ペンションの一つの部屋に荷物を置いて僕は周りの地形を頭に入れるために夕方まで近くを歩き回り氷結の魔女が来ると思われるスーパーに足を踏み入れると沢山の視線がある。
適当に歩いていると氷結の魔女を見つけた。
話をする仲でもないのでスルーしようとしたが相手は自分を見つけて近寄ってきた。
「お前もここに来たのか、復讐者」
「その二つ名むかつくからやめてくれませんか?」
その二つ名で呼ばれるとあの時の記憶が蘇って嫌だ、それに僕は復讐者でもないのだから。
「ここにいる連中はお前をそう呼んでいるよ」
っち、面倒だな。
「お前はどのお弁当にするか決まっているのか?」
「決まっている」
お弁当は4つあったからこの人と戦うのには4分の1の確率にかけるしかないのか。
「お互い同じ弁当だといいな」
「その時は地に伏せるだけです」
自分の戦い方をあれだと思っているのこの人には丁度いい挑発だろう。
「そろそろ始まるか」
バックヤードから半額神が出てきてお弁当に半額シールを貼り始めた。
「今日と明日は前哨戦だ」
氷結の魔女はそう言った。
この2日に他の狼の動きを見ろということか。
半額神がバックヤードに入るのと同時に多くの狼が駆け出したその中に氷結の魔女の姿はあるが僕はまだ動かない。
乱戦状態になっている戦場には沢山の隙間がある。
それを見つけて僕は駆け出す。
静かに速く誰にも気づかれないように意識を殺して半額弁当に近づいていく。
あと数歩でお弁当に手が届きそうなところに足が目に映った。
「それがステルスの由来か」
僕の目の前には氷結の魔女が現れた。
「同じ獲物か」
僕はそう呟いて相手から少しだけ距離をとりながら相手の動きを観察に入る。
魔女の攻撃は早い先輩と同じくらいに早いだろうそして威力もある攻撃だ。
それを僕は観察に徹する。
見ることが僕の攻撃なのだから魔女の攻撃を紙一重でわざと避けていく。
避けれるけどギリギリに避ければ相手には自分の攻撃が早くてなんとか避けている錯覚に囚われていく。
そんな精神論で戦うのが僕のやり方なのだから肉体で戦うのではなく頭脳を活かしてそれを成功に導くのが楽しいのだから。
「避けてばかりか、復讐者」
相手は挑発のつもりだろうが頭を動かす時には冷静ではならない今の僕には挑発は意味がない聞くにも値しない。
相手のペースを掴んできた僕は動きに少しだけフェイントを交えながらお弁当との距離を測っていく。
この空間は僕の手の内に納められた。
完了した、この空間の移動シュミレーションを頭の中で確認して相手の動きを予想して相手に接近する。
魔女は僕が攻撃してくると思ったのか待ち受けているがそれを裏切るように高速に相手の攻撃を避けて横を高速にかけていくが相手の反応速度は僕の予想を大きく超えていた。
行けたと思ったら魔女の足が目の前に迫ろうとしていた。
(あの行動から回し蹴りができるのかよ)
僕は腕を前にクロスしてガードする。
攻撃は僕の動きを止めるだけではなくお弁当との距離を離していく。
「あの行動は驚いたよ」
相手は笑っている。
「これが自分のやり方なので」
僕はサポーターに付いている埃を落としながら答える。
「行けると思ったんですけどね」
この人は強い、自分の判断が甘くて後悔した。
「次は取りに行く」
少しだけ深呼吸して意識を集中する目の前のこの人をどうやって撒くか。
深い海の中に体を沈めていく集中力を上げる沈んでいくと集中力もそれに従って上がっていく。
体の無駄な緊張がなくなり軽なる感覚を覚える。
この時は大抵何でもできると思ってしまう。
ポケットからゴムを取り出し後の邪魔な髪を縛る。
それだけで目に見える景色は変わってくる。
相手も先程よりも集中している。
僕はたったまま動かずに相手が動き出すのを待つそれでもこの人に勝てるかは分からないだけど今なら行ける。
相手はこちらと向かってくるゆっくりと風景は動いていく相手の動きがゆっくりに見えるそんな錯覚を覚えながらも僕の体は動いていく自分の動きが速いのか相手の攻撃が来る前に相手の近くまで移動していたそれなら相手が驚いている間に抜き去っていくそれにつれて自分の体が風を切っていくいつもより速く移動している、お弁当に手が届いた時にはいつもの風景が広がっている。
「取れたのか」
自分が手にしている弁当が証拠だろう。
でもこれは勝ちではない逃げ勝っただけなのだから、卑怯だと言われてもいいこれが自分の勝ち方なのだ。
「お前はそっちのお弁当だったのか」
お会計を済ませた僕の背後には魔女が居た。
「僕とは違うお弁当だったのか」
僕が今回手に入れたのは鯖バーグ弁当だ。
「あの動きは予想できなかった」
魔女はそう言って言葉を繋ぐ。
「あの時のお前には勝てそうにも思はなかった」
「自分でも抜けるとは思はなかった」
あれだけ集中していないと勝てなかっただろう、いや集中していても勝てなかった。
「お前にはあの時、世界はどう写った」
「世界がゆっくりと時間が止まりそうなぐらいに見えた」
それが僕の思ったことだ。
「そうか、お前は舞姫に勝てるだろう」
自分があの人に勝つ。
「舞姫も楽しんでいる時は世界が止まって見えるそうだ、お前達はどこか似ているのかもしれない」
そう言って魔女は帰っていった。
この勝負はドローだ。
彼女が負けだと認めようがお互いに求めている半額弁当を手に入れているのだ。
変える足取りは軽くの重くもなく普通にペンションに戻ると先輩は戻っていた。
「おっ、お弁当ゲットしたんやね」
先輩はどこか疲れた笑みをしていた。
「先輩も手に入れてますけど疲れてませんか?」
そう聞いたら乾いた笑が聞こえた。
「いや、あれはないやん」
それだけしか教えてくれない。
「それだけだと気になりますよ」
僕はお弁当を食べながら聞く。
「ご飯中には話したくないんよ……あれだけは実際にやってみないと感じないから」
そう言って先輩もお弁当を食べ始めるがその箸はいつもよりかゆっくりでお腹がすいてないのかと思わす動きだった。
僕はその行動が不思議だったが知らないことのままがいいこともあるのでこの話はやめにした。