【休止中】番長が異世界から来るそうですよ?   作:赤坂 通

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第三話

 ―――場所は箱庭二一〇五三八〇外門。ペリベッド通り・噴水広場前。

「ジン坊ちゃーン!新しい方を連れてきましたよー!」

 ジンと呼ばれた少年がはっと顔を上げて、黒ウサギと()()()()を出迎える。

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性二人が?」

「はいな、こちらの御四人様が―――」

 

 クルリ、と振り返る黒ウサギ。

 カチン、と固まる黒ウサギ。

 

「………え、あれ?もう御二人いらっしゃいませんでしたっけ?バットを持って、怒りやすそうな、<ザ・不良>って感じのオーラを放ってる殿方と、ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から<俺問題児!>ってオーラを放っている殿方が」

「……あの二人なら、世界の果てっぽい所に向かって行ったけど」

 あっちの方に。と耀が指をさすのは上空4000mから見えた断崖絶壁。

 街道の真ん中で呆然となった黒ウサギは、ウサ耳を逆立てて二人に問いただす。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

「<止めてくれるなよ>と言われたもの」

 嘘である。

 

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

「<黒ウサギには言うなよ>と言われたから」

 これも嘘である。

 

「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御二人さん!」

「「うん」」

 ガクリと前のめりに倒れる黒ウサギ。新たな人材に胸を躍らせていた数時間前の自分が無性に妬ましい。

 というよりこんな問題児ばかり掴まされる方が災難だ。

 ちなみに耀はひそかに心の中で、(……なるほど、こういう反応か)などと思っていた。

 そんな黒ウサギとは対照的に、ジンは蒼白になって叫んだ。

「た、大変です!<世界の果て>にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」

「幻獣?」

「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に<世界の果て>付近には強力なギフトを持ったものが居ます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ちできません!」

「あら、それは残念。もう彼らはゲームオーバー?」

「ゲーム参加前にゲームオーバー……斬新」

「冗談を言っている場合じゃありません!」

 

 黒ウサギはため息を吐きつつ立ち上がった。

「ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、御二人のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「わかった。黒ウサギは?」

「問題児様方を捕まえに参ります。―――<箱庭の貴族>と(うた)われるこのウサギを馬鹿にしたことを、骨の髄まで後悔させてやります!」

 悲しみから立ち上がった黒ウサギは怒りのオーラを全身から噴出させ、(つや)のある黒い髪を淡い緋色に染めていく。外門めがけて空中高く飛びあがった黒ウサギは外門脇にあった彫像を次々と駆け上がり、外門の柱に水平に張り付くと、

「一刻ほどで戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフをご堪能ございませ!」

 そう言って黒ウサギは全力で跳躍し、弾丸のように飛び出してあっという間に三人の視界から消え去って行った。

 巻き上がる風から髪の毛を庇うように抑えていた久遠飛鳥が呟く、

「……。箱庭の兎はずいぶん速く飛べるのね。素直に感心するわ」

「ウサギ達は箱庭創始者の(けん)(ぞく)。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限なども持ち合わせた貴種です。彼女ならよほどのことがない限り大丈夫だと思うのですが……」

 

            ※

 

 一方、黒ウサギから逃げる形で世界の果てへと向かった十六夜と番一は、と言うと。

「―――『試練を選べ』だと?―――ッハ!まずは俺を試せるかどうか試させろ!駄蛇がッッ!」

「良いぞー十六夜ーやれやれ―!ガハハハ!」

 十六夜は白蛇に喧嘩を売り。

 番一は声援を飛ばしていた。

 

 

 ―――なぜこんな事になっているのかは数時間前に戻る。

 

 

 黒ウサギの姿が見えなくなり数十分経つまで足音を殺し歩いた十六夜の後ろに付いて歩いている

 番一に何も言わずに、唐突に全力疾走を始めた。

「おお?足速いな十六夜の奴」

 そう呟いて番一は数瞬の後れを取ったにもかかわらず、自らも全力疾走し十六夜の後ろにピタリとついた。

「……。速いなお前。俺に追いつける奴がいるなんて思ってもいなかったぞ」

「ガハハハ!確かに十六夜の足も速いが―――俺の方が速い」

「―――ッハ!言ったな番長!!」

 十六夜はさらに加速する。木々を避け足元が不安定ながらも閃光のように駆け抜けていく。

 番一はあくまで追い抜く気はないというように軽々と十六夜の後ろについていく。

「どうした十六夜?―――まさかこれで終わりか?」

「……。お前マジでどういう体してんだ?」

 十六夜はそう言って()()()()()()()

「ついて来れるもんならついて来やがれ番長!!」

「望むところだ十六夜!!」

 

 

 

 ―――そして数分後。場所はトリトニスの大河。

「―――クソッタレ、終点だ番長」

「ここでいいのか?結局俺は引き離せなかったな。十六夜?」

「入り組んだ森を、力業で吹き飛ばしながら来るとか何でもありかよ。それと俺は景色を見に来たんだ、走りながらだと景色が楽しめないだろ?」

「卑怯汚いは敗者の(たわ)(ごと)ってな。それと景色を見るなら確かに歩きが適切だな」

 そう言いつつ大河に沿って歩く二人。

「……。いい景色だな。こう<異世界!!>って感じがいいぜ。ヤハハハハハ!」

「俺はあんまりこういったことに(ぞう)(けい)は深くないが……確かに綺麗だな。ガハハハハ!」

 そんな話をしつつ川上へと歩いていると、彼ら二人にどこからともなく声がかかる、

『ふむ……人間が此処に来るとは珍しい……何用だ?』

「―――そういう事はまず名乗ってから言うもんだぜ。ちなみに俺は十六夜様だ。覚えておけ」

「ふむ。俺も名乗るべきかね? 俺は長井番一だ。お前も姿を見せたらどうだ?」

『ッカ!私の名も知らずに此処へ来るとはいい度胸だな小僧ども!』

 そう言って大河から姿を現したのは身の丈三〇尺強はある巨大な白蛇だった。

「「()()()」」

 二人は揃って棒読みで驚く。

『いいだろう!知らぬというのなら私のギフトゲームで敗北の味と共に教えてやろう!

 ―――さあ何で争う?『力』か?『知恵』か?はたまた『勇気』か?試練を選ぶがいい!』

「『試練を選べ』だと?―――ッハ!まずは『俺を試せるかどうか試させろ』駄蛇がッッ!」

「良いぞー十六夜ーやれやれ―ガハハハ!」

 

 

 ―――そして時間は先程へと戻る

 

 

『ほう、『決闘』を望むか小僧!よかろう。泣いて謝るなら今の内だぞ!!』

「いいぜいいぜ……中々に楽しめそうだ。おい番長―――手出しすんなよ?」

「ああ、わかってる。これはお前が買った喧嘩だ。手出しなんて無粋な真似はしねえよ」

 そんな会話をしつつも十六夜と白蛇は戦闘態勢を取り、

 

 

 ―――問題児たちの箱庭来訪、初のギフトゲームが開催された。




赤坂です。
座右の銘は…無いです。
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