burned out   作:シルバーアシュトレイ

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プロローグ
第1話


ある男の話をしようーーー

 

日頃常に、万事全てが無意味としか思えず、無気力で、無表情で、只々生きている...そんな男がいたーーー

 

彼を漢字一文字で表すとすれば、『灰』、であるーーー

 

燃え尽きた灰のように彼には常に虚無感が襲いかかっているのだ。なぜなら、今迄彼が極めてきた 武術、芸術、剣術、格闘術、魔術、学術、医術、忍術、美術、兵術etc...

何をやっても、その道のプロの動きを一度見るだけで要領を掴み、一週間でその分野における頂点へと到達してしまう。

 

そんな彼を見て、挫折し散っていったプロ達は星の数ほどいる。そしてその姿を一番近くで見ていた彼はこう思ったのだ。

 

『この程度の事、なぜ出来ないんだろう?』

 

と。

 

彼にとってはこの程度はその分野を修めた事には成り得なかった。自分の師と成る者を失ってもなんら気にする事なく精進を続けたーーー

 

周りと競い合う事を楽しいと思ったことは一度もない。本来であればともに競い合い、高め合うはずの同年代の者たちでさえ早々に勝てないと高を括り、彼にいつも求めていたのは、好敵手としての『相手』では無く、教えを請う者としての『師』であったーーー

 

もう何時の事だったか思い出すこともできないほど昔に彼は錬金術を極め切り、不老不死となる術を手に入れた。数多の者たちが求め続ける神秘の術を手にしても尚彼は満たされることが無かった。それどころか、最早他のどの分野も極めてしまった彼には文字通り、"やる事がなくなった。"

 

世は常に新しいものを作り出して活気付いているが、その生み出されたものは自分が頂点に至るまでに何度も目にしたことのあるものだった。魔術を利用した半永久的に使い続けられるランタン、使用者の魔力によって風呂の水を張る為の魔法道具等、自分は全く満足することができなかった低文明(・・・)を見てはしゃいでいる人々を見て絶望した。それに続くように現れた偉人達も彼にとっては他の人と変わらない凡人にしか見えなかった。

 

何故こんなもので喜ぶ?

 

何故こんな物で満足する?

 

わからない分からないワカラナイ...

 

 

ーーーその時、漸く理解した。

 

『俺は、生まれてくる時代を間違えた』

 

そして彼は自分の家の下に小さな地中遺跡を作り、己に封印の魔術を施した。きっと自分を満足させてくれる文明に、人々に...出会える事を信じてーーー

 

 

この時、彼の年齢は21歳であった。若くして、自分の生きる時代に見切りをつけた彼は長い眠りにつき、1000年の時が流れた。

 

 

 

 

 

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