光が差してくる
「……っ」
眩しくて目を細めた
目が慣れてくると、目の前は何もかもが白色で塗りつぶされていた。 白い木に白い大地……まるで、白だけを残して、すべての色が消え去ってしまったかのように……
そんな辺り一面が真っ白な場所に、私は衣服を纏わずに立っていた。 目の前には人工的に作られたかのような一本の道が出来ている
私はなぜ……こんなところにいるんだろう……。 確か……なんだったっけ?
考えていると、足が勝手に前に出た。 足音が辺りに響きわたる
「―け、―――だ」
どこからか、ノイズ交じりに少年らしき声が小さく聞こえてくる
急げ、とでも言っているんだろうけど……急ぐ理由がわからない
そのまま歩き続けると、視界にヒビが入った。 体に力が入らなくなって、前のめりに倒れこんで動けなくなる
「―し――と」
またしても声が聞こえてくる。 今度は少女の声。 小さくて聞き取れない
「……」
ある程度経つと、視界が元に戻って身体が動くようになった
「……!!」
立ち上がり、周囲を見渡すと辺りは所々黒い染みが広がり始めていた
そんな中でも目の前には、未だ黒くなっていない一本の白い道があった
「前に進め。 歩くんだ」
「!」
今度ははっきりと少年の声が聞こえた。 このまま進めばいいのかな
足を再び前に踏み出す。 地面が波紋を作った
前に進めば進むほど、それに合わせて周囲に黒い染みが広がっていく。 その染みが少しずつ、ほんの少しだけ道に出てきた
後ろのほうではきっと、黒一色になっているに違いない
「…………」
歩いていると、なんだか足が重たくなってきた……
下を見ると、さっきまで白かった部分がいつの間にか黒く染まっており、足が沈み込んでいた
「足を止めちゃだめだ!」
少年の声
そう言われても……足を動かせない……
もがいていると、目の前に亀裂が入る
「繋がった……!」
ノヴァの声だ。 亀裂の中から聞こえてくる
さらに亀裂が広がっていく。 なぜか段々と上に上昇していっている
視線を下におろすと、もう腰まで沈んてきてしまった。 これは……非常にまずいのかもしれない……
「狼華! 手を伸ばして!」
ノヴァが亀裂から身を乗り出してこちらに向かって叫ぶ
どんどん沈んでいく中、言われたとおりに右手を伸ばす
「っぐ……」
身体が完全に沈む前に手首を光が包んだ
足のほうから何かが這い上がってくる。 それが伸ばした右手まで来たとき、黒い蔦のようなものだとわかった
<<ニガサン……>>
憎悪に満ちた声が頭に響き渡る
その声とともに、凄まじい力で身体が完全に引きずり込まれた
「…………」
真っ黒な空間の中、自分の身体だけが見えていた。 体中に黒い蔦が巻き付いている
「……!」
身体に何か、冷たいものが入り込む
「っ……!!」
憎しみと恐怖……それもとてつもないほどの量だった
「……っ……ぁ……」
膨大な負の感情に、意識を吹き飛ばされそうになる
必死に堪え、耐え忍ぶ
「…………」
憎悪に負け、押しつぶされようとしたそのとき、唐突に浮遊感に襲われた
右手が上へ引っ張られ、どろどろとした感触が体中を通り抜けていく
混濁した意識の中、水面を出たような感覚を感じた
「あと少し……!」
上を見ると、身を乗り出したノヴァが必死に光の帯を手に引っ張っていた
身体が徐々に抜け出していき、亀裂のほうへと向かって行く。 亀裂に近づくと、直接ノヴァが手をを掴んだ
「腕輪を全部解放して!」
「……!」
蔦が絡み付いたまま、なんとかして左手で腕輪に二回触れる。 すると、力を全て解放した瞬間に衝撃波が走り、蔦が吹き飛んだ
その間にノヴァが一気に引き上げ、身体が入りきると同時に亀裂を塞いだ
「はぁ……」
ノヴァが息を大きく吐いて、座りなおした
引き上げられた私は、そのまま仰向けに寝転がる
「狼華、大丈夫? なんともない?」
光の帯を仕舞いながら、ノヴァが訊いてくる
精神的に辛いけど……そこは、ノヴァと再会できた嬉しさでなんとかなった。 10億年ぶりの再会……。 時間が曖昧な向こうでは、数時間程度しか経っていないんだよね
身体的には……所々に黒い液体が付着しているけど、これといって問題なさそうだ。 肩も、右手だけで支えられていた割には何の異常もない
特に悪いところは――
「っ……!」
首に、金槌で殴られたかのような鈍い痛みが走った
「狼華……?」
心配そうに訊いてくる
あんなことがあったんじゃ……隠しているわけにはいかない
「首の辺りが痛い」
「…………」
痛むところを告げると、ノヴァが馬乗りになってきた
「……え?」
「……」
私の上半身を抱き起こし、大きな三対の翼で覆い、長い尻尾を巻き付けてくる
「ノヴァ……?」
「…………」
唐突な行動に、訳が分からなくなった
状況がわからないまま、ノヴァが顔を近づけてきた。 そのまま目を閉じて唇を重ね、舌を入れてくる
「んっ……」
抵抗せずに受け入れると、ノヴァの身体が淡い光を放ち始めた。 それと同時に、体が少しずつ軽くなっていく気がした
「…………!」
気が付くと、ノヴァが私の後頭部に手を回して逃がさないようにしていた
……ここまで積極的だったのって、黒ノヴァ以来だったかな
積極的というか……暴力的だった
「……はふっ……」
「っ、……んんっ……」
心なしか体がだるい……
また、力を注いでいるのかな
「…………」
息が続くまでやるかと思ったら、ノヴァから出た光が収まっていった
完全に収まると、唇が離れていった。 その軌跡を唾液が糸を引く
「…………」
無言。 私が
「……おしまい」
「…………何が?」
思わず聞き返した
「治療。 首の辺りが痛いって言ってたから」
「あ、うん……ありがと」
「どういたしまして」
アツーイ接吻が治療なんて聞いたことないよ……というかどんな治療をしたし
愛は妙薬、っていうのは知ってるけど
「ん……」
ノヴァの翼が顔にかかる
前々からそうなんだけど、なぜかノヴァは翼を畳んでもすぐに広げてしまう。 広げて垂らしておいてる。 畳んだままにしていると畳んでいるのを維持するのに疲れるようです。 垂らしているのに不思議と地面を擦らないんだよね。 謎の力場でも発生しているんだろうね
……っとそうだ、重要なことを聞いていない
「……ノヴァ」
「なに?」
「ここはどこ?」
ノヴァの肩越しに、辺りを見回してみる
風景は茜色に染まっており、黄昏ていた
「ここは、器から外れたものだけが来ることができる場所」
私の髪を弄りながら、ノヴァが言った
「……?」
「たとえば、精神とか意識とか……魂とかね」
「器って?」
「肉体のこと」
即答
「それで狼華……なんであんな場所にいたの?」
怪訝そうに訊いてくる
「あんな場所……?」
どこのことを言っているんだろう……
「……わからないんだった。 あそこは、ちょうどアレを封じている場所のすぐ外側なの」
「……!」
「すぐ外側だから、アレの物理的な力もわずかながらに届く。 あの黒い蔦はそれだよ」
あれがそうなのか……
「それで……どうして?」
「赤カーソルから攻撃を受けたから」
「……もう少し詳しく」
「青白い剣は避けたけど、魔法陣から出てきた雷が直撃した」
「わかった」
何がわかったんでしょう……
「赤カーソルにはね、不死を殺す術があるの」
それはリオからも言われた気がする
「致命傷には至らなかったみたい」
「わかるの?」
「さっきついでに調べてみた」
「へ、へぇ……さっき?」
「治療の時」
……ああ、光ってたときね
「魂を消滅させるには、蝋燭の火でいうと芯の部分を狙わないといけないの。 狼華の場合は、火の部分に全部当たっていたの」
「う、運がいいね……」
あの時はかなり拡散してきたけど、収束して放ってきたらかなり危険だったのかな
「それで……狼華があそこにいた理由は、魂が離れるときにアレに吸い寄せられたってこと」
「直接?」
「うん。 前々から狼華は付け狙われているからね。 極上品だと思われてるんじゃない?」
ご、極上品……
「やだなぁ……」
物理的に食べられるのは
「守ってあげることぐらいは……出来るからね、狼華?」
「すごく心強い……」
どうせなら迎え撃ってほしいけど……無理かな
「……ん?」
ノヴァが何かに気づいたみたいだ
「どうかした?」
「狼華、首筋に紋章が……」
紋章?
「ノヴァのじゃないの?」
「違うよ。 これはアレのもの。 ……マーキングされちゃったか」
「…………」
衝撃的なことを言われ、体が硬直した
「安心して。 眷属のとは違うし、簡単に取れるから」
「ふぅ……」
それを聞いて安心した
「どんな方法?」
「……それを言う前に、こっちから一言いい?」
「何?」
じっとノヴァが見つめてくる
「な、何でしょう……?」
「狼華は……その……」
恥ずかしそうに顔を赤らめてくる
「三人目……欲しい?」
「え……?」
再び硬直
「無理なら別に……いいよ?」
「…………」
三人目か……
あの倦怠感はあまり味わいたくないなぁ……。 気絶するほど力を持っていかれるのは辛い……
だけど……にぎやかになるのはとても嬉しい。 だから――
「欲しいよ、ノヴァ」
「……無理してない?」
「無理してないよ。 無理でもするけど……」
「むちゃくちゃだよ……でもありがと。 力が完全に戻ったらね」
ノヴァが私の身体から尻尾をほどき、支えるのをやめてゆっくりと寝かしてくれた
今すぐではないんだ……
「…………」
馬乗りのままノヴァが考えこむ
「……ノヴァ?」
「うーん……ほんとになるのかな……」
「……何が?」
「ちょっと待ってね……」
ノヴァが虚空に手を突っ込むと、怪しげな液体の入った小さめの瓶を取り出した
「私も一応、魂だけの存在だよ。 この場所は平等に魂だけしか入れないからね」
「ふ~ん……」
なんでもありかと思ったけど違ったみたい
ノヴァがビンを見せてくる
「この液体を飲めば、身体が大きくなるみたいなの」
「その……いかにもな液体が?」
「うん」
そういえばロディが、ノヴァの身体は固定化されていて変化できないって言っていたっけ
ということは……ロディは新薬を作ることに成功したってことか。 流石ロディ、ノヴァのことを隅々まで知っていることだけある。 いずれ私の身体もすべて知られてしまうかもしれない
ポンッ
小気味良い音を立てて、ノヴァがビンの栓を取った。 ビンの口元から怪しげな煙が出てくる
「うわぁ……狼華、飲む?」
私が飲んでどうする
「ノヴァ専用なんだから飲みなよ」
「うん……んっ」
ノヴァが口をつけて一気に中の液体を飲み干した
「……っはぁ、薬のくせに美味しかった。 一気飲みして損した」
「は、はは……」
味を変えることもできるのか……あの神様は
「うーん……そんなに早くはこないか」
「即効薬でもすぐこないよ」
果たして、凹凸の少ないノヴァの身体はどう変化していくのか……見物だ
「……あれ? なんだか視界が白くなって……」
ノヴァの身体が再び光を放ち、繭のようにどんどん覆っていく
薬を飲んだだけで光に包まれるなんて……ロディ、恐るべし
「変化中は見せてくれないの?」
「私に聞かないで」
ノヴァの不満を受け流す
「眩しい……」
「目をつぶっておいたら?」
「そうする」
まだまだ光に包まれたままだ
一体いつになったら終わるんだか……
……今、カチッて音が聞こえた気がする
「まだ?」
「ま――」
まだって言いかけたその時に光が収まり、中から七対の翼を生やした美女が現れた
身体の凹凸が目立ち、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいた
「もういいです」
「ん……」
ノヴァが静かに目を開け、こちらを見下ろした
「……っ」
なんだかすごく……神々しいというか、禍々しいというか……崇めたくなるような容姿をしておられました。 シチュエーションも、ノヴァが馬乗りになって見下ろしてきてるし……何かにめざめてしまいそうです。 めちゃくちゃにされたいという何かに。 このお方なら私の全てを捧げてもいい! っていう何かにです
「私……何か変わってる?」
気づいておられないようです。 声も少しだけ大人っぽくなってるはずなのに……
「ご自身の眼で確かめられると」
「……なんでへりくだってるの?」
「そう言いたくなるお姿なので……」
「もう……」
ノヴァが全身が映る鏡を脇に出現させた
「これが……私?」
すごく驚かれていました
「そうでございます……」
「気持ちはわかったから……もういいよ」
「うん……」
……やめた
「狼華……」
「何?」
「成長しても……私の身体は狼華に負けているんだね……」
ノヴァが私の胸を見てから自身の胸を見る
ノヴァの胸は大体……Eカップくらい。 それに比べて私の胸はGカップくらい
……うん
「うぅ……どうしてそんなに大きいの……?」
「それは……」
言えない……言えるわけがない
暴走したノヴァが手に魔力を込めて揉みしだいた結果が、これだなんて……
ノヴァ自身がそうさせたなんて……言えるわけがない
「その胸についた余分な脂肪分を半分ほど頂戴」
なんて恐ろしいことを……
「……やっぱいい」
「ふぅ……」
「…………」
表情がなんだか悲しそうだ
……大きいほどいいってものじゃないけど、そのことをノヴァには言えないや
「ねえ狼華……」
「ん?」
唐突にノヴァが訊いてくる
「どうしたら……大きくなれる?」
「揉んだら大きくなると思う……」
「…………」
無言で揉み始めた
「…………」
……拝啓、ロディ様へ
今、私の目の前で七対の翼を生やした美女が、頬を赤らめながら胸を揉みしだいています。 それなりに大き目なのに私よりも小さいのが悔しいのか、大きくしようと頑張っています。 ねえロディさん、この光景を動画か静画にしてあなたのもとに送ってもよろしいでしょうか? よろしいですよね。 滅多に見られない光景なので送っておきます。 追伸 盗撮したものを堂々と見せびらかさないでください
……と、脳内で勝手に手紙でも書いてみる
……これが、世に言う絶好の撮り時というものか
なぜか鉛のように重くなった腕を虚空に突っ込み、四角いキューブを取り出す
ノヴァは今、目をつぶっている。 開け始めは……
能力発動。 ”先の出来事を少し視る”
……すぐだった
キューブを展開してノヴァを写す
目を開け始めた瞬間を狙って……
「んっ……」
連写
「ろ、狼華……///」
……気づかれた
「もう……」
ノヴァが自分の胸を揉むのをやめ、脇に退いた
「……?」
頭のほうに回られ、体を起こされる
「な、何を……」
「~♪」
なんか上機嫌? だ
そのままノヴァが後ろから胸を揉み始めた
「ひゃっ……!」
「相変わらずのお触り心地……」
「……///」
それを耳元で言われると……恥ずかしい
「んふふ……」
揉んでくる手の動きが多様になってきて、体が疼いてくる
優しくしたと思ったら強くしてくる。 ……そういえばノヴァはマッサージが上手かったんだっけ
「あっ……」
手を止められた
「どうしたの?」
「むぅ~……」
遊ばれてる、絶対遊ばれてるよこれ……
後ろで絶対に悪戯な笑みを浮かべてるよ……
「……そうだ、刻印取るんだったね」
「わすれっ―――!!」
しゃべりかけようとしたら胸の突起をつままれた。 電流が走ったような感覚が全身に渡り、体が勝手に反応して背中が反った
「はぁ、はぁ……」
強烈すぎて呼吸が……
「どうかした?」
どうかした? って……わかってるくせに……
「…………そこはだめ///」
「どうして?」
「……体が……おかしくなっちゃうから///」
「ふーん……」
「あんっ!」
手は止まるどころか、さらにいやらしくなった
……大人の身体になった途端に、ノヴァのやることがレベルアップしてきている気がする
「いっ……!」
いきなり腰を持ち上げられ、足を広げられた状態で膝の上に乗せられた
「な、ななな!?」
ノヴァが膝を立てていくと、さらに足が広げられた
ある程度立てるとそこで止められる
「……///」
……なに、この体勢
……まるで周りに見られたいかのように股を開くとか……誰にも見られていないのに、すごく恥ずかしい
「ふふ~ん♪ 悪戯をする子にはオシオキだよ?」
「こんなオシオキは嫌だ……」
「ちなみにこれはロディ直伝だよ?」
ロディさん……あなた何教えちゃってるんですか……
これじゃあ生殺しだよ……というか体勢がきつい
「もうしませんから、元に戻してください……」
「はいはい」
ノヴァが膝を伸ばした
じわじわとくる体勢から解放されたけれど、いまだに膝の上に乗せられている
「……あれ? 狼華、軽くなった?」
「え?」
まだ、身体が鉛のように重いからわからない
「まぁ、それは置いておいてと……さっさと取らないとね」
そう言ってノヴァが、私の身体に手を這わしてくる
「え、ちょ……」
「何、狼華?」
「何をなさるつもりで?」
「またへりくだり始めてるよ?」
そこはもういいから……
「ねえ、狼華」
「はい」
「……狼華って発情期の時に一人だったらどうしてる?」
いきなり何を言い出すんだろう、この子は
「自分で慰めちゃう? それとも我慢する?」
「我慢する」
だって……会えないわけじゃないもん
「我慢しちゃうの?」
「我慢しちゃうの」
「ふーん……」
またしても、ノヴァが私の髪を弄ってくる
「じゃあ……溜まりに溜まったものを出すときだね♪」
「あっ……」
再び寝かされ、ノヴァが馬乗りになってきた
「私も我慢して頑張るから、狼華も頑張ってね?」
「……!」
そう言って、ノヴァの手が下半身へと伸びていった
……頑張るのって、そっちか
<> <> <> <> <>
「…………」
黄昏た空間に、ぽつりと小さな影が二つ
そのうちの一つは、まるで打ち上げられた魚の如く、死んだように動かない
……私です
もう一つはノヴァだ。 私の傍に座って ぼーっとしていた。 時折、顔がにやけていたりするのはきっと……私の喘ぐ姿を思い出していたからに違いない
「…………」
それにしても……凄かった。 あまりにも凄くて体がとけてしまいそうだった
触れられただけでも全身が熱くなってくるなんて、黒ノヴァのときにもなかったよ
「んふふ……」
「…………」
撫でたり舐めたり、吸い付いたり……
一体どこでそんなテクを……って、ロディ直伝だった
「……はぁ」
そういえば、腕輪を元に戻すのを忘れてた
光の帯に触れようとして、直接腕輪に触った
「あっ……」
光の帯が腕輪に収まっていった
……あれ? 引っ張るって言ってなかったっけ? ……まぁ、いっか
それよりも、腕輪を元に戻したというのに体に変化が見られない。 どういうことなんだろう……ノヴァに聞けばわかるかな?
「ノヴァ」
「……えへへ……」
「……」
諦めよう
「……はっ! 今なんか呼ばれたような気が……」
我に返ったみたいだ。 よかったよかった
「あ、狼華。 どうしたの?」
ちょうどいいから訊いてみよう
「腕輪を戻したのに体が元に戻らないの」
「おおー」
「…………え?」
理解ができなかった
なぜそんなにも嬉しそうなのかも理解できなかった
「おめでと。 魂が力を制御できるまでに成長したんだよ」
「……どういうこと?」
「何かあったんだと思う。 何かしたの?」
「そういえば……腕輪を触った」
「うん。 それかも」
それだったんだ……てっきり、こっちの方法でも元に戻せるんだと思ってた
「でも……」
「でも?」
「だからといって向こうでは使えないからね。 肉体はそのままだから」
「わかった」
向こうっていうと……リオ達が気になる。 どうしてるかな
頭の中で響いてる声に悩まされてないかな。 何気に辛そうだったから少し心配
それと、繋と朔も赤カーソルに遭遇していないか心配だ。 あの子達は抗う術がないから傍に居てあげたい
「……ん?」
黄昏ていた景色が日が沈む直前の空模様に変わっていった
「あー……そろそろ向こうに返さないとね」
ノヴァが名残惜しそうに言った
「まだここに残れないの?」
「残念だけど、ね。 でも、また会えるから大丈夫」
「うん」
会えなかったら困る
「しばらくの間は会えなくなるけど、何か言っておきたいことある?」
「言っておきたいこと?」
そうだなぁ……
「いつぐらいに戻ってきてくれる?」
「うーん……西暦入って少ししたらからかな。 楽園ができるくらいには戻ってこれそう」
後、10億年くらい待たないといけないのか……
……でもまぁ、それくらいは趣味で時間を潰せばなんとかなるよね
「他にもある?」
「他にも? ……じゃあ、私の身体は今どうなってる?」
「えっと……」
ノヴァの目の前に映像が現れた
「……保護対象のところにいるね。 ……ラッキー?」
「どうなんでしょ…………」
幸か不幸かは戻ってみないとわからないかな
身体を起こして座りなおす
「っと……」
ノヴァがまたしても抱きついてきた
……この子は本当に抱きつくのが好きだなぁ
「狼華って、あったかいね」
「今更でしょ?」
当たり前すぎて、思わず口から出た
「間に合わなかったら一生……こうやって抱きしめることもできなかった」
「え……?」
ノヴァがより強く抱きしめてくる
「間に合って……本当によかった……」
「…………」
何も言わずに抱きしめる
そのままあの場所で飲み込まれてしまったら……考えるのはよそう……
「狼華……」
「何?」
「たとえ不死でも……無茶なことはしないでね。 狼華が傷つくのは嫌なの……」
「ノヴァ……――」
言葉を言いかけようとしたとき、視界が真っ白に染まっていく
言葉を発するも、ノヴァには届いてないみたいだ
「…………」
……意識がなくなるまでに、向こうに戻ってからのことを考えなくては
保護対象の傍にいるっていうのはどちらかといえば運がよかった
問題は赤カーソルだ。 街の中にいることは間違いない。 すぐに仕留めてもいいんだけど、ああいうのに限って何か悪あがきをしてきそう
対抗策を練っている途中で睡魔が襲い、意識が完全になくなった
あれ? 話が進んでない
以下 小説の件↓
オシオキ時の体勢は「みだ(ry」
P.S 狼華はMっ子