杉田 一夜の不思議物語   作:坂田 信長

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短編集です。ぜひ読んでください!


終電後の電車

終電後の電車

    俺の名は、杉田 一夜。大学生の21歳だ。 いきなり言うのも何だけど、俺はよく不可解な現象に遭遇する。主に心霊現象が多いんだけどな。俺自身も、なぜそんな現象に遭遇してしまうのかよく分からない。きっと、運命がそうさせているのだろう。

    そんな事はさておき、今回はその体験の中の一つをお話しよう。それは、深夜のバイト帰りに起こったんだ……。

    俺はその日、バイトの人手が足りないせいで、夜の12時頃までバイトをしていた。

「急げ大平!終電に乗り遅れる!」

「おう!走るぞ、一夜!」

    俺達は、駅に向かって真っ直に走り出した。大平は、俺と同い年で、バイトの同僚である。俺達は駅に着き、急いでホームへと駆け抜ける。しかしー。

『折松行き、発車しまーす』

    終電は、発車してしまった。

「あー!!くそ!行っちまった!!」

    俺は叫んだ。

「あーもう!しょうがない。折松まで歩くしかねーか」

    大平が言った。その言葉に対し、俺は

「は!?お前マジで言ってんのか!?ここは大倉だ!歩いたらかなりの距離だぞ!!」

    と言った。しかし俺達はタクシーを使う金もなかった。あるのは定期券とiPhoneのみだった。2人が困っていると、何ともう一台の電車が来て、扉が開いた。

「よっしゃ一夜!もう一台来たぞ!!さっきのはまだ、終電じゃなかったんだ!」

    と、大平が笑顔で喜んだ。俺は、

「待て!この電車おかしいぞ!行き先が表示されてない!」

    と言った。大平も確認したところ、確かに行き先が書かれていない。しかし大平はこう言った。

「でも、この線路は折松にしか行かないぞ。この電車の終点が折松じゃないにしても、必ず折松は通過する。そこで降りればいいだろ!さ、乗ろうぜ!」

    大平は、スタスタと電車に乗り込んでいく。俺も、少し不安になりながら、電車に乗った。車内の乗客は、2人以外誰もいない。

「何か、誰もいない電車って、ちょっと不気味だな」

    俺は言った。

「あぁ、そうだな」

    と、大平も言う。電車が出発してすぐ、大平は、

「俺、ちょっと眠い……。折松に着くまでまだ20分程ある。ちょっと寝るから、着きそうになったら起こしてくれ」

    と言った。俺は静かに折松に着くのを待った。しかし、なぜこの電車には、行き先が表示されていないのだろう?と考えながら。しばらくして、俺も次第に眠くなってきた。

(おっと、いかん。寝るな、俺!)

    両手の平で頬をパン!と叩いた。発車して10分が経過した頃、突然電車が止まった。

(あ、あれ?何だろう……眠気も酷くなってきた……そろそろ限界だ)

    俺は、目をこすりながら思った。すると、扉が開き、100人を超える人間が次々と入ってくる。

(ん!?な、何だいきなり……!?)

    俺は目を丸くし、思った。しかし、乗ってきた乗客は様子がおかしかった。誰一人言葉を発することなく俯いている。俺が不気味そうにそれを見ていると、突然上に『二田(にのた)行き』と表示された。

(何だ!?さっきまで行き先なんて表示されなかったのに……な、何かおかしいぞ!!)

    危険を感じた俺は、急いで大平を起こした。だが、何も反応がない。

「な……意識がない!?おい!大平!!」

    何度呼んでも目を覚まさない。俺は、運転手に相談しようと思った。普通なら声をかけるのは禁止されているのだが、これは一大事だ。が、しかしー。

「な!何だと!?運転手が……いないぞ!?」

    俺は、思わず叫んでしまった。

「くそ!仕方ない……こうなったら非常口から飛び降りてやる!二田なんて地名、この辺にはないしな!」

    俺が大平をかついで非常口に向かおうとした、するとー。

「何!?」

何と、先程乗ってきた乗客達が、一斉に通せんぼうしてきたのだ。

「何だ!何するんだ!?」

    俺は叫ぶが、何の反応もない。表情さえもない。

「何だこいつら……まるで死人の様だ……死人……?」

    俺は、今までのこの数分のことを振り返った。終電が行ったのにも関わらず来たこの電車。二田という聞いた事もない地名。死人の様な乗客・・・。

「そうか・・・こいつら、死んでいるんだ……既に死人なんだ……」

    俺はそう呟き、窓の方を向いた。

「少々荒っぽいが、もうこれしかない!強行突破だ!」

    俺は大平をかついだまま、窓の方へ飛んだ。乗客達を踏み台にしながら。そして、バリーン!!という音とともに、外へ出た。草がクッションになってくれたおかげで、怪我はしなかった。

「ここは……もう折松だ!やった!帰ってこれた!」

    俺はそう言い、大平を見た。既に意識は戻っていて、眠っているだけだった。俺の眠気もなくなっていた。

「危なかった……俺も大平も、あと少しで、あの乗客の仲間入りをするところだった。あの電車で眠った人は、あの電車の主により、魂を吸い取られるんだ。きっとあの乗客達も、最近か、何年も前に魂を吸い取られた人達。二田……いつの地名だろう。何年も……いや、もしかしたら、何十年も前のものかもしれない。そこの地に住んでいた運転手が、事故にでもあったのかな。その運転手の魂が込められた電車……それがこの二田行きのあの電車なんだな(まあ、俺の単なる想像だけど)。まあ、何にせよ、あの電車がこの世の物ではないことだけは確かだけどな……。」




読んでくださり、ありがとうございます!
現在自分は、『願いの世界』という小説を執筆中ですが、その中で新しい作品を書いてみました。もしよければ、『願いの世界』もぜひ読んでください!
では、この小説の説明を少しさせてください。
前書きにも書いてある通り、これは短編集です。これからもこのシリーズを書いていくつもりですが、どの話も内容が違います。なので、どの話を読んでも分からなくなる事はありません(根本的に分からない事はあるかもしれませんが笑)。
また、この話はあるあるネタもあるので、もしかすると似た様な話を見聞きした方もいるかもしれませんが、そこはどうか目を瞑って頂けると幸いです。
一夜君が体験する不思議な出来事。これからも書いていくので、応援よろしくお願いします!
また、『願いの世界』の方も同時進行で投稿していくので、こちらの方も応援よろしくお願いします!
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