まず、更新遅れてマジですみませんでした。一週間に一度、少なくとも1ヶ月に一回は更新するはず、です。
それでは本編どうぞ。あ、ケイネス先生、いい人だと思いますよ!
【セイバー陣営】
「………」
「………」
場所は冬木市の郊外に位置している原生林ーー通称『アインツベルンの森』の深くにあるアインツベルン城。
そこでは、重苦しい沈黙が流れていた。
アインツベルンの会議室に集まったのは衛宮切嗣とその付き人である久宇 舞弥。そして、切嗣の妻であるアイリスフィール・フォン・アインツベルンと、サーヴァントセイバーーーアルトリア・ペンドラゴン。
予想外なことは幾つかあったが、何を置いてもあのバーサーカーが問題だ。アレはまさに、格が違う。
宝具をやすやすと砕く時点でおかしいのだ。下手に相対すれば、セイバーの黄金の宝剣までも砕かれてしまってもおかしくはない。
もし、セイバーが折れずの不屈の剣と名高いデュランダルなどを持っていたならば話は別だが、あいにくアルトリアの宝剣ーー
理想を言うならば、あのアーチャーとバーサーカーが潰し合い、疲弊したところを残サーヴァント総勢で潰すというのが最高だ。
対魔力スキルの高いセイバーならばキャスターなど問題ではないし、残るアサシンにも白兵戦で劣るはずもない。さらに見た所、真名の知れたランサーはあまり脅威とは言えない。
つまり、現時点での脅威なのはアーチャー、ライダー、バーサーカーなのだ。
「……くそ、参ったな。まさか、バーサーカーなんていうダークホースが出てくるなんて」
「そうね……セイバーには悪いけれど、真っ向勝負じゃあ勝てる気がしないわ」
「いえ、正論ですアイリスフィール。……情けない話ですが、私も真っ向勝負で勝てる自信がないのです」
珍しくセイバーにしては弱気な発言に、幾ばくか切嗣も驚いていた。
それだけ、あの魔人のことを高く評価しているのか、それとも純粋な恐怖なのか。
セイバーの可愛らしいアホ毛はしゅんと垂れていて、俯いている彼女はとてもかの騎士王には見えないほど落ち込んでいた。
(……はあ。いつまでも落ち込んでいられないのはわかっていますが、この体たらくをガウェインやランスロット卿、トリスタンやモードレッドが見ればなんということやら)
マスターである切嗣は未だに自分と会話をしてくれないし。
さらには、切嗣には報告済みながら、帰り道に全く話の通じないキャスターに目をつけられてしまうし、ジャンヌ何某に間違われてしまうし、踏んだり蹴ったりである。
セイバー陣営は、前途多難であった。
【ランサー陣営】
「ディルムッドよ。此度の戦い、見事であった。フィオナ騎士団随一とされる戦士の双槍、とくと見せてもらったぞ」
「はっ! このディルムッドには余りあるお言葉です。……しかし、敵の首級を献上することは出来ず、申し訳御座いませんでした」
「いい。焦って、此方から自爆するよりは遥かにマシな結果だ」
「ありがとう御座います、主よ」
忠誠のカタチを崩さずに、ランサーーーディルムッドはマスターのケイネスに対して言葉をとった。
焦っているのは、ケイネスだった。
正直なところ、ディルムッドでは一対一ではセイバーにすぐやられてしまうと思っていたものの、互角どころか手傷を負わせた腕前には少々驚いていた。言葉にこそ出しはしないが、中々やるではないか、と内心ではディルムッドを褒めていたのだ。
だが、しかし。
「……して、ディルムッドよ。一つ質問がある」
「はっ。なんでしょうか、主よ」
「……貴様は、あのバーサーカーを単身、倒すことはできるか?」
沈黙が流れる。
ディルムッドは答えられなかった。
騎士として、主に使えるものとして、その問いには必ずや首級をあげてみせる、と答えたかった。
だが、しかし、あの化け物を相手に本当に自分は勝てるのか?
事実、先ほども一度倒れかけたのだ。到底、勝てる自信はなかった。
「……………」
「偽りは許さぬ。答えよ、ディルムッド」
「……………私一人では。とても、倒せる気は致しませぬ……」
ディルムッドは悔しかった。
主に実力について言われたからではなく、倒すと言い切る実力のない自分に憤慨していたのだ。
ドアが開き、ケイネスの許婚たるソラウがやってくるなり、ソラウはケイネスを叱責した。
「ちょっとケイネス、言いすぎよ。これじゃ、ディルムッドがあんまりだわ」
「……いえ。悪いのは私です、ソラウ殿。主の期待に応えられぬ私の実力不足のせいです」
「そんなこと……」
俯いたまま顔をあげようともしないディルムッドに対し、ソラウは少しばかり狼狽していた。
だが、ケイネスの一声でディルムッドは顔を上げた。
「ーーふん。ディルムッド、貴様は一つ勘違いをしている」
「「………え?」」
目をパチクリとさせ、ディルムッドとソラウはきょとんとした。
ケイネスはまだわからないのか、といった風に大袈裟にかぶりを振ってみせた。
「ディルムッドよ。貴様は生前、たった一人で敵をうち滅ぼしてきたのか? フィオナ騎士団の他の仲間は、役立たずだったか?」
「っ、そんなはずは御座いません!彼らは、私の友であり仲間で御座います。私の最後がどのようなものでも、それは変わり御座いませぬ。敵も、ずっと協力をして倒して……あ……」
「………ふん。やっと分かったか」
どうやら、理解出来ていないのはこの場においてはソラウ一人のみらしい。
なにがなにやら分からないといったふうに、視線を泳がせていた。
逆に、ディルムッドはわなわなと震えていた。怒りからでは、ない。
「ディルムッド一人では打倒せぬなら、共闘すればよいではないか。あのセイバーか、まあ、気は進まないがライダーとな。貴様一人で無茶をして、倒れられては私が迷惑だ」
「………主よ」
「ふん。まあ、万が一私の問いに偽りで応えて、一人でも打倒しうると言っていたら本当に一人でけしかけていたがな。………話は終わりだ。ディルムッドは引き続き、ホテルの監視をせよ」
「………はっ! お任せ下さい」
ディルムッドは、ケイネスの言葉に感銘を受けていた。今度こそ、この主君には忠実に仕えて、必ずや聖杯を献上しようと誓い直した。
ソラウもまた、許婚の男らしい言葉に多少なりとも格好いいとは思ってしまっていた。無論、未だディルムッドに心奪われてはいるのだが。
「幸い、令呪も未だ未使用だ。まだ諦めるには早い」
ケイネスは、ホテルの窓から遠くを見据えた。
【ライダー陣営】
「いやあ、しっかし見事であったなあ。セイバーとランサーの決闘は華があったが、アーチャーとバーサーカーの闘いは迫力がひしひし感じられたわい」
「うう……ら、ライダー。お前、本当にあのアーチャーとバーサーカーに勝てるのかぁ……?」
ライダーのマスターであるウェイバー・ベルベットは、いつものように情けない声を出した。まあ、無理もない。
英霊としての格を見せつけられ、自分のサーヴァントは言うことを聞かないどころか真名を高らかに名乗ったのだ。
イスカンダルという英霊に、逸話に決定的な弱点がないからまだいいものの、万が一、逸話に弱点だらけのアキレウスなどを召喚していたら……。想像しただけでも恐ろしい。おそらく、ウェイバーの脱落は早々に決まっていただろう。
そもそもこの聖杯戦争に参加したのは時計塔の連中を見返してやるためなのに、いの一番に負けて帰りましたでは、余計に馬鹿にされること請け合いだ。
「ううむ、一度魔人とやらとも酒盛りをしてみたいのう。あの小娘とアーチャー、魔人でも誘って酒盛りしてみるかぁ?」
「やめろ!?」
おそらく、一番の苦労人はこのウェイバー・ベルベットだろう。
■◆■◆■◆■◆■◆■
コンテナターミナルからの闘いから、ほどなくしてネウロは間桐邸に帰ってきた。
桜は時間的にすでに就寝しており、雁夜だけがずっとネウロの動向を見ていた。
「おかえり、ネウロ。なんていうか……その、凄かったな」
「吾輩を誰だと思っている。吾輩は、魔界の『謎』を全て喰いつくした男だぞ」
「……そうか。しかし、謎を食うっていうのはどういうことだ?」
曲がりなりにも魔術師である雁夜も、それはわからない。このサーヴァントは、ほぼ自分からの魔力は受け取っていない。であれば、必ずどこかから魔力補給を行っているはずなのだが…なにか、関係しているのだろうか?
「吾輩はな、悪意を食糧源とする。それが複雑怪奇に混ざったものが、謎だ」
「よくわからないけど……要するに、こう、なにかしらの事件解決とかで魔力は補える、ってことか?」
「そういうことだ。以前現界したときは、優秀な………そうだな。優秀な、『相棒』がいた。だから、そこそこ喰えていた」
少しだけ、雁夜はネウロの発言に驚いた。
以前現界していたというのも初耳ながら、あの唯我独尊を地でいくネウロが相棒、と呼んだ人物がいることに、だ。
このネウロに認めさせることが並大抵でないことは、ネウロとの付き合いの浅い雁夜ですらよく分かる。どれほどのことを、していたのだろうか。
「とはいえ、吹けば飛ぶような貧弱な今の貴様に協力を仰ぐ気はない。サクラを使うにしても、幼すぎる。今度は、我輩一人でどうにかしよう」
「そ、そうか。なにか協力できることがあったら、言ってくれ」
「ああ。………胸騒ぎもするからな」
「胸騒ぎ?」
無言の肯定。
はるか向こう側ーー教会のある方向を見据えて、わずかに眼を細めるネウロ。
一体どうしたのだろうか。
「勘、など以前の我輩なら死んでも信じなかったろうが……聖杯、だったか。なにか……この感覚に覚えが、ある」
「せ、聖杯に覚えがある!?」
「いや、聖杯ではない。……我輩が感じているのは、おそらく」
「聖杯の、中身だ」
次回、予想GUYのキャラを二人だします。
Fate、ネウロから一人ずつです。予想してお待ちください!