めてくれる。た、助かった……

「なんかアタシこんなのばっかね……」

「アリアん落ち着いてる場合じゃないよー。ターゲットは目の前なんだから」

 ああ、そうだったわね。理子に言われて気持ちを切り替え、顔を上げると……

「な、なんですかあなた達……? いきなり空から……ヒィ!? バスカービル!?」

 ……なんかナゴジョの制服を着た、アタシと同じくらいチンマイ感じの黒髪女子(withテール)が、ビビッているのかプルプルしていた。腰を抜かしたのか、へたり込みながら。というかアタシ達はマフィアか悪の組織か。

 そして誰がちょうどいい感じのミニマムサイズじゃコラァ!!?(セルフギレ)

「いたー!! 理子ちゃん確保!!」

「アラホラサッサー!」

「ひゃああああああ!?」

 ……失礼、取り乱したわ。それにしても、これが孫? ジュンを真正面から屠れるくらいの……いやごめん、アタシの勘も『違う』って告げてるわ。理子にあっさり捕まって(何故か)亀甲縛りに縛られてるし、ジタバタしてるだけで抜け出す様子もないし。

「さあて、じっくりお話を聞かせてもらうよ、孫さん……?」

「違うんです違うんです私は猴です孫なんて名前じゃないですーーー!!」

「残念魔力パターンが一緒だからバレバレなんだよね~。さー孫ちゃん、キリキリ吐かないとR18Gな展開にしちゃうゾ★」

「アンタ目が笑ってないわよ」

 これ向こうが下手なこと言えば、実行に移しかねないわね。

「ヒイイイィィィ痛いのは嫌ですーー!!?」

「大丈夫、素直に喋ってくれれば――苦しまずに介錯してあげるよ?」

「ピギャアアアアアァァァァ!!!??」

 ……あーあー、白雪の暗黒微笑浴びてギャン泣きしちゃったじゃない。周囲の人もドン引きどころか逃げ出し始めたわよ。

 まあとりあえず、

「いい加減、落ち着き、なさい!」

「ウシワカ!?」

「あうっ!?」

 小太刀の峰(+二重の○み)で脳天に一発。ったく、武偵の自覚あるのかしらこいつら。

 ガチ泣きしながらもがく猴に屈んで視線を合わせ、頭を撫でてやる。何で敵を慰めてるのかしら、アタシ。

「あー、猴だったかしら? 悪かったわね、そっちの二人ジュンがやられたから、気が立ってるのよ。ホラ、落ち着かせたからもう大丈夫よ」

「う、ぐす、ひっぐ……本当です? 牛裂きとかネジキリとか、バラバラにされないです」

「アンタアタシ達をなんだと思ってるのよ」

「ぎゅ、牛魔王も恐れるような所業を平然と行うって、ココ達が」

「よーし今すぐアイツ等のとこに連れて行きなさい、ボコボコにするから」

「ヒィ!?」

「アリアーん、そんなこと言ってるから拳王みたいな扱い受けるんだよ~?」

「誰が世紀末覇者よ!?」

「あ、ごめんねアリア言うの忘れてた。孫さん? 猴さん? には、あんまり近付かない方がいいと思う」

「え? なんでよ」

 チョイチョイ手招きされたので猴を理子に任せ(また怯えてるけど)近付いてみると、

(彼女から緋々色金の気配を感じるの。長時間近くにいると、共鳴するかもしれないから)

(……それ本当? アタシ、離脱した方がいい?)

(ううん、長いこと触れたりしなければ大丈夫。『殻金』もあるし、『心結び』もそこまで深くないから。ただ万が一を考えて、ね?)

(ちなみに、最悪の場合は?)

(意識を消されて完全に乗っ取られる、かな)

 ……洒落になってないわね、それ。曾御爺様、受け継がせるのはいいけどもうちょっと説明をしてください……思わず溜息が出てしまう。

「ねーねーアリアんにユキちゃん。ゆりーむな内緒話中に申し訳ないんだけど」

「はっ倒すわよアンタ。で、何よ」

「向こうからお巡りさんがワンサカ来てるよー?」

「え……!?」

 白雪が驚いた顔してるけど、そりゃ通報もされるでしょうね。いきなり空から降ってきた女子三人が、人外とはいえ見た目幼女を縛り上げた挙句、脅してガチ泣きさせたんだから。……武偵の正義ってなんだったかしら、完全に悪役よねこれ(遠い目)

 市街地方面からサイレンの音と警察車輌がすっ飛んでくる。……何か数多くない? 走行車輌も見えるし。やる気満々じゃないの。

「捕まるのも面倒だし、コイツ連れてここから離れましょ。向こうが到着するのには時間があるし」

 

 

「――へえ、誰を連れていくって?」

 

 

「!?」

 気配が変わったのを感じてガバメントを構え、理子が気絶させようと首筋に手刀を振るうが――ブチン。縄を力づくで破り、回避されてしまう。

 ……『なった』みたいね、猴から孫に。好戦的な笑みを浮かべる姿は、さっきと別人だ。二重人格か、戦闘用の人格かしら。自分で変えたって感じじゃないけど。

「くふふ、出てきた出てきた! あっちの泣き虫ちゃんをどうこうしてもしょうがないしねえ。ちょっとそそるものはあったけど」

「キキ、てめえ等に猴を好き勝手させる訳にはいかねえからな。情けない奴とはいえ同じ身体だから、な!」

 孫が蹴りを放ち、理子が後方に跳んで距離を取らされた。

「ユキちゃん!」

「うん、出てきたなら一切容赦はする必要ない、ね!!」

「キッ!? 色金殺女、制御棒……チィ、緋巫女か!?」

 白雪と理子が入れ替わり、振るわれる色金殺女を見て孫が冷や汗を流している。あーあれ怖いわよね。アタシも白雪が構えてるの見ると、本能的に身構えちゃうし。

 さて、理子とアタシが後衛の銃撃、白雪が前衛ね。戦闘開始――っ!

「はっ!」

 直観で飛んできたもの――針状の武器をガバメントで撃ち落す。コイツがもう一人の襲撃者ね、まさか攻撃のタイミングにギリギリ偶然、反応できるレベルなんて……ジュンがやられる訳だわ。

「……ふむ、防ぎましたか。シャーロック譲りの直感、いやそれ以上ですね」

 出てきたのは、中国の民族衣装を纏った糸目丸メガネの男だ。恐ろしいことに、今もほとんど気配を感じれらない。

「諸葛静幻、だったかしら。まさか香港藍幇のボス直々に出てくるなんてね」

「それだけあなた達バスカービルの事を警戒……いえ、評価しているのですよ。三対一より二対一の方が良いでしょう?」

「まあ、アイツは切り札でしょうしね。ところでアンタ、曾御爺様と知り合いなの?」

「ええ、個人的な付き合いと、ココ達のイ・ウー留学の際に少々。さて、こちらはこちらで始めましょうか」

 指の間に針を構える静幻は――曾御爺様と同じか、それ以上の気を感じられる。ジーサードとはまた違う厄介さね。

「……悪いわね理子、白雪。合流は時間掛かりそう」

 アタシもガバメントを構え直し、目を細める。余裕はなし、全力で潰すわ。

 

 




あとがき
 何か猴がかわいそカワイイみたいなキャラになった、なんで縛り上げてるんだろうこの二人(元凶)
 というわけでどうも、ゆっくりいんです。バスカービルの半分が怨念に包まれてる状況、いかがお過ごしでしょうか。冷静に怒る方がよっぽど怖いの複数とか、大抵の人間はちびるどころか泡吹きますよね。
 さて、次回は理子・白雪VS孫、アリアVS静幻です。静幻さんは諸々あってピンピンしてますが、事情は戦闘後にでも語るつもりですのでよしなに。
 感想・誤字訂正・評価・批評・質問・リクエストなど、良ければ付けてくださるとこれ以上なく嬉しいです。
 では読んでいただき、ありがとうございました。

ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?

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  • 各ヒロインとのイチャイチャを……
  • エッチなのはいいと思います()

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