半額弁当を手に入れた翌日からの僕は放課後は毎回超常現象研究会に顔を出すようになった。
「もぅ、ここの部員やね」
「僕は一言も話していないんですけど」
僕はあきれ顔で先輩に呟く。
「いやぁ~幽君の顔はそう言っている顔してるで」
この先輩なら地の文だけで会話が成立しそうで怖いと思ってしまった。
「それやったら今回はそれでいってみる?」
「それをやるなら
なんで僕は冴えないヒロインを育てる小説みたいな説明をしてるんだよ。
「それをやるんやったらうちは
「なんでルビを振らないと読者に分かりにくい呼び方するんですか?」
「その場のノリかな?」
なんだかここに来てから僕のキャラが崩壊してきたような気がする。
「そんでもって、幽君に紹介したい場所があるから行で」
そう言って先輩は教室を出て向かった場所は生徒会室だった。
「先輩、帰っていいですか?」
僕は振り返って帰ろうとするが先輩は僕の肩を掴んでそのまま生徒会室に入っていく。
「エリチー、新しい子拾ってきたで~」
その言葉で振り返った金髪の先輩は呆れた顔をしてこちらを見ていた。
「希、私は実際に生徒会に入ってほしい人を連れてきてと頼んだのだけど……拾ってきたって彼は犬か何かなの?」
「う~ん、犬やったら小さい柴犬やね」
「そうね、男の子でもここまで童顔な子もいないわね」
生徒会長は先輩の話で僕の顔の事に話が変わってしまった。
このままでは全くここに連れら来た意味が分からないので口を挟むことにした。
「先輩、なんでこんなに何もできない僕が生徒会室に連れてこられたんですか?」
僕はいかにも自分が使えないことを生徒会長にアピールしながら聞いた。
「書類仕事は今から覚えたらいいし、基本的には男の子の力が必要な仕事がいくつかあるからやって欲しいんよ」
駄目だ、このパターンは完全に入れられる。
「分かりましたよ! 入ればいいんでしょ、一年の加藤幽です」
そう言って僕は頭を下げた。
「生徒会長の綾瀬絵里よ」
今日は挨拶だけで帰ることが許された僕は生徒会室を勢いよく出て下駄箱に向かう。
今日は金曜なのだから明日からは休みだという嬉しさとゲームをフルにできる楽しみを抱きながら下駄箱に向かったら会いたくもない青髪の同級生に出会ってしまった。
「あっ」
相手が何かを言おうとしているが僕はそれを聞く気はない。
「教室に忘れ物した」
僕はそう言って自分の教室の方に全力で疾走した。
なんで僕は走らないといけないんだと思いながらも苦しくなる肺の部分を右手で握りしめる。
苦しい、会いたくない、関わりたくない、騙される、信用されない。
騙せ、作れ、偽れ、仮面を被れ、信用するな、大事な人は作るな。
自分を騙すんだ、俺じゃない、僕のままでいい。
そんなことを自分に言い聞かせながら自分が走ってきたところは自分のクラスではなく部室だった。
「なんでここなんだよ」
夢中で走ってここに来るって相当におかしくなったな僕はと思いながら教室に入って隅の壁に背を預けてその場にしゃがんで座り込む。
思い出すなよ、忘れろ、蓋をしろ、鎖を巻いて闇に沈めろ。
「今日はお弁当は諦めよう」
今日は物を食べるような元気がない。いや、食べる気力すら湧かない。
「今は何時なんだよ」
僕はポケットに入っているスマホを雑に取り出して時計を見ると二時間以上ここに居た。
「情けない」
自分の身体は決別したと思っていても心は違うのか。
気怠い体を起こして僕は今度こそ帰宅するために下駄箱に向かった。
学校を出たらすでに陽は沈み闇が空を支配していた。
「病院は明日にしよ」
今日の出来事のせいで僕がストックしていた精神安定剤が底を尽きてしまった。
あれがないと今日以上にひどい症状が出そうで怖い。
それをだけかに見られると思っただけで吐き気がしてきた。
こんな状態だと数日は食事が喉を通らない。
この学院に来て変わったと思ったけど何も変わらず心が慢心していたことを知って僕は沈んだ心のまま帰路につく。
この時だけ誰にも会いませんようにと願いながら僕は歩いていく。
町の光で明るい道を避けて誰も歩かなそうな暗い道を歩いていく。