ガンダムビルドファイターズ Anything goes -エニシングゴウズ-   作:oyakata

9 / 23
閲覧ありがとうございます。
今回はタッグ大会二回戦です。
今回は前篇でバトルです。対戦カードは以下の通り。

ストライクフリーダムコマンド(ストライクフリーダムのカスタム機)
 &
ティフシーガンダム(艦これのヲ級風ガンプラ)

 VS

レッドゲイザー(非武装状態の赤塗装のスターゲイザー)
 &
エニグマ(非武装状態のケルベロスバクゥ)


ガンダムビルドファイターズ AG 第五話「壊れている翼」前篇

 ホビーショップアナハイムのフードコート。一回戦の試合に勝利した俺とカイトは、先輩と合流して昼食を取っていた。二回戦は午後から始まる。

昼食時、先輩は俺たちの試合の時間帯に隣のシミュレーターでパーツハンターが戦っていたことを教えてくれた。

「少し見たけれど、使っていたガンプラはスターゲイザーの改造機だった」

「もう一人は?」

俺の質問に、先輩は言葉を濁らせた。

帰ってきた答えは、想像もしていなかったものだった。

「機体登録名称は"エニグマ"。パーツハンターらしい……おぞましいガンプラだった」

先輩はスマホで撮影した試合の様子を見せてくれた。

そこには、無数のガンプラのパーツを組み合わせて作られている、ガンプラのような何かが写っていた。

ただ、試合の最後、相手のガンプラと相撃ちになって大破している。

いや、見方によっては、ストライクと一緒に自爆したイージスのように、わざとやっているようにも見えた。

「……惨いな」

「えぇ……これがパーツハンターと呼ばれている2人みたいね。倒せば、私たちのチームの宣伝になるわ。入りたいと言う人も来るかも」

そう。最初は俺たちのチームの宣伝が目的だった。

そのために派手で目を引くドラグーン百烈拳を戦術に組みこんだり、アブソーブシールドのような珍しい機能も入れた。

けれど、もうこの大会は"アピールのための戦い"ではなくなった。

背負ってしまった、イイジマ・ユキとダイモン・トウキの無念を晴らすための戦いになっていた。

それを感じているのは俺だけじゃないと思う。

カイトも先輩も、朝食を食べていた時とは全然違う表情をしている。

不安でいっぱいな表情だ。たぶん、俺もそうなんだろう。

「暗い!暗いぜ1年生チーム!」

突然声をかけられて驚いて顔を上げると、そこにはハイネ・ヴェステンフルスのコスプレをした部長が立っていた。

ってか声も西川さんに似せてる。池田さんと言い、石田さんと言い、部長の声帯どうなってんだ。

「あれ?部長さん、今日の大会には出場しないって言ってましたよね?」

カイトが疑問を口にする。そう、たしかに部長は今日の大会には出場していないはず。

だとすると、見学か応援だろう。

……そうだ、部長はパーツハンターにやられたイイジマとダイモンの2人のことを知っているはず。

その2人の応援に来ていたのかもしれない。

けど、俺達が一回戦で倒してしまったから、代わりに俺達の所に激励に来たのかも。

「あぁ。今日の俺はただの外野だ。だから主役のお前たちに声をかけるつもりはなかったんだが……ちょいと、その辛気臭い雰囲気が目についてな」

「え?」

「お前ら、イイジマとダイモンの仇を取ろうとか、あの2人の為にパーツハンターに勝とうとか、そういうことを考えているだろう」

ドキっとした。いや、状況から見れば俺たちがそう感じていると組み取ることは容易なんだろうけど、指摘されるとは思ってもみなかったからだ。

「ふふん」

突然、部長は懐からガンプラを取り出した。それはハイネカラーのディスティニー。

いわゆる限定品と言うヤツで、持っている人は極少数しかいない。

「うわ部長、それめっちゃレアなガンプラじゃないっすか!どうしたんですか!?」

カイトが席を立ちあがってガンプラを舐めるように見つめる。先輩も突然現れたレアなガンプラに視線が釘付けになっている。

「ははは、戦ってみたいか?この俺のディスティニーと」

「うおおぉ、めっちゃ戦ってみたいです!」

「お、俺も……!」

湧きあがる好奇心に耐えきれなくなった俺も、椅子から立ち上がって部長に近寄った。

その様子を見た部長は、ハイネを気取った爽やかな笑みでは無く、満面の笑みを浮かべて笑った。

「おう、大会が終わったらやろうぜ!ガンプラバトルする理由なんて、これだけで十分だからな!」

その一言で、部長が俺達に何を言いたいのかが分かった。

"責任感や義務感でガンプラバトルをするな"と言うことだ。

「朝、イイジマとダイモンにも言おうと思ったんだが、あいつらはもう前を見られない程に濁ってた。でもお前らになら、今俺の言葉が届くと思ったからな」

「部長……俺、俺は……勝たないと、と……」

「おぅユウジ。勝ちたいと思うことは大切だ。その気持ちは持っていけ。けど、その感情の前に"誰かの為に"をつけないようにな。戦いたい戦いを戦え。俺が言えるのは、これだけさ」

そう言うと、部長はハイネの仕草に戻ってその場を立ち去った。

不安でいっぱいだった俺達の表情から、それらが消えたことを、お互い顔を見合わせて確信した。

 

 

第5話「壊れている翼」

 

 

 2回戦。会場で待っていた俺とカイトの前に現れたのは、小柄で金髪の男と帽子を被った黒髪の女。

こいつらが、パーツハンターと呼ばれる2人組。

「はぁ!?またガンプラ壊した!?おぅお前大概にせぇよミズキぃ!」

「や~ん、怒らないでよぉシキっち~」

……だよな?

今、目の前でコントやってる2人組が、イイジマとダイモンのガンプラを破壊してパーツを持ち去ったにっくきパーツハンター……なんだよな?

カイトに確認した所、容姿は目撃証言と一致するらしい。

「ったく、ほら。これ使えよ。武装ほとんど無いけど、お前なら何とかなるだろ」

「や~ん、シキっち優しい~。あ~ワンちゃんだ~!」

シキっちと呼ばれる金髪の小柄男から手渡されたのは、首が一つだけのケルベロスバクゥ。

別に改造してあるとかではなく、二つの首が取れているだけ。つまり非武装状態と言う訳だ。

良く見ると両脇のブースター付きウィングも無い。

「一昨日ガンプラバーで勝負挑んできたオッサンのだ。そんときムカついてたからぶっ壊しちまった」

「いいよぉ~、何もついてなくて。このままで十分に可愛いし!」

会話を聞いて、ようやく彼らがパーツハンターなのだと理解できた。

だが、それと同時にこちらを完全に舐めて掛かっていることも分かった。

カイトは額に青筋立てて今にも殴りかかりそうだ。

「あいつら舐め腐りやがって……ミズシマ!ぶっ飛ばしてやろうぜあいつら!」

「う、うん。やってやろう、カイト!」

俺達は互いの顔を見合った。大丈夫。カイトは口ではああ言っているけど、ちゃんと楽しんでいる顔をしている。

たぶん、それもそうだ。

そんな俺達の様子を見たパーツハンターの2人が、こちらに声をかけてきた。

「随分と余裕だなオイ。お前ら、大岩学園の模型部だろ。そこの部員ぶっ飛ばしたから、てっきり警戒して来ると思ってたんだがな」

「いいよぉ~ミズキは楽しんでバトルする人好きだよ!」

2人の瞳には、俺達が知らない光が灯っているように感じた。

それは邪悪の化身だと思いたい俺達だけに見える光なのか、この二人と自分たちの圧倒的な実力差を感じ取って見える光なのか。

それは分からなかった。

『プリーズ セット ユア GPベース』

「あ~、時間だよぉシキっち!」

ミズキがパタパタと手足を振りながら持ち場へ走っていく。それを追うように、シキも歩きだした。

俺達も持ち場に付き、GPベースとガンプラを取り出す。

「ミズシマ・ユウジ、ストライクフリーダムコマンド、行きます!」

「アシダ・カイト提督、ティフシーガンダム、着任します!」

 

 フィールドはキャッスル。

中心に聳え立つ古城と深い地下洞窟空間が特徴的なフィールドだ。

SD系でなければ入り込めないような空間もあり、なかなかトリッキーな場所だ。

『くそ、海がねぇ。けどこれだけ遮蔽物が多い空間なら、ビットを使っての撹乱は有効的かもしれんな』

「じゃあ、カイトは今回もどこかに隠れる?」

『……いや。今回は敵が敵だ。一緒に行動しよう』

俺達は古城の扉を開いた。中は広く入り組んでいる為、扉を開けた途端に敵に遭遇する可能性もある。

なるべく開けた場所を選んで移動する方が良いだろう。

「カイト、待ち伏せする?」

『あぁ。このエントランスの階段下の影入ってビットを使って部屋全体を監視する。やつらが入ってきたらビットで攻撃仕掛けるから、その隙に肉薄してくれ』

「分かった。どっちを先に狙う?」

『エニグマだろう。たぶん、あの金髪の方がそれだ』

先輩の写真では、どっちがどのガンプラを使っているのかまでは分からなかったが、俺もそんな気がする。

シキっちと呼ばれたヤツがエニグマ使いで、赤いスターゲイザーを使っていたのがミズキ。今ミズキはケルベロスバクゥを使っているはず。

ストライクフリーダムとティフシーガンダムは階段下の空間に入り、ビットとドラグーンを部屋の死角に待機させた。

1分ほどして、扉が開いて2つのガンプラが姿を現した。

そこに居たのは、赤いスターゲイザーとケルベロスバクゥだった。

『エニグマが居ねぇ!?』

「まさか……あの赤いスターゲイザーはシキの方か!?」

意外だったが、躊躇っている暇はなかった。

カイトがビットによる攻撃を仕掛けたのと同時に俺は階段の影から出て突撃。ドラグーンも突撃させ、一撃必殺の威力をお見舞いした。

だが、ドラグーンは全てケルベロスバクゥの回転攻撃によって吹き飛ばされ、俺の突撃も赤いスターゲイザーの防御によって止められてしまった。

「くっ、カイト!ビットで支援頼む!」

『……ミズシマ、今、あのスタゲ……"拳で受け止めやがった"ぞ……』

カイトの指摘に驚いて赤いスターゲイザーを注視する。

良く見ると、赤いスターゲイザーにはヴォワチュール・リュミエールが付いていなかった。

まさか、あのスターゲイザー……

「き、近接格闘型!?」

気がついた時、スターゲイザーの拳がストライクフリーダムの頭部に直撃していた。

ふっとばされ、壁を突き破り、隣の部屋までふっとぶ。

『シキっち~、階段下の影が臭うよぅ』

『そーか、んじゃそっちゃ任せる。俺は今吹っ飛んでったヤツぶっ飛ばしてくる』

『あいあいさ~。あ、シキっち、レッドゲイザーの角が取れかかってるよ~』

『マジか。直しとくわ』

『うん!』

オープンチャンネルで会話するパーツハンター。どうやらカイトの居場所にも気づき、各個撃破で行くつもりらしい。

レッドゲイザーと呼ばれていたガンプラが、俺の目の前に現れる。

「カイト!そっちは大丈夫か!?」

『武装の無いケルベロスなんてバクゥ以下だ!すぐ倒す!お前の方は!?』

「……倒されないようにしてるから、早く来てくれよ!」

『了解!』

ガレキの中から立ち上がった俺は、迫りくるレッドゲイザーが入ってきたエントランスと真逆の方向へ飛び出した。

近接格闘型と戦っても勝ち目が無い。

アブソーブはビーム攻撃の吸収が行えるシステム。そして格闘型はビーム攻撃を持ち合わせていない。

つまり、格闘型とは手持ちのエネルギーのみで戦うしかない。

元々燃費の悪いストライクフリーダムでは、勝ち目が無い。

「加速しすぎてもヤバイ……ほどほどに反転して応戦する!」

俺は背後を確認する。そこには、走ってこちらに追いつこうとしているレッドゲイザーの姿があった。

「追加ブースターすら無いのかよ……!」

元々スターゲイザーについているふくらはぎのブースターのみを吹かして、こちらに追いつこうとしている。

そもそも、スターゲイザーは戦闘用モビルスーツでは無い。だから武装が少ないのは当たり前なのだが、ヴォワチュール・リュミエールさえ無い状態では攻撃手段なんて本当に殴るのみ。

そしてその殴るのみで戦う気でいる。

「パーツハンターなんて言うから、もっとめちゃくちゃな装備で来ると思ったら……実力派なのか?」

生じた疑問は、追いつかれたことにより消え去った。

俺はとにかく近づけさせないようにと、ドラグーンを飛ばした。

ドラグーンフィストと化したことでエネルギー効率が良くなったので、ドラグーンの運用だけでエネルギー切れになるようなことは無い。

だが、レッドゲイザーはそれを"しゃらくせぇ"とでも言わんばかりに殴って殴って殴り飛ばして、まるで何もなかったかのように俺の方へ迫ってきた。

「うわちょちょちょちょ!?」

慌てた俺は腰のビームライフルを取り出して構える。レッドゲイザーはそれを素手で掴んで取り上げた。

「やばっ……!」

俺は強打を警戒し、両腕を胸の前で合わせ、後方へ飛んだ。

次の瞬間、レッドゲイザーとストライクフリーダムの間にティフシーガンダムのビットが飛び込んできた。

突然のビットの出現にレッドゲイザーが動きを止め、警戒して引きさがる。

カイトだ。カイトが向こうのケルベロスバクゥを倒して、こちらに来てくれたんだ。

俺はカイトに向けて通信を飛ばす。

「カイト、助かった!早かったな!」

『……すまねぇミズシマ……背後に、気をつけろ』

通信が突然切れ、ビットが地に落ちる。

それがカイトが撃墜されたことを表していると言うことは、すぐに分かった。

カイトは負けたんだ。非武装状態のケルベロスバクゥに。

「……嘘、だろ……?」

『シキっち~、終わったよ~』

『おぅ、早かったな』

『えっへへ~、噛み噛みしてたら終わっちゃったよ~』

またもオープンチャンネルで聞こえてきた会話。

仲間がやられたことを告げられ、俺は冷静さを保つので必死だった。

「まずい……あいつらどっちもエネルギー武器を持ってない……こっちの粒子残量はそろそろ限界だ……!」

一か八か、ドラグーン百烈拳を叩きこんで圧殺できるか掛けてみようかと思案していると、レッドゲイザーが先ほど投げ捨てた俺のビームライフルを拾い上げた。

『そういや俺って遠距離武器持ってないんだよな。これ貰って行くか』

レッドゲイザーがビームライフルを構え、撃ち込んで来る。

俺は両腕を構えてアブソーブシールドを発動する。

ビームは掻き消され、俺の粒子残量が少し回復する。

「よし、ラッキーだ!」

『はぁ!?今何が起きた!?』

『ありゃりゃ!?面白い装備してるね!!』

『くっそ!』

シキはアブソーブシステムを理解していないのか、次々とビームライフルを撃ち込んで来る。

それを次々に吸収し、粒子貯蔵量がMAXになるまで回復した。

途中で弾切れになるかと思ったが、どうやらリチャージしてまで乱射してくれているようだ。

これならまだ戦える。

そう思った矢先、レッドゲイザーの横にケルベロスバクゥが居ないことに気がついた。

背後に気をつけろ。カイトの言葉を思い出し、慌てて飛び上がる。すると、真後ろにまで迫っていたケルベロスバクゥの突進をかわすことに成功した。

『避けられたワン!?』

『良い感してんじゃねぇか!』

飛び上がったストライクフリーダムに合わせるように、レッドゲイザーも飛び上がる。

今だ。俺はコンソールから特殊コマンドを入力する。

「ドラグーン百烈拳!」

先ほどレッドゲイザーに殴り飛ばされて周囲に散らばっていたドラグーンが、レッドゲイザー目掛けて突撃する。

ロクなブースターを積んでいないレッドゲイザーは空中で方向転換ができない。

直撃。全てのドラグーンがレッドゲイザーを穿つ。

だが……レッドゲイザーは無事だった。

角は折れ、太もものブースターカバーは破損し、腕が若干破損した程度で、まだ動いてる。

『あいつ……俺のレッドゲイザーに傷を……ふっざけんな……!』

『ありゃりゃ~、シキっちのガンプラを壊した人、外では見たの初めてかも~!』

『初めてだよド畜生!』

周囲に対空するドラグーンを、苛立たしそうに殴りつけるレッドゲイザー。

次の瞬間、思いっきり地面を蹴って跳躍してストライクフリーダムに迫る。

だが、俺は既にカリドゥスのチャージを終えていた。

『いっ!?』

「さっきドラグーン殴ってなけりゃ間に合ったかもな……?」

直撃。向こうから迫ってきていた分、威力も倍増しただろう。

直撃の瞬間、皮肉たっぷりの通信も入れてやった。

たぶんぶち切れしてるだろうが、これでミスを誘いやすくなったんじゃないだろうか。

そう思った瞬間、またもやケルベロスバクゥが消えていることに気がつく。

俺はブーストを吹かしてその場を離れる。

するとやはり、俺の居た場所にケルベロスバクゥの突進が通過する。どこからどう移動したのか分からないが、ケルベロスバクゥは天井を突き破って現れた。

あんなの予感してなけりゃかわせるはずがない。

『うっそ~、私の不意打ちを避けれたのもこの人が初めてぇ~!』

『くっそむかつく!ぶっ壊す!アレやるぞミズキ、離れてろ!』

カリドゥスを食らって地面に叩きつけられていたレッドゲイザーの各部のラインが、光り始めた。

黄色の光だ。

「な、なんだアレ……?」

『俺にこれ使わせるなんて大したモンだよお前』

レッドゲイザーから通信が入った。

そこに映っていたのは、傷だらけシキの顔だった。

「!?お前、それ……」

『お前だよ、お前の攻撃でこうなったんだよ。けど恨んじゃいないぜ。外部の人間にこれ試せるなんて思ってなかったからなぁ!』

レッドゲイザーが立ちあがり、とんでもない速度でストライクフリーダムの背後を取り蹴りつけた。

跳躍・反転・蹴り。その全てのモーションが見えなかった。

気がついた時には蹴られていた。

「なんだ……トランザムか……それとも、エグザムか……とりあえず距離を!」

相手の謎の出力アップの謎を考えながら、俺はとにかく距離を取ろうとブーストを吹かして移動する。

再びエントランスに戻ってきた。そこで見てしまった。

全てのパーツを余すところなく噛み砕かれて沈黙している、ティフシーガンダムを。

「……カイ、ト……」

これはガンプラだ。カイト本人は俺の隣に居るし、この大会のダメージレベルはB。試合が終わればパーツが外れているだけのガンプラが現れるだけ。

けれど……それでも……この破壊は、既にバトルの領域を超えている。

これでは、食い散らかされた獲物と変わらない。

『お!?動き止まった、今だぁ~!』

またもやどこから潜んだのか分からなかったが、階段の影に隠れていたケルベロスバクゥが不意打ちを仕掛けてきた。

オープンチャンネルが付けっぱなしで突っ込んで来ることは分かったが、通常なら向きまでは分からない。

避けようがないタイミング。けれど、何故かこの時の俺にはどこから来るのかが理解できた。

先ほどカイトと同じ所に隠れたからなのか、俺がニュータイプに目覚めたからなのか、別の何かなのか、それは分からない。

背後に迫ったケルベロスバクゥに、俺は裏拳を叩きこんだ。

そして振り向きざまに拳を振りおろし、落下するケルベロスバクゥに向かってドラグーン百烈拳を撃ち込み、カリドゥスを撃った。

『みぎゃっ』

短い悲鳴を上げて、ケルベロスバクゥからの通信が沈黙した。

ミズキが戦闘不能になったんだ。

『……マジかよ。あいつが負けた……?』

エントランスに現れたレッドゲイザー。その姿は先ほどよりも光り輝いていた。

黄色い光が全身を包み、炎のようになっている。

その異様な光景を見たら、普段だったら俺は警戒する。

だが……今の俺にそんな冷静さは無かった。

そしてたぶん、シキにも無かった。

「うわっぁああああ!」

『クソがあああぁ!』

殴りかかったストライクフリーダム。

その背後に迫るレッドゲイザー。

「!?」

何が起きたのかも理解できないまま、俺のストライクフリーダムは背後から貫かれた。

 

 

 

後篇へ続く




読了お疲れ様でした。

今回は前篇にバトルを持ってきました。
パーツハンターとの戦い、いかがでしたでしょうか。

シキが最後に発動した光は何なのか。
そして2人が言う"外"とはどういう意味なのか。
その辺、謎として楽しんでもらえたら良いと思います。

次回更新日時は1/31予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。