ドS魔人が行く第四次聖杯戦争。   作:クロロクリフ

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どうも、クロロクリフです。
久しぶりにネウロとzero読んだら書きたくなった。
……後悔してないもん!
ネウロ知らない人は原作読んでみて下さい。暗殺教室描いてる人でもあるので(^ω^)


召喚【よびだし】

時は、西暦1994年。

場所は、とある地方の都市である『冬木市』。

 

冬木市は周囲を山や海に囲まれながらも、近代的に発展を遂げた新都と、昔ながらの雰囲気を残している自然が多い地方都市の二つから成り立っている都市である。

また、日本国内でも有数の強い霊地でもあり、ここでしか行われない儀式がある。

 

その儀式の名はーー聖杯戦争。

 

『万能の願望機』と象徴される聖遺物である聖杯をめぐり、七人の魔術師と、七体のサーヴァントが争い合い、殺し合う儀式である。

勝ち残った魔術師とサーヴァントのみが、聖杯に願いを願うことを赦される。

 

サーヴァントとは、聖杯によって召喚される『英霊』ーー過去、現在、未来、平行世界、別世界の英雄が、エーテルの集合体として擬似的に現代に呼び出されたものだ。

言ってみれば使い魔のようなものだが、彼らには自我があるし、格が使い魔などという枠には到底収まらない。なにせ、本当に戦場を駆け抜けたとされる英雄なのだから。

 

サーヴァントには、種類がある。

 

剣士の英霊ーーセイバー。

弓兵の英霊ーーアーチャー。

槍兵の英霊ーーランサー。

狂獣の英霊ーーバーサーカー。

騎兵の英霊ーーライダー。

魔術師の英霊ーーキャスター。

暗殺者の英霊ーーアサシン。

 

エクストラクラスなる、この枠には収まらない英霊も存在するが基本的にはこの七つのクラスからサーヴァントは選び呼ばれる。

誰を呼ぶのかは選べたとしても、どのクラスで呼ぶかは選べない。

ーーバーサーカー以外は。

 

「ぐ……うぐ、がぁぁぁぁっ!」

 

此処は、冬木市の『始まりの御三家』の一角を担う間桐邸の地下室。

そこには、地面に転がり悶え苦しむ男と邪気を発する老人の姿があった。

 

男の名は、間桐雁夜。

老人の名は、間桐臓硯。

 

『間桐』とは、数百年ほど前に別の土地からこの冬木に移住してきた魔術師の家系であり、聖杯戦争の術式を他の御三家『トオサカ』『アインツベルン』と協力し、完成させた魔術家系でもあるのだ。

しかし、土地が合わなかったのか次第に魔術師は生まれなくなり、質も落ちーー現在では、この間桐雁夜と、人間の寿命を越えて生きる間桐臓硯しかいない。

そう。

トオサカーー遠坂家から、遠坂 桜ーー否、間桐 桜を養子に取るまでは。

 

「っ、ぐうぅ、ぁが、がぁぁっ……!閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する…ッ………!」

「クカカカカ、お主も頑張るのう、雁夜」

「黙ってろ、妖怪爺……!っ、がががぁがぁぁぅ、っ……! つ、つげ、告げる……っ、汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ……!」

 

これは、サーヴァント召喚に必要な詠唱だ。

間桐雁夜は、魔術師として圧倒的に未熟ーーというよりも、一年ほど前まではろくに修行をせず、世界を渡るルポライターであったのだ。

様々な場所へ赴いていた。

しかし、この冬木には雁夜は定期的に帰って来ていた。

その理由は、彼の初恋である『遠坂葵』の存在であった。

 

雁夜は幼馴染である葵に好意を寄せていたが、魔道などと称して、外道非道の数々を行う間桐家に葵を近づけたくないという思いから、その想いを伝えずに、只の幼馴染、という立ち位置を崩さずにいた。

 

さらには、遠坂時臣の結婚の申し出ーープロポーズに対して笑顔を浮かべる彼女を見て、

自身の幸せよりも、大切な葵の幸せを優先して、後ろ髪を引かれる思いながらもその身を引いた。

 

彼女の夫である時臣は全くもって気に入らない存在だったのだが、彼ならば葵を幸せにしてくれるとそう信じて、雁夜は幼馴染として、葵の人生を見守ることにしていた。

 

だがーー今の雁夜にあるのは、遠坂時臣への憎悪。

 

(待っていてくれ、桜ちゃん……!必ず、必ず助けてやるからな……!)

 

雁夜の目的は、桜を救うこと。

桜はーー臓硯によって虐げられていた。

 

桜は、『虚数魔術』というかなり特異な魔術を扱える。

それは、魔術協会によって封印指定となるほどに、珍しい魔術だ。

封印指定保護など、言ってしまえば希少な魔術の保管のために、ホルマリン漬けにするというようなもの。

 

これを危うんだ桜の父親ーー遠坂 時臣は、桜を間桐家に養子として出した。

ただし、間桐家が全うな魔術を扱っているのかどうか時臣は確認をしなかった。

 

ーー臓硯の虐待とは、桜を蟲蔵に閉じ込めて、強制的な魔術属性の書き換えと蟲の繁殖にあった。

無論、この蟲はただの蟲ではなく、魔術的な要因を含んだ蟲だ。

臓硯は、桜のことを優秀な魔術師を産み出すための胎盤ぐらいにしか思っていない。今、間桐家には優秀不出来以前に魔術師が足りなかった。

しかし、役目を終えれば、どうせ桜は蟲の餌行きだろう。

 

きっと、このことを葵は知らない。

この間桐家がこんな地獄だと知っていれば、葵はきっと止めていてくれたはずだ。

そして雁夜は、こんな地獄に実の娘を追いやった時臣を憎んだが、時臣とてそんな意図があったわけではない。誤解による誤解が生じ、さらに誤解を呼んでいたのだ。

 

雁夜の兄である鶴野には僅かながら魔術回路があったのだが、その息子である慎二には魔術回路がなく、魔術的には役立たずだった。

唯一雁夜のみが、まともといえる魔術回路を持っていたのだが、雁夜は間桐家を飛び出した。

それ故にーー時臣だけでは、ない。自分のせいで、桜は地獄に叩き落とされてしまったのだ。

ならばこそ。

責任を取らなければ。桜を、あの暖かい場所へ戻してあげなければ。

 

だが、時臣は殺す。

 

誤解していたのは、まず雁夜だ。

たとえこの戦争の最中、時臣を殺したとて桜や桜の姉である遠坂 凛、それに葵が幸せになれるはずもない。だが、時臣への憎悪により、そんな歪曲した想いしか抱けなかった。

 

桜を救い、かつ、時臣を殺し、そもそもの聖杯戦争に参加するためには魔術は必須だった。

さらに、参加資格たる令呪も必要だったが、雁夜はこの二つの条件をクリアした。してみせた。

ただし、たった一年での魔術習得にはかなりの無理をした。

 

本来、魔術は魔術師が一生をかけて学び、修行していくもの。だが、聖杯戦争に参加するために、その時間を寿命という対価で払った。

刻印蟲を身体に埋め込み、身体機能に甚大な被害を及ぼし、さらに余命を一カ月に減らしてまでして、急造の魔術師となった。

それで桜を救えるのなら、構いはしない。

 

「ほれ、あと少しじゃ」

「ぐが、ぁがか、かがぁぅっ……!ち、誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者……ッ………!」

 

適切なサーヴァント召喚の詠唱ならば、あと一節を紡ぐだけでいい。

だが、雁夜は魔術師として圧倒的な実力不足のため、サーヴァントのステータスを上昇させるバーサーカーを召喚することを選んだ。

ただし、バーサーカーはステータスの上昇と引き換えに、理性と魔力を大幅に持っていく。

本来ならば、魔術師として最底辺の雁夜が選ぶべきではないクラスだ。

そんなこと、臓硯も雁夜も分かっていた。しかし、これ以外勝つ手段は、ない。

雁夜が生き残る確率は、おそらく一パーセント未満だろう。

臓硯とて、勝てたらもうけもの程度にしか考えていない。

どう足掻こうと、無駄。雁夜は、捨て石だったのだ。

 

ーーそう。本来ならば。

 

「はぁ、はぁ、はぁっ……!さ……されど汝はァッ!その眼を混沌に曇らせ侍るべし!汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者!」

 

雁夜は叫んだ。

そうでもしなければ、刻印蟲が身体を蝕む激痛に耐え切れず、気絶してしまいそうだったから。

身体から、眼から血を吹き出しながらも、必死で詠唱を続ける、

時臣を殺すためにも。

 

ーーここで、一つ、誤算が生じた。

 

臓硯が用意した英霊召喚の触媒は、かの円卓の騎士たるサー・ランスロットを呼び寄せるためのものだった。

しかし、この空間にはもうひとつの触媒が存在していた。

 

それは、圧倒的なーー『悪意』。

 

臓硯の並々ならぬ純粋な悪意と、雁夜の復讐のための憎悪による悪意。

この二つが、ランスロットの触媒よりも深く強く、儀式に影響してしまった。

 

「―――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

地面に描かれていた魔法陣から、魔力の風が吹き荒れる。

成功した!

雁夜も、また臓硯もそれを感じていた。

暴風が収まった後に、その魔法陣にはーーなにも、いなかった。

 

「………えっ…………」

「………くっ、クカカカカカカ!傑作じゃ! 儂も召喚に成功したと思うたが、まさか失敗とはのう!お主の努力は、無駄じゃったなぁ!」

「そ、そんな馬鹿な!」

 

しかし、見渡せど見渡せど、サーヴァントらしき存在は見当たらない。

絶望のあまり、がくり、と膝をついた雁夜。

そこに、声が降ってきた。

 

「問おう。貴様が、吾輩を呼び出した奴隷人形(マスター)か?」

「………!」

 

雁夜はばっ、と顔を上げた。

やはり召喚は成功していた!

だが、肝心要のサーヴァントの姿が何処にも見当たらない。

ふと、振り返るとーー臓硯が、カタカタと天井を見つめて震えていた。

上に何かあるのか、と思い、雁夜も見上げる。

 

すると、そこには。

髪の毛だけで天井にへばりつく、青いスーツを着込んだ青年がいた。

 

「うわぁぁぁぁっ!?」

「ほう。ゴミムシらしい叫び声だな。もっとも、本物のゴミムシもここにはいるようだが」

 

すたん、と天井から離れ、着地する青年。服装こそ近代のものだが、先ほどの諸行からどう考えてもサーヴァントだ。

しかし、臓硯はなぜこんなにも震えているのだ?

 

(な……なんじゃ、このサーヴァントは!霊格が、半端ではない。それこそ、神霊ぎりぎり……儂など足元にも及ばぬ化け物……!)

 

臓硯が震えていた理由ーーそれは、単純に恐怖と畏怖、そして喜びによるものだ。

五百年を生きた自分を凌ぐ霊格のサーヴァント。

恐ろしいものの、これは雁夜の勝ちというひょっとすると、ひょっとする可能性が十二分にあるかもしれない。

それだけのステータスが、このサーヴァントにはあった。

しかし、その喜びも一瞬。

 

「不愉快だな。ゴミムシごときの視線を吾輩に向けるなど。貴様が人間であれば、吾輩も殺しはしないが……ふむ、問題なさそうだな」

 

ーーパァンッ!

 

臓硯は、なにが起こったのかわからなかった。わからないまま、『絶命』した。

それもそうだろう。

なにせ、雁夜の目の前のサーヴァントは、デコピン一発で臓硯を構成する無数の蟲を跡形もなく消しとばしたのだから。

雁夜も、これには唖然とするしかなかった。

青年は雁夜に向き直る。

 

「吾輩の真名は、ネウロ。魔人、脳噛ネウロだ。クラスはバーサーカーらしいな。さて、もう一度問おう」

 

貴様が吾輩の、奴隷人形(マスター)か?

 

かくして、第四次聖杯戦争の幕が開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………って、奴隷人形!?」

 

なにかおかしい気がしたが。

 

 

 




臓硯 SI☆BO☆Uは他のSSでもありますよね。
雁夜さん助けるならお爺ちゃんには引退してもらわなきゃ(この世から
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