東方星霊宴~気がついたら転生してた~   作:ALUM

10 / 21
???「またしても時間が飛んだのと、今回はたくさん詰め込んだ関係で長くなるんじゃ」


※初のグロテスクな描写が終盤に


第九話 復讐劇~終~

薄暗い空間の中、朦朧とした意識が元に戻り、目が覚める

 

 

「…………」

 

 

身体に柔らかい布の感触が伝わってくる

 

 

「…………」

 

 

……ああ、永琳の家で寝たんだった

 

天井を見つめて少ししてから体を起こし、腕を真上に上げて軽く伸びをする

 

 

「…………」

 

 

今日はいつになく体の調子がいい

 

……当たり前か。 体を酷使してないんだから

 

伸びをし終わるとベッドから降りて、寝間着を脱ぎ捨てて裸になってから全身鏡の前に立つ

 

 

「…………」

 

 

肩まで届いている白くて所々が黒く染まっている髪、頭の上から飛び出ている狼の耳、少しばかり大人びている顔、青く澄み渡っている瞳、陶器のように白い肌、お尻から出ている先が黒く染まった一本の尻尾、幼いのに凹凸がはっきりして発達している身体がそこに映った。 ……ほんの少しずつだけど、身体が元に戻ってきている気がする

 

 

「……」

 

 

壁にかけてあった病衣ではなく、幼少時代……ノヴァとずっと一緒にいたときに着ていた甚平と帯を異空間ボックスから取り出す。 袖に腕を通し、紐をちゃんと蝶々結びにして、それから帯を一回だけ巻いて軽く結ぶ。 下は……身に着けてないから穿いておこう

 

ちゃんと着終わると、ドアの方へ向かう。 近づくと、金属でできた扉が勝手に横にスライドした

 

 

「あら? その服どうしたの?」

 

 

部屋から出て、リビングに置いてあるソファーに座ると、別のソファーに座っていた、長い銀髪を三つ編みにして白衣をきている少女……永琳が尋ねてきた

 

 

「これ? 能力で編みだした」

 

「へぇ~そんなこともできるのね」

 

 

永琳が袖を引っ張ってくる

 

 

「感触が布と変わらない……すごく器用なのね」

 

「……練習したから」

 

「へぇ~」

 

「…………」

 

 

……ごめんね永琳。 これ、実はノヴァからの贈り物なの。 でも、身体が成長したときの服は自分で作り出せるから

 

……そうだ、 旅行用のあの服は、露出度が少し高いから抑えめのものも考えておこう

 

 

「……早速だけど狼華、街に出てみましょう」

 

「……え?」

 

 

唐突に永琳からのお誘いがくる

 

まだ起きてから少ししか経っておらず、時刻はまだ朝方だ

 

 

「朝ごはんは?」

 

「外で済ませましょう」

 

「自炊派って言ってなかったっけ?」

 

「たまには外で食べても罰は当たらないと思うの」

 

「そうだね……」

 

 

自炊の神様には私から言っておくよ。 ……ロディを通じて。 同じ神様だからきっと大丈夫なはず。 むしろ服従させているかもしれない。 ……いるかわからないけど

 

……それにしても残念だ。 美味しい手料理が食べられないなんて。 ……そういえば、リオ達って食事取ってない。 栄養を取る必要はないけど、こういうのって心が豊かになるから食事自体は必要だと思う

 

 

「…………」

 

「残念だーって顔してるわよ?」

 

「!!」

 

 

顔に出てしまうほどだったか

 

 

「……私、自炊とか言っている割には意外とレパートリが少ないのよ」

 

「知らなかった」

 

 

なんでも作れると思ってました

 

 

「リクエストがあれば作れるけど、それだとレシピ通りになってしまうのよね……」

 

「それでもいいと思うんだけど……」

 

「それだったら外で食べても同じじゃない?」

 

「うん」

 

 

それもそうだよね……

 

 

「だから食べたことのないものにしましょう」

 

「……うん。 ……でも、街中には人がたくさんいるでしょ?」

 

「大丈夫よ。 二十四時間後に計画発動だから、荷物をまとめている人たちばかりで街中にはいないわ」

 

「でも……」

 

 

もしいたら、永琳が困るし……

 

 

「居たら困るのはみんないないから、ね?」

 

「!! ……うん」

 

 

考えていたことを読み取られて、心拍数が上がった気がした

 

居たら困る人たちは……殲滅派の中でも過激な人たちか

 

……きっと、初めて私が様子見で来たときとは比べ物にならないほど頑丈で強固になった門の前に集まっているんだろう

 

 

「……っとと」

 

 

考え事をしていると永琳に手を取られ、部屋の外にある転送装置に乗せられた

 

 

「とりあえず行きましょうか」

 

「うん」

 

 

永琳が装置を操作すると、一緒に乗ってきた

 

少しすると景色が歪み、辺りが真っ白に染まっていった

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

少しずつ景色が戻っていくと大きな通りにいた

 

転送装置の上から退くと、元からそこにはなかったかのように装置が地面に収納されていった

 

 

「…………」

 

 

辺りを軽く見てみると、確かに街の中には人影が見当たらなかった

 

……みんな、あと二十四時間で計画実行だから、自宅で、今か今かーって待ってるのかな

 

 

「移住用のロケットがあるのは中央部ね」

 

 

永琳が手元の端末を操作しながら言った

 

街の中央を見ようとしたけど、目の前にちょうど大き目の建物があったから見えなかった

 

 

「ここはどこなの?」

 

 

今いる場所が全く分からないので訊いてみる

 

 

「ここは直接、中央部と直結していない通りね。 全部で十二本中央部とつながっているの。 それで、今いる場所は……時計で言うと、六と七の間ね」

 

「その……直結しているのとしていないのの違いって何?」

 

 

近くに設置してあったベンチに腰掛けながら訊く

 

 

「直結している通りには、トラベレーターと大規模なダイヤグラムが設置されているのよ」

 

 

永琳が隣に座りながら答えた

 

トラベレーターは……動く歩道のことか

 

ダイヤグラムってなんだろう。 ……何かの設定表かな

 

 

「トラベレーターはここにはないわね。 ダイヤグラムは……あそこにあるわ」

 

 

永琳が道のほうを指差した

 

見てみると、道に小さな突起が二つ飛び出していて、白い線を挟んで奥の方にもあった。 それらが向かい合わせになって、道のあちこちに設置されていた

 

 

「あれは重力力場発生装置よ。 ダイヤグラムのシステムね。 今は動いていないわ」

 

「あれだけで重力を操作できちゃうの?」

 

「……前に、会議室の部門のトップの連中は頭がおかしいって話をしなかったかしら?」

 

「えっと……」

 

 

思い出してみる

 

……ああ、ボイスレコーダーの時のかな

 

 

「あんなに小さな突起が重力を操作しちゃうんだから……世の中はわからないものよね」

 

「うん……」

 

 

……少し哀愁を感じた

 

 

「それでダイヤグラムのことなんだけど……」

 

「うん」

 

「あれは、重力の流れを作ってエアカーの交通を管理するものなの」

 

「エアカー?」

 

「空飛ぶ車のことよ」

 

 

そのまんまだ……

 

 

「ダイヤグラムが導入されてからは、導入する前と比べて事故がめっきり減ったのよ」

 

 

それはすごい。 ……だけど

 

 

「批判もあったんでしょ?」

 

「そのとおり。 重力に沿って進むからスピードが出せないっていうのが大半だったわ」

 

「それって……」

 

「常識がない人たちによる暴走ね」

 

「…………」

 

 

遠まわしにお馬鹿と言っているのがわかりました

 

 

「導入する前はどんな感じだったの?」

 

「フロントガラスを利用した視覚効果を使っていたわ。 矢印とか信号とかをフロントガラスを通して道に表示させていたの」

 

「よさそうな気がするけど……」

 

「……そううまくはできないようになっているのよ」

 

 

永琳が背もたれに寄り掛かりながら、けだるそうに言った

 

 

「……目が疲れるの。 フロントガラスをディスプレイにしているから当然、少なからず電磁波が飛んでくる。 それで頭とか目が疲れて、眼精疲労だとか視力低下だとかなってくるのよ」

 

「電磁波を遮断できないの?」

 

「光は波、よ」

 

「あー……」

 

 

遮断しちゃいけないってことか

 

 

「まぁ、そのおかげで目薬が大量に売れたから、私のところの薬局グループは大繁盛なんだけどね」

 

「は、はは……」

 

 

デメリットを利用するとは……ちょっと怖くなってきた

 

 

「ねえ、永琳」

 

「何?」

 

「怪我したときの間に体に何かした?」

 

 

まさかと思って訊いてみる

 

 

「いろいろとさせてもらったわ」

 

「え……」

 

 

やっぱりやってた!

 

 

「自然治癒能力が尋常じゃなかったし、それに体に重さを感じなかったから」

 

「…………」

 

 

どちらかといえば自己再生なんだけど……まぁ、いいよね

 

 

「……それで、目が痛くなるからダイヤグラムを導入したの?」

 

「その通りよ。 でもね……時の流れっていうのは残酷なのよ」

 

「……?」

 

「導入してからおよそ三か月でポータルが発明されて、即実装されたの」

 

 

……ポータル?

 

 

「ポータルって?」

 

「さっき乗ってきた転送装置のことよ」

 

「…………導入した意味はあったの?」

 

「それなりには。 ポータルを実装したとはいえ一家に一台ってわけにもいかないから、公共の場に設置しておいたり、中継地点に置いたりしてあるの」

 

「ふーん……」

 

 

大きな施設や歩くのには距離がある場所に設置してあるってことか

 

 

「それでエアカーに乗る人はかなり減ってしまったわね」

 

「みんなポータルを使うから?」

 

「そう。 ……でも」

 

「でも?」

 

「便利なものほど影は暗いもの……これにもあったのよ」

 

「…………何があったの?」

 

「主に運動不足と肥満よ。 たくさん歩かなくてよくなるから」

 

「…………」

 

 

ふと、目の前の建物にスポーツジム、と書かれた看板があるのが見えた

 

 

「そういう人たちって……治したかったらあそこに通うの?」

 

 

看板を指差しながら言う

 

 

「大部分は薬で解決よ」

 

「え?」

 

「新薬を開発してしまったのよ」

 

 

な、なんだかロディみたい。 いずれは身体の時も操作してしまいそうだ

 

……そういえば、あの後ノヴァはどうなったんだろう。 ノヴァも魂だけが成長して、身体はそのままなのかな

 

 

[そうね]

 

「…………」

 

 

……噂をすればなんとやら。 っていうかノヴァの身体は子供のままなんだ……

 

それはともかく……

 

 

「新薬って?」

 

「新陳代謝を高めるものと、脂肪を燃焼させるものよ」

 

「もちろん大繁盛?」

 

「そ、そうね」

 

「……いかにもな薬だよね」

 

「仕方ないじゃない……」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

重苦しそうな空気が辺りを包む

 

 

「……あ、ちょうどいいところに。 狼華、あれ」

 

 

重苦しそうな空気を破るように永琳が声をかけてくる

 

 

「……?」

 

 

促されて指を差しているところを見てみると、空中に半透明な正方形の物体が宙を漂っていた

 

 

「……何、あれ?」

 

「見やすいところに情報を、をモットーに作った巨大な電光掲示板よ。あちこちに浮かんでいて 直結している通りの倍……二十四個あるわ」

 

 

表面を見てみると――

 

 

『 ねんがんの つきいじゅうまで あとすこしだぞ!! 』

 

 

という文字が浮かんでいた

 

……なんだか身体の力が抜けていった気がした

 

 

「あれって一体どうやって浮かんでるの?」

 

「ダイヤグラムと同じ原理らしいわ」

 

 

ということは、重力を操作しているってことになるのかな

 

 

「あれは、残り十時間程度になったら回収するつもりみたいね」

 

「ふーん……」

 

 

置いてくわけじゃないんだ

 

 

「それじゃあ直結している通りにいきましょうか」

 

「うん」

 

 

永琳に手を引かれ、ポータルがあったところまで戻る

 

そこで永琳が端末を操作すると、地面からポータルが出現した

 

 

「……収納する意味ってあるの?」

 

「ないわね……面倒になっただけかしら」

 

「…………」

 

 

発明者ってわからない

 

 

「装置の上に乗って」

 

「うん」

 

 

装置の上の指定された場所に乗ると、その隣に永琳が乗ってくる

 

少しすると景色が歪んでいった

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

しばらくして景色が元に戻っていくと、さっきの場所とは倍近くある広い通りに出た

 

 

「ここが直結している十二本の通りのうちの一つ、巳六の通りよ」

 

「名前の意味は?」

 

「特にないらしいわ」

 

「……」

 

 

てっきり十二支とか時計の数字から起因していると思ったよ

 

 

「中央部はあっちよ」

 

 

永琳が指を差している方角を見る

 

 

「うわぁ……」

 

 

見てみると、ここからはかなり距離が離れているのに距離感が狂うほどの大きさのロケットが、いくつもそびえたっていた。 下の方は建物に遮られていて全体を見ることが出来なかった

 

 

「大きいでしょ?」

 

「大きすぎない?」

 

「たくさん且つ余裕を持たせて乗せるためには、あれくらい必要なの」

 

「どうやって作ったの?」

 

「さあ?」

 

「…………」

 

 

わからないんだ……

 

 

「あくまで進行役だったからわからないのよ」

 

「!!」

 

 

またしても心を読み取られた

 

 

「狼華って……思ってることが顔に出やすいわよね」

 

「そうかな……」

 

 

そんなことはないと思うんだけど……

 

 

「私がよく観察しているだけかもしれないから、気にする必要はないわ」

 

「うん」

 

 

気にして無表情を貫くのも……なんだか無愛想に思われちゃいそうだ

 

……それにしても、永琳はいつも中央部で会議するみたいだけど……どこでやるんだろう。 一見してみても、あの運動会ができそうな広さの会議室があるような建物が見当たらない

 

 

「何か探しているの?」

 

「あの会議室がある建物を……」

 

「それなら地下にあるわよ」

 

「へ、へえー……」

 

 

なぜ……こうもやることが空回りしてしまうのだろう……運がないのかな

 

 

「もう乗り込んでるみたいね」

 

 

永琳が手元の端末を操作しながら言った

 

能力を使って”視て”みると、ロケットの下の方に荷物を持った人たちが並んでいた

 

先頭の人たちに焦点を合わせると、ロケットの傍の建物に入っていっていた。 ……あそこからロケットに入るのかな

 

 

「狼華、確かあなたって透視できたわよね?」

 

「できたよ?」

 

「見てる?」

 

「うん」

 

「そう……」

 

「……?」

 

 

”視る”のを止めて永琳を見ると、悲しそうな目で見てきた

 

 

「……いい方向に使って頂戴ね」

 

「え……?」

 

 

一瞬だけ、思考が停止した

 

……ああ、永琳は服を透視しないでって言いたかったんだ

 

 

「……そんなことしないよ……見慣れてるし」

 

「…………見慣れてる?」

 

「……この前のあれ」

 

 

肌色多めなあれのことかな。 ……たくさんあるけど、たぶん白狗との一件かな

 

 

「……あ~……ご愁傷様」

 

「…………」

 

 

あれは……正直どうなるかと思った

 

 

「……それで、結界の方……門のところを見てもらえる?」

 

「うん」

 

 

ロケットとは反対の方向を向いて”視て”みる。 先の方で高くそびえ立つ門の向こう側に武装した集団がいた。 落ち着きがない人、武器の点検をしている人、話し合っている人たちがそこに待機していた

 

 

「いると困るのはほとんどそこに集結しているわね」

 

「ほとんど?」

 

「一人だけ行動原理がわからないのがいるのよ」

 

「…………」

 

 

なんとなく永琳の言っている人物が誰なのか想像できた

 

武装集団の中を探してみると、案の定、発見できた。 頭上に私とリオ、ノヴァ達にしか見えない赤い宝玉を漂わせている男性が門を見つめていた。 口元がにやけているのが気持ち悪い

 

 

「永琳、あの人たちはロケットには乗らないの?」

 

「乗らないみたいね。 わざわざ集団でリストから外しにきたのよ。 地上に残ってまで殺したくてうずうずしているのね」

 

 

そんなにも憎いのか……

 

 

「みんな、殺したくてうずうずしているのよ」

 

「止めることはできなかったの?」

 

「駄目だったわ。 あの人に言ってみたけど、単純だというのが裏目に出たの」

 

「…………」

 

 

単純すぎて、逆に曲げることが出来なかったのかな……

 

 

「そんな危ない人たちは元から外すつもりだったから、手間が省けて楽だったわ。 それに、月に行かせたら何するかわからないからね」

 

「…………」

 

 

……あの集団が月に行った時のことを想像して、手から汗が出た。 月から色々と照射してきそうで怖い

 

 

「それよりもせっかく街を散策できるんだから、朝食を摂ったらいろいろと周って見ましょう」

 

「うん」

 

 

近場の通りで適当な店を探していく

 

 

「…………」

 

 

ふと足を止める

 

 

「…………」

 

 

……月移住計画。 私の中にある閲覧できる情報によれば、本来は、計画発動時に妖怪たちが都市に攻め込んでくるとある。 だけど、その際に地上に残った人たちが妖怪を徹底的に駆逐していくとはどこにもない。 ……これが、赤カーソルが出現したという弊害なのか。 事前に白狗と朔は、リオに頼んで安全な場所に避難させておいたから大丈夫だ。 だけど……繋が、私が単独で動いているときに隷音と一緒についてくる。 もしそのときに赤カーソルに遭遇したら……

 

 

「…………」

 

 

頭を左右に振って、悪い方に考えてないようにした

 

……もし赤カーソルに出くわしても、守らなければならない戦いなんてしなければいい。 先手必勝だ

 

 

「狼華?」

 

「なんでもないよ」

 

 

悪いほうに考えないようにすると、これまでの記憶が思い出されてきた

 

 

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ほんとにいいのかにゃ?」

 

「……う、うん」

 

「やめるにゃら今のうちにゃ」

 

「い、いいから早く……」

 

「……わかった。 ちゃんと受け止めてもらうにゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……今、灰色の空間で、猫耳を生やした黒髪の少女、リオが、少し離れたところで大規模な魔法陣を展開していた

 

そして私は、それに対して球状の何十にも層が連なった防壁の中で身構えていた。 リオが考えて私が命名。 その名も『不死(ふし)呪界(じゅかい)』。 中に入ったら迷って出られなくなりそうな複雑な術式構成が層を形成し、中にいる術者を完璧に守ってくれる……はず

 

 

「っ…………」

 

 

ああ、今までの思い出が鮮明に蘇ってくる

 

ちょっと文句を言ったら押し倒されて覆いかぶさられて、凄まじいテクニックでやられていた場面。 撫でてあげたら唇を奪われて、一人だけ気持ちよくさせられていた場面。 普段のマッサージだと思っていたら尻尾の付け根から背中の間を執拗に責め立てられていた場面……。 王子様の目覚めのキスもどきをしたら、押し倒されて唇を奪われた後に感覚がなくなるまで犯された場面……

 

……ほとんど暴走した真っ黒なノヴァにやられたものしかない。 ……思い出……になるのか。 ……っていうか、最後のはリオとノヴァか。 ちょうど悪魔モードの時だった気がする。 中にいる悪魔が出てきたんじゃないのかな、あれは

 

……そんな思い出から逃避し、現状からも逃避しつつ、今までのことを思い出していく

 

永琳と白狗から別れたあの後から七か月が経過した。 ゲートから外に出たら辺りが暗くなっていて、月が満月になる一日前で、少しだけ欠けていたんだっけ。 みんなちょうど寝ていたみたいで、起こさないようにそっと降りたんだけど……ちょっと近かったみたいで足元にリオの尻尾があったんだよね。 それで踏んづけてしまったんだけどなぜか悲鳴を上げなくて、普通に起きてきたという。 ちなみに踏んづけてしまったからといって、今行ってるものとは全く関係ない。 ……関係なくてよかったです

 

 

「……にゃあ、ほんとに最大出力でいいのかにゃ?」

 

「……だ、大丈夫……だと思う」

 

「…………」

 

 

今やってるもの、それは……私の強化指導です

 

……なぜやっているのかというと、私に防御用の術式がなかったからです。なので、リオがそれをみかねて、作れってなってこうして試しているわけなんだけど……

 

 

「………………」

 

 

……怖い。 ものすごく怖い

 

防御用の術式なんて、さっき作ったばかりで一回も使ってない

 

最大出力だから失敗したら木端微塵に……想像したら足が震えてきた

 

 

「後、十秒で完成するにゃ」

 

 

その言葉が死の宣告に聞こえてきた

 

後、十秒……防げなかったらこの間が余命になる

 

……最大出力なんて……言うんじゃなかった

 

 

「狼華、ちゃんと防いでね?」

 

 

いつの間にかリオの目の前に、術式で構成された巨大な銃のようなものが出現していた

 

その銃のようなものの発射口のような部分に粒子が集まり始め、禍々しい赤色の光を放ち始めた

 

 

「充填に時間がかかるから、もうちょっと待ってほしいにゃ」

 

「……!」

 

 

今、この瞬間に命を弄ばれていると実感した。 余命が後、数十秒ほど増えた気がします

 

……この間に術式の最終チェックをしないと

 

多分、リオが放ってくるものは一発限りの魔弾か照射し続けるビームのどっちかだから、正面に集中するように設定しなおす。 それと、障壁は魔力で構成している術式だから、ほかに妖力や霊力からも供給できるようにする。 ……これぐらいしかしようがない。 後は防ぎきれるように祈るだけだ。 ……誰に祈ったらいいんだろう……ノヴァ?

 

 

「充填完了」

 

 

今の私にとって、その言葉は冷酷な機械のようなものに思えた

 

 

「比類なき極限の洗礼『アンリミテッドレーザー』 発射にゃ!」

 

 

エコーがかかったように聞こえたリオの号令とともに、発射口が轟音と共にまぶゆい光を放つ。 その直後に、全身に衝撃が走った

 

 

「っ……!」

 

 

光で目をやられたけど、何十にも層を張った障壁は、まだ崩されてはいないことを感じられた

 

途切れさせないように、三つの力を混ぜ合わせながら供給していく

 

 

「にゃあ、意外と耐えられるみたいにゃ」

 

 

轟音の中、リオの声が鮮明に聞こえてきた

 

猫モードでこれだけの威力を引き出せるって……本領発揮したら一体どれくらいなんだろう

 

……って今はそれどころじゃない!

 

 

ピキッ

 

 

障壁にヒビが入り始めた

 

 

「後もう少し耐えれば終わりにゃ」

 

「……っ!」

 

 

もう少しってどれくらいなんだ!

 

……って言おうと思ったけど、集中力切ると供給が途切れちゃうから言えなかった

 

 

ピキッ ピキッ

 

 

耐えている間もカウントダウンのようにヒビが入る音がしていき、どんどんヒビが広がっていく

 

もう駄目か……

 

 

「…………っ」

 

 

目をつぶって、いずれくる衝撃に備える

 

 

「……?」

 

 

唐突に、身体にかかっていた負担が一気になくなった

 

 

「狼華、よく耐えれたにゃ」

 

 

目を開けると、ヒビが大量に入っていたのにもかかわらず割れなかった障壁の外から、リオが微笑んでいた

 

……耐えきれたんだ

 

 

「はぁ……」

 

 

安心して、その場にへたり込んだ

 

それと同時に障壁も解除されて、リオが近づいてきた

 

 

「大丈夫かにゃ?」

 

「……し、死ぬかと思った」

 

 

率直な感想を言う

 

ヒビが入ったときはもう……涙が出そうだったから

 

 

「どうせ不老不死にゃんだから、死ぬことはにゃいから当たってもいいんじゃにゃいか?」

 

「……その言い方はちょっとひどい」

 

「元不死だから言ってるんだにゃ」

 

「…………」

 

 

リオが不老不死だったって初めて知った。 ……神様やってたときかな

 

 

「……でも、痛いし……」

 

「それはにゃれるしかにゃいにゃ」

 

「そんなぁ……」

 

 

慣れるまで体を吹き飛ばされ続けなきゃならないなんて……そんなの嫌だ

 

 

「でも……」

 

「でも?」

 

「痛覚を遮断することが出来れば、最大の利点にゃんだけど……それだとデメリットがあるにゃ」

 

「デメリット?」

 

「触覚をうしにゃうにゃ」

 

「頑張って避ける」

 

 

ぬくもりを感じることが出来なくなるなら、避けるために修行したほうがまだましだ

 

 

「そうしたほうがいいにゃ。 それじゃあ、もとの場所に戻るとするにゃ」

 

 

リオの差し出してきた右手に左手を出す

 

 

「それだと、ちゃんとにぎれにゃいにゃ」

 

「あ、ごめん」

 

 

右手を出してリオの手を掴む

 

一瞬、腕輪が光った気がした

 

 

「…………」

 

 

……気のせいかな

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

「………………」

「………………」

 

 

元の場所に戻ると、黒くて艶のある髪に獣耳と尻尾を生やした小柄な少女、朔と、真っ白な長髪にこれまた獣耳と尻尾を生やした少女、白狗が向かい合って座っていた。 白狗はこちらに背を向け、朔はこっちを向いていたけど……

 

 

「…………///」

「………………」

 

 

朔が顔を赤らめていた。 白狗は……見えないからわかんない

 

白狗は、移住計画がこっちの時間で五日を切ったのでこっちに連れてきました。 向こうの時間だと一か月半くらい。 長い別れだけど、嫌がらなかったからよかった

 

……それで、なんで顔を赤らめてるんだっけ……

 

 

「……あ」

 

「んにゃ?」

 

 

思い出した。 いつもは表情をあまり変えない朔だけど……確か今は発情期だ。 それに今期は白狗も発情してる。 今まで朔は抑え込んで我慢してきていたみたいだけど……

 

 

「…………」

 

 

朔が近くの茂みに向かっていった

 

……もう限界みたいでした

 

それに続いて白狗も茂みに入っていった

 

ああ! 朔がっ、朔がっ! 普段は抑えてるけど貪欲な野獣に食べられちゃう!

 

 

「……狼華、ほっといてもいいのかにゃ?」

 

 

リオが、その場に座りながら訊いてくる

 

 

「朔と結ばれるのもありなんじゃないかなと思ったから」

 

 

続いて私も傍に座る

 

繋がお婿入りしてから、朔がなんだか寂しそうだったから

 

 

「………………」

 

 

リオが半目で睨んできた

 

だって……種族的にちょうどいいじゃん

 

 

「朔が壊れるにゃ」

 

「…………」

 

 

その言葉であの一室での出来事が思い出された

 

……九回戦もすることになったのは、今思えば永琳が中途半端にしたからだと思う

 

 

「……や、優しくしてくれることを祈る」

 

「誰に?」

 

「…………ノヴァに」

 

「真逆のほうにいくにゃ」

 

「…………」

 

 

正確過ぎるツッコミに言葉が詰まった。 ……その通りな気がする

 

詰まっている間に、茂みの方から朔の押し殺したような嬌声が聞こえてきた

 

 

「――――っ、――っ」

「我慢しなくてもいいよ」

 

 

すぐ傍の茂みに入っていったから、息遣いまで聞こえてきた

 

……白狗が挿れずに朔に何かしているようです。 一体何をしているのか……

 

 

「狼華……朔の性格が変わったらどうするつもりにゃ?」

 

「明るい性格に変わってくれることを祈る」

 

「……ノヴァに?」

 

「うん……」

 

「…………」

 

 

リオが頭を抱えた

 

 

「あんっ……!」

「ここが気持ちいいの?」

「……うん///」

 

 

……それはともかく、優しくしてくれているみたいです。 ……朔は処女だから、それが心配だった

 

 

「……にゃあ、繋たちは?」

 

「……あれ?」

 

 

辺りを見回してみても繋と隷音の姿がない

 

リオの作った空間に入る前にはいたのに、いつのまにかいなくなってる

 

 

「繋は念話は使えたかにゃ?」

 

 

使えたはず

 

 

「飛ばしてみる」

 

 

送信。 ……すぐに返信がきた。 なぜか音声ではなく、頭の中にメッセージが浮かびあがってくる

 

……メッセージとは……あの子、なかなかに使いこなしてる

 

 

{隷音の仲間のところ}

 

「仲間のところだって」

 

「それにゃりに時間が経っているから、まぁそうだろうとは思ったにゃ」

 

「ふーん……っ!」

 

 

微かなノイズが頭を横切った

 

……繋からのメッセージだ

 

 

{多数対一で今、百三十人抜いた}

 

 

多数対一!? 百三十人!?

 

 

「い、一体何を!?」

 

「落ち着くにゃ。 にゃんてきたんだにゃ?」

 

「多数対一で今、百三十人抜いた、だって……」

 

 

そう言うと、リオが考えるそぶりを見せた

 

しばらくして……

 

 

「狼華」

 

「何かわかったの?」

 

「隷音ってにゃんだにゃ?」

 

「……鬼だよ?」

 

「隷音のにゃかまはにゃんだにゃ?」

 

「……鬼だと思う」

 

「……まぁ、大体が鬼にゃ。 よく考えてみるにゃ。 相手は鬼だから、戦いに決まってるにゃ」

 

 

――鬼は戦い事を好む――

 

情報を取り出してみた

 

 

「…………よくよく考えればそうだったね」

 

「最近、そういうことばかりで頭がバカににゃってるんじゃにゃいかにゃ?」

 

「……うん」

 

 

そうかもしれない。 近くでちょうど繰り広げられてる試合があるから、そっち方面に考えてた

 

それにしても五十人って……

 

 

「結構倒してるね……」

 

 

鬼ってそれなりに強いはずなのに

 

 

「霊格的に繋は余裕に決まってるにゃ。きっと挑戦目的で挑んでくるのを片っ端から吹き飛ばしてるにゃ」

 

「そうだね……」

 

 

繋と朔って、もう何億年も生きてるってことになるんだよね

 

それにしても、人間側が妖怪を殲滅してくるって知らせたら、隷音とともに修行し始めたんだけど……まさか鬼たちのもとに行くなんて思わなかった

 

 

「っ……」

 

 

頭に小さなノイズが入る。 繋が念話を飛ばしてきたみたいだ

 

メッセージを見る

 

 

{全員倒し終わった}

 

「早すぎるよ!?」

 

「またメッセージかにゃ?」

 

「うん。 全員倒したって」

 

「繋は一体にゃにを目指しているにゃ……」

 

 

少年の心は、母親である私にもわかりません

 

 

「それはともかく、狼華は攻撃用の術式を考えてたって言ってたけど、にゃにを作ったんだにゃ?」

 

「そ、それは……」

 

 

考えて実際に作ってみたけどあまりにもお粗末なものばかりだから……言いづらい。 ……けど、言えそうなものが少しだけあった

 

 

「実体剣召喚」

 

「錬金術の類にゃ。 ……まぁ、オリジニャルにゃら文句はにゃいけど、複製だったらすぐに対策を立てられるにゃ」

 

「霊刃実体化」

 

「それは術式とは言えにゃいにゃ。 どちらかといえば武技にゃ」

 

「…………」

 

「他にはにゃいのかにゃ?」

 

 

ほかには……まだあった

 

 

「硝子の盾」

 

「にゃまえからして……すぐに壊れそうにゃ。 というかそれは防御術式じゃにゃいかにゃ?」

 

「実はですね、向こう側からきた攻撃を防ぎつつこちらから衝撃を与えてやれば、破片が敵に襲い掛かる代物なんですよ」

 

「……口調はともかく、意外とえげつにゃいことを考えるにゃ」

 

 

きっとこれ、赤カーソル戦で重宝するかも

 

 

「ちにゃみに盾の範囲は?」

 

「正面のみ」

 

 

自信満々に言う

 

 

「回り込むようにゃ軌跡を描く攻撃とか……一体どうやって防ぐんだにゃ?」

 

「…………」

 

 

そんなもの……全く考えてなかった

 

 

「……ふ、『不死の呪界』と重複すれば問題ないし……」

 

「重複したらすぐに破かれにゃいかにゃ?」

 

「……すみませんでした」

 

 

……私は今までいったい何をしてきたんだろう

 

 

「……にゃあ、狼華はにゃにげに近接攻撃のものばかりを作っているみたいだから、これから近接主体でいくといいにゃ」

 

「そうする」

 

 

返事をすると、小さなノイズが頭に走った

 

 

「あ、繋からだ」

 

 

{妖怪たちを集結させるから、母上も}

 

 

「にゃんて?」

 

「妖怪たちを集結させるから私も来て、だって」

 

「私は?」

 

「わからない。 行かなくてもいいんじゃない?」

 

「じゃあ、いかにゃい」

 

 

なんてインドアなんだろう。 外にいるのにインドア……これはいかに……

 

 

「じゃあ、行ってくるね」

 

 

立ち上がりながら告げる

 

 

「んにゃ。 ……そのままいくのかにゃ?」

 

「え……?」

 

「襲われても知らにゃいにゃ?」

 

 

自分の身体を見てみる

 

ちゃんと服は着ている

 

 

「下は?」

 

「下着があるから」

 

「……じゃあいいにゃ」

 

 

下着をつけてないと思ったのかな

 

……えっと、繋のいるところは……

 

霊気をたどって繋の気を探っていく。 ……急に高くなったから、山にいるのかな

 

見つけると、それを能力を使って私と繋の気の間に線を”引き”、繋げた後、空間に穴をあける

 

 

「にゃあ、狼華、いつの間にそんにゃことができるようににゃったにゃ?」

 

 

リオが訊いてきた

 

 

「転送装置がきっかけだよ」

 

「……発想の勝利にゃ」

 

「ですねー」

 

 

永琳と会わなかったら、一生思いつかなかったアイデアだよ

 

 

「それじゃあ、行ってくるね。 お守りよろしく」

 

「んにゃ」

 

 

開いた空間の穴に入っていく

 

……この中の模様替えとかできないかな

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

 

 

ゲートを抜けた先は、一面が緑あふれる草原だった

 

……いや、違った。 後ろが崖になっていた。 かなりの高さだ

 

遠くの方に繋と隷音を含む鬼たちがいた

 

 

「あっ」

 

 

気配に気づいた繋が、こっちに向かってきた

 

 

「母上、連絡を入れたばかりだというのに早いですね」

 

「さっききたばかりだよ」

 

「それにしても早くないですか?」

 

「意外と近いでしょ?」

 

 

ちょっと能力で距離を”視て”みた

 

ここからはおおよそ数百キロ。 それなりに遠かった

 

 

「……母上は子供に戻っても相変わらずの破格ですね」

 

「いやー照れるー♪」

 

「……褒めてないです」

 

「…………」

 

 

脇を抓る

 

 

「いたたたたっ!」

 

「私の夫に何をするんだ!」

 

 

いつのまにか隷音がそばにいた

 

 

「それ以前に私の子供――」

 

「あの時にもらっていったはずなんだが?」

 

「あの時?」

 

 

……えっと、繋が逃げ回っていたあれか

 

 

「あれは正式なものじゃないじゃん」

 

「でも勝った」

 

「私のおかげでしょ?」

 

「そうだな」

 

「…………」

 

 

否定するかと思ったのにあっさり認めたよ、この鬼

 

 

「それじゃあ、こう言ったら正式に認める」

 

 

なんて言わせようかなー

 

……よし、決めた

 

 

「『―――…OOOO…………XXX―OOOWW……――……OOOO』って言って」

 

 

あれ? 声が一瞬おかしくなって、大事な部分が変になった

 

 

「……なんて言ったんだ?」

 

「だから『―――…OOOO…………XXX―OOOWW……――……OOOO』って……あれ?」

 

「母上……」

 

 

おかしい。 なぜ言おうとしているのにちゃんと言えないんだろう

 

 

[その言葉、こっちにちゃんと届いてるから]

 

「!!」

 

 

心臓がきゅっ、ってなった

 

脳内に響いてくるってことは……ロディか

 

 

[凄く……変態な文ね。 まるで、それをするだけがために結婚をするような文よ?]

 

(なんで言えないの?)

 

[さぁ、なんででしょうね?]

 

(…………)

 

[わかったわかった。 繋の目の前でその言葉を聞かせるのはまずいと思ったから、こっちで規制させてもらったのよ]

 

(そうだったんだ……)

 

 

ちょっとはっちゃけすぎたかな

 

 

[ちゃんとしたのを考えなさいよ?]

 

(はい……)

 

 

念話が切れる

 

 

「……じゃあ、別ので」

 

「ん……」

 

 

しっかり考えてみる

 

……これでよし

 

 

「『あなたの息子を私にください』」

 

「あなたの息子を私にください!!」

 

 

素晴らしいまでの即リピート

 

 

「プライドもへったくれもない!?」

 

 

繋が驚く

 

 

「これでいいんだろ? いいんだろ?」

 

「い、いいよ」

 

 

あまりの気迫に、思わず後ずさりしようとした

 

……後ろに崖があったことを思い出して、身体を少し反らすだけにした

 

 

「よっしゃー!!」

 

 

隷音が叫ぶ

 

すごい喜びようだ……

 

……繋って案外恵まれているのかな

 

 

「……で、繋」

 

「何でしょう?」

 

「妖怪たちを集結させるんでしょ?」

 

「それについては攻撃の時に集まってくるから呼びかけるだけでいいって話に……」

 

「…………」

 

「ぎゃっ!」

 

 

尻尾を引っ張る。 繋が引っ張られて尻餅をつく

 

……そういう話はこっちに来る前に言ってよ

 

 

「まぁいいじゃないか」

 

 

隷音が繋を抱き起した

 

 

「…………別に苦労してきたわけじゃないからいいよ」

 

「じゃあなんで引っ張ったの……?」

 

 

それは……

 

 

「そこに尻尾があったから」

 

「僕の尻尾はおもちゃじゃないよ……」

 

 

繋がめそめそし出した

 

……なんかこういう繋を見るのって楽しい。 ……はっ!

 

 

「……それじゃあ、私は帰らせてもらうね」

 

「攻撃の時にまた会おう」

 

 

隷音……それはフラグじゃ……

 

崖の淵に立ち、深呼吸する

 

 

「母上……まさかそこから……」

 

 

何やら繋が物騒なことを考えている

 

……飛び降りても大丈夫なんだけどね

 

 

「……まぁ、見てなって」

 

 

リオの気をたどり、自分とリオの気の間に線を”引き”、崖の途中の空間に穴を開ける

 

そして、崖から飛び降りる!

 

 

「母上!?」

 

 

穴に入る瞬間、繋の叫びが聞こえた

 

……寿命を縮めるような真似してごめんね。 ……本来はないけど

 

落下していく勢いで、リオのもとに続く道をたどっていく

 

……そうだ、透明になって驚かしてみよう

 

光が出口から溢れ出す前に目を閉じ、ついでにリオから教わった隠形を使って気配を遮断する

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

風が全身を打つ

 

目を開けると、青が下に広がっていた

 

 

「……!!」

 

 

瞬間的に状況を把握した

 

本来なら地表付近に出る予定だったのに、どうやらかなり上空に出てしまったみたいだ。 空気がすごく薄い

 

身体を半回転させてみると、緑が見えた

 

……これじゃあ、後ろから驚かすのが無駄になっちゃった

 

下にリオが居るはずだから、念話を飛ばしてみる

 

 

(リーオー!!)

 

{にゃあぁぁ!!}

 

 

念話なのに叫んでみると、はるか下の方で黒い点が動いた

 

能力を使って”視る”と、リオが頭を押さえていた

 

頭にノイズが来る

 

 

{ばっ……! 念話にゃのに叫ぶバカがどこにいるにゃ}

 

(ビックサプライーズ♪)

 

{……頭がガンガンするにゃ}

 

 

……叫んでごめんね

 

 

{……で、今どこにいるにゃ?}

 

(真上にいるよ?)

 

 

リオが立ち上がって真上を見てきた

 

 

{……いにゃいけど?}

 

(そんなことはないって)

 

{……!!}

 

 

リオが驚いた表情をした

 

 

{ど、どこから来てるにゃ!?}

 

(空からだよ?)

 

{にゃんで空から……}

 

(驚かすつもりだった)

 

{十二分に驚いてるにゃ……}

 

 

念話をしていると、ぐんぐん地表が近づいてきた

 

自由落下から、両手を広げて風を受ける体勢になる

 

……まだ速い。 速度がなかなか落ちない。 このままだと……あの時の二の舞になる。 背中が『見せられないよ!』状態になるのは嫌だ

 

 

{落ちてくるの速くにゃいかにゃ……?}

 

(うん……すごく速い)

 

{にゃんでそうにゃったにゃ……}

 

 

わかりません。 ゲートを抜けたら遥か上空にいました。 何を間違えたのかな

 

 

{とりあえず減速する方法を探すにゃ}

 

 

能力から探していく

 

”みる”、”うつす”、”ひく”……

 

速度を”見て”みる……780キロ!? 出過ぎだよ。 どれだけ加速してるんだ……ってこれは違う

 

速度を何かに”移し”てみる。 ……何に移せばいいんだろう。……あー、パス!

 

最後は”ひく”能力か。 速度をとりあえず”引いて”みる。 すると、どんどん減速していった。 540……310……190……凄い勢いで下がっていってる

 

地表からはまだかなり離れているけど、速度が緩やかになってきていた

 

 

「うおっ、と……!」

 

 

0になった途端に、身体が空中で止まった。 雲が間近に見えてる

 

 

{にゃにしてるんだにゃ?}

 

(速度を落としてたけど?)

 

{にゃんで止まってるにゃ?}

 

(能力を使って落としていったら止まった)

 

{…………}

 

 

なぜか黙ってしまった

 

 

{にゃあ、狼華}

 

 

リオが呆れたように話しかけてきた

 

 

{……もしその能力がにゃかったらどうするつもりだったんだにゃ?}

 

(うーん…………)

 

 

そんなこと、考えもしなかった

 

 

{……妖気とか霊気とか纏えばすぐに浮けたはずにゃ}

 

 

試しに妖気を纏って能力を切ってみた

 

 

「……あ」

 

 

…………体がふわふわしてる。 能力を切ったのに浮き続けてる

 

 

(……そんなの考えもしなかったよ)

 

 

ゆっくりと降りながら言う

 

なんでこんな簡単なことを、今まで思いつかなかったんだろう。 ……ちょっと焦っていたのかな

 

 

{ノヴァから教わらにゃかったのかにゃ?}

 

 

教わったこと……

 

 

(……力の制御だけ)

 

{……仕方にゃいにゃ。 ……まぁでも、自力で飛べるようににゃってよかったにゃ}

 

 

リオがその場に座り込んだ

 

地表付近まで急降下して、減速しながら降りていく

 

……妖気が遮っているのか、風がまったく当たってこない

 

ゆっくりと地面に近づいて、足から着地する

 

 

「にゃあ! ……にゃんで膝の上に来るにゃ」

 

「ぬくもりを感じていたいお年頃だから」

 

 

リオと対面して、ほおずりする

 

 

「や、やめるにゃ」

 

「やだ」

 

「繋と朔がいるから十分ぬくもりがあるにゃ」

 

「もう親離れする歳だから……」

 

「……ノヴァは?」

 

「しばらく忙しいって言ってるから……」

 

「そういえば言ってたにゃ」

 

 

はぁ……リオってあったかい

 

 

「んにゃ……? 狼華って軽いにゃ」

 

「……それ、ノヴァにも言われたし、白狗にも言われた」

 

 

どれだけ軽いんだろう……凄く気になってきた

 

 

「……調べてみるかにゃ?」

 

「うん」

 

 

リオが虚空に手を突っ込み、四角くて透明な板を取り出してきた

 

 

「ねえ、リオ」

 

「にゃにかにゃ?」

 

「リオはいつ亜空間ボックスをもらったの?」

 

「……和解したときにゃ」

 

 

確かその時にノヴァの印をつけられたんだっけ。 印をつけられたということは……あっ

 

 

「…………はかろっか」

 

「んにゃ」

 

 

リオが地面に板を置き、その上に私が乗る。 ……これ、やっぱり体重計だったんだね

 

少しして測定結果が出た

 

 

「……は、0.008キロ!?」

 

 

グラムに直すと8グラム。 一体、8グラムは何なんだろう

 

 

「軽過ぎにゃいか!? にゃかみ一体どうにゃってるにゃ!?」

 

 

これにはびっくりだよ。 軽いって言われてるからせいぜい20から30の間だと思っていたけど、まさか0.008キロだなんて……

 

試しに病衣を脱いで、全裸になってみる

 

 

「……0.001キロ……グラムで直してください」

 

「もはや風が吹けば吹き飛ばされる軽さ。 今まで風が吹いても吹き飛ばされにゃかった理由が知りたいにゃ」

 

「それはこっちも知りたい」

 

 

病衣と下着を着なおしてその場に座り込む

 

今まで強風があっても吹き飛ばされることはなかった。 ……普通だったら飛んでいってもおかしくないのに……

 

 

「……どうして、体重がほとんどなくなっちゃったのかな」

 

 

ぼそっと呟く

 

 

「……リオも測ってみて」

 

「んにゃ」

 

 

リオが体重計に乗る

 

 

「……56キロにゃ」

 

 

凹凸のくっきりした体つきからして、女性としては標準の体重だ

 

 

「……私だけ?」

 

「そうみたいにゃ」

 

 

体重計から降りたリオがその場に座り込む

 

 

「どうして私だけ……」

 

「考えてもきりがにゃいにゃ。 この話題はおしまいにゃ」

 

「うん……」

 

 

別に体重がほとんどなくても生活には支障がないからいいよね

 

 

「それで狼華」

 

「何?」

 

「安全にゃ場所は、閉鎖空間でいいかにゃ?」

 

「それでいいよ。 そこしかないと思う」

 

 

指導に使っていた空間……。 外部から一切の干渉を受け付けないから、安全な場所としては最適だ

 

 

「んで、リオ」

 

「にゃんだにゃ?」

 

「これから永琳のところに行くわけなんだけど、攻撃の時は念話の回線開きっぱなしにしておいたほうがいい?」

 

「んにゃ。 きまぐれで変更するかもしれにゃいから、そうしておいたほうがいいにゃ」

 

「わかった」

 

 

これで単独行動の問題点は解決できたかな

 

 

「……?」

 

 

やけに辺りが静かな気がする

 

 

「……どうかしたかにゃ?」

 

「……朔達は?」

 

「もう終わってるにゃ。 今は眠ってるにゃ」

 

「ふーん……」

 

 

時間を確認してみると、あまり経ってない

 

すぐ疲れて寝ちゃったのかな

 

 

「どうだった?」

 

「……知らにゃいほうがいいこともあるにゃ」

 

 

なにそれ……凄く気になる

 

 

「結末を知りたいかにゃ?」

 

「うん」

 

「簡単に言うと……朔がすごく乱れていたにゃ」

 

「それ、凄く見てみたかった」

 

 

ちょうどいいところで呼び出してくるんだから……もう

 

 

「事後の様子がそこの茂みで見れるにゃ」

 

「教えちゃっていいの?」

 

「自分のことじゃにゃいからいいにゃ」

 

 

……これからはどんどんロディにリオの写真を送ってあげよう

 

 

「すー……すー……」

 

 

立ち上がって茂みに向かっていくと、寝息が聞こえてきた

 

覗いてみると、幸せそうな表情の朔と白狗が抱き合って寝ていた

 

 

「…………」

 

 

私の時のようなことには、なってないみたいでよかった

 

戻って再びリオの膝の上に座る

 

 

「……またかにゃ」

 

 

……言う割には顔が嫌がってない

 

 

「それで、どうだったにゃ?」

 

「祈っておいて正解だった」

 

「……ノヴァには狼華に対する一途にゃ愛があるけど、祈ってどうとかはにゃいはずにゃ」

 

「でも、私の子供たちがいい相手に出会えたからいいよ」

 

「んにゃ」

 

 

リオが頭を撫でてきた

 

 

「狼華、あんまり無茶はしにゃいでほしいにゃ」

 

「大丈夫。 今回は単純だから」

 

「にゃらいいにゃ」

 

 

 

 

 

 

その後、しばらく撫でられ続けた

 

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

 

「……狼華?」

 

「……!」

 

 

物思いにふけっていると、永琳が心配そうな表情で見つめてきた

 

 

「大丈夫?」

 

「ちょっと過去のことを振り返ってただけ」

 

 

やましいことを隠しているわけではないので、包み隠さず言う

 

 

「そう」

 

 

店から出ると街灯が通りを照らしていた。 結界の表面が揺らいでいて水の中にいるような光景を映し出していた

 

 

「もう長が張った結界は消えてるみたいね。 あれはあの人が張ったものよ」

 

「わかるの?」

 

「見せつけられたから」

 

 

……散々だったね

 

 

「……もうじきね」

 

「うん……」

 

 

深夜0時までおよそ3時間。 計画発動と同時に一番目のロケットから時間差で発射されていく。 もう街の人たちは全員ロケットに乗り込んでいる。 なるべくロケットに近づいていなくては

 

小太刀、太刀、大太刀を召喚し、小太刀を残して亜空間ボックスに収納する。 小太刀を布に挟んで落とさないようにした

 

それと、赤カーソル以外に見つかってもいいように耳と尻尾を隠しておく

 

「……っ!」

 

 

頭にノイズが走る

 

 

{狼華}

 

 

リオからだ

 

 

{予定変更、手始めに特大のを仕掛けるにゃ!}

 

「永琳!」

 

「……っ!」

 

 

永琳の手を引いて通りを走る

 

……巻き込まれたら大変だ

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

ー少し前ー

 

 

 

 

ドーム状に覆われた結界から少し離れた森林で、私たちは身を潜めてその時を待っていた

 

 

「隷音、やるべきことはわかってるかにゃ?」

 

「ああ、大丈夫。 リオが私に力を送って、それで私が”あらゆるものを打ち砕く能力”を使って思いっきり結界にぶつければいいんだな?」

 

「その通りにゃ」

 

 

隷音のことは大丈夫か。 問題は……繋か

 

 

「……繋」

 

「何?」

 

「繋は他の妖怪たちと突撃するのかにゃ?」

 

「そのつもりだけど……」

 

 

やっぱりそうか……

 

 

「繋、私と一緒にいるにゃ」

 

「どうして?」

 

 

訝しげに繋が訊いてくる

 

 

「繋じゃ相手にできない奴が来るかもしれにゃいからにゃ」

 

「人間にそんなやつがいるの?」

 

「後悔しても遅いから、とりあえずだまされたと思ってついてるにゃ」

 

「はい」

 

 

これで大体いいか

 

ドーム状に張られた結界を見てみる

 

結界の表面が揺らいでいた

 

 

「…………」

 

 

術式構成を見てみる

 

 

「…………?」

 

 

前に見ようとしたときは妨害を受けたのに、この結界はすんなりと見ることができた。 ……まさか

 

……狼華が確か、結界内の時間の流れを変えているって言っていたはず

 

詳しく見てみると、案の定、そのようなものがなかった

 

……先手を打つなら今しかない!

 

 

「隷音!」

 

「!! 任せろ!」

 

 

狼華に念を飛ばす

 

 

(予定変更、手始めに特大のを仕掛けるにゃ!)

 

 

両手に隷音が一番馴染みやすい妖気を集める。 その状態で隷音の肩に触れる

 

 

「力が溢れてくる……」

 

「いいから早く構えるにゃ」

 

 

隷音が腰を深く落として頭を俯き、右足を半歩下げて右手を引いた

 

その間に、隷音の許容量を把握して限界まで流し込む

 

 

「右手が疼いてきたぞ」

 

「……もういいかにゃ」

 

 

肩から手を放すと同時に、自分に強化術式を施しておく

 

 

「溜めて……凝縮……」

 

 

隷音がぽつぽつと言葉を漏らす

 

右手から妖気が出始め、形を作っていっていた。 それが隷音の身長ほどになると、頭を上げた

 

 

「人間共! 括目しろ! これが私の愛の拳だぁあああ!!」

 

 

叫びながら、身体全体で右手拳を突き出した

 

轟音と共に放たれた妖気が波動を作り、地面をえぐりながら結界へと向かっていった

 

 

「なんだあの光は?」

「こっちにくるぞ! 結界を強化しろ!」

 

 

強化された聴覚が人間たちの声を拾った

 

 

「っく……! なかなか頑丈だな」

 

 

隷音が右手を押さえながらつぶやく

 

……実力が拮抗しているらしい

 

 

「手伝うかにゃ?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

 

額に汗が出てないところを見ると、そうでもないみたいだ

 

 

「送られた力だけ放ったからな。 私自身の力はまだ乗せてない。 だから……!!」

 

 

隷音の周りの地面が割れ始める

 

 

「全然余裕だ!!」

 

 

隷音が左手を前に突き出すと、元々大きかった妖気の波動がさらに大きくなり、光線ができた

 

 

「このままでは突破される!」

「射線上から離れろ!」

 

 

「あと一息にゃ、隷音」

 

「よし!」

 

 

隷音が突き出した両手を合わせ、球状に圧縮した妖気を結界に向けて飛ばした

 

凄まじい速度で

 

 

「これで、終わりだな」

 

 

球が結界に当たると、甲高い音を立てて結界が崩れ去り、球が街中の建物をなぎ倒して遥か彼方に飛んで行った

 

 

{うわっ!}

 

「……!」

 

 

……嫌な予感がした

 

 

 

 

<> <>

 

 

 

 

「……永琳……永琳」

 

 

呼びかけられて気が付くと、辺りが何も見えなくなっていた

 

 

「永琳……大丈夫?」

 

「狼華……?」

 

 

顔に生温かい液体が滴ってきた

 

ポーチからライトを取り出して放射させると、額から血を流した狼華が手をついて私に覆いかぶさっていた。 ……一体、何がどうなって――

 

 

「……!!」

 

 

狼華の身体から、いくつもの鉄骨が突き出ていた。 ……そうだ、攻撃が始まって流れ弾が建物に当たって、狼華がそれから庇ってくれた……

 

 

「狼華……」

 

「私のことはいいから……早く外に……」

 

 

苦しそうに告げてくる

 

近くを見てみると、がれき一か所だけ空洞が空いていた。 ……小さな穴だけど、そこから出られるかもしれない

 

 

「早く……」

 

 

身体を潜り込ませて、なんとかがれきの外に出る

 

 

「狼華……!」

 

「離れて……」

 

「……っ!」

 

 

這い出てきた穴から離れると、がれきが音を立てて崩れていった

 

 

「狼華!」

 

「はあっ!!」

 

 

叫びとともにがれきが後方に吹き飛び、中から狼華が現れた

 

 

「…………はぁ」

 

 

潰されたかと……思ったじゃない……

 

足の力が抜けてその場に座り込んだ

 

 

「永琳、右足腫れてる」

 

「……ほんとね」

 

 

必死だったのか、捻挫していることに気づかなかったみたい

 

ポーチから冷却パッドを取り出して足に巻く

 

 

「おんぶするよ」

 

「お願い」

 

 

狼華に助けられながら立ち上がり、背負ってもらう

 

 

「ロケットまで飛ばしていくよ」

 

「わかったわ」

 

 

発射時刻が変更されているかもしれない。 急がないと

 

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

 

「私が乗るところは、このまままっすぐ進めばいいわ」

 

「了解!」

 

 

倒壊した建物の破片を飛び越えながら、中央部に向かっていく

 

いきなり攻撃が始まるなんて……向こうで何かあったのかな。 建物の破片が落下してきたときはどうなるかと思ったけど、ちゃんと永琳を守れてよかった

 

 

「そこは工事中だから大きな穴が開いているわ」

 

「一気に飛ぶよ! 口閉じて!」

 

 

両足を思いっきり踏みこみ、跳躍。 妖気を足に纏って空を蹴りながら進んでいく

 

 

「距離感が……」

 

 

まだ遠くなのか、もう近くなのかわからない

 

 

「……それなりには近づいているはずよ」

 

「うん」

 

{狼華、無事かにゃ?}

 

 

唐突にリオの声が聞こえた

 

 

(無事だよ。 ……もう、いきなり予定変更しないでよ)

 

{先手をとるためには仕方にゃかったんだにゃ}

 

(それで、あの球を飛ばしてきたのは誰?)

 

{隷音にゃ。 こっちからだといくつか建物をにゃぎ払ったみたいだけど……}

 

(その建物の下敷きになったよ。 永琳も一緒に巻き込まれたからね)

 

 

 

{……その様子だと無事みたいにゃ。 今どのあたりに居るのかにゃ?}

 

 

えっと……

 

 

(時計でいうと、6にあたる道を中央に直進してる)

 

{……把握したにゃ。 ……っ!!}

 

 

一際強いノイズがきた

 

 

(リオ……?)

 

 

……返事がない。 向こうで何かあったのかな

 

身体を半身反らして後方を見てみると、遠くで光の柱がいくつも立っていた

 

 

「あれはいったい……」

 

 

思わず声がこぼれる

 

 

「あれは戦術兵器の一種ね。 どういう原理かはわからないけど、囲むようにして放っているのは確かね」

 

「捕縛の一種かな」

 

「そんな甘いものじゃないでしょうね。 跡形もなく消す類のものね」

 

「…………」

 

 

すぐに伝えたいけど……念話を繋げることができない

 

……リオならすぐに気づいてくれるかな

 

 

「あなたみたいに首輪をつけた子がいるのなら、大抵の兵器に干渉してくれるわ」

 

 

永琳を届けたらすぐに向かわなくちゃ

 

前に向き直って、走る速度を上げる

 

 

「……っ、見えてきたわね」

 

 

ロケットの下にある建物が間近に見えてきた

 

 

「直進よ」

 

「わかった」

 

 

減速してロケットのそばの建物に入っていく

 

 

「君は遊撃隊の者か?」

 

 

ロケットの入り口の前にいる武装した男性から呼び止められる

 

……ここは適当に合わせるしかない

 

 

「そうだよ。 逃げ遅れた人がいたから運んできた」

 

「……! 大先生じゃありませんか。 今までどこに?」

 

「最後のショッピングを二人で楽しんでいたのよ」

 

 

永琳を降ろす

 

 

「狼華……また会えるわよね?」

 

「もちろんだよ。 さ、行って」

 

 

背中を押してロケットに押し込む

 

 

「約束よ?」

 

「約束する」

 

 

そう告げて、元来た道を戻っていく

 

……長い間別れてるだけだから問題ない。 ちゃんと守れる約束だ。 何も起こらなければまた会える

 

……私がやるべきことは……赤カーソルを消すこと。 その前にリオたちを助けないと

 

リオの気をたどってゲートを開き、一気に飛び込んでいく

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

一気にゲートを抜けると、首に微かに違和感が走った後、辺りに爆音が響き渡った

 

 

「!! 狼華、つにゃがらにゃかったから心配したにゃ」

 

「こっちこそ心配したよ。 繋は?」

 

「ダウンしたから閉鎖空間にひにゃんさせておいたにゃ」

 

「…………」

 

 

気に当てられたか。 ……けど、心配していたことがなくなった

 

 

「あと少しで発動できたのに」

「忌々しい奴らめ……」

 

 

武装集団の声が聞こえてくる

 

ふと、空にロケットが飛び立っていくのが見えた

 

……あれで、最後か

 

 

「…………」

 

 

流れ弾に当たらないように障壁を張りつつ、赤カーソルを探していく

 

門の付近には……いない

 

 

「探しているのかにゃ?」

 

 

隣で魔弾を放ちながらリオが訊いてくる。 正にその通りだよ

 

 

「どうやら街のにゃかにいるみたいにゃ」

 

「うん」

 

 

考えていることは同じみたいだ

 

 

「ちょっと時間を稼いでくれるかにゃ? 数秒でいいにゃ」

 

「いいよ」

 

 

障壁をドーム状に展開する

 

 

「ようやく、二つ目の能力のお披露目の時がきたにゃ。 星の力、とくとご覧あれにゃ」

 

 

リオが指を鳴らすと同時に地面から岩の槍がたくさん飛び出してきた。 それらが壁に向かって突き刺さっていく

 

 

「これでオッケーにゃ」

 

「なかなかに……地味」

 

「…………にゃんでそういうことをいうかにゃあ……」

 

 

口があるんだから仕方ない

 

 

「……でも、これで道は作れたにゃ」

 

 

見ると、一本だけ壁を越えているものがあった

 

 

「あ、あんまり派手にやると星が枯れちゃうからにゃ。 これ以上はできにゃいにゃ」

 

「……無理してない?」

 

「…………」

 

 

リオが顔を背けた

 

 

「……あまりいじわるしにゃいでほしいにゃ」

 

「はいはい」

 

 

小太刀を鞘から出し、まるで、木の根のように複雑に絡み合った岩の槍に飛び乗る

 

 

「リオは来る?」

 

「隷音を連れて後から行くにゃ」

 

「了解」

 

 

足場に飛び移りながら、上へ上へと登っていく

 

高さが壁と同じくらいになると、そこから一気に壁を超えるように飛ぶ

 

 

「……!!」

 

 

壁の上で、仁王立ちしてこちらを見上げてくる赤カーソルを見つけた

 

 

「……っ!!」

 

 

両足に妖気を纏い、軌道を変えて一気に赤カーソルに接近する

 

 

「かはっ……!」

 

 

力の限り蹴り、街の中に吹き飛ばす。 吹き飛ばされた赤カーソルは、地面をえぐりながら体勢を立て直した

 

その場に着地して、即座に走っていく

 

 

「てめぇ……」

 

 

赤カーソルが見覚えのある魔法陣を展開してくる

 

……動きを止めてくるつもりか。 同じ手は二度も食わない

 

小太刀を逆手に持ち直し、ジグザグ軌道で肉薄する

 

 

「掛かったな!」

 

 

赤カーソルが青白い剣を振り上げてくる

 

……全然遅い。 余裕で避けられる

 

避けるついでに、逆袈裟に切りつける

 

 

「ぐあっ!」

 

 

よろけたところに続けざまに斬撃を放つ

 

 

「くっ……!」

 

 

それにはやられまいと、赤カーソルが防いでくる

 

剣を割る勢いで、小太刀を握った手に力を入れる

 

 

「……っらぁ!」

 

 

赤カーソルが剣を横なぎに払う

 

後ろに少し下がり、間合いを取る。 その際に、小太刀から大太刀に持ち変える

 

 

「……おまえ、刀を作り出す能力持ちか」

 

 

……残念だけどはずれだ

 

 

「面倒なのを残しちまった……」

 

 

魔法陣を展開しながらぶつぶつと呟く

 

……術式は……あの時の稲妻か。 ……いいことを思いついた

 

能力を使い、術式の構成要素から指向性を”引き”、代わりに自分自身にかかる術式を”移す”

 

 

「『雷竜行軍』!!」

 

 

そんなことは知らずに術を発動させた

 

 

「ぐおあっ!!」

 

 

赤カーソルが自身の術式をまともに受け、吹き飛んでいく

 

太刀に持ち替え、近づいていく

 

 

「……ちくしょう」

 

 

手足が吹き飛び、身体の所々がえぐられた姿がそこにあった。 損傷が激しいのにもかかわらず、血が一滴も出てきてない

 

それに……まだ生きてる。 ……そうか、こいつは不死なんだ

 

……なら好都合だ

 

 

「っぐ……」

 

 

身体をまたぎ、太刀を深々と突き立てる。 そのまま左右に動かして切り刻んでいく

 

原型を留めなくなると引き抜き、再生して元に戻ると小太刀を作り出して手足に刺し、地面に縫い付ける

 

 

「身体の中を掻き回される気分はどう?」

 

「…………」

 

 

無言。 ……聞くだけ無駄だった

 

……蹴ったときとか声漏らしていたし、当然痛みを感じているよね

 

再び刺してぐちゃぐちゃに掻き回す

 

 

「…………」

 

 

……元はといえばこいつのせいで、私は死にかけるところだったんだ。 それなりに報いを受けてもらわなくちゃ、こっちの気が済まない

 

 

「ろ、狼華……」

 

「……?」

 

 

遠くからリオの声が聞こえてきた。 手を止めて声のするほうを向くと、リオがこちらに向かってきていた

 

……せっかくもっと楽しもうとしたのに……すっかり冷めちゃったよ

 

 

「隷音は?」

 

「後から来るにゃ。 戦いが終わってにゃいと思ったからにゃ」

 

「そう」

 

 

地面に磔にした赤カーソルを見る

 

 

「へっ……仲間がいたのかよ……」

 

 

……これ、どうしよう

 

 

「狼華、宝玉に手を向けるにゃ」

 

 

考えていることが表に出ていたのか

 

言われたとおりに右手を赤く輝く宝玉に向ける。 すると、手から白い靄が出てきた

 

 

「後は握りつぶすにゃり、切り払う動作をするにゃりして宝玉を壊せばいいにゃ」

 

「…………」

 

 

切り払う動作って……直接触れなくてもいいのかな

 

小太刀を取り出して宝玉の前の空間を切ると、宝玉が砕けた

 

 

「……俺は……この物語の主人公なんだよ……。 えーりんルートを通って……俺の嫁にするはずだったのに……それをてめえらが邪魔しやがって……」

 

「…………」

 

 

……し、知らないよそんなの

 

 

「妖怪なんて邪魔だ。 全員まとめて……消滅しちまえばいい……」

 

 

宝玉が砕けると、赤カーソルの身体が少しずつ粉になって宝玉に吸い込まれていった

 

 

「そうだ……邪魔なてめえらに最高のプレゼントをしてやる」

 

「……!」

 

 

周囲が一気に暗くなる

 

見上げると、空を覆うほど巨大な岩がゆっくりと近づいてきていた

 

 

「リオ!」

 

「わかってるにゃ!」

 

「狼華! リオ! 何が起こってるんだ?」

 

 

ちょうどいいところに隷音が来た

 

 

「てめえら全員道連れだ!」

 

 

そう叫んで消えていく。 赤く輝く宝玉は色を失って虚空に吸い込まれていった

 

 

[こっちで受け取ったわ。 早く避難しなさい] 

 

(どうにか押し戻せないの?)

 

[こっちで干渉したけど無理だった。 この意味がわかる?]

 

(…………)

 

 

リオを見る

 

気まずそうな表情をしていた

 

 

「狼華……」

 

「……わかった」

 

 

リオが術式を発動させ、入り口を開いた。 空から岩が落ちてくる前に急いで中に入る

 

 

「っ…………」

 

 

隔離されているはずなのに、空間全体が振動した。 ……もう地表に落ちてきたのか

 

 

「お母様……」

 

 

中にいた朔が不安そうな顔をして寄ってきた

 

 

「大丈夫……大丈夫だから……」

 

 

それを優しく抱きしめる

 

 

「あれじゃあ……全員生きてないか……」

 

 

隷音がぼそっと呟く

 

 

「……っ!」

 

 

小さな破裂音と共に、首筋に痛みが走った。 もしやと思って首輪を外してみると、備え付けられていた装置が壊れていた

 

……これじゃあ……永琳と連絡がとれなくなっちゃったな

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

「狼華は合図したら出てくるにゃ」

 

「うん」

 

 

リオが体中に保護術式を張り巡らせて空間の外に出た

 

少しすると、頭にノイズが走った

 

 

{来てもいいにゃ}

 

(わかった)

 

 

出口のほうに向かう

 

 

「一緒に行ってもいいか?」

 

「駄目。待ってて」

 

「……わかった」

 

 

出口の前に立ち、リオが張り巡らした術式と同じものを張り巡らせる

 

 

「それじゃあ、行ってくるよ」

 

「ああ」

 

出口を抜けるとそこは、辺り一面が火の海になっていた。 所々で火山が火を噴き、まるで原始の地球に戻ってしまったかのようだった

 

 

「…………」

 

 

とりあえずリオを探す

 

 

「……こっちにゃ」

 

 

声のするほうを見ると、その場に座り込んで肩で息をしているリオの姿があった

 

 

「一体どうしたの?」

 

「各地に仕掛けておいた術式を一斉に発動させたから。ちょっと疲れただけにゃ」

 

 

各地に仕掛けて同時に発動させたって……リオなら息切れしないはずなのに

 

 

「……狼華これから言うことをよく聞いてほしいにゃ」

 

「……?」

 

 

真剣な声音でリオが話しかけてくる

 

 

「超巨大な隕石が衝突したせいで、今この瞬間にこの星の命が尽きようとしているにゃ」

 

「! それって……」

 

 

リオが座りなおして術式を展開し始めた。 空に線が浮かび上がり、地平線へと伸びていった

 

 

「……だから、惑星を覆うほどの術式を展開して、星の生命力を他の惑星から供給するにゃ」

 

「…………」

 

 

無言でその場で術式を展開する。 同じように空に縦横無尽に線が伸びていった

 

……木は燃えて火を生み、物が燃えた後には灰が残り地に還り、土からは金属が生まれ、金属の表面からは凝結で水が発生し、その水で再び木が育つ

 

生の循環を意識して、細かく細部まで術式を描いていく

 

完成し、その術式の名前を口にする

 

 

「……『御霊廻り』」

 

 

術式が発動しても、全く効果が見られなかった

 

 

「! ……狼華、ありがとう。 これで決心がついた」

 

 

リオがおもむろに立ち上がり、両手を合わせた

 

 

「リオ……何を……っ!」

 

 

眩しい光に目をつぶると、ピキピキと氷の張るような音が聞こえてきた

 

目を開けると、結晶で身を包んだリオの姿がそこにあった

 

 

「私の中にいる星霊が使命を思い出したらしくて、この星を守ってやってほしいんだと」

 

「…………」

 

「狼華、さっきの術式はまだ残ってる?」

 

「……え? うん……」

 

「それはそのままにしておいて」

 

 

リオが既存のものに加え、新たな術式をいくつも展開し始めた

 

……これが……リオの本気なの……?

 

 

「っ……」

 

 

新たな術式を構成し終わるとリオが膝をついた

 

 

「リオ……!」

 

「来ちゃだめ!」

 

「……!!」

 

「大丈夫だから……パイプラインを繋いで供給するだけ……」

 

 

空に描かれた模様がさらに細かくなっていった。 ……あれが繋げる術式……

 

 

「完成……供給開始……っ!!」

 

 

そこらじゅうに張り巡らされた術式が一斉に光り始めた

 

 

「……っ、……くっ……」

 

 

苦痛に顔を歪めながらも、リオが必死に繋ぎ続ける

 

 

「うわっ!」

 

 

唐突に衝撃が体を襲い、ものすごい勢いで吹き飛ばされた。 受け身を取る前に岩に激突して、身体がしびれた

 

いったいどこから……

 

 

「……!」

 

 

ふと、空を見てみると術式が光っていなくなっていた

 

……もう終わったのかな

 

治癒をかけつつ立ち上がり、リオのもとに向かう

 

 

「……!!」

 

 

肉眼で確認できる位置までくると、リオが元の人の姿になり、血だらけになって倒れていた

 

 

「リオ、しっかりして!」

 

 

駆け寄って抱き寄せる

 

 

「……狼華……そこにいるの?」

 

「……! 目が見えないの……?」

 

 

リオの右手が宙を漂う。 それを握って、ここに居ることをわからせる

 

 

「……これでこの地球が……今すぐに滅びることはなくなったよ……」

 

「喋っちゃダメ……今すぐ治癒するから……」

 

「狼華の作っておいた術式も……ちゃんと機能しているから……環境も元通りになる……」

 

「リオ……」

 

 

お願い……もうしゃべらないで……血が止まらないよ

 

 

「ここまで命を掛けられたのは……狼華のおかげだよ……」

 

「…………」

 

「守りたくなったから……なのかな……」

 

「仲間っていうか……それ以上に背中を任せられる……」

 

「そんなこと言ったら……ノヴァはどうするの?」

 

「…………」

 

「私よりも先に出会ったんでしょ? 打ち解けて仲間になったなら……生きていてよ」

 

 

堪えきれずに涙があふれてきた

 

 

「…………」

 

「……何とか言ってよ」

 

「……転生できたらまた会いたい」

 

「……!」

 

 

リオの身体が光に包まれていった。 その光に巻き込まれる

 

 

「リオ! 駄目!」

 

 

支えている手に重みを感じなくなり、気づけばリオの姿はどこにもなかった

 

 

「………………」

 

 

支えていた手を見る

 

血に塗れた手にはまだぬくもりは残っていた。 ……けど

 

……いなくなっちゃった……。 あの時のノヴァとは違って、もう……ずっと戻ってこないんだ……

 

 

「お母様……?」

 

「……」

 

 

朔の声が聞こえた

 

 

「……リオは……リオはどこ?」

 

「…………」

 

「……どこかに行っちゃったの?」

 

「……そう」

 

 

……また……一人抜けて寂しくなっちゃったな……




これにて始の章は完結

感想で「これってなんなの?」的な疑問を頂いたので書かれていたこと、個人的にわかりづらいものをここに書いておきます

まず初めに狼華と龍人の関係のことですが、前に 狼華=あいつ=彼 って書いた(多分あとがき)と思いますけど、彼とは龍人のことです。 =で結んだのは吸収されたからということで書きました。 多分=で結んだのが原因で、中身が龍人のままって思ってしまったのではないかなぁ、と個人的に感じています。 ……ややこしいことを書いてしまって申し訳ないです

次に狼華自身のことです。 ……気づいた方がもしかしたらいるかもしれません。 今の狼華の意識を司っているのは、ノヴァが龍人の魂を吸収させた空の魂です。 何かがきっかけで意思を持ったんですね。 なぜノヴァが空の魂を持っていたのかというと、一度、別の傷ついた魂を送り出した時にやってしまったから、そうならないようにスペアパーツとして作っておいたからです。 裏話をさせていただくと、ノヴァは本来は吸収ではなく融合をさせるはずだったんですが、龍人の場合は、今にも消滅してしまいそうなほど傷ついていたので、融合では駄目だ、というわけで吸収に至ったわけです。
それで、ロディが、龍人の魂は確かにそこに存在してるうんぬんの話をしていましたが、龍人の意識は表にはまだ出ておりません。 まだということは……


そして、狼華の性に対する適応速度ですね。 これは言わずとも知れていると思いますが一応……
実は狼華が自分から進んで受け入れているのは、今のところ、ノヴァに会いに行く時と、知能がまだない未成熟の時しかないんです。 それ以外はどうかっていうと……全て黒ノヴァによって強引にやられているわけです。 強引といってもそこまでSなことをされているわけではなく、むしろソフトなことをされているかもしれないんですが、事後の狼華が何気に嬉しく思っている(はず)ところで、狼華のM気質がちらちらと見えてます。  追伸で何気に残してきたもの(狼華はM)は無駄なものばかりではなかった(; -_-)

次は転生関連について。 関係がなくなってきているのではないか? と言われたので自分で読み直したり、今後の展開を交えつつ考えてみたのですが……これってどういう捉え方をすればいいのでしょう?
転生者が主に動いているという風に見ると、にじファンで投稿したのを覚えている方は知っていると思いますが、後々に続々と登場するし、忘れているかもしれませんが、永琳も転生者(青の記憶なし)が憑依しているので関係はなくなってはいないと感じています。 ……難しいですね
 
最後は龍人について。 ……言うことがほとんどネタバレだ……
もし、物語的に言うのなら……一部始終ずっと見ている、ってことくらいですかね

大体これくらいです


以下、この話の件↓


現在から過去にさかのぼらせる表現って難しい

そして計画実行(作者が)。 朔は白狗と結ばれました

思考と口調が全くかみ合わないリオ。 真面目な描写が無に帰す

狼華が命名した二つの術式の説明
『不死の呪界』…何十にも重ねた障壁の層を球状に展開する。 自分より上位の術者を除いて、中で供給している限り、破ることはできない。 
『硝子の盾』…正面からきた特殊な攻撃を全て防ぐ、叩いたら壊れる盾。 敵が叩いても敵の方へ飛んでいく、狼華が自分で考えた中で割と使える術式
なぜ、上位のリオの攻撃に耐えきれたのか? ……フラグです

狼華 VS 第一の赤カーソル。 狼華が何気に狂気の片鱗を見せるほど恨みを持っていました

赤カーソルによって落とされた超巨大な隕石。 ちなみに落下地点は太平洋です。 巨大な隕石が地球にぶつかると、ただクレーターを作るだけではなく、地殻津波を引き起こし、めくれたところから岩石蒸気が噴き出して、地球を包んでしまうらしいです。 残念ながら、リオの作った閉鎖空間に入れなかった名前の出ないモブの方たちは全滅してしまいました。 生き残ったのは名前があるメインとサブの方だけ……。 ……昔見た隕石衝突のシミュレーションがインパクトが強すぎて、思わずネタにしてしまいました

技名とか服装が和風な狼華。 事の発端は甚平でした

新たに作り出した術式はいずれどこかで使う機会が訪れるでしょう

メインであるリオが……(;;)


P.S 作者はバッドルートにする気はさらさらない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。