ワールドトリガー-女神の名を持つ黒トリガー-   作:ぼいら~ちん

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一年ぶりの投稿です
駄文ですが何卒宜しくお願いします<(_ _*)>


#02 吹上黎奈は攻撃手である

『トリガー起動開始』

 

私の声に呼応して頭の中に機械音声が鳴り響く。

黒い棒状の機械から光のが溢れ、握っている右腕から全身へと伝播する。

 

『起動者実体走査(スキャン) 戦闘体を生成 実体を戦闘体へと換装 メイン武装展開』

 

棒状の機械から再び光が放たれると同時に服装も制服から青、白、黒を基調としたジャケットに変化する。

そして私の右手に対物ライフル並の大きさの銃が現れる。

 

『トリガー起動完了』

 

「さあ、行きましょう。

一般人の救助もありますので出来る限り早く」

 

左の手をぐっぱぐっぱと閉じたり開いたりして体の感覚を確認し、右手の対物ライフル-アイビスを右の肩に担ぎながら黎奈に声をかける。

彼女も私同様に服装が変化しており、ジャケットのデザインは同じなものの赤や黒を基調としており、腰の右側やや後ろのあたりには白と黒を基調とした1.5mはあるであろう大きさの大剣がベルト辺りにあるアタッチメントにマウントされていた。

 

「そうは言ってもこの辺りは俺らの管轄外だぜ?

いいのかよ暴れても」

 

「怒られるのは私だけで結構です。

くれぐれも()は使わないでくださいね」

 

「わーってるって。

取り敢えずポイント探しの間に支部に連絡入れてくれ。

あといつも通りマップも頼んどいてくれ」

 

黎奈はそう言うと敵の現れた地点へとぴょんぴょんと飛んでいった。

 

「了解しました。

栞、聞こえていました?」

 

『勿論です!!

すぐに送るから待っていてくださいね』

 

「さて、ここいらで射線の通りそうな場所は……」

 

私もトリオン体に換装したことで向上した運動能力を用いて家の屋根を伝って近場の7階建て程度のマンションの屋上へと登った。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「おっ……見えてきた見えてきた」

 

民家の屋根を足場にして私-吹上黎奈は軽やかつ順調にに目標までの距離を詰めていった。

屋根住宅の屋根を足場に目的地へと移動していると四足歩行の巨大な怪物が視界に入った。

アイツらは「近界民(ネイバー)」と呼ばれる私たちの世界を侵略しようとしてるヤツらが送ってくる「トリオン兵」というヤツらである。

ヤツらはこの世界に住む人間を攫ったり殺したりする、つまり悪いヤツらだ。

そいつらを倒すために私や湊が所属している界境防衛機関「ボーダー」の出番である。

ボーダーに所属している隊員はトリガーというトリオン兵に対抗するための武器を持っており、強さに応じてS、A、B、Cと階級が分かれている。

そういう私はB級隊員だ。

諸事情(・・・)により、だけどね。

 

「今日もお給料の為にやるぞぉ!!」

 

そう言うと右の腰のあたりから伸びている大剣の柄に手をかけ、3階建ての建物の屋根を足場に一気に跳躍する。

最高点に到達すると逆手に持っていた大剣をくるりと回して順手に持ち替え大きい動作で振り下ろした。

 

「せーのっ!」

 

「?!」

 

真上から武器を振り下ろしたその時だった、何者かがトリオン兵の真上に現れ、拳一つで粉砕したのだ。

破壊したあとの土煙が舞う中に私は着地し大剣を振るう。

すると土煙は晴れ、煙の中心には白髪で黒い服のようなものを纏った少年が立っていた。

 

「湊、こちら黎奈。

見たことないトリガー使いがバムスターをぶっ倒しちまった。

どうする?」

 

『大丈夫です、彼は敵ではありません。

彼にお礼が言いたいのでそこで待っててもらっても大丈夫ですか?』

 

「……わかった」

 

通信を切って武器をを腰の後ろのアタッチメントに固定する。

 

「なあ白髪坊主、私の隊長がお前にお礼を言いたいらしいから少し此処で待っててくれないか?」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「あなたが、空閑遊真くんですね?」

 

湊が白髪坊主に対しての第一声はこれだった。

疑問形ってことは面識がないってことになるし、てっきり湊の知り合いかと思っていた私の予想は外れた。

もちろんのことながら、いきなり質問をされた白髪坊主は警戒しているのか身構えた。反応を見るにどうやら名前は空閑遊真で合っているらしい。

 

「……なんでそんなこと知ってるの?」

 

「……やはりそうでしたか。

大丈夫、私はあなたと敵対するつもりはありません。

修を助けてくれたお礼を言いたいんです」

 

湊は後ろにいる私とその隣にいる湊の弟である三雲修に対してちらりと少しだけ視線を向けた。

もちろん、敵対の意思がないということを示すためにも私と湊は既にトリガーの解除しており、もちろん刃物なんかも持ち合わせていない。

 

「……信用しても大丈夫そうだね。

でも、なんで俺の名前を知ってるの?」

 

「それは……あなたから私の恩人と似た匂い(・・・・)がしたからです」

 

「……匂い?」

 

「空閑、この人は三雲湊、僕の姉さん。そしてこちらの人は吹上黎奈さん、姉さんのチームメイトだ。

そして姉さんには強化嗅覚っていう特殊な能力があるんだ」

 

そう、湊には犬のそれなんかよりも凄い嗅覚が備わっている。

トリオン兵が出てきた時も、警戒区域内に修達が居ることを知れたのもこの能力のお陰である。

 

「なるほどね……ところで、俺から誰の匂いがしたの?」

 

「……空閑有吾……と言えばわかりますか?」

 

「……」

 

クガユウゴ……ただ聞いただけでは何でもない名前だ。

しかし、この白髪坊主の表情が少しだけ変わった気がする。

ほんのかすかに、というレベルであるが。

 

「……わかった、信じるよ。

ところで、ミナトとクロナはオサムと同じボーダーの人?」

 

「一応、ですがね。

私って上の人からはそんなに好かれてないんですよね」

 

あははと乾いた笑い声を上げる湊。大丈夫だ、嫌われてるのは私も一緒だからと頷く。

 

「なあ空閑、そのトリガーはどこで手に入れたものなんだ?

もしかして、ボーダーの関係者なのか?」

 

「いやいや全然。

ボーダーの関係者だったのは俺の親父の友達」

 

「……じゃあ、そのトリガーはどこで手に入れたんだ?」

 

修の質問に白髪坊主が答えた直後にずっと黙っていた私は口を開けた。若干疲れてる為表情は怖いだろうし、元々だが口調はとても粗野だと思う。

でも何かを察してくれたのか空閑は表情を変えず私の質問に答えてくれた。

 

「この世界ではないよ、(ゲート)の向こう側。

向こう側に住んでた俺は、オサムたちが言うところの「近界民」ってやつだな」

 

「……ってことは……お前はっ!!」

 

「待って!」

 

私が左腕に手をかけたところで湊からの静止が入る。

かなり大きな声だったことからはっと我に返った。

もう少しでやばい事が起こるかもしれなかったと思うと、段々と怖くなってきて、体に込められていた力は次第に抜けていった。

 

「……ごめん、空閑。

少し近界民には嫌な思い出があってさ……」

 

「いいよ、別に。

そういうのはあっち側ではよくある事だったから」

 

多分神妙な面持ちだっただろうが、空閑は何事も無かったかのような顔をしている。

そんな私を尻目にとんでもない奴と知り合ってしまったという顔をしている修。

その姉である湊はどこ吹く風とでも言わんばかりに何かを考え込んでいるようだった。

 

「……!!

みなさん、そろそろ帰りましょう。

このままだとほかのボーダー隊員に見つかってしまいます」

 

「それもそうだな……修、お前は空閑のことを頼むよ。

私らは私らで用事があるからさ」

 

「分かりました、空閑、行こう」

 

「わかった。

またね、ミナト、クロナ」

 

手を振りながら修に手を引かれてこの場を離れていく空閑。

歳は修と同じくらいなのだろうが、住んでいた環境が私達とは違う所為なのか、少し雰囲気が幼い雰囲気をもっている気がしなくもない。

しかしながら、相手は近界民である、これは支部長に報告するべきか……しないべきか……それが問題だ。

 

「……珍しく考え込んでいますね。

そろそろ支部に行きますよ?」

 

「……珍しくは余計だよ」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「ただいま戻りました」

 

「ただいま、雷斗、灯、居るか?」

 

「姉さん、湊さん、おかえりなさい」

 

「おかえりなさい、ご飯出来てますよ。

今日はレイジさんが作ってくれたクリームシチューです」

 

私にとっては8年近く通い続けている「最高の職場」であり、黎奈にとっては家賃もなしかつ2食付きの最高の「住居」でもあるのがここボーダー玉狛支部である。

 

「おかえり、みなと、くろな」

 

「はい、ただいま帰りましたよ陽太郎くん」

 

所属する隊員達のダイニングスペースでもある部屋に入るとカピバラに乗った子供が迎えてくれた。この子の名前は林藤陽太郎くん、玉狛支部の支部長と同じ姓ではあるものの、血縁関係に関する情報をデータとして確認したい人間は支部の人間には居らず、結構謎に包まれていたりするお子様だ。

 

「みなと、きょうはおきゃくさんがいるぞ」

 

「私に客人……こんな時間にですか?」

 

こんな時間、といえどまだ午後5時であるが、警戒区域内にあるこの建物には他のボーダー隊員しか用事ないはずで、普通は防衛任務や本部にいるか家に帰るかの3択である。

 

「湊ぉ〜!!!!」

 

「ひぇっ?!」

 

陽太郎くんにそう言われるや否や私は横合いから飛んできた何かによって床に押し倒された。

 

「い、いきなり突っ込んで来ないでくださいよ摩梨……」

 

「ご、ごめん……つい嬉しくてさ」

 

はははと乾いた笑い声を上げるこの少女の名前は三船摩梨。

昼間学校で会った彰と同じ部隊に所属している射手(シューター)だ。

3年前までは私とチームを組んでいたが、私が不慮の事故で行方不明になったがために解散、本部への転属が決まったあともこうして定期的に玉狛支部を訪れては私が稽古を付けてあげていたりする。

 

「今日はやけに嬉しそうですね、なにかあったんですか?」

 

「そう!

えっとね、私ね、二宮さんに勝ったんだよ!」

 

「……まさか……?」

 

「そう!!

新しいNo.1射手は私は、三船摩梨だぜ!!」

 

指をピンと立ててポーズを決める摩梨。

その発言に和やかだった雰囲気は一気に凍りついた。

 

「……レイジさん、シチュー以外には何を準備していますか?」

 

「揚げ物にサラダ、ケーキまで全部揃ってるぞ」

 

私の質問に対して台所に立っていた落ち着いた筋肉枠の木崎レイジさんは真顔でサムズアップ。

どうやらこうなることはどこぞの実力派エリートのタレコミによってみんな知っていたらしい。

 

「もう少ししたら他のみんな帰って来るはずだからみんなが来たらご飯にしましょ?」

 

「わかりました、それまでは食器の準備とかをしましょうか」

 

階段から現れたメガネの少女、玉狛支部の第一部隊のオペレーターの宇佐美栞の助言によって私も準備に加わる。

……師匠としては弟子の成功は精一杯祝ってあげなくてはいけませんからね。

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