というわけで白雪誕生日記念です、時系列は適当なので気にせず見てください(オイ)
「よーし、白雪行くぞー。危ないからちゃんと捕まってろよ?」
「う、うん。今日は一日よろしくお願いします、潤ちゃん様」キュッ
「いや、端っこつまむだけとか普通に危ないから。ちゃんと腰に手を回すか、掴める部分探しなさい」
「こ、腰!? 潤ちゃんのお、お腰を!?」
「何か新しい表現が生まれた件。セクハラじゃないぞ、本当に危ないからな」
「う、うんそうだよね。ごめんね、ちょっとビックリしちゃっただけだから。
じゃ、じゃあ失礼します……」ギュッ
「おう、変なことはするなよー」
「し、しないよ!? そんなこと!? 誓ってしないから大丈夫!」
(神様仏様緋々神様、ありがとうございます! 私、星伽白雪は幸せものです!)
何か白雪が大袈裟に感謝してる気がする。というかフリにしか聞こえないんですが。
はいどうも、遠山潤です。本日は十一月十四日、我等バスカービルの良心白雪の誕生日である。
とりあえずプレゼントとは別に何か欲しいものとかして欲しいことある? 遠慮せんでいいよ? って聞いてみたら、
「えっとじゃあ私のはじめ、じゃなかった、潤ちゃんのバイクに乗りたいです!」
一瞬貞操の危機を感じたが、何てことのないお願いだった。「ここで察しなきゃ男じゃないよおにいちゃーん?」とかマイシスターに言われたが、そういう偏見は良くないと思います(意図的なスルー)
というわけで誕生日当日、朝から白雪とドライブデートでござい。学校? 自主休校した(真顔)
白雪はSSRの外部研修ってことで通したけど、「こんなことしていいのかなあ……」と呟いていた。リサに何か吹き込まれてからは吹っ切れた顔してるけど。
「んじゃあ改めて、ヘルメットはキチンと被ったか?」
「う、うん大丈夫。潤ちゃん、お願いします!」
「そんな気合入れんでもいいって。行くぞー、舌噛むなよ」
「う、うん――キャッ!?」
暖気していたSV1000を発進させる。後ろから可愛らしい悲鳴が上がってるけど、まあ慣れてないと無理もないよな。
「白雪、大丈夫か? 怖いならスピード落とすけど」
「う、ううん大丈夫、潤ちゃんに捕まってられるし」ギュウウ
「そかそか。じゃあもうちょいスピード上げるぞー」
「え? ――ひゃあああ!?」
かはは、予想以上の体感速度に戸惑ってるな。そんなしがみつかなくても大丈夫だぞー(←元凶)
「うう、酷いよ潤ちゃん……」
「悪い悪い、白雪がどんな反応するかと思ってつい、な」
「むうう……」ギュー
拗ねてしまったのか、さっきより密着度合いが強まった。ちょっと意地悪し過ぎたか、まだ70kmくらいなんだけどな。
ところで白雪さんや、あんまり密着すると胸部のお餅が強調されるんだが。
「あ、当ててるから大丈夫なの!」
なのって何よ、真っ赤になりながらも離れるのやめようとしないし。まあいいけどさ。
「お? 白雪、横見てみ」
「? わあ……!」
場所こそいつものレインボーブリッジだが、冬間近の空気と太陽の光で、水面は澄んだ色を讃えていた。
「な? バイクで行くのも悪くないだろ?」
「うん、すっごいキレイ……本当に車とは違うね、風も冷たいけど気持ちいいし……」
「海岸沿いはもっと綺麗だぞ、特に夕日はな」
「わあ、想像するだけで素敵だね……こんなことなら、もっと早く乗せてもらえば良かったなあ……」
嬉しさと少しの後悔が混ざった笑顔。多分、忙しさと言えなかったことによるものだろうが。
「これから機会はいくらでもあるさ。冬休みに遠方まで行ってもいいしな、寒いけど」
「……潤ちゃん、また乗せてくれるの?」
「何で驚いてるんだよ。他ならぬ白雪の頼みだ、乗せるくらい訳ないさ」
この程度、普段のお返しにはまだまだ足りんし。
笑いながらそう告げると、白雪は身体だけでなく顔もくっつけてきた。背中越しに少し早い心臓の鼓動と、彼女の息遣いが感じられる。
「やっぱり、潤ちゃんは凄いな……籠の中にいた私を、どこまでも飛ばせてくれるんだもん……」
ズルイよ、と最後に小さく、切ない声。
「鍵が掛かっていないのに気付かなかっただけだよ。白雪という鳥は、望めばどんな場所でも飛んでいけるさ」
「そんなこと……ないよ。潤ちゃんっていう道標がなかったら、私は飛ぶことも出来なかったし、しようとも思わなかった」
「道路標識みたいだな」
「…………」
「痛い痛い、叩くな叩くな悪かったから」
混ぜっ返したら背中を連打で叩かれた。さすがにKY過ぎたか、反省。
「もう、もおお……!」
「牛かな?」
「違うの、不満なの! というか潤ちゃんは頑張り過ぎです!」
「何よいきなり。鏡いる?」
「いきなりじゃありません、前からずっと思ってました! 部活と生徒会長を兼任してる私から見ても、潤ちゃんは他人のため自分のために働き過ぎだよ!」
「前者はともかく後者は別に良くない?」
「限度があります! 魔術師だからってやりすぎていいことはないんだよ?
潤ちゃん、寝る以外で休んでる?」
「起きてる間は動いてないと勿体ないだろ」
極論寝る時間ももったいないしな。思考整理と性能低下を防ぐため、取るようにはしてるけど。
「それが頑張り過ぎなんです! 普通じゃない人でも倒れちゃうから!
……潤ちゃん。たまには甘えて、ゆっくりしてもいいんだよ?
前に進む潤ちゃんはカッコイイし、尊敬してるけど……いつか潤ちゃんが、どこかに行っちゃいそうで……私、怖いよ……」
ぐす、と湿り気を感じさせる声。くすぶり続けた不安が、二人きりで出てきたのだろうか。
「……ごめんね、潤ちゃん。せっかく連れ出してくれたのに、こんなこと言って……私、やっぱり……」
「『自らを価値無しと思う者こそ、真に価値無き人間だ』」
「え?」
ブレーキを踏んで路肩に寄せ、涙で潤んだ顔と向かい合う形にする。白雪の泣き顔ってなんかそそるよな、ってそうじゃなくて。
「俺が好きな軍人の言葉さ。極論だが、ある意味で的を射ている。
白雪、あんまり自分を卑下するなって。言霊の重要さは、お前なら知ってるだろ?」
手袋を外し、頬を撫でてやる。白雪は驚いたようだが、抵抗は特にしない。
「お前がそうであるように、俺も随分と助けられてるんだからさ。
……まあ、甘えベタなのは性分なんでな。勘弁してくれや」
「潤ちゃん……」
白雪は赤い顔でぼうとこちらを見ていたが、急に満面の笑顔になり、
「……駄目。潤ちゃんから甘えてくれなきゃ、私と風雪、リサちゃんとかなめちゃんでうんと甘やかしちゃうんだから」
「何その最凶布陣、怖い」
どんな奴でもダメ人間にしそうな布陣やめーや。
「大丈夫、もう計画も準備も万端だから。あとは踏み込む勇気だけ!」
「アリ地獄だよねそれ、抜け出せなくなる奴じゃん」
「……それが嫌なら、甘えてくる、頼ってくれるって約束して、ね? 私も他の皆も、潤ちゃんが頼ってくれれば嫌な顔なんてしない、寧ろ嬉しいから」
約束だよ? と指を立てながらウインクする白雪に、俺は肩をすくめることで最後の抵抗とする。
「へいへい。たまには肩の力を抜くことを覚えるよ」
「私としては、私抜きで生きられないくらい甘えてくれてもいいよ?」
「お断りです」
さっきのメンツなら容易に実現できるのが怖い。うげえと嫌そうな顔を見せておくと、何がおかしいのか白雪は楽しそうに笑い出した。
……まあ、少しは甘え方を覚えた方がいいかね。妙な流れになったドライブデートだが、たまにはこういうのもいいだろう。
おまけ
「なあ白雪、お前が行きたかったここって……」
「……う、うん大丈夫! ホテル街ってことは知ってたから! そのためにおめかしもしたし!」カオマッカー!!
「妙に大人っぽいコーデで固めてると思ったらそういうことかい」
「
「何言ってんだあのマイシスターは」
この後滅茶苦茶ホテルを回避した。周囲のカップル達からは微笑ましく見られたけど。こっちみんな。
あとがき
はいというわけで、白雪とバイクデートしたいだけの話でした。和風美人の巫女さんだからこそ、こういうシーンもいいかなーと思って。
途中にシリアスなシーン入った気もするけど、オチはいつも通りですね。ちなみにジュンの貞操を狙うトップ2の片割れです。もう一人? メイドですね(真顔)
それでは、今回はここまで。読んでくださりありがとうございました。
感想・評価・誤字指摘などいただければ嬉しいです。
ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?
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読みたい!
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いいから続きを書け
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各ヒロインとのイチャイチャを……
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エッチなのはいいと思います()