久々に生徒会の仕事がなく部室の方に顔を出したら先輩は笑顔で僕を迎えてくれたがあの笑顔が少しだけ怖いと思ってしまった。
「どうしたんですか先輩?」
僕は椅子に腰掛けて未だに折れている右腕を机の上に添えた。
「そろそろ夏休みに入るやん」
先輩は夏休みを楽しく過ごしたい人なのだろうと思った。
「せやから、今年も超常現象研究会の合宿を行いたいんよ」
先輩はそう言って背後のホワイトボードを回転させた。
回転したホワイトボードには合宿の内容が書かれていた。
「この部活にそこまでの部費があるんですか?」
僕がこの部の弱点を刺せば先輩は大丈夫と言った。
「交通費は自己負担やけど泊まる場所は例年と変わらんから部費で出せるんよ」
例年夏には合宿するんだと失礼なことを思ってしまった。
「毎年宿泊費だけしか申請してないからくれるんよ」
それでだけの部費って何だか勿体ないと思う。
「どこで合宿するんですか?」
ホワイトボードにはツチノコを探そうしか書いていなかった。
「それは行ってからのお楽しみでツチノコは探さないで」
まさかのカミングアウトだった。
「ウチらが行くのは半額弁当を求めるだけやん」
この部活ってそれが中心だったんだ。
「幽君も狼として成長はすごいねんけど今回の合宿では今までの相手とは違う体験をしてもらいたいんよ」
僕は今では樹林を縄張りとした二つ名の狼として周りの奴らには思われているけど実際的には先輩の縄張りの一つで夕食を貰っているようなものだ。
「そこには二つ名の狼が集まるからどんな狼がいるのか覚えてもらうのもあるねん」
先輩の顔は自然と笑顔になっているそれほどまでに楽しみなのだろう。
「そうなんですか」
僕は自然に振舞っているが体をめぐる血は熱くなってきている。
なんだかんだ言って僕もあの世界が楽しくてしょうがないのだ。
こんな気持ちになったのはいつぶりなのだろうか血液がこれほどまでに熱くなることはない。
「幽君も楽しみにしといてな」
この先輩は僕がやる気に満ちているのを気づいている。
「それまでにはギブスは外れているので大丈夫ですよ」
何でだろうこの先輩に出会ってから自分が変わってきているのが分かる、この人と一緒にいれば見たことのない景色を見れるのかもしれない。
そんな気持ちにさせてくれる、これが自分にとって劇薬になろうともこの人がいたら安心してしまうほどに僕はこの人に心を許してしまったのだろう。
「希先輩」
僕は自然と先輩の名前を呼んだ。
「……どうしたん幽君」
少しだけ間があったが先輩は応えた。
「楽しみです」
今、僕は笑顔で言ったのだろうか自分の表情はわからないけど先輩の顔がとても眩しい笑顔で答えてくれているのだから僕は今自然に笑顔でいられるのだ。
心が温かいこの気持ちは分からないけど先輩と居られる時間が長く感じれた日だった。
体調が良くなると創作意欲って湧いてくるものだと思いました。
入院期間が長いと暇になるのでそこが大変です。