ドS魔人が行く第四次聖杯戦争。   作:クロロクリフ

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待たせたな!(^ω^)

ふはははは科学の範囲広い!物理わけわからん!
生物楽しい!ネウロ、能力かして!


強弱【かく】

場所は変わり、間桐邸。

雁夜は、間桐邸から使い魔を介してネウロの凄まじい実力を見ていた。

ネウロが残していった魔界の虫が映し出す映像で、桜もその様子を見ることが出来ていた。

これは、桜もネウロのことをちゃんと見ていたい、とお願いをした結果だ。

……ただ、その。

 

 

『ぎぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

『フハハハハハハハ! 安心しろ、いかに吾輩でも、英霊の強い脳味噌は壊せない。せいぜいものすごく痛いのが続くだけだ』

『あがががががががっ、ぎゃあああああああああああああああ助けてくれぇぇぇぇぇぇ我が主ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!』

 

………あまり教育にはよろしくなかった。

 

「ネウロ……お前……」

「……おじさん。ネウロ、楽しそうだね?」

「ああ。本当に楽しそうだなあいつ……どんだけサディストなんだ。魔人ってみんなああなのか?」

 

断じてそんなことはない。

ネウロは魔界でも屈指のドSである。

魔人の名誉のために言おう。

断じて そんなことは ない。……はずである。

 

そんなことはさておき、現在、桜はともかく雁夜は殆ど動けない状態にあった。

その理由は、ネウロから渡された魔界777ツ能力【治癒の失速(イビルストール)】だ。これは、ネウロ曰くじっとしていれば魔力が自然に回復していくものらしいが、動けば動くほどに魔力の回復速度は落ちていく。そのため、少しでもこの身体を癒すためにも雁夜は無闇に動き回るわけにいかなかった。

 

では桜もそうか、と言われるとそうではない。

桜がネウロから渡されたのは、逆三角形の髪留めを模した魔界777ツ能力【泥の指輪(イビルディバーシー)】だった。

はじめはなんの変哲もない髪留めかと思っていたが、これも【治癒の失速(イビルストール)】同様に、この髪留めを束ねて身につけておけば魔力を回復させていく代物だという。

ストールと違うところは、動き回っても回復速度が落ちないところだ。

これもネウロ曰く、『サクラは蟲に蹂躙され、精神的に病みかけていた。動けないストレスを考えれば、貴様がストールをつけておいたほうがいいだろう』とのことだった。

無論、自分もそうするつもりだったが、雁夜はなんだかんだでサクラを気にかけているのだ。少しだけ、それが嬉しくなった。

 

「……それはそうと桜ちゃん? どうして、そんなに顔を赤くしているのかな?」

「……え、あ、なんでもないよ? ただね、ネウロが髑髏の人、虐めてるの楽しそうだったから……」

 

 

「ーー私も、してみたいなぁって」

 

………この日、桜がサディストに目覚め、数年後に交際する少年がそのせいで苦労することになったのは、また別の話である。

 

◆■◆■◆■◆■◆■◆

 

「魔人、ネウロ………?そんな英雄、聞いたことがないわ」

 

一方で、コンテナターミナルは混沌に包まれていた。

謎のサーヴァントは、自らのことを魔人と名乗り、アーチャーの無数の宝具をことごとく砕いてみせた。

誰もが、その圧倒的な実力に呆然としてしまっていた。

ネウロはアイリスフィールを一瞥すると、語り出した。

 

「それはそうだろうな、女。吾輩は、貴様ら人間が創作した魔人などではない。ここより別の世界ーーすなわち、魔界からやって来た正真正銘の、魔人なのだ」

「ま、魔界?」

「そうだとも。そこの金ピカは、自らを唯一の王と言っていたが……それを言うならば、吾輩とてこの地上においては唯一の魔人なのだ。当然、文献などないぞ」

 

文献ーー情報がない、という情報はあまりにも理不尽だった。ただ単に情報がないだけなら、知名度補正が皆無なクズサーヴァントの可能性もありうるからだ。

しかし、目の前のこいつはどうだ。

知名度補正などなくても、この馬鹿げたステータスなのだ。情報がないというのは、あまりにも痛すぎる。

 

誰もが苦虫を纏めて噛み潰したような表情をする最中、笑ってみせた者が二人、いた。

 

「……は、はははは! よい、よいぞ! 我の宝物を砕く痴れ者がどこの誰かと思いきや、よもや魔界とはな! その貴様の腕は、我もまだ知らぬ財ということか!」

「がっははははは! これはいい! まさか、過去の英雄のみならず、別の世界からの英雄にまで出会えるとは幸運きわまりないわ!心踊るではないか!」

 

その二人とは、アーチャーとライダーだった。

アーチャーは先ほどの怒りなど忘れたかのように愉悦に顔を晴らせており、ライダーもまた同じように大笑いしていた。

この豪胆さは、そのまま二人の英雄としての、ないし王としての器の大きさを示していた。

やや遅れながら、不機嫌な顔をしたセイバー、そして口角を釣り上げたランサーが口を開いた。

 

「……ふん。魔界? 魔人? それがどうしたというのだ。我がブリテンでは、貴様のような脅威が押し寄せてくることなど日常茶飯事だった。くるならこい、魔人よ!この剣の錆としてくれるわ!」

「はっ、セイバーの言うとおりだ! 決闘を邪魔立てされたのは気に食わんが、いいだろう。我がフィオナ騎士団の栄光ある闘いにおいて、貴様のような強大な敵がいなかったわけでもない。誰よりも先に、貴様の首級を主に献上してみせようではないか!」

 

ーーそう。

 

ここに集っているのは、英雄の中の英雄たち。

たとえ目の前の敵がどれほど強大だとしても、心は折れない。諦めることをしない。

だからこそ、彼らは英雄と呼ばれてきたのだから。

 

「ふん。やはり吾輩には、人間というものはわからんな」

「そういうな、魔人よ。貴様ならば、我が最上級の宝物を見るに値する……さあ、目覚めよ、エア!」

 

アーチャーが手を掲げ、怪しげな鍵剣を手繰ると同時に、空に赤い紋様が走る。

紋様が収束し、アーチャーの手に収まった黄金のそれはーー無名にして最強の剣。だが、剣というより円柱状の刀身を持つ突撃槍のような形状をしているような、不可思議な武具。

誰もが、その謎の武器に目を奪われていた。

ネウロを、覗いて。

 

このときネウロは、地上に置いて初めて本格的な臨戦態勢をとった。

いや、取らざるを得なかった。

ネウロは、あの謎の武器に脅威を覚えたからだ。

顔は青年の顔から、山羊と鳥類を掛け合わせたようなものへと戻り、両腕に魔力を集中。背中からは禍々しい鮮やかな翼が生え、まさに魔人と呼ぶに相応しい姿へと変貌していた。

 

ネウロが本気になったのが分かったのか、アーチャーは上機嫌に笑った。

だが、その笑いはすぐに止まり、一気に不機嫌極まりない顔つきになった。

 

「……なに? 貴様如きの換言で、この我の娯楽を収めよというのか。貴様にしては、随分と大きく出たものだな、時臣ィ……!」

 

明らかにアーチャーは憤っていた。

それは、マスターである遠坂時臣が令呪を用いてアーチャーに帰還を促したからだ。

ネウロはそれも当然だと思った。あれほど莫大な神秘と魔力を宿した武器ーーおそらく、あのアーチャーの本命の宝具をこんなところで無遠慮に放てば、冬木そのものが崩壊しかねない。思慮あるマスターならば、その判断は当然のものだろう。

 

「……ふん、いいだろう。今回だけは、特に許す、時臣。雑種共、そして魔界の住人よ。次までに有象無象を間引いておくがいい。我とまみえるのは、真の英雄だけでいい」

 

そう言い残して、アーチャーは霊体化して消えていった。

ネウロも元の青年の姿へと戻り、不安定なポールの上から地上に降りた。もともとポールに乗ったのはアーチャーを挑発するためだったのがそのアーチャーが帰還した今、あんな不安定な場所にいる必要はない。

 

どうやらセイバーもランサーもネウロを危険視しているらしく、三者三様の武器をネウロに向けていた。唯一、ライダーだけが面白そうに高みの見物と洒落込んでいた。

 

「……で? どうする、魔人。私はランサーとの一騎打ちを邪魔だてされて気が立っている。貴様をここで相手にしても構わぬのだぞ」

「俺もセイバーと同じだな。それに、魔人というのがどれほどのものなのか興味がある」

 

「ーーーーーーー貴様らナメクジの相手をしてやってもいいが、予定変更だ。吾輩は急用が出来た。悪いがここで引かせてもらおう」

 

逃げる、とはとても思えなかった。

なにせ、ネウロの眼は、まるでご馳走を眼にした空腹の獅子のようにギラついて、口元からは強酸性の涎が溢れていたのだから。この凶悪な笑みを見て、恐れをなして逃げるとはとても思えない。

 

「なんだ、魔人。えらく美味そうなものを見つけたみたいだなぁ」

「その通りだ、征服王。今すぐではないが、吾輩にとってのご馳走が生まれる。貴様らに構っている暇は無くなった。だが、そうだな」

 

「一撃だ。吾輩に、ナメクジ二匹掛かりで構わん、一撃分だけかかってくるがいい」

 

ーー瞬間。

二度もナメクジ呼ばわりされたことに怒りのメーターが振り切れたセイバーとランサーは、ほぼ同時にネウロに斬りかかっていた。

セイバーは風王結界(インビジブルエア)とを解放しての音速の突進。

ランサーは破魔の赤薔薇(ゲイ・ジャルグ)必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)を同時に解放してネウロを襲う。

 

「ーー魔界777ツ能力……」

 

ここで、セイバーの脱落を防いだスキルが【直感:B】である。

戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。Aランクの第六感はもはや未来予知に等しく、さらには視覚・聴覚への妨害を半減させる効果を持つ。

スキルランクこそBだが、もしこのスキルが無ければ、ここでセイバーは脱落していた。

 

「う……っ、おおおおおおォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

セイバーは雄叫びをあげ、即座に風王結界のベクトルを操作し、風を逆噴射。緊急ブレーキを強引にかけ、突撃する身体を停止させた。

 

ランサーの脱落を防いだのは、ただの運であった。

先に突き出した槍が破魔の赤薔薇(ゲイ・ジャルグ)であったために、ここでの脱落は免れた。もし、先に突き出していたのが必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)であれば、ランサーはここで倒れていた。

 

「ーー【花と悪夢(イビルラベンダー)】……!」

 

ネウロの左手から放たれ、咲き誇ったのはラベンダー。

ただし、その花弁は人間の掌のようで、それが大きく開花していた。螺旋状に回転しながら恐ろしいまでの威力で放たれたそれは、攻撃対象を一撃で貫く醜悪な花であった。

セイバーは風王結界(インビジブルエア)の急ブレーキにより、既に【花と悪夢(イビルラベンダー)】からの攻撃範囲から逃れている。

ランサーは、一瞬死を覚悟したが、巧みに破魔の赤薔薇(ゲイ・ジャルグ)を操って【花と悪夢(イビルラベンダー)】をかき消し、身体に傷を負いながらも生き延びた。

 

「ぐ……っ、はぁ…っ、はぁ…」

 

セイバーはともかく、ランサーは本当に焦っていた。

……いま、もし突き出したのが破魔の赤薔薇(ゲイ・ジャルグ)でなければ、少なくとも、自分は確実に死んでいた。助かったのはただの運なのだと、ランサーも分かっていた。

 

「ほう。二匹とも纏めて葬り去る予定だったが、流石だな。まさか二匹……いや。二人とも生き延びるとは思わなかった」

 

ネウロの左手は既に元に戻っていた。呼び方が変わったことから、どうやら自分達は認められたらしいがそんなものなんの慰めにもならない。明らかな格の違いを見せつけられてしまった。

 

ネウロが霊体化して帰還したのち、ライダーは良いものをみた、といったような満足した表情で去っていった。ウェイバーは真っ青だったが。

ランサーはマスターから命があったらしく、セイバーと再戦の約束をして霊体化した。

残されたのは、セイバーとアイリスフィールだけだった。

 

「……アイリスフィール。先に申しておきます」

 

私は、此度の戦い、勝ち残れないやもしれません。

 

かの騎士王にしては、弱々しすぎるその言葉に、アイリスフィールは押し黙ることしかできなかった。

 




大丈夫、まださよなランサーしないよ!
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