杉田 一夜の不思議物語   作:坂田 信長

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次の話です。ぜひ読んでください!


小人

小人

    俺の名前は杉田一夜。大学生で、年齢は二十一歳。

    いきなり言うのもなんだが、俺はたまに、不可解な現象に遭遇する。本当、人生に一度あるかないか、いや……普通はない様な現象にな。

    心霊現象から神秘的なものまで、ジャンルは様々だが、今回はその中の一つをご紹介しよう。

 

 

 

    八月十日、午後一時半。俺は友達とレストランで昼食を取っていた。外は太陽が照り付け、今年一番の猛暑とまで言われているが、レストランの中はとても涼しく、一休みするにはちょうど良い場所だ。

    友達の名前は大地と恵美。二人とも大学は違うが、中学の頃からの同級生で、今でもよく遊んだりする。

「そういやさぁ、最近、妙な事件が起きてるよな。」

    カツカレーを頬張りながら、大地が口を開く。

「あ、あれでしょ?《小人殺人未遂事件》。私も気になるのよね〜。」

    恵美はそう言い、身を乗り出す。大地は俺の方を向く。

「一夜も知ってるだろ?この辺りで、次々に人を切り裂いていくって事件。被害者は皆、《小人の仕業》って言ってるらしいけど。」

    その言葉を聞き、俺は二人に顔を向ける。

「あぁ、もちろん知ってるさ。何だってその小人、俺が退治したんだからな!」

    俺は親指を自分の顔に向け、自信満々に言う。

「……は?」

    俺の言葉に対し、大地と恵美は二人同時に呟く。

「な、なぁ恵美。こいつ、何言ってるか分かるか?」

「そうね、うーん……分からない。」

    二人はヒソヒソ声でそう言い合い、俺の方を向く。その表情は、呆れた表情と、疑いの表情だった。

「あー!二人共、疑ってるだろ!……まぁいいさ。疑いたかったら疑ってろよ!」

    俺はそう言い、そっぽを向く。確かに、疑われても仕方がない。この出来事は、俺しか知らない事なのだから……。

 

 

 

    それは、五日前の夜の事だった。大学が終わり、俺は家に帰ろうとしていた。

    その日はバイトもなく、家でゆっくりしようと考えていた。

「ふぅー……今日も疲れたし、帰ったら飯食って、風呂入って寝よ。」

    俺は独り言の様にそう呟く。家まではあと数十メートル。家に近付くにつれて、俺の足は次第に速度を増す。その時だった。突然、何かに足を引っ張られた様な感覚を味わった。

「ん?何だ?」

    俺は慌てて足元を見る。だが、何もいない。気のせいか。そう思い、俺は再び前を向く。その直後だ。俺の目の前に奴はいた。身長は十五センチ程で、三角形の青い帽子を被っている。

    その姿を見て、俺はそいつが何なのか、すぐに分かった。子供の頃、絵本や童話などでよく見かけた《小人》という妖精だ。まさか、こんな生き物が本当に存在していたとは。すると、その小人は俺の顔を見上げ、口を開いた。

「ねぇ、お兄さん!今からどこに行くの?」

    声はとても高く、それこそ妖精の様な声だ。俺はしゃがみ込み、青い小人と視線を合わせる。

「ん?俺は家に帰るとこだけど。」

    俺は優しい口調で言う。すると小人は座り込み、腹を押さえる。

「あー、お腹空いたな……なら、そういうわけで……」

    小人は立ち上がり、俺の方に近付いてくる。

「お兄さんを食べちゃうね!」

    突然、俺の足を噛み出した。

「ぎゃぁぁー‼︎な、何すんだー‼︎」

    俺は咄嗟に、小人を手で払い退ける。右足には、小人の歯型がくっきりと残っていた。

    こいつ、普通じゃない!俺はそう思い、走り出す。家に入れば安全だ。もう少し、もう少しだ。しかし、家のドアの前に、もう一人の赤い帽子の小人が立っていた。

「人間だー、ご馳走だー!」

    赤い小人はそう言い手を広げ、俺が近付いてくるのを待ち構えている。

    その時俺は、最近この辺で起きている殺人未遂事件を思い出した。被害者はいずれも殺されてはいないが、手足の指などを引きちぎられているという。

「そうか、そういう事か!この小人達は、俺達人間を襲って、手足の指を食いちぎっているんだ!」

    このままでは、俺も指を食いちぎられてしまう。俺は家とは逆の方向へと走り出す。何かいい案を作戦を考えなくては。しかし、逃げた先にも新たな小人が待ち構えていた。

    白い帽子の小人は、ゆっくりと俺に近付いてくる。俺は逃げようとする。しかし、後ろからは、先程の青い小人が迫ってきていた。横を向くと、赤い小人が立っている。つまり、挟まれてしまったのだ。

「いっただっきまーすぅー‼︎」

    三人の小人は、一斉に俺に飛びかかってきた。俺は後ろに倒れ込む。俺は逃れようとするが、小人は意外にも力が強く、抜け出せそうにない。

「うぉぉぉ‼︎」

    俺は喚く。このままでは、俺も手足の指を食われてしまう。一体どうすればいいのだ。その時、バッグから一つの物が転げ落ちた。カメラだ。

「そ、そうだ!今日学校で使ったカメラがあった!もし俺の指が食われたとしても、写真さえ撮っておけば、今後の捜査の手がかり程度にはなるはずだ!」

    俺はカメラを小人に向ける。そのちよだ。小人達は突然震え出した。

「あ、あぁ……な、何だそれは……」

    小人達は俺を襲うのを止め、後退りをする。もしやーー。

「何だ?カメラが怖いのか?いいぜ!お礼に俺が記念撮影してやる!いくぞ!」

    俺は青い小人にカメラを向け、シャッターを押す。

「うわぁぁー!や、止めろー‼︎」

    すると、青い小人は次第に溶けていった。青い小人だけではない。赤い小人も白い小人も溶け出している。

「何だ⁉︎こいつら、溶け出して……」

    俺が言い終える間もなく、小人は全員消えてしまった。俺は何とか立ち上がる。多少の怪我はしているが、別に何ともない。

「あの小人共……どこから来たのかな?いつから存在したのか。どういう目的で生まれたのか。俺達人間には知る由もない事だけど。……あぁー、疲れたー!さっさと帰って休もう!」

    俺はそう言い、家へと向かって歩いていく。

 

 

 

    

 




約一ヶ月ぶりの連載になります。これからも時間があれば書きますので、その時はぜひ読んでください。
読んでくださり、ありがとうございます!
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