ガンダムビルドファイターズ Anything goes -エニシングゴウズ-   作:oyakata

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ガンダムビルドファイターズ AG 第四話「壊れた翼」前篇

 3回目の選考会が近づいたある日、俺たちはホビーショップアナハイムに来ていた。

「「ショップ大会?」」

カイトが持ってきたチラシを見て、俺と先輩は声を揃えて反応した。

「そう。今週末にここでやる大会なんだけどさ、選考会までにあと一人、集めなきゃいけないんだろ?だったら大会に出て強いやつと知り合うのが一番良いぜ」

そう言って、カイトは去年のものと思われる大会の映像をスマホを使って俺たちに見せてくる。

見せられた映像に出てきたガンプラは、どれもクオリティの高い作品ばかりだった。

しかもおあつらえ向きにこの大会、タッグバトル形式だ。これなら俺とカイトの2人でも参加できる。

けれど、2つ問題がある。

「カイト、部活の選考会なんだぞ?学校外の人にアピールしても仕方ないだろう」

「そこは抜かりないぜ。この大会、毎年ウチの学校から結構な人数出場するんだよ。もちろん、模型部に入ってないヤツも興味持ってる。当日見学に来るように、俺のクラスのヤツには声かけてあるぜ」

何やらチェックマークのついたクラス名簿らしきプリントをヒラヒラさせながら、得意げに語るカイト。

まさかカイトがこういうことに気をきかせられるヤツだったとは。天パで大柄だからガサツっぽい印象を受けがちだが、カイトは手先が器用で細かい作業が得意だ。

こういう大会を見つけてきたり、それを告知したりと行動も早い。頼もしい人がメンバーに加わったのだと、改めて実感した。

これで問題の1つは解決した。けれど……

「アピールできるの?」

先輩がズバっと切り込んできた。

そう。大会に出場する、アピールしたい人たちにアピールできる。そこまでは良い。

じゃあアピール"できるのか"という話だ。

正直言って、俺たちの……いや、俺の実力じゃ大会なんて出ても醜態を晒すだけな気がする。

「……アピールなんて無理なんじゃ……」

「おいおい、俺と引き分けたヤツが何言ってるんだよ!自身持てって!」

「そ、そんなことを言っても……」

「聞いた話だと、ナガサキ先輩とも引き分けたらしいじゃねえか!もう完璧だな!」

「な、何言ってるんだよ……先輩はビルダー志望だし、カイトだってブランクあったんだろ?そんな二人に引き分けた俺なんて……」

俺は東京に出てきてから二人相手に引き分け、それ以外の選考会では敗北しか経験していない。東京に出てくる前は負け知らずとは言わないまでも結構な実力者だと自負していた分、落胆も大きかった。

「……あれ。もしかしてミズシマ、俺とナガサキ先輩のこと、知らないのか?」

「え?」

カイトはスマホを操作して、去年の全日本ガンプラバトル選手権大会の参加選手の戦績表を表示する。

そこに、先輩の名前があった。

「……!?」

「ナガサキ先輩は去年の選手権の中高生の部のベスト4のチームに居た実力者だぞ?」

俺は絶句した。いや、うん。え……?

「ちなみに俺は……ほらこれ。自分で言うのは恥ずかしいけど、俺も中高生の部のベスト16だ。そういや、大会の中でナガサキ先輩とは会わなかったな」

つまり、二人とも、全国レベルの、実力者?

「小学生の部の優勝チームに居たユウジの方が凄い」

「え、そうなのか!?すまん知らなかったよミズシマ!お前もやるじゃねえか!」

……ちょっと待って。それはもう3年も前の話で、俺はこの3年の間は公式の大会に出てなかったわけで……

それに所詮は小学生の部。

中高生……高校生も出ている大会でベスト4とか16とか、もう何が何だかわからなくなるような凄さなんじゃないのか……?

俺は先輩とカイトの後ろから後光が差しているような錯覚に襲われた。

「え、え……先輩、なんで俺、先輩に誘われたんですか……?」

「私がユウジのファンだから」

「そ、そうですか……」

なんかとんでもない人に目をつけられてしまったのだと気がついた。もう遅いけれど……

「まぁつまり、ホビーショップの大会で動じる必要はない実力ってことだ。俺も、ミズシマもな!」

「実力じゃないの」

カイトのセリフが終わった瞬間、被せ気味に先輩が喋り出した。

先輩は少し険しい顔をしている。

「アピールするには、ただ実力があるだけじゃダメ。特にメンバーになって欲しい人を探すためなら、この人と組んで戦ったら楽しいだろうなと思わせる戦いにしないと。例えば、私のザクコマンドーを見て、どう思う?」

先輩はザクコマンドーを取り出す。

見た目から受ける印象は、とにかく重武装。全身火器。ミサイル乱発しそう。

「……一緒に戦ったら一緒に爆撃されそーだな」

「あっ、そういうことか」

カイトの呟きで、俺も気がついた。

そうだ、ザクコマンドーと"共闘するビジョン"が見えてこない。

どう考えても特攻役、もしくはゲリラ戦で一人で敵基地を制圧しそうな装備だ。

「そう。私はザクコマンドーをチーム戦を想定して作ったわけではないの。だから、ザクコマンドーで勝ってもチームに入りたいなんて言う人は出てこないわ」

俺はほぼ無改造のストライクフリーダム、カイトは改造機ティフシーガンダム。

カイトの方はまだ見た目も技も派手で面白いからアピールには向いているかもしれないが、俺のストライクフリーダムは……

「アピール不足、かも……というよりマイナスか」

そう、ストライクフリーダムはエネルギー燃費が悪すぎて長時間の稼働が不可能という致命的な欠点がある。

こんなヤツと共闘したいと思うヤツはいないだろう。

「つまり、このタッグ大会にメンバー探しをするために挑戦するには、ミズシマのストライクフリーダムを改修する必要がある。そう言いたいんだなナガサキ先輩は」

先輩は頷く。そうか、そういうことか……

俺がチームの足を引っ張ってしまう結果になってしまうのか。

「……わかりました!なら俺は全力で挑みます!」

「えっ」

先輩は、予想外という風な表情で俺の方を見ていた。見ていてください先輩、先輩に取り戻してもらった子供心フル稼働でなんとかしてみせます!

俺は財布を握りしめてガンプラの販売コーナーに走った。

 

 

 

第4話「壊れた翼」

 

 

 

 それから3時間後、俺は工作コーナーの机に突っ伏していた。

「……全く形にならねぇ……」

閉店時間も近づき、人もまばらになってきた。それが俺に更なる焦りをもたらしていた。

あれから、エネルギー不足を補えそうなガンプラを購入して、パーツを組み合わせたり無理やり接続したり試行錯誤を繰り返したが、いざ動かしてみると燃費が悪く、やはり実践で使えるレベルのものにならない。

「うぅう、子供心を取り戻そうとしても、余計な知識が邪魔する……」

俺は散らばったガンプラのパーツをなんとなく眺める。すると、それらのパーツがどんな機体のもので、どういう使われ方をするのか、わかってしまう。

自由な発想というのがいかに難しいかを思い知らされた。

「……そういえば、先輩とカイトは……?」

ふと、二人のことを思い出して周りを見回すが、どこにも姿が見えない。どうやら先に帰ってしまったようだ。もしかしたら声をかけてくれたのかもしれないが、全く記憶にない。

「……カイトってやっぱり凄かったんだな。あんなガンプラ、一週間で作っちゃうんだし」

改めて、二人が全国大会出場者であったことを思い出す。

1ランク下大会と言えども、俺も大会で優勝をした経験がある。けれどそれは、もう3年も前の話。

優勝した事実自体は今の俺の人生を大きく変えるものだったけれど、あの2人が戦っていたのはもっと上のステージだ。

そして、これから俺を待っているのは、そのステージでの戦いだ。

「高校生になったんだ。周りのみんな、あのくらいの実力を持っててもおかしくはない……」

選考会で戦った人たちのことを思い出す。彼らの実力だって高かった。俺と同じか、それ以上の人だっているだろう。

もう自分は特別ではなくなってしまったんだと言う、漠然とした不安感が、俺を押しつぶしそうになる。

「……ユウジ、ちょっと良い?」

「え?せ、先輩!?」

1人で悶々と考え込んでいると、いつの間にか背後に居た先輩に肩を叩かれて飛び上がる。

俺は慌てて席に座り直し、先輩も対面に座る。帰ったと思っていただけに、少しホっとした。

先輩は、ずっと待っていたけれど、集中しているようだったから黙ってお手洗いに行っていた、と説明し、戻ってきた時に俺が落ち込んでいる風だったから声をかけずらかったと言っていた。

俺は謝ろうとしたが、先輩はそれを制した。

「いやその。えっとね。さっき私が言いたかったことなんだけど」

「?一緒に戦ってみたいガンプラを作れって話ですか?」

「いやその。そういうことなんだけど」

先輩はしどろもどろ、いつもの調子からは想像できないほど言葉に詰まりながら話をしている。

何か言い出しづらいことを言おうとしているみたいだ。

はっ、まさか……俺が今作ってるガンプラが、この段階でもう不合格なんじゃ……

「すいません先輩!先輩の期待に添えるようなガンプラになるまで何度でも作り直しますんで……」

「え?あ、うん。じゃなくて、じゃないけど、そのね。ちょっと待って少し……」

「だぁぁああもうまどろっこしいな!」

「うわっ!?」

俺の背後で、野太い雄たけびが聞こえたと思ったらカイトが現れた。

「ナガサキ先輩が自分で言うから待っててって言うから待ってたが、これじゃ本当に閉店まで言い出せないだろうから俺から言いますよ!」

「え。ちょ、ちょっと待ってカイト……」

「駄目です却下です!」

カイトは止めようとする先輩のことを頭から押さえつける。何か、駄々をこねてグルグルパンチしてる子供を制している父親のような図だ……

と、なんとなく他人事のようにその光景を見ていた俺の肩を、カイトが掴んでくる。

「ミズシマ!お前、ナガサキ先輩にガンプラ作ってもらえ!」

「……え?」

「さっき相談を受けたんだよ、ナガサキ先輩に。元々、お前をチームメイトに誘ったのはお前のガンプラを作りたいからだって。ビルダー志望だから戦わないと言っても全然ガンプラのアイデアとか相談されなくて自分から言い出すのが恥ずかしいって」

カイトの台詞に合わせ、先輩が真っ赤になって行く。そ、そんなことを考えていたんだ……。

確かに考えてみたら変だった。ファンだから自分のチームに入って欲しいと言いながらファイターでは無くビルダーとしてやりたいと言っていると言うことは、つまりそういうことだったのだと今さらになって気がついた。

他のみんながやっているように、自分で作ったガンプラで戦うことが正しいんじゃないかと思い、誰かに頼ると言う選択肢は考えていなかった。

けれど、自分で作るのではなく、上手い人に頼むと言う選択肢もあったんだ。

それを思いつかなかったのは、たぶん俺にストライクフリーダムガンダムを作ってくれた友人の影響があると思う。

そいつ以外にガンプラ制作を頼む自分を想像していなかった。

……そうだ。今、俺の目の前に居るのは先輩とカイトと言うチームメイトだ。

頼って良いんだ。

「……先輩、お願いします。俺に出来ることは何でもします。俺のガンプラ、作ってください!」

「…………うん」

真っ赤な顔で頷いた先輩は、小さな声で返事した。

その時の先輩の表情が、どんなガンダムキャラにも例えられないくらい、可愛かった。

 

 

 

 翌日、俺は部室で先輩の作ったストライクフリーダムガンダムでバトルをしていた。それは素組みしたものにつや消しを吹いただけのものらしいが、やはり動きが段違いに良い。

シミュレーターの中に保存されている模擬戦用のモックを数体倒した所で、横に立つ先輩が、ダメか、と呟いた。

その瞬間、ストライクフリーダムガンダムはエネルギーを失い、墜落してしまう。

「あぁっ……」

「……やっぱり単純な効率強化だと限界がある……ユウジが小学六年の時に使っていたガンプラのクオリティに及ばないというのもあるけれど、今、私の技術力を向上させている時間は無い……次、これ試してみて」

「は、はい!」

昨日約束した通り、先輩は俺のストライクフリーダムガンダムを作ってくれてきていた。その数、10体。

なぜそんなにって、それぞれ微妙な違いがある。

塗装していないもの、塗装しているもの、つや消ししているもの、していないもの、メタリック塗装したもの、RG、HG、武装に手を加えたもの……

とにかく作れるだけ作ったと言わんばかりのストライクフリーダムガンダムを詰めたカバンを渡され、部活が始まってからずーっとバトルを続けている。

「うぃーっすってうわ、なんだその数のストフリは!?」

掃除当番で遅れて部室に入ってきたカイトが、この異様な光景を見て悲鳴に似た声をあげる。

「何って、データ収集よ。私、ユウジの戦い方の癖は3年前の大会のしか知らないから、今のユウジに合うガンプラを作るためにデータを取っているの」

「おぉ、面白そうだな!」

カイトは嬉々とした声をあげてカバンからティフシーガンダムを取り出す。

あぁ、カイトは止めてくれると思ったのに……もう俺、バトルしすぎて腕が痛い……

……そういえばカイトは艦これで確率や効率を考えたプレイをする人だった……

「さてユウジ、次はカイトとバトルしながらもう一周使ってみて」

「また最初から使うのか!?」

「受けて立つぜ!」

何度も何度も、それもストライクフリーダムガンダムだけを使ったバトル。すると不思議なことに、徐々に体が慣れてきた。ストライクフリーダムガンダム独特の動きやドラクーンの効率的な運用、エネルギー消費の少ない動きと激しい動き……もしかしたらこのデータ収集、俺の操縦技術の向上のためにやってるんじゃないかと思えてきた。

そうだ、考えてみたら俺は先輩とカイトの作るガンプラの凄さに圧倒されてバトルに消極的になっていた感がある。考えてみたら、前回の選考会の時だって、ガンプラを作るのに必死でバトルの練習までできていなかった。

そういう練習不足解消の意味も含めて、先輩はこういうことを始めたのかもしれない。

「……先輩」

「どうしたのユウジ」

「……ありがとうございます。俺のガンプラの為に、こんなことまで」

「ユウジの為なら何だってするよ」

「え?」

「あ。あーいやほらチームメイトだし。チームのためになることをするのは私のために繋がるし」

「……はい。それでも、ありがとうございます」

「う、うん」

俺は感謝の言葉を伝えて照れ臭そうに視線を逸らした先輩を見て、良かった、喜んでくれたんだなと思い視線をシミュレーターの方に戻した。すると、シミュレーターの向こうで苦虫を噛み潰したような表情をしたカイトがこちらを睨んでいた。な、なんだどうしたんだ?

「……なんでその空気になれるのにまだ告白してねぇんだよ」

「?」

告白って何を、と言おうとした瞬間、部室の扉が勢い良く開かれ、数人の模型部員が駆け込んでくる。

「ぱ、パーツハンターだ!アナハイムにパーツハンターが出たぞ!」

「!?」

駆け込んできた部員に、部長が駆け寄ってくる。ちなみに本日の部長はザフトの制服を着ている。声や髪型はアスランを真似している。マジで石田さんに似てるから驚き。

「被害者は!?うちの部員は無事なのか!?」

「それが、俺のメンバー二人が、パーツハンターだと知らずに挑んで犠牲に……」

「なんてことだ……ハンターは?去ったのか?」

「は、はい」

同じ部屋の中で行われているとは思えない世界での会話に、俺はただ呆然としていた。

そんな俺に、カイトが耳打ちをしてくる。

「お前は高校入学で東京出てきたんだっけな。知らないだろ、今のパーツハンター」

「い、今の?」

「数年前、ガンプラの所有権を掛けた勝負を挑み、勝利したら目の前で相手のガンプラを破壊して必要なパーツだけを持ち去る男が居た。そいつをパーツハンターと呼んでいたらしい。そいつは三代目メイジンカワグチに改心させられたって話なんだけどな。最近、そのパーツハンターと同じことする輩が現れたってわけだ」

カイトの説明と今の状況から察するに、そのパーツハンターがホビーショップアナハイムに出没してうちの模型部員が被害にあった、と言うことらしい。

「でも、アナハイムみたいな目立つ場所で……?」

「あぁ。野次馬に何か言われたら、気に食わないならバトルで勝ってみろと挑発し、さらに凶行を繰り返す。周りがその強さに恐れを抱いたらさっさと去ってしまう、ってヤツらしいぜ。確かに今まではアナハイムに現れることはなかったが……何か目的でもあるんだろうか」

カイトが疑問を口にすると、まるでそれに答えるように部長が叫んだ。

「なんだって!?そのパーツハンターが週末のショップ大会に出ると言っていたのか!?」

そのセリフの直後、部室内が先ほどよりもざわざわと騒がしくなった。

それはそうだ。犠牲になった部員は運が悪かった、俺は気をつけよう。そんな風に騒動を見ていた部員がほとんどだから、突然自分たちが出る大会にそいつがいると言われれば驚くだろう。

もちろん、俺もそうだった。

「うげー、マジかよー。当たりたくねぇな、ミズシマ」

カイトがそう言って俺の同意を求めたので頷こうとすると、先輩がニヤリと笑った。あ、ロンド・ミナ・サハク顔の方の微笑みだ。

「いいじゃない、パーツハンター。そいつを倒せば勧誘なんて入れ食い状態になるはず。積極的に狙いに行きましょう」

なんかとんでもないことを言い出したぞこの先輩!?

「狙っていきましょうって、FPSでヘッドショット狙うみたいな感覚で言わないでくれよナガサキ先輩。大体、俺らパーツハンターの顔知らないぜ」

「そうね、じゃあ聞きましょう」

先輩はそういうと、すたすたと部長の元に歩いて行ってしまう。そして開口一番、部長の隣に立つ駆け込んできた部員に訪ねた。

「パーツハンターの特徴を教えて」

 

 

 

 大会当日。俺たちは開会1時間前にアナハイムの入り口で受付を済ませ、フードコートで軽食を取りながらガンプラのチェックをしていた。

「カイトはティフシーガンダムに何か改修を加えたの?」

「あぁ。ビットに面白い挙動を追加したり関節を強化したりしてるけど、基本的な戦術は変わらないぜ」

「戦闘開始時に姿を隠してビットでかく乱、だね」

「あぁ。ミズシマはストライクフリーダムの"新しいシステム"を使ってとにかく近接攻撃か?」

「いや、そうしたいのは山々なんだけど……たぶんそれだとエネルギーが持たない」

「心配すんな、ビットで支援してやるからさ。なるべく2機同時に相手して俺を捜索させないようにしてくれればいくらでも援護できるぜ。それに、攻撃された方が有利になっていくだろ?」

「でも、パーツハンターの戦法も何も分からない状態だし……」

戦法について議論を繰り返していると、俺達に近づいて来る人影があった。

それは同じ模型部の部員。見れば、その内の一人は先日先輩がパーツハンターの特徴を聞いた人だった。彼は確か3年生だ。

と言うことは、後の2人がパーツハンターの犠牲者……。

「ようナガサキ。対戦表見たか?ミズシマとアシダってお前のチームだろ。最初に当たるの、俺の後ろの2人だぜ」

「パーツハンターは?」

「俺らに勝ったら、次に当たることになるぜ」

緊張が走る。

思ったよりも早い……一回勝てば、もう当たるのか……

「ねえ貴方」

後ろに控えていた2人が、突然俺の眼前のテーブルに手をついて話しかけてきた。

驚いた俺は身を引いて顔を上げる。

そこにあったのは、まるでシン・アスカの憤怒の形相のような顔だった。

「貴方達今、パーツハンターとのバトルのことを考えたでしょう?貴方達の相手は私らで、それで終わりよ」

「あぁ?どういうことだコラ」

カイトが額に青筋を立てて答える。

「言葉通り。貴方たち、パーツハンターの特徴を聞いてたらしいじゃない。狙っているんでしょう。パーツハンターを」

「ヤツらは俺らの獲物だ。リベンジして、ぶっ潰してヤツらのガンプラにも同じことをしてやる」

パーツハンターにやられたと思しき2人は、160cm台の女性と170cm台の男性の2人組だった。

女性の方はTシャツにジーパン、上着はチェックのシャツ。

男性の方は軍服みたいな迷彩柄のシャツに迷彩柄のズボン。そしてマスクをしている。

「パーツハンターを倒すのは私たちよ。これはリベンジ……復讐なのよ。だから一回戦、勝ちは譲ってもらうわ」

「へえ……望むところじゃねえか」

カイトは立ちあがり、テーブルに手をついている女性の腕を掴もうと手を伸ばす。

するとその腕を、マスクの男が逆に掴み、睨みつけてきた。

怒りの形相を浮かべる2人組。

俺らはこれから、この復讐鬼と戦うことになる。

 

 

 

後篇へ続く




読了お疲れ様でした。

後篇はユウジ&カイトVS復讐鬼2人組とのガンプラバトルです。
パーツハンターと言う単語が出てきましたが、これはガンダムビルドファイターズA(アメイジング)と言う、アニメ本編の前日請にあたる漫画に登場したキャラクターを指す名称です。
あの漫画はアニメの設定を若干補足してくれているので、かなり好きです。

次回更新は……年明けになるかもしれません。できるだけ早めに投稿できれば良いなとは思っています。ガンプラ写真もまだ投稿できてませんし……ガンプラ写真くらいなら、年内に投稿できると思います。つまるところ全然未定って感じです。
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