メヌ「ジュン、私にもお姉様の雄姿を見せなさい」
レキ「ジュンさん、私にも見せてください」
潤「レキは素で見えるだろ、同じ香港だし。あとメヌは見たいからって指を捻るな、バリツ決まってて痛いから」
メヌ「必死なお姉様の姿もいいですね……見てると歪めたくなります」
潤「そろそろ戻れないところに来てないかお前」
メヌ「失礼ね、捻るわよ。それより返すから、タイミングを教えなさいな」
潤「あいよ。リサ、メヌに渡してやってくれ」
リサ「はい、ご主人様。メヌエット様、気を付けてお使いください」
メヌ「ありがとう。さて、お返しはキチンとしませんとね?」
「そこ!」
「残念、少し遅いですよ」
神崎・H・アリアよ。って、今戦闘中だからそんな余裕もないわね!
ガバメントの銃撃を横にズレながら回避し、静幻は針を投げてくる。威力自体は大したことないけど、動きを鈍らせるために関節を狙われるから、回避か反撃を迫られる。ジュンによると防弾制服くらいなら貫通するし、刺さると普通の針より痛いらしいから、喰らうわけにはいかないのよね。やり辛いったらありゃしない。
「というか、アイツ等は、どこ行ったの、よ!」
「あっという間に飛んでいきましたからねえ……あちらは完全にクンフー映画みたいになってましたし」
苦笑してるけど、本当よね。バスの中でインファイトしたり、店に突撃してたし。アイツ等合流する気あるのかしら、探すの大変なんだけど。
「しかしこれ、どう隠蔽したものかしら……ほっといたら大騒ぎになるわよ」
「ああ大丈夫です、映画の撮影ということで誤魔化していますから。寧ろ嬉々としてエキストラになろうとしたり、見物する人が出てきてますが」
……事件現場に身一つで突撃するのといい、東洋人精神的にタフ過ぎない? 普通銃声がしたら逃げると思うんだけど。
「まあ後の修繕費その他諸々は藍幇のサイフから出るので、可能な限り壊さないで欲しいんですが……」
「……アンタも大変ね」
「そちらこそ。まあ、若人の無茶を止めたり許容するのは、年長者の務めですから」
「アタシ達は同い年なんだけどね」
溜息を吐くと、静幻は苦笑していた。お互いガバメントと針で牽制し合いながらだけどね。あーもう、こいつ曾御爺様ほど手数は多くないけど、早いし上手いしで戦いにくいことこの上ないわ。
……どっかでまた爆発音が聞こえてきた。アタシ達は隠れて目立たないようにしてるのに、大人しく出来ないのかしらアイツ等。
「ヒャーハー踊れ踊れおサルちゃ~ん! 失敗したら命で反省だよー!」
「大人しくやられなさい、逃げるなー!」
「キキキキキィ!? こいつ等容赦なさすぎだろ!?」
敵だしユーくんを殺った(死んでない)奴に容赦する理由がないんだよなあ! まあ油断してた(かもしれない)から自業自得だけどね! どうも、りこりんこと峰理子です!
現在バスの中でのインファイトを経て、ユキちゃんと一緒に車を足場にした追撃戦ちゅー。いやあ、楽しくなってきたねえ!
「鬼さんそちら、どっこ行くのー!?」
車上を跳んで逃げ回る孫に、フランス製の軽機関銃――AA52をぶっ放しながら追いかけていく。連続で吐き出されるそれを見もせずにかわしていくが、進行方向は誘導させてもらった。くふふのふ、当たったら痛いもんねー。何せ全弾
え、飛びながら振り回せる筋力とかおかしい? 超能力って便利だよね!
「待ちなさーい!」
「キキ、捕まるわけ――キィ!?」
銃弾の雨をかいくぐりながら車上を逃げ回る孫だけど、ユキちゃんがどっかから取ってきた竹槍を投げつけられ、ビックリして大げさに避けた。竹槍すげえ!? アクション映画としてはコメディー感強くなるけど!
「チィ! 『オイ、借りるぞ!』
徐々に距離を詰めている中、焦れた孫が中国語で叫ぶと、乗ってた男を投げ捨てて赤いオープンカー――BMW・Z8に飛び乗った。あーズルイ! 理子も車乗りたい!(違うそうじゃない)
「理子ちゃんどうするの!? このままじゃ逃げられちゃうよ!」
逃亡阻止のため、M60をぶっ放しながらユキちゃんがこっちに聞いてくる。うーん、足で運転しながら弾かれてて効果は薄い。器用なことするなあ。
「くふふー、そういう時は――」
車内からこちらに銃を向けている女性――リストにあった藍幇の構成員、中々の美人。ジュルリ――に反撃の早撃ちを見舞い、武器を取り落としたところで車から強引に引き摺り下ろす。よしゃ、アッ○マーもとい足ゲット!
「現地調達ですよ現地調達! さあユキちゃん、乗るのです!」
「さすが理子ちゃん、手法がゲスいね! というか窃盗罪じゃないかな!?」
「大丈夫、あの人傷害未遂になるから!」
裁判なってもひっくり返せばいいからね! あと
『ちょ、返しなさい!?』
何やら叫んでる女性を無視し、アストンマーチン・DB10――え、マジで本物!? と思ったらレプリカだった、がっくし――のアクセルを踏み発進させる。理子広東語わっかんなーい(棒)
渋滞の切れ目を狙って発進したため、ここからは孫と理子達の追いかけっこだ。カーレースですよカーレース!
「いやあレプリカとはいえ、この加速感はたまりませんなあ! ユキちゃんAA使う!?」
「まだ大丈夫、弾はあるから! でも理子ちゃん、相手止まってないよ!?」
そうなんだよねー。お互い蛇行しながら車をすり抜けてるせいか、距離が縮まらない。おまけにその辺にいる構成員が56式自動歩槍で撃ってくるもんだから、ユキちゃんの援護まで手を回しにくい。
というか一歩間違えるとその辺にいる人に当たるし! ワルサー(髪操作)撃ちながら全部弾きつつ運転するから面倒だよ、もう! 弾も無限じゃないしね!
「――よーしユキちゃん、短期決戦といこうか!」
「何かロクでもないこと思いついたの!?」
「ロクでもないの前提!? これユーくんもやりそうな手だよ!?」
「何か素晴らしい手でも思いついたの!?」
「撤回はや!?」
さすがユーくんキチ! 本人に言ったら「やらねーよアホ」って返されそうな作戦だけど、同じ状況なら絶対やるね! りこりんにはお見通しですよ!(確信)
「ユキちゃん、魔力放出! 出来る!?」
「! うん、いけるよ!」
さっすがバスカービルNo.1の超能力使い、良く出来た巫女さんだね! zero観せておいて良かったよ!(黒い笑み)
「うふふ。良く出来た巫女系新妻なんて言っても、何も出てこないよ!」
「そこまでは言ってないかなあ!?」
読心ついでに自分の願望混ざってないかな!? いつものことか!(諦め)
ユキちゃんが車全体に魔力を纏わせると、DB10(偽)は一気に加速する。よっしゃ、これで逝ける!
「ヒャッハー! 最高速だぜー! 早い、早いよスレッ○ーさん!」
蛇行コースを抜けて直進、体感時速はおおよそ400kmかな!? ユキちゃんが悲鳴上げてる気がするけど、気にしなーい!
こっちの急加速に気付いた孫がギョッとした顔になり、同じ手法で逃れようとするが――くふふ、もうおそーい!
追いつき横並びになったところで、DB10(偽)を――
「はいドーン!!」
思いっきりぶつける!!
「ギキィ!?」
立っててバランスが悪いのもあったからか、孫は車上から投げ出されてショーウインドウのガラスをぶち破り、Z8は引っくり返って強制停車。よっしゃあ、やってやったぜ!(ガッツポーズ)
「ひゃあ!?」
「おおっと! りこりんナイスキャッチ!」
衝撃でM60ごと落ちてきたユキちゃんをお姫様だっこ。良し、ケガなしだ――
「なんでしてくれるのが潤ちゃんじゃないの!?」
「え、真っ先に怒るとこそれ!?」
「私がお姫様抱っこヴァージンだったら、理子ちゃんを打ち首にすることだったよ!!」
「そんな初めてりこりんも初耳なんだよなあ!?」
というか一歩間違えれば首だけになってたのりこりん!? 怖過ぎるよ!!
「……無茶苦茶やるなあアイツら。人的被害が0なあたり、理子らしいが。というか遊んでないで追い討ちかけろよ」
「何気に白雪をコントロールしてますね。さてジュン、ここですか?」
「ああ。位置予測完了、外すなよ?」
「そっちこそ、ちゃんと支えてよ? ケガの一つでもしたらお姉様に言いふらすから。……ちょっと恥ずかしいわね、この体制」
「お前が座ったままがいいって言うからだろ。――っと、狙いよし。『魔弾装填』」
「『
――理子達がギャーギャー喚いていると、一条の閃光――魔力を伴った弾丸が、砂塵の舞うショーウインドウの中に吸い込まれていった。遅れて発砲音と、「ガッ」という呻き声が響く。お、援護射撃キタキタ!
「グ、ギィ……この野郎……」
ショーウインドウから出てきた孫は、左足から血を流していた。流石ヌエっち、ユーくんの補助ありとはいえしっかり命中させてるね。二段追撃作戦『猿カニ』は成功だZE!
「追い詰めたよ、孫。それともまだやる? 次はうっかり首を刎ねちゃうかもだけど」
「キ、キキ。今代の緋巫女は随分性急だなあ?」
「当然だよ。あなたは潤ちゃんの仇であり、アリアの『覚醒』を促す存在。星伽としても私情でも、見逃す理由がありません」
色金殺女を首筋に当てるユキちゃんは、ここ最近では最高に凛々しい顔だ。私情とはっきり言っちゃうあたり、ユーくんの影響が感じられるけど。その内「星伽がなんだー!」とか言いそう。
などと余計なことを考えつつ、孫の逃亡を後ろから警戒していると、マナーモードにしていた携帯が鳴った。髪の毛で取ってみると、相手はアリアんだ。
「ほいほーい。愛しのりこりんですよー」
『はっ倒すわよアンタ。ジュンから連絡あったわ、状況終了だって』
「アリアんに先へ連絡とか、理子のジェラシーが爆発してぷんぷんがおーしそうですよ」
『混ぜっ返すからでしょ、妥当な判断よ。で、
「ありゃホント? こっちが有利な時に言うとか、随分都合のいい話ですなあ」
『別にいいでしょ、その分こっちが有利に運べるんだし』
「おお、アリアんが交渉のことを考えるとは……成長したなあ、ヨヨヨ」
『元々考えられるわ!? アンタアタシのことどんだけ脳筋だと思ってるのよ!? ……誰が脳味噌筋肉ダルマよ!?』
「そこまで言ってねっす」
というかこの前「殴った方が早いじゃない」って言って、麻薬グループを潰した人のセリフじゃねっす。まあラリってて話聞ける状態じゃなかったけどさ。
「ところでアリアん、静幻さん相手にしてたけど大丈夫なの?」
『大丈夫じゃなければ電話なんてしてないわよ。とにかく、そっちに合流するわ。動くんじゃないわよ』
「それはフリですか」
『違うわ、本当に動くなって言ってんの! これ以上余計な被害出すんじゃないわよ!?』
「あいあいさー。ユキちゃん、孫~。一時停戦だってさ~」
「……うん、分かったよ」
刀向けたまま残念そうだよこの娘。孫は孫で悔しそうな顔しながら項垂れてるし。りこりんがいなければ第二ラウンド始まったかもしれませんなあ、危なかったぜ(普段煽る側のセリフ)。
その後、合流したアリアんは街の惨状に頭を抱え、静幻さんは苦笑していた。えーいいじゃん人的被害は0なんだし! と言ったら、残○拳喰らったでござる、解せぬ。
「潤ちゃんごめんね、仇を討つ前に終わっちゃった……」
「いやいや、十分さ。白雪の頑張りがあったから、今の状況を作れたんだぞ? 孫に手傷も負わせたしな」
「潤ちゃん様、何てお優しい……次はちゃんと首を持って帰るからね!」
いやいらないから、これ以上やるとややこしくなるし。
どうも、遠山潤です。現在静幻さん直々の案内で藍幇城を案内されている。( ´・ω・`)ショボーンしている白雪を撫でてやりながら、「ヒャッホー藍幇城だー!」とテンション爆上がりの理子に付いていってるんだが、お前好きだよなこういうキンキラキンな場所。
「しかし良かったですよ、遠山さんと一戦交える羽目にならなくて。コストとしても心情としても、この程度なら安いものです」
「ボコられる一因を造った癖に良く言うわ。というかコストがどうこう言うなら、ぶっ壊した道路とかの支払いはそっち持ちでいいんだな?」
「その程度で心情が良くなるなら安いもの。ココ達が猴を連れ出した時はどうしたものかと頭を抱えましたが、丸く収まって何よりですね」
「その暴走も予想の範囲内だろ」
「何のことでしょうか?」
振り返ってその糸目を更に細め、笑ってみせる静幻さんに肩を竦める。やれやれ、底の見えん奴「アンタも人の事言えないでしょ」なんでそっちから来るんですかねアリアさん。
「ねー、そんなことより理子、お腹空いた~」
「確かにそうですね。交渉も大事ですが、食事は何よりも優先されます」
そりゃお前等だけだよ食いしん坊バンザイ。レキも無言でコクコク頷くな、お前アリアと静幻さんの間に一発ぶち込んだだけだろうが。
「狙撃は集中力を使いますから」
撃っても撃たなくても食う量変わらねえだろ。
「ご安心を、そう言うと思って用意させていますよ。食事は会談にとっての必須事項ですからね」
「ひゃっふー! 流石静幻さん、分かってるー!」
「ふむ、本場の満漢全席を一人で食べきれるか、チャレンジしたかったのでありがたいです」
「アンタ達遠慮ってものがないの?」
「アリアも出されたら全部食べちゃうんじゃないかな?」
「……そ、そんなことないわよ。アタシはマナーも暗黙の空気も察せるわ、うん」
目を逸らしながら言っても説得力ねえぞ、
「っんん! 毒とか盛ろうと考えないでよ?」
「しませんよ、恐ろしいことが起こるのは目に見えてますし」
「藍幇城が消し炭になるだけならいい方だな」
「……厳命しておきましょう」
一瞬笑みが固まったけど、残念冗談じゃないんだよなあ。まあ察したからこそこのセリフなんだろうが。
「それはそうと、皆様お召し物を変えては如何でしょうか? 先程の戦闘で服が汚れてる方もいらっしゃいますし」
「アンタのせいだけどね」
渋い顔でアリアが苦言を呈す。多分静幻さんとの戦闘で引き分けに『もってかれた』のが不満なんだろうな、まあいい経験と割り切れ。
特に反対する理由はなかったので全員了承したが、その際理子が余計なことを吹き込みやがったせいで、
「……遠山さん、そういう趣味がおありで?」
「ねーよ兄貴と一緒にすんな」
懐疑の目を向けられてしまった。全部理子の仕込みだから、望んでやったことはねえよ。
……結局理子とノリノリで参加してきた接待役のお姉さん方にやられたが。っていうか恋○のキャラは中華服というには微妙だろ、しかもどっかのはわわ軍師だし。身長も変える羽目になったじゃねえか(いつも通り拘る奴)
元ネタ聞いて静幻さんがすごーく微妙な顔してたぞ。はわわ、こっち見ないで、こっち見んな(真顔)
キャラ補足
諸葛静幻
ご存知、香港藍幇の取りまとめ役。本来であれば死病に冒され寿命も残り僅かだが、どっかの自称『魔術師』が完治させた。
現在はリハビリを経てバリバリ前線でも働けるため、シャーロックと戦った時以上の戦闘力を誇る。頭も切れるため、潤としては孫よりこっちが厄介。
武器とか戦闘スタイルは作者の妄想。ビームは多分打てるけど打たない。
後書き
追いかけるのと追いかけられるのが逆転してる件。どうも、作者のゆっくりいんです。久々の戦闘シーンでしたけど、うん、いつものノリでしたね(真顔)
静幻さんについては色々変更入ってますが、そこはご了承ください。彼が動けないと藍幇が(潤達によって)もっと酷いことになりそうなので。
え? 今更多少の改変は気にしない? はははまたまた、ご冗談を。
さて、ツイッターでも宣伝していますがちょっとした報告をば。この藍幇編が(外伝含め)終了したら、ラジオ回をやろうと思います。はい、いつもの思い付きです。
詳細は活動報告にありますので、よろしければ見てやってください。あ、感想にリクエストはおやめください。以前それで警告が飛んできたので……
長くなりましたが、次回は藍幇編決戦となります。……はい、終わるはずです多分(予定は未定)。
それでは、今回はここまで。感想・誤字脱字訂正、評価などいただけましたら、嬉しさの余り執筆速度が上がる……かもしれません(不安定)
それでは、読んでいただきありがとうございました!
ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?
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読みたい!
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いいから続きを書け
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各ヒロインとのイチャイチャを……
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エッチなのはいいと思います()