それが僕の始まり   作:りりなの

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小さな出来事

 自分に2つ名がついてから先輩と話をしようとするが避けられて話す機会がない。

 

 別に話さなくてもいいかもと思い始めてからコンビニに朝食を買いに行った時の事だった。

 

「あら、加藤君」

 

 買い物袋をもった会長に出会った。

 

「会長も買い物ですか」

 

 僕は自分が買ったものを隠すように腕を後ろに動かす。

 

「加藤君も料理をするのね」

 

「いえ、僕は料理はできませんよ」

 

 そう言った瞬間、会長は僕が後ろに隠していた袋を素早い動きで取り上げて中身を見てしまった。

 

「何でご飯と鯖缶しかないの?」

 

 会長がジト目で僕は見てくる。

 

「何でと言われても鯖が好きだからですよ」

 

 バレタからには堂々としよう。

 

「これが僕の朝とお昼のおかずとご飯です」

 

「晩御飯は何を食べてるの?」

 

「晩御飯は半額弁当です」

 

「毎日そんな食生活しているの?」

 

「そうですね、たまに夕食がない日もありますがほとんどこの食生活をしてますね」

 

「身体は大丈夫なの?」

 

「大丈夫ですよ、今もこうやって生活してますし」

 

 僕はにっこりと笑いながら言う。

 

「だから会長は今までのように何も知らないふりをして僕に接してください」

 

 そう言って僕は会長の横を通り過ぎようとしたら腕を掴まれた。

 

 腕を掴まれた僕は会長の方に顔を向けようとしたが前からやってくるベージュ色の髪の女の子がまだ遠いがこちらに歩いてくるのを目にした瞬間、僕は一刻もここから離れたい衝動に駆られた。

 

「……離せよ」

 

 腕を掴んでいる会長に呟いた。

 

 会長はこちらに顔を向けて何かを言おうとしたが僕はそうさせなかった。

 

「離せって言ってんだよ!」

 

 叫んでしまったがそれどころじゃない、あいつがここに来るまでにここを離れないといけない。

 

 叫んだためか会長は驚いて僕の腕を離した。

 

 そのおかげで僕はその瞬間に走り出して路地に入り込み遠回りであるが家に向かう。

 

 家に帰って僕は薬のある台所に走り薬が入った袋を雑に取り口の中に大量の薬を入れて水を飲んだ。

 

 汗のせいで服が体に張り付いている。

 

「気持ち悪い」

 

 僕はそう呟きながらシャワーに向かう途中に気づいた。

 

「あっ、袋落とした」

 

 あいつを見つけた時にでも落としたのだろうと自己完結してシャワーを浴びて部屋に戻って眠りに入りながら明日は休むことにした。

 

 その日は悪夢を見ることをなく安らかに寝た……寝すぎた。

 

 時間を確認すると夕方になっているではないか学校を無断で欠席してしまったと後悔はしなかったが家には電話が何回かなっただろうと思いながら重い体を起こして水を飲むために台所に向かうが台所に向かうまで家に起きている異変を気づかなかった。

 

 台所に着いた僕はグラスを取り出して水を飲んでいるとき足音と声が聞こえた。

 

「やっと起きたの」

 

 そこに立っていたのは会長だった。

 

 会長の姿を見た僕は昨日の件で僕には近づいてこないと思っていたから飲みかけていたグラスを落としてしまった。

 

 グラスが落ちて割れる音がしてから台所にもう一つ近づく足跡が聞こえて僕は自然とそちらの方に顔を向けた。

 

「なんか割れる落としたけどどないしたん?」

 

 先輩が台所を覗き込むように現れた。

 

 なんで2人ともこの家に来ているんだよ!

 

「……な、なんで」

 

 僕がその場で固まっていると先輩が優しい笑顔をしながら言った。

 

「今朝な、エリチが幽君の様子が変だってすごく心配してて学校を無断欠席したから余計に心配になって見に来たってわけや」

 

 なんで昨日の態度で僕を心配できるんだよ。

 

「昨日、加藤君の顔が凄く酷かったのよ」

 

 落ち着け、ただ頭が回転していないからおかしなことを口にするんだ冷静になって対処するんだと思いながら僕は視線を泳がせると色々と言いたいことが出てきた。

 

「ところで先輩方、人の家に勝手に上がり込んで掃除と洗濯をしてるんですか?」

 

 冷静になった僕は今までシリアスな雰囲気をぶち壊した。

 

「「あっ」」

 

「分かってなかったんですね」

 

 僕はわざと言葉にして二人を睨む。

 

「いやぁー心配しすぎて忘れてたわ」

 

 先輩は舌をだして笑うがジッとその目を見る。

 

「勝手に家にお邪魔したのは悪いと思うけど昨日の態度を見たら心配するでしょ」

 

 会長が先輩に助け舟をだした。

 

「はぁ、今回だけですから」

 

 僕はそう言ってしゃがんで割れたグラスの破片を集めどうやってこの二人を追い出そうか考えていると会長が話しかけてきた。

 

「昨日、落としたもの私が預かってるから」

 

「拾ってくださっていたのですかありがとうございます」

 

「誰も加藤君に返すとは言ってないわよ」

 

 会長は悪い笑みを浮かべている。

 

「今日は私と希が作った料理を食べるのと朝食と昼食をきちんととること」

 

 ふむ、ここは言葉だけの口約束で解決できるな。

 

「分かりました」

 

「口約束で終わったらあれだからお昼は生徒会室で食べるように」

 

 面倒になったと思いながら僕は頷いた。

 

「幽君、晩御飯温めるからお風呂入ってきてや」

 

 先輩に言われるまま僕はお風呂に入り一日寝てかいた汗を流してさっぱりしてリビングに戻ると料理が並べられていた。

 

「ありがとうございます」

 

 そんなことを言うが僕的には迷惑でしかない。

 

 なんでこの人は僕が昨日、あんな拒否の仕方をしたのに逆に心配するなんてお人よしすぎる。

 

「今、お人よしだと思ったでしょ」

 

 会長は僕が思っていたことを当てた。

 

「私は君ほどじゃないけど壁を作ってたから」

 

 そう言って会長は先輩の方に視線を向ける。

 

「希が居たから私は変われたんだと思う」

 

「自分が変わったから他人に変われと言うのですか?」

 

 僕は冷めた目線で会長を見る。

 

「僕は変わりませんよ」

 

 僕はごちそうさまと告げて自分の部屋に向かう前に一言だけ感謝する。

 

「今日はありがとうございます」

 

 僕はそう言って自分の部屋に向かう。

 

 その後ろで先輩たちが笑っているが関係はない。

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