ガンダムビルドファイターズ Anything goes -エニシングゴウズ-   作:oyakata

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ガンダムビルドファイターズ AG 第七話「三つの翼」前篇

 午前7時半の大岩学園正門前。部活の朝練に来た生徒は既に中に入り、朝練のない生徒はまだ登校してこない時間帯。

そんな中途半端な時間帯に、門の前に立つ3つの人影があった。

「ここが大岩学園ネ」

「うむ」

「ダエータターク」

3つの影は門付近に居た警備員に話しかけ、自分たちが転校生であることを告げた。

確かに3人は違う学校の制服を着ている。だが、同時に3人、しかも見た限り知り合い同士で転校とは奇妙だ。

今日3人転校生が来ることは聞いていた警備員だったが、あまりに奇妙な3人に警戒する。

「ああ、心配しなくていいヨ。偽装とかそういうのじゃないカラ」

主だって喋っているのは、黒髪の長いポニーテールの小柄な少女で、少し訛りがある。聞けば父親が中国人なのだとか。

その後ろに、まるで付き人のように立っている二人も、同じく少女。

こちらがかなり不気味だ。何せ同じ顔をしているのだから。

「後ろの二人は双子なんだ。あ、私は姉妹とかじゃないヨ」

「左様。まあ姉妹のように育ったことには変わりないが」

「そうですね、パドゥルーガです」

侍みたいな応答とロシア語?での反応。ちょっとどころじゃなく不気味だ。

どちらも明るめの茶髪で、若干色白。聞けばロシア人と日本人のハーフなのだとか。

警備員はますます警戒したが、身分証や転校手続きの書類にも問題は無い。

門の中に通され、3人は堂々と校内へと歩みを進めていった。

「まずは顧問を抑えル」

「顧問はアリガ・シンエモンだったか。む、しまった。職員室の場所がわからないぞ」

「ニェトプラブレム、生徒手帳に校内見取り図がありますよ」

「でかしたハク。シロ、行くぞ」

「御意」

「ダー」

3人は上履きに履き替えて職員室へ向かい、席票からアリガ・シンエモンの席を発見した。

ホームルームの用意をしていた所へ突然現れた3人にクエスチョン・マークを浮かべるアリガ。

だが次のセリフを聞いた途端、それはエクスクラメーション・マークに変わった。

「私たち3人をこの学校の全日本ガンプラバトル選手権の出場チームとして登録しなさイ!」

 

 

 大型連休明けの放課後、突然集会を開くと言われて部室に椅子を並べて着席する部員たち。

もちろん、その中には俺や先輩、カイトやユキ、トウキ、ミズキ、シンジ、部長の姿もあった。

言われていた開始時間になった時、準備室の方からアリガ先生と3人の女子が現れた。

3人とも見慣れない顔だ。しかもそのうちの2人は同じ顔をしている。双子だろうか。

アリガ先生は気だるそうな表情で3人を部員たちの座っている前に立つよう促した。

「あー……この度ウチの部に3名の女子が加わることになった。名前はー……」

「イブサキ・スイランでス。1年生です、宜しくお願いしまス」

「カガ・ハク。2年生で御座る」

「ラズリシーチェプリスターヴィッツア、カガ・シロですー。ハクの双子の妹で、2年生です」

3人の自己紹介が終わると、部室内がざわつき始めた。

いや、そりゃそうだ。

なんというか、濃いんだもの。

ガンダム作品には良く3人チームで登場する強敵がいるけれど、なんとなくそんな雰囲気を持っている。

そこはかとなくトラブルが発生しそうな自己紹介に、部員一同身構える。

だがそんな身構えなど無意味であるかのように、スイランが話し始めた。

「さて模型部の人たチ!私たちがわざわざアリガ先生に頼んでこのような紹介の場を設けてもらったのは他でもなイ!私たちを全日本ガンプラバトル選手権の出場チームとして登録することへ依存が無いかどうかを聞きたイ!」

斜め上の発言がスイランの口から飛び出した。そのセリフを受けてまず最初に立ち上がるのは……

「ふっざけんな何だそりゃ!テメェら何者だか知らねぇが依存大アリだ!」

やっぱりシンジ先輩だ。けれど今回は全面的に同意見。いきなり転校してきて出場チームだなんて俺だって納得できない。

……けれど、3人の横に立つアリガ先生だってそんなこと分かりきっているはず。

それなのにこんな発言自体を許すということは、この3人がそう言うだけの何があるということ。

それがわかっているから、シンジ先輩も”何者だか知らねぇが”と付け加えたんだろう。

そしてそれを3人の口から語られるのを待っている。

けれど、回答は意外な所から与えられた。

「あいつら、去年のガンプラバトル選手権の西日本予選大会準優勝チームじゃないか?」

回答したのは、カイト。ガンプラバトル選手権とは、全日本ガンプラバトル選手権とは別の大会。

全日本ガンプラバトル選手権の方は日本で一番を決める大会だが、ガンプラバトル選手権は世界大会だ。

そのレベルは段違いで、各地で開かれる予選の時点で全日本ガンプラバトル選手権で優勝する実力が無ければならない。

つまり、その予選大会で準優勝ということは……

「なるほど。全日本ガンプラバトル選手権で準優勝する実力を持っていると言うこと、ね」

「だから選考会なんてやらなくても実力ははっきりしている。雑魚は引っ込んでいろ、というやつですね」

ユキとトウキが3人を睨みつけている。

つまり俺たちは、侮辱されたということだ。

けれどアリガ先生がその発言を許したということは、アリガ先生はそのつもりでいると言うことだろうか。

アリガ先生は無表情……というか疲れ切った表情で3人を見ているだけだ。

「そこのアフロさんの言う通りでス。私たちが出場すれば優勝は手堅イ。私たちが出ることに依存があるなら私たち以上の実力を持っていると言うことを示してくださイ」

そう言ってスイランは服の中からガンプラを取り出す。

付き従うように左右に立つハクとシロもガンプラを出した。

それを見た模型部員たちは椅子から立ち上がり、それぞれガンプラを構えた。

連休明けに突然道場破りのように現れた3人組を相手にしたバトルが始まった。

 

 

 結果、それはバトルにすらなっていなかった。

スイランのガンプラはティエレンの改良型、ハクはアストレイブルーフレームの改良型、シロはガンダムエアマスターの改良型。

最初に戦ったシンジ先輩のチームは、シンジ先輩以外の2人がアストレイに一瞬で落とされ、シンジ先輩のティエレンは弾幕を全てかいくぐって近づいてきたエアマスターに落とされた。

次に戦ったユキとトウキのチームは、ティエレンにパワー負けしたトウキが最初に落ち、エアマスターに速度で負けたブレイヴGO改が落ちて、もう一人がギブアップを宣言した。

最後に残った俺たちのチームも、真っ先にミズキを危険視した3人がエニグマを取り囲み、3方向から集中攻撃することで開始数分で落ちる。ストライクフリーダムはアブソーブシールドを使用した瞬間にビーム兵器を全く使わなくなり、エネルギーが切れた瞬間に叩かれ、ティフシーガンダムは隠れていた水辺に飽和攻撃を食らって轟沈。

他のチームも同様に落とされ、部の全チームと総当たりしたにも関わらず1時間程度で終了してしまった。

完全敗北。戦っている次元が違っていた。

「これで良いでしょウ?まだ私たちが大会出場メンバーであることに異議を唱える方がいるなら、選考会とやらで再戦を受けまス」

「……スイラン、そのように軽々しく挑戦を受けずとも良いのでは?我らの練習時間が減るだけだ」

「二エット、ハク。私たちは代表を譲っていただく側なんですからスクロームノスチでなければダメですよ」

3人は会話を続けながら、部室を去って行った。

まるで嵐のような1時間に、俺たちは疲弊し切っていた。

そんな俺たちに、同じく疲れ切った表情のアリガ先生が語りかける。

「あー……まぁそんな感じだお前ら。正式決定までにあいつらに勝つか、対抗できる実力だって証明できないとマジであいつらが出場メンバーになっちまう。あの3人、校長に話を通したみたいでな……俺でもどうにもできん」

アリガ先生の話によると、9月に開催される全日本ガンプラバトル選手権の出場メンバーは7月下旬に決定し、夏休みは強化合宿を行うとのこと。

選考会は2週間に1回。つまり、後6回の戦いの中で勝利しなければならないと言うことだ。

「……あんな化け物に、たった6回しか挑めないのに……それで勝てって……?」

誰か呟いたその言葉が、部室全体に伝播する。

無理だ、不可能だと、空気が語っていた。

これが大岩学園模型部崩壊のきっかけとなる事件となった。

 

 

 つづく




読了お疲れ様でした。

今回ちょっと諸事情で短めのお話の投稿になります。
諸事情と言うのはですね……最近、花粉が良く飛んでいるからです……
いや、ここ数日は天気が良くなかったので、その御蔭でこのくらいは書けた、と言うべきでしょうか……
私はくしゃみが止まらなくなるタイプでして、くしゃみのし過ぎて疲れきってしまい執筆する気力がなくなってしまい、大変でした……

次回更新は3/20予定です。たぶんガンプラの方の投稿になると思います。
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