東方星霊宴~気がついたら転生してた~   作:ALUM

1 / 21
この小説は、時々一人称と三人称がごちゃまぜになる場合があります

それでもかまわないという方はお読みくださいm(__)m




零の章
日常の終わり


…………

 

……一体どうなっているんだ……急に目の前が真っ暗になって何も見えなくなった

 

普段通りに学校が終わって家路を歩いていたのに……

 

……!! 急に浮遊感が襲ってきた

 

上へと引っ張りあげられている。まるで水から引き上げられているみたいだ

 

 

「!? ごぼっ!」

 

 

急に息苦しくなった。口から気泡が出てきた。まさか本当に水の中にいるのか……

 

そのまま引っ張り上げられ水面に出る感覚がくると、目の前に光が溢れてきた。けれど、今はそれどころじゃない

 

 

「ごほっ、ごほっ! ……っはぁ」

 

 

大量に水を飲み込んでしまい、息をするのがやっとだ

 

引っ張り上げられた誰かに身体を抱えられ、ごつごつとした場所にうつ伏せで寝かされた。……仰向けにはしてくれないのか

 

そのまま何もしないのかと思ったが、背中をさすられた

 

何をと思ったが、だんだんと苦しさが無くなっていった

 

完全になくなると背中から手が離される

 

 

パシャン!

 

 

何かが水に入っていったみたいだ

 

寝返りを打ち、それを確認してみる

 

すぐ傍には真っ黒い液体が満たされた大きな水たまりがあった。池よりも大きいので湖と呼んだほうがいいか

 

そして、傍には誰かが立っていた。逆光のためシルエットになっているが、曖昧になっていてわからない

 

目を凝らしてみようとしたが、眩しくてやめた。眩しい光源は……太陽なのか?

 

身体を起こして自分の体を見てみる

 

服を着てなく、所々不鮮明になっていて、モザイクがかかっているみたいになっていた

 

わけがわからない

 

 

「…………」

 

 

辺りを見回してみると、湖は山に囲まれており、自分がいるところには洞穴があった

 

周りには大量の白い火の玉が浮かんでいた

 

……何がどうなっているのやら

 

 

「……気が付いた?」

 

 

すぐ傍で少女の声が聞こえてきた

 

声のするほうへ向いたら、顔が目の前に現れた

 

 

「うおっ!?」

 

 

びっくりして後ずさりする

 

 

「あ……ごめんなさい。近過ぎたね……」

 

 

そう言って目の前に座る。光源とは反対側に座ったため、姿がはっきりとわかった

 

明るい茶色のショートヘアーに青い瞳をした少女がこちらを見つめてきている

 

その背に3対の翼があることと腰から一本の尻尾が生えていること、そして何も身に着けていないことが、目の前にいる少女が普通ではないことを示していた

 

 

「……コスプレ?」

 

 

そう言うと目の前の少女が固まった

 

 

「……本物だよ?」

 

 

苦笑いしつつも、気を取り直して少女が言う

 

……本物?

 

 

「ほら、こうやって動かせるよ?」

 

 

そう言って背を向けて翼をはためかせる。尻尾も振ってきた

 

 

「ね?」

 

 

再び体をこちらに向けてくる

 

 

「あ、うん……」

 

 

いろいろと見えてしまっているので目のやり場に困り、顔を背ける

 

あいにく、俺には裸体をジロジロと眺める趣味はない

 

この少女には羞恥心がないんだろうか……

 

 

「? ……あ、隠したほうがいいね」

 

 

露出癖はないみたいだ

 

 

「もういいよ?」

 

「ん……」

 

 

振り返ると……

 

 

「これならいい?」

 

 

布で胸と局部を覆っているだけだった

 

なぜそんなに際どい恰好にしているんだろう……

 

……見えないなら別にいいか

 

 

「はい、あなたの分」

 

 

そう言って渡してきたのは……なんといつも使っていたパジャマだ

 

とりあえず着ると、サイズまでぴったりだった

 

 

「……ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 

笑顔で返される

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

何を聞こうか忘れてしまった

 

……ふと湖が目に入った

 

時々、表面が泡立って沸騰したようになっている。そして、顔のようなものが浮かんでは沈んでいた

 

……俺はあんなところから引き上げられたのか?

 

 

「あの湖のことが気になるの?」

 

 

じっと水面を見ていると、横から少女が話しかけてきた

 

 

「あ、ああ……」

 

「あれは不浄魂の溜まり場っていって、未練があったり不慮の出来事で死んでしまった魂があそこに入っていくの」

 

 

なんとも物騒な名前だ

 

……ん? 何かおかしいな

 

 

「昔は透き通るような透明だったの。だけど、生への恨みや嫉妬を持った魂が増えてきて、今はご覧のとおり……」

 

「ちょっと待って」

 

「?」

 

「もしかして俺は死んだのか?」

 

 

そう聞くと少女はうなずいた

 

 

「そう、か……」

 

「…………」

 

 

死んだら何もなくなると思ったけど、まさか死後の世界があったなんて……

 

死後の世界なんてオカルトの中だけだと思ってたよ

 

 

「続き、話すね」

 

「どうぞ」

 

「それで……ここ自体は死後に来る世界なの。そこらじゅうに漂っているのは現世で死んでいった達」

 

 

あの白い火の玉は魂だったのか……

 

まだまだ少女は話し続ける

 

 

「その中からあなたは自我を持ったままあの湖に落ちていったの」

 

「他の奴らには自我がないのか?」

 

「大抵はないよ」

 

「なぜ俺にはあったんだ?」

 

「……それはわからない」

 

 

釈然としないな

 

 

「多分……周りに流されることがなかったから、持っていたんだと思う」

 

「…………」

 

 

向こうで生きていたことを思い出そうとしてみる

 

……何も思い出せない

 

おかしいな。ついさっきのことのようなのに、生きていた頃のことが何一つ思い出せない

 

 

「そういう性格が幸いしたのかな……」

 

「…………」

 

 

そう言われてもわからん

 

 

「……あっ!」

 

「?」

 

 

少女が何かを思い出したかのように声を上げた

 

 

「自己紹介がまだだったね」

 

「……ああ」

 

「私はここで、あの湖に落ちた魂を食べて生きている龍なの」

 

「……え?」

 

「……ごめん、冗談」

 

 

冗談には聞こえなかった

 

 

「えっと……本当は、あなたがいた世界を創った神様だよ」

 

「…………」

 

 

それは冗談にしか聞こえなかった

 

 

「見た目からして……そんな風には見えない」

 

「……本当だもん」

 

 

いじけてしまった

 

言ってはいけないことでも言ったのか?

 

 

「そんな失礼なこと言うと……食べちゃうぞ?」

 

「…………」

 

 

なんだか迫力に欠ける

 

 

「俺は――」

 

「あなたのことは知ってるよ」

 

「そうか……」

 

 

自分を紹介するなんて面倒だから、手間が省けてよかった

 

 

「……それで、実際のところお前はなんなんだ?」

 

「だから神様だって」

 

「それはもういい」

 

「…………」

 

 

立ち上がり、体を伸ばす

 

一緒に自称神様も立ち上がった

 

 

「ちょっと散歩してくる」

 

「一緒に行ってもいい?」

 

「来なくていい」

 

「…………」

 

 

一人で行くことに意味があるんだからな

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

「お帰り」

 

「ああ」

 

 

 

歩いてみたが、これといって特に何もなかった

 

山に登ってみようと思ったが、斜面が急すぎてとてもじゃないけど登れなかった

 

あの山の向こうには、いったい何があるんだろう……見たいとは思わないが

 

どうせ気晴らしに歩いただけだから、景色なんてどうでもよかった

 

 

「どう? 何もなかったでしょ?」

 

「ああ。 ……でも、すっきりしたよ」

 

「……すっきり?」

 

 

この自称神様と話していると、もやもやするからな

 

いきなり死んだとか、私は神様ですだとか、そういう話は結構だ

 

 

「何もないのにすっきりするの? 変わってるね」

 

「うるさい、自称神様」

 

「なっ!? うぅ……なんてひどすぎる……唯一人の形で居たから……気になって長い時間かけて掬い上げたのに……こんななんて……」

 

 

ショックでその場にくずおれる自称神様

 

ぶつぶつと何かつぶやいているが……まぁ、何かの呪文だろう

 

 

「うぅ……」

 

 

泣き出してしまった

 

可哀相に……俺のせいか

 

仕方ないので頭を撫でてあげる

 

 

「あ……」

 

 

びっくりしつつも大人しく撫でられる自称神様

 

 

「んっ///」

 

 

嬉しそうに尻尾を揺らしているところを見ると、なんだか小動物的な可愛さがあるな

 

面白いから少しいたずらしてみるか

 

 

「あぅ……」

 

 

手を放すと、不満そうな顔をして上目使いで見つめてきた

 

そこでまた、撫で始める

 

 

「はぅ///」

 

 

適当なところでやめると、やってほしそうな目でまた見つめてくる

 

弄りがいがあるな、この神様

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

「えへへ///」

 

「…………」

 

 

今目の前で起こっている状況に、額を押さえた

 

……やりすぎた

 

若干、中毒的なものに自称神様がかかってる

 

 

「ふにゃぁ~」

 

 

すり寄ってきた。 ……猫かよ

 

膝の上に乗ってきて、体をくっつけてくる

 

 

「…………」

 

 

このままだと、一生ここにいることになりそうだ

 

……反省の意を込めて、額にデコピンを食らわせる

 

 

「きゃっ!! ……ほえ?」

 

 

どうやら意識がなかったらしい

 

 

「……わっ!?」

 

 

自称神様は、驚いてすぐに俺の膝から退いた

 

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「うん……」

 

 

戻さなきゃよかったかな

 

 

「…………」

 

 

ぼーっとしている。危険なんてないみたいだけど、なんだか何もないところでも転びそうだな

 

 

「う~ん……」

 

 

考えていただけだったみたいだ

 

 

「……そろそろいいよね」

 

「何がいいんだ?」

 

「大事なことを話してもいいんじゃないかなって……」

 

 

大事なこと?

 

 

「これからのこと……すっかり忘れていたけどあなたは魂だけの存在だから、このままじゃいけないの」

 

「消滅するのか?」

 

「うん。そんなところ」

 

 

そういえばここは死後の世界だって言っていたな

 

留まっていたら駄目なのか

 

 

「それで、あなたをある世界に転生させるの」

 

「転生?」

 

「そう。別にいいよね?」

 

「まぁ……」

 

 

させてもらえるなら好意に甘んじたほうが礼儀だしな

 

 

「それならよかった。あなたがこれからいくところは、あなたのいた世界とは大差ない世界。だけど想像上のものが、実際にそこにいるの」

 

「それは楽しみだな」

 

 

今の状況だけで十分だけど

 

想像上のものか……神様は目の前にいるか

 

俺は日本人だから、妖怪がメジャーなのかな……ん? ……まぁいいか

 

とりあえずなんでもござれ、っていうわけか。……何もすることがなかったこちらの身としては、そういうファンタジーなものがたくさんあると、とてつもなく嬉しい……って、あれ?

 

……なんだか急に生前のことを思い出してきた。ついでに頭痛まできた。

 

痛みに顔をしかめ、額を押さえていると、心配そうに神様が顔を覗き込んでくる

 

 

「大丈夫?」

 

「ちょっと生前のことを思い出したら恥ずかしさと嬉しさに頭を抱えているだけ」

 

「よくわかんない……」

 

 

とりあえず誤魔化しておいた。あまり意味はない気がするが……

 

 

「それじゃあ、あの洞穴にいこっか」

 

 

神様が指差して促す

 

 

「ああ」

 

 

もしかしてあの中に転送装置的なものがあるのか?

 

……ロマンだな

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

「ほぉ~」

 

 

洞窟の入り口は小さかったのに最奥部はとても広々としていた

 

手が入っていて、灯りがついている。多分この少女がやったんだろうな

 

途中、ダンジョン要素の定番でもあるトラップがふんだんに仕掛けられていたが、神様がすべて解除してしまい、楽しみもなく残念だったのはここだけの話だ

 

 

「それで?」

 

 

見たところ、それらしきものは見当たらなかった。……もしかして本当に食べるつもりなのか?

 

 

「待って……えっと……あれはどこだったかな~……」

 

 

そう言ってうろうろとして、何かを探しに離れていってしまった

 

 

「あった! こっちこっち」

 

 

手招きしてきている

 

時間かけて探した割に……中央じゃないか。それにわかりやすく魔法陣が描かれている

 

近くに寄ると、天井からロープのようなものが垂れ下がってきた

 

……よく見たら鎖だった

 

 

「それっ! っと」

 

 

神様が勢いよくそれを引くと魔法陣から光が溢れ、柱が現れてきた

 

光が消えると、そこには鳥居があった

 

 

「……素敵な仕掛けだ」

 

「遊び心満載だけど、面倒だよ」

 

 

さいですか

 

 

「……向こうに行く前にあらかじめ準備しておかないとね」

 

「ああ」

 

「強くてニューゲームがいい? それとも普通にプレイがいい?」

 

 

そりゃもちろん……

 

 

「強くてニューゲームで」

 

「わかった。特殊能力とかつけておくね……」

 

「どうも」

 

「…………」

 

 

神様が鳥居のほうへ向いて手をかざすと、その中の風景が消え、光の渦が出現した

 

 

 

「……ごめんね」

 

 

手をかざしたままそう言った

 

 

「え? 何が?」

 

「……あなたが死んでしまったのは、私のせいなの……」

 

「……それで?」

 

「あなたをあの湖から引き上げたのも、罪滅ぼしから」

 

 

そう言って俯く

 

気になったわけじゃなかったんだな

 

……罪滅ぼし、か

 

俺だけピンポイントに引き上げられたのは、なんだかいまいち引っかかるものがあるな

 

 

「なぁ神様」

 

「何?」

 

「俺の死に方はなんだった?」

 

「攻撃の余波で跡形もなく……」

 

 

余波ねぇ……だったらもう何人か引き上げてもいいと思うんだが

 

 

「これからあの湖から引き上げる予定は?」

 

「あなただけが入っていたからないよ……それが?」

 

「攻撃の余波なら俺以外にも何人か死んでないか?」

 

「あの場所で死んだのはあなただけだった……でも、確かにいるかも……何が言いたいの?」

 

 

神様が訝しげに聞いてくる。 ……まぁ、質問続きならそうなるか

 

 

「本当に俺をその手でやったのか?」

 

「そうだって――」

 

「俺には……とてもじゃないけどそうは見えないな」

 

「……見えないだけだよ。指を振れば消し飛ばせる」

 

 

おお、怖い怖い

 

……でも

 

 

「なぁ神様?」

 

「…………」

 

「嘘ついてるだろ?」

 

「! ……」

 

 

動揺しているところを見ると、図星みたいだな

 

 

「俺がハマっていたゲームに主人公にこんなこと言うやつがいたの。『一人で全部背負い込むなよ』ってさ」

 

「!! …………っ」

 

 

これもあたりか

 

でも、こういうキャラは勝手に荷を下ろさせられるタイプのはずなんだけどなぁ……

 

 

「もしかして背負い込んでるんじゃないの?」

 

「…………だって」

 

 

手をかざすのをやめ、こちらに背を向けた

 

光の渦は出ているままだ

 

 

「……私の問題だから。……巻き込めないよ」

 

「その問題に、俺たちが巻き込まれたわけなんだけど?」

 

「それは……ごめんなさい」

 

 

こちらを向き、謝ってくる

 

違う。言いたいのはそんなことじゃない

 

 

「ごめんなさい……」

 

 

光の渦が一層大きくなり、音を立て始めた

 

 

「……いる」

 

「え?」

 

 

聞こえなかったみたいだ

 

騒音がやかましいな。二度も言わせないでほしい

 

 

「俺がいる。少なくとも俺は」

 

「でも……」

 

「でもじゃない。間接的とはいえ、俺を創ったのはあんただ。遠慮する必要なんてない。こき使ってもいい」

 

 

力はない。けど、支えくらいにはなれる

 

 

「……どうしてそこまで……あなたは被害者なんだよ?」

 

「被害者面して、何もわからずになんて終われるかよ。それにもう、あんただけの問題じゃないんだ」

 

「!!」

 

「それと、目の前で困っている……しかも女の子を放っておくほど俺は冷たくないぞ? ……言っておくけど、もう俺たちは仲間だ」

 

 

我ながら恥ずかしいことを言ってしまった

 

死にたくなるな……

 

真正面から顔を見れない

 

 

「……ありがと」

 

「いいって。それよりも約束してくれ」

 

「?」

 

 

何にしようか……そうだ

 

 

「もう一人で背負わないこと。いいか?」

 

「っ!! ……うん!」

 

「よかった……ん?」

 

 

さらに光の渦が大きくなった

 

それを見て、彼女が悲しそうな顔をする

 

 

「……そろそろお別れの時間かな」

 

「いつでも会えるんじゃないのか?」

 

 

そう言うと、彼女は俯いた

 

 

「この門を通れば、もう二度と会えなくなる……」

 

「……そうか。……だったらもっとしておけばよかった」

 

 

小言でそう呟く

 

 

「え?」

 

 

聞こえたか……?

 

俺だけの秘密だからな。いつもあんな感じでいればいいのにって思う

 

 

「なんでもないよ」

 

「そう……もう向こうに行く準備はできた?」

 

「全部やったんじゃないのか?」

 

「違うよ。覚悟のほう」

 

 

そっちか

 

 

「とっくにできてる」

 

「それならよかった」

 

 

近くまで行き、鳥居に手をかける

 

……言わなきゃならないことがあったな

 

 

「別れの挨拶は手短にな」

 

 

振り返り、言う

 

 

「……さようなら」

 

 

悲しそうに、だけど嬉しそうな……そんな表情で彼女は言った

 

 

「ああ、さようなら……またな」

 

 

そう言い、光の渦に飛び込んだ

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

「…………」

 

 

不思議な人だった……

 

どうして赤の他人なのに、私のためにあんなことを言ったんだろう

 

 

「仲間……か」

 

 

彼に言われたことを反唱してみる

 

彼で三人目だ。仲間だって言われたのは

 

……すごく嬉しい。辛いことなんて吹き飛ぶくらい

 

 

「…………」

 

 

……彼の魂は人の形をしていた。それは、死に際に輝きを思い出すためにあの形をとる

 

そして燃え尽きて霧散した時……アレに吸収される

 

初めて彼の体を見たとき、ところどころ不鮮明になっていた。だからなんとかしてそうならないように、空の魂に彼の魂を取り込ませて転生させることにした。そうすれば、また彼に会える、約束を果たせると思った。だけど……

 

 

「…………」

 

 

彼はもういない……向こうの世界に行ってしまえば、彼を形成していたものは空の魂に吸収され、何一つなくなる……

 

助けたかったのに……私は結局……

 

約束を守れなかった……

 

 

[な~にウジウジしてんのよ?]

 

「!?」

 

 

声のしたほうへ振り向いたが、そこには誰もいなかった

 

 

[頭に直接話しかけてるの。頭回ってないわね~]

 

「ごめん……」

 

[すぐそうやって謝る。悪い癖ね。直しなさいよ]

 

「…………ごめん」

 

[……はぁ。 まぁいいわ。 それよりもそんなに気になるんだったら、あの子に自我が芽生えるまでずっと一緒に居てあげたら? もう彼はいないけど、彼の代わりがいるじゃない]

 

 

軽い調子で言われる

 

 

[……まさかそんなこと考えもしなかった?]

 

「うん……でも……」

 

[別にいいじゃないの。中身は一応彼なのよ? なにか不満?]

 

「不満じゃないよ……」

 

[ならさっさと行きなさいよ]

 

「うん……ありがとね」

 

[……はぁ、まったく]

 

 

彼の後を追い、光の渦に飛び込んだ

 

 

 




七か月前に書いたものを再度書き直して投稿してみた

試しに作ったホムペと展開が異なってびっくり。慌ててくっつけたのは内緒です(O_O)

にじファンで書いたものなんて、読んだことある人……もう忘れてますよね?




なんか謎解きみたいなのが入ってますけど、ここだけなのであしからず

セリフの部分は想像してみた

個人的にやりとりで砂糖吐きそうなんですけど、どうですかね……?

吐いたら感想に吐いたって書いてください(迫真


P.S もっと軽い調子で書くつもりだったのにどうしてこうなった……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。