東方星霊宴~気がついたら転生してた~   作:ALUM

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???「タイトル的に次で終わりになってしまいそうじゃ。それと、にゃん語が炸裂しているから注意するんじゃぞ?」


第七話 復讐劇~中~

日々の仕事の多さにうんざりして、自分の部屋で憂鬱に浸りながら窓の外を眺めていると、結界の外で大きな光が走った

 

急いで転移装置に乗ってその場所に駆けつけると、左腕をなくした少女が血まみれになって倒れていた

 

倒れている先には……

 

 

「まだ生きてんの? しつこいなー」

 

「……っ」

 

 

魔法陣を展開し始めている男がいた

 

 

「何をしているの!」

 

 

声が勝手に出た

 

それに気付いたのか、男がこちらを見た

 

 

「何って、妖怪が攻めてきたから退治していたに決まってるだろ? えーりん」

 

 

さも当然かのように答えてくる。 馴れ馴れしく呼称をつけて

 

倒れている少女に駆け寄って容態を見る

 

……出血量が少なくなってきてる

 

 

「そこの結界は並大抵のものじゃ打ち破れないわ」

 

 

……見たところ、強大な力を持っているとは思えないから

 

 

「どうしてあなたはそうなのよ……今治すからね」

 

 

白衣のポケットから傷口の再生力を高める薬を取り出す

 

ふと、少女と目が合った。青く濁った瞳が見つめてくる

 

 

「おいおい、また妖怪助けかよ」

 

「黙って」

 

 

傷口に少し垂らした途端、腕の再生が始まった

 

 

「……もう治ったというの?」

 

「っ……」

 

 

みるみるうちに腕が再生していき、元の状態に戻っていった

 

 

「そんな勝手なことすんなよ……」

 

「何しようが私の勝手でしょ? わかったなら消えて頂戴」

 

 

退治をするのが勝手なら、助けるのも勝手だ

 

 

「……はいはい、愛しのハニーがそう言うなら」

 

「……っ」

 

 

魔法陣が発動し、消えていく

 

 

「…………」

 

 

……毎回毎回、会うたびに言ってくるのをやめてほしいわ……

 

……とりあえず、薬で治療するだけでもこの子を連れて行かなくては

 

 

「ごめんなさい。 あなたをこのまま帰らせるわけにはいかなくなってしまったわ。 しばらくあなたを匿う。 本当にごめんなさい」

 

 

聞こえているのか、それとも理解できているのかわからないけど、謝っておきたかった

 

 

「…………」

 

 

それを聞いて、少女が目を閉じた

 

脈をみると、ゆっくりと動いていた

 

それだけ確認して、転移装置に連れ込んで自宅まで移動する

 

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

 

騒動があってから一週間が経った

 

その騒動の原因となった妖怪は今、自宅で療養をしてる

 

真っ白な中で黒地の入った長い髪に先のほうが黒くなっている獣の耳と尻尾を生やした、私と背が同じくらいの少女だ

 

なぜあんな場所にいたのかはわからないけれど、あの男に命を奪われる前に止めることができてよかった

 

そのときに重傷を負ったから治療していたけれど……

 

 

「…………」

 

 

傷はもう完治したはずなのに、この子は一向に目を覚まさない

 

これまでで、意識を失ったままの患者は見たことがあるけれど、大体は一日くらいでみんな目を覚ます

 

 

「……すぅ……すぅ……」

 

 

少女は白いベッドで穏やかな寝息をたてていた

 

実は、ここに連れてくる前からこの子に傷はすでに完治していた。 だから点滴で栄養を送ったり、念のために包帯を巻くくらいしかしてない

 

 

「……」

 

 

医者としてそれはどうなのかってなりそうだけど、そんなことは知らない。 だって治ってるから

 

 

新しい点滴を補充しに戸棚に向かう

 

 

「…………」

 

 

騒動のあの時の姿は仮のものだった。 なんであの姿になっていたのかは知らないけど、点滴を投与していたらいきなり耳が生えてきて、その時はかなりびっくりした

 

 

「…………」

 

 

前に似たような容姿の妖怪を助けたから、きっとこの子も同じ種族なのかしら

 

新しいものを取り出してベッドに向かう

 

古い点滴を外して新しい点滴に付け替える

 

 

「……ん」

 

 

付け終わると、少女が小さく身じろぎした

 

一週間ぶりの目覚め。 やっと目を覚ましてくれた

 

 

「…………」

 

 

少女は目を開けて、しばらくの間ぼんやりと宙を眺めていた

 

 

「……」

 

 

身体を起こして、窓のほうを見ている

 

……この子には言葉が通じるのかしら?

 

 

「……ここは……?」

 

「…………」

 

 

話せるみたいだった……対策を考える必要はなかったか

 

……話ができるなら、とりあえずコミュニケーションをとらないとね

 

 

「ここは私の部屋よ」

 

「!?」

 

 

話しかけると少女が肩をビクッと震わせた。こちらを見つめてくる青い瞳が、大きく見開かれていた

 

 

「…………」

 

 

じーっと見てくる

 

 

「どうかした?」

 

 

ベッドの傍に、椅子を持っていって座る

 

 

「……なんでもない……っ!」

 

 

少女が口を押さえた

 

気分が悪いのかしら

 

 

「大丈夫?」

 

「……ちょっとびっくりしただけ」

 

 

頬を掻きながら少女が答えた

 

びっくりしたって……

 

 

「何に?」

 

「えっと……姿とか声とかが変わってること」

 

 

少女が、包帯を巻かれた自分の身体を見てそう言った

 

 

「変わった?」

 

「うん」

 

 

元からその容姿……というわけではないのね。騒動のときのあれも違うみたいだし……

 

どんな姿だったのか気になる

 

 

「元はどんな姿だったの?」

 

「ちょっと待ってね」

 

 

少女が布団の中で手を動かす

 

……あれ? たしか包帯だけしか巻いていなくて何も身に着けていないはずなのに、一体どこから取り出すつもりなのかしら?

 

 

「……これかな? ……これしかないとか……///」

 

 

少女が頬を赤らめながら、一枚の紙を渡してきた

 

そこにあったのは……

 

 

「……うわぁ……」

 

 

思わず。感嘆の息がこぼれた

 

すらっとしていて、それでいて豊満な胸を持ち、10本の尻尾を生やした女性がそこに映っていた

 

……妖しい

 

今、目の前にいる子が可愛いと表現すると、ここに映っている女性は艶めかしい、妖しいという言葉がよく似合っていた

 

……なぜ裸で顔を背け、尻尾で体を隠すようにして映っていたのかはこの際、置いておくことにする。 訊いてしまってはいけない気がしたから

 

……そういえば、この子の名前を聞いていない

 

 

「ねえ、あなたのお名前は?」

 

 

他の治療した妖怪たちには名前があったから、この子にもあるはず

 

 

「……狼華。魄霊狼華」

 

「はくれい……ろうか……?」

 

「うん」

 

 

珍しい名前……。 語呂的に[はくれい]が苗字になるのね

 

苗字があるのは本当に珍しい。 出会ったのは名前しかない妖怪ばかりだったから

 

……今度は私が紹介する番ね

 

 

「私は八意永琳。この街で医者と薬剤師をやっているわ。よろしくね」

 

 

手を差し出す

 

 

「うん、よろしく」

 

 

尻尾を振りながら、少女改め、狼華が握り返してくれた

 

……温かい

 

 

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

 

 

 

(……あ、あー……リオ、聞こえてる?)

 

 

永琳と出会い、目を覚ましてからこっちの方でいう一週間が経過した

 

一週間経っただけで、町はかなりの成長を遂げ、都市といってもいいくらいになっていた

 

時間の流れが外に張ってある結界によって変えられているらしく、外側での一分がこの中では一時間になっているみたいです。 ということは、外側ではまだ一時間半くらいしか経っていないのか

 

そして、少しずつだけど幼くなってしまった私の身体は元に戻りつつある。 戻るといっても、妖力が少なくなっていたから蓄えているだけなんだけど。 ……まだまだかかりそうです

 

 

[狼華……! よかった……急につにゃがらにゃくにゃったから心配したにゃ]

 

 

相変わらずのにゃん語で安心した

 

そんな安心をしている私は今、大きな施設内にある永琳の自宅……その中にある永琳の部屋でくつろいでいます。 ベッドの上で

 

永琳の部屋にいる理由は、相部屋にしようと言われたから。 ちょうど、シングルなのに二人くらい寝れる大きさのベッドがあるのと、この部屋に赤カーソルが入ってこられないようにしたというのが向こうの言い分です

 

入ってこられないようにしたって……かなり嫌ってるみたい。 二人の間で何かあったようです

 

それにしてもこのベッド、ふわふわしてて気持ちいい

 

ちなみに永琳は会議中でいない。 頭の中身の次元が違う人たちと今後の方針について話し合ってます

 

……うーん、いない間だけでも独り占めできるなんて。 昨日寝られなかったから余計嬉しい

 

 

(…………)

 

[……狼華?]

 

(……っとと、ごめんごめん)

 

 

あまりの気持ちよさに意識が飛んでおりました

 

 

(そっちでは何か変わったこと起きてない?)

 

 

とりあえず、少し空いた分のことを訊いてみる

 

 

[聞きたいかにゃ?]

 

 

なぜに勿体ぶってくるのですか……?

 

 

(……うん)

 

[特に変わったことはにゃいにゃ]

 

 

ならなぜ勿体ぶってきたし……

 

……ないならよかったけど

 

 

[強いていうにゃら……繋と隷音が相変わらずお楽しみ中にゃ。 さらにヒートアップしているみたいだけど]

 

(そ、そう……)

 

 

特に変わってないみたいで……

 

 

[それと、私のにゃかで暴れてる悪魔がようやく静かににゃったにゃ。にゃがいようでみじかかったにゃ……]

 

(………………)

 

 

……ああ、純粋な化け猫を思いっきり堕としにかかっていた悪魔の百合百合しいあれね

 

あの後どうなったんだろう……なんか気になる。 同じ受けとして

 

 

(どのくらい続いてたの?)

 

[……まだやってるにゃ]

 

(……へ?)

 

[……あれからまだずっとやってるにゃ。狼華がこっちにつにゃげる少し前に、性に疎い星霊に乗り移って、たっぷりと身体に教え込んでいたにゃ]

 

(……と、言いますと?)

 

[簡単に堕ちたにゃ。まだまだやってるにゃ]

 

 

飽きないねー……

 

 

(静かになったって言ってたけど?)

 

[間違いではにゃいにゃ。猫が無駄に騒いでいただけにゃ。 こっちの頭に響いてくるから音声を遮断したにゃ。 ものすごくすっきりして頭痛もしにゃくにゃってものすごく楽ににゃったにゃ]

 

(…………)

 

 

清々したような感じが、念話越しにひしひしと伝わってきた

 

 

[あ、そういえば念話で音声と映像を送れるんだけど……観たいかにゃ?]

 

 

観れるんだ……前は音声だけだったのに

 

……なんとなくリオが抱えている悩みを観てみたい

 

 

(観たいです)

 

[……それじゃあ……にゃん♪]

 

(…………)

 

 

鳥肌がたった。 可愛いという方で

 

……一体どうしてしまったの。 短い空白の間に何があったの?

 

……あ、楽になって気分がすっきりしてたんだっけ

 

悩んでいると、雑音と共に映像が送られてくる

 

……砂嵐が最初に出てきたけど、それもだんだん収まってきた

 

 

(…………)

 

 

そこには二つの影があった

 

一つは、少し前の私のように打ち上げられた魚のようになっていた

 

そしてもう一つは、よく見ると二つの影が一つに絡み合い、下になっている影がせわしなく動いていた

 

 

『…………』

 

 

……前者は猫の耳に尻尾……化け猫さんですね。 私と違って全然体力がないみたいで、身動き一つ、尻尾すら動いてない

 

そして、目に光が宿っていない。 ……吸い尽くされちゃったんだね

 

 

『はぁ、はぁ……っ、あっ!』

 

 

……後者は……リオの言った通り、悪魔と星霊が百合百合している図で合ってるね

 

上で覆いかぶさっているのが悪魔で、下で体を捩らせながら快楽に溺れているのが……見たところ星霊かな。顔が完全に蕩けちゃってて、とても気持ちよさそうです

 

その星霊は……リオに似てる、というかそっくりさんです。 髪が腰まできてるから、リオが髪を伸ばしたらまったく一緒になる

 

 

[……もういいかにゃ?]

 

(っ!)

 

 

突然のリオの声にびっくりしてしまった

 

そういえばリオの中を観させてもらってたんだっけね

 

 

(うん、十分)

 

[んにゃ]

 

 

雑音とともに再び砂嵐が現れ、映像が消えた

 

……たしかこれって、私が初めて音声だけで聞いたときからずっと続いてるんだよね……

 

……悪魔の体力半端ないね。それと……

 

 

(お疲れ様)

 

 

ついさっき遮断するまで、ずっと聞きつづけたリオに悲哀を込めて言う

 

 

[にゃに、きにしにゃくてもいいにゃ。 こっちのほうはこれくらいだから、今度は狼華の番にゃ]

 

(うん……)

 

 

なんて説明しようかな……

 

とりあえず現状を率直に言おう

 

 

(ベッドの上で陽だまりごろにゃん♪)

 

[……は?]

 

 

間違えた。 ベッドに日が差し込んできたから、つい口を滑らせてしまった

 

 

(えっと……赤カーソルに殺されそうになったところを、保護対象に助けられて匿ってもらった)

 

[……そ、それはよかったにゃ]

 

(それで街の様子だけど、青と黄色のカーソルがたくさんいたよ)

 

[んにゃ]

 

 

窓から能力を使って見渡したら、そこかしこにいっぱいいたんです。 二人に一人はそうなんじゃないかって思ったよ

 

青色カーソルはともかく、黄色カーソルはなんか全てを悟ったような感じだった。 行動力すごかったです

 

永琳が特別に内部を中継してくれた時は、もうびっくりしたよ。 ほとんど黄色ばかりで何もついてないのが2,3人くらいだったから。 ……もしかして気が合うのかな

 

 

(それと……永琳にカーソルがあったよ)

 

 

それでちょっとびっくりしたから、誤魔化すのに少し苦労した

 

 

[……憑依したんだにゃ]

 

(それは知ってる)

 

[……にゃにかしら、前世の記憶とかでにゃやみを抱えてるかもしれにゃいから、力ににゃってあげるといいにゃ]

 

(うん)

 

 

ピッ

 

電子音が部屋に鳴り響く

 

 

「ん……」

 

[……どうかしたかにゃ?]

 

(帰ってきた)

 

 

ドアが音を立てて横にスライドし、白衣姿の銀髪の少女が入ってきた

 

 

……八意永琳。 この時代における重要な因子……。 なぜかわからないけど憑依されている。 前の性格とか人格がわからないから、どのくらい変わっているのか見当がつかないよ

 

 

[それじゃあまた連絡してほしいにゃ]

 

(うん)

 

 

念話が途切れる

 

永琳が疲れたようにベッドに倒れこんできた

 

反動で私の身体が揺れる

 

 

「大丈夫?」

 

「聴いているだけで疲れたわ。だから聞いているだけにしておいた」

 

「……?」

 

 

……あ、理解するかしないかってことね

 

 

「一応、毎回ボイスレコーダーに録音してきてるけど……聞いてみたい?」

 

「うん」

 

 

永琳が、白衣のポケットから機会を取り出して操作した

 

 

「今日のは……これね。 ……はい、これを耳にはめ……るのは無理みたいだから当てて」

 

 

何やら耳栓のようなものを渡してきた

 

……コードが見当たらない。 機械のほうで何か差し込まれている

 

……もしかしてイヤホン?

 

手で持ったまま耳に近づける

 

 

「それじゃあ流すわね」

 

「ん……」

 

 

ちょっとの空白の時間の後、音声が流れてきた

 

 

『それじゃあ今日の会議を始めるわけなんだけど、前週の最後に話題に上がった……宇宙開発について話していこうと思う。みんなはそれでいい?』

 

 

最初に流れてきたのは永琳の声だった

 

 

「私は司会進行役になってるわ」

 

「……」

 

 

短く頷く

 

 

『前週では確か、機械工学部門の方たちが骨格と外装と各部品の図面、それとコンピュータでの制御を実験中だとか言ってたわね。進行度はどれくらいかしら?』

 

『まだ40%だ。簡略化して描いたイメージを細かく図面にしていくこと、それと、Gフィールドの制御のシミュレートがまだ不確実だ』

 

 

若い男性の声だ

 

……知識があってよかった。なかったらまったくわからなくなりそうだった

 

Gフィールドって重力のことかな

 

 

『完成までどのくらいかかりそう?』

 

『いかんせん、頭は回るが……作業効率の悪いやつらばかりでな……次の週までには完成するはずだ』

 

『それに合わせて化学部門の素材担当が素材の生成をするから、くれぐれもミスのないように。 それと、オカルト部門も前週に言っていたわね』

 

 

一旦、一時停止ボタンを押した

 

些細なことだけど訊いておきたい

 

 

「どうかした?」

 

「えっと……部門ってどのくらいあるの?」

 

「そこまで多くはないわ。10いくかいかないくらいよ。その中でそれぞれ担当ごとに分れているの。かなり多いから会議室はいっぱいよ」

 

 

「…………」

 

 

会議室いっぱいか……

 

……中継を思い出した。 かなり広い会議室にたくさんいたっけ

 

あそこって、会議室とは思えないほど面積が広いんだよね。 あそこまで広いと運動会が開けそうです

 

 

「それだけ?」

 

「うん。気になったら聞くね」

 

 

再生ボタンを押す

 

 

『この前は有耶無耶になったから、今度ははっきりとお願いね』

 

 

一時停止ボタンを押した

 

 

「有耶無耶にしたって?」

 

「向こうがしたのよ」

 

「ふーん……」

 

「……私はそんなことしないわ」

 

「はい……」

 

 

ちょっと不機嫌にしてしまった

 

考えてみればそうだよね。司会が発言権奪うとか駄目だもんね

 

再生ボタンを押す

 

 

『はい、宇宙開発の第一目標が月へ進出することについてです』

 

 

今度は女性の声だ

 

 

『前の週では確定事項が何一つなかったので報告することができませんでしたが、厳密な調査の結果、我々が見ている月の裏側の確認、そして、文明が発達する前から太陽と月が神聖視されていたためか、その裏側に月の神が現界していることと月を太陽の神が監視していることが明らかになりました』

 

 

三度、一時停止ボタンを押した

 

 

「オカルト部門の言ってることについて教えて」

 

「……もふもふさせてくれたらね」

 

「……寝てる間に十分したでしょ?」

 

「な、なんでわかったの?」

 

 

実は昨日、一睡もしていない。 なぜならもふもふされてたからだ

 

どっかのダーク創造主様がどさくさに紛れて感度をおかしくしちゃったから、治してる最中なんです。 そんな中でにぎにぎされちゃったり、さわさわされちゃったりするといろいろと、主に股が大変なことになるわけで……

 

抱き枕代わりにされたときはもう……声を必死に押し殺していた私を褒めてあげたいです。 まさか、服の中に手を入れてくるとは思わなかったから、声が漏れたときはどうなるかと思ったね。 案外、攻撃的なのかもしれない

 

結局、その日は眠れなかったよ

 

だからこうしてごろごろしてたわけです

 

 

「起こすとは思わなかったわ」

 

「永琳……私の尻尾は付属品じゃないよ? 体の一部だよ?」

 

「触っても問題ないと思っていたわ」

 

「握られたら起きちゃうよ……」

 

 

特に付け根は……

 

 

「弱いのって背中と付け根の中間じゃなかった?」

 

「狼に共通して駄目な部分だからさわさわしちゃダメ」

 

「やったらどうなるの?」

 

 

どうなるって……それは……えっと……

 

 

「強烈な刺激だから、少し撫でられただけでも動けなくなる」

 

 

あの超絶マッサージを思い出してしまった

 

 

「狼華……過去に何か嫌なことでもあった?」

 

 

頬に熱いものが流れてきた

 

あれ、おかしいな……別に嫌なことじゃないはずなのに、むしろ嬉しいことだと思うはずなのに涙が止まらない

 

……私、涙脆くなっちゃったかな……

 

 

「……!」

 

 

別の意味で辛かったことに涙を流していると、永琳が頭を撫でてきた

 

 

「よしよし」

 

「あう……私は犬じゃないよ」

 

「……そういえば、狼華のことは妖怪だということくらいしか知らないわ。 なんていう妖怪なの?」

 

 

永琳……私のことを犬扱いするくせに肝心なところを知らないのか

 

……というか、もうこの時代に犬とか猫がいるのが分かったときは驚いた。 一体、私が育児で動けない間にどのくらいの時間が流れていったのでしょう

 

 

「ん……妖怪じゃ……なくて……霊獣だよ。 ……狼の霊獣」

 

 

頭から顎にナデナデが移ってくすぐったい。 それで心地よくなってきたせいか、体が自然と倒れこんだ

 

 

「あー……うん、なんかごめんなさい。私、勘違いしていたのね」

 

 

なでなでが止まった。 もっとしてほしいと思った私がいた

 

 

「……仕方ないよ。 このあたりには妖怪しかいないみたいだから」

 

 

寝転がったまま言う

 

私たち以外はほとんど妖怪だから、霊獣がいることがわからなくても無理はないね。霊獣ってまだ神聖視されてないみたいだから、妖怪だと思われちゃったのかな

 

 

「……でも、尚更助けることができてよかった」

 

「ん……」

 

 

再び顎を撫でられる

 

……これ、くせになっちゃいそう

 

 

「見境なく襲い掛かってくるのはともかく、敵意が全くないのに消そうとするのはおかしいわ。 過激派の連中は一体何を考えているのかしら……」

 

 

……過激派?

 

 

「ふあっ……」

 

 

耳を弄られて声が出てしまった

 

 

「…………」

 

 

永琳が手を止めて見てくる

 

 

「……耳も弱いの?」

 

「……うん」

 

 

尻尾と同じ感覚が頭からくるんです

 

……耳も開発されてしまいました

 

 

「へぇー……この前に犬にした時のあの反応はそうだったのね」

 

 

永琳が納得してしまった

 

普通の言うはくすぐったいだけって……言えない

 

じゃあ、あなたは何なの? って言われそうだから

 

そんなこと……とてもじゃないけど答えられません

 

 

「…………」

 

 

……あ、忘れるところだった

 

 

「永琳、過激派ってなんなの?」

 

「もふもふさせてくれたら」

 

 

手をにぎにぎさせて近づいてくる

 

 

「それはもういいから」

 

 

それを押し戻す

 

 

「……狼華を攻撃していたのが過激派よ。妖怪を殲滅させるから妖怪殲滅派……そのままね。 その中でも特に攻撃的なのが過激派というわけよ」

 

「へえー」

 

「そういう連中に限って恨みとか憎しみを動力源にしているわね。親を、友を殺されたーとか。 だったら仇だけ討てば十分よね」

 

「…………」

 

 

ごもっともでございます

 

……顔……引き攣ってないかな

 

 

「それでいざ仇を討とうとしたけど返り討ちにされて、憎しみの矛先が全く関係ない妖怪たちに向かっていくのよね……」

 

 

弱いものいじめして無双してるのか。 情けない

 

 

「私の場合は?」

 

「あれは無差別攻撃よ。善悪関係なしにいたら消すって感じね」

 

「ふーん……」

 

 

赤カーソルだからそんな気はしていたよ

 

 

「それで、そんな過激派の連中から全く関係のない妖怪たちをなるべく多く救うのが、妖怪保守派よ」

 

「永琳はそれに入ってるの?」

 

「そうよ。 後、この街の結界を作り出して維持している長も保守派よ」

 

 

おお、それはまた素晴らしい人が……

 

結界内の時空をゆがめるほどの力を持ってるってすごい能力者だよね

 

……多分その人は人間やめてるんじゃないかな

 

 

「でも、保守派は私と長以外いないのよ。寂しいわ」

 

「うん……」

 

 

二人だけって……どう対抗してきたんだろう

 

 

「それに比べて殲滅派は大勢よ。いったい何をしたらそんなに増えるのかしら……」

 

 

考えられるのは……

 

 

「……呼びかけ? 煽り?」

 

「そんなところかしらね……今、殲滅派はこの街の人口のおよそ4%を占めているわ。街の人口自体かなり多いから4%でもかなりたくさんよ。保守派も助けた妖怪たちを数に居れればそれなりに多くはなるんだけど、ね……」

 

 

永琳が苦笑いした

 

妖怪に活動させたら、永琳はこの街に居られなくならないかな

 

 

「その妖怪たちって今どこにいるの?」

 

 

結界の外に出したら、また攻撃されそうだけど……

 

 

「助けた妖怪たちは一時的にこの施設で保護して、こっちの兵器を無力化する障壁を発生させる腕輪を取り付けて、なるべく街から遠くに転送しているわ。 詳しいことはわからないけど、シグナルをつけておいたから点灯しているところを見る限り、生きていると思う」

 

「ふーん……」

 

 

私のいたところにもいるかな? 確認したほうがいいか

 

 

「ねえ、永琳。 一旦仲間のところに戻りたいけどいい?」

 

「別にかまわないけど……どうして?」

 

「仲間の様子が心配だから。 話しておかないと」

 

「じゃあ、これ持っていって」

 

 

永琳が白衣の内ポケットから首輪を取り出して渡してきた

 

それを起き上がって受け取る

 

 

「…………」

 

 

これって……

 

 

「……わかっているわ。そのつもりは全くないから」

 

「ならいいけど……」

 

 

渋々取り付ける

 

狙ったようにしか思えないなぁ

 

 

「それで、これは何なの?」

 

 

首輪を指差して尋ねる

 

 

「ポインティングデバイス。 会話するためや位置情報の取得、転移先から転移元に戻ってくるためのものよ。回線は好きな時に開けるから安心して」

 

 

転移か……あ、いいこと思いついた

 

 

「会話はともかく、転移はいらないよ」

 

「どうして?」

 

 

永琳が訝しげに訊いてくる

 

転移で思いついたよ。 ”ひく能力”と”うつす能力”と”みる能力”の合わせ活用法が

 

 

「私、こう見えても能力者だから自力で転移できるの」

 

「……じゃあ、会話だけね」

 

「うん」

 

 

余分な機能をなくすために、永琳が端末を操作した

 

 

「出発はいつにするの?」

 

「できるだけ早く伝えておきたいから、今すぐかな」

 

 

向こうではあまり時間は経っていないけど、顔を合わせたい

 

 

「……帰ってきてくれる?」

 

「もちろん!」

 

 

笑顔でそう返す

 

命の恩人だからね

 

ベッドから立ち上がり、空間に指で斜めに線を”引く”。すると、その部分が開いていき、真っ黒い裂け目が出来上がった。 それにリオたちのいるであろう場所を ”視て”裂け目に ”映す”

 

 

「狼華……あなた何気にすごい霊格の持ち主なのね」

 

「いやあ、照れちゃうなぁ……」

 

 

実際、何十億っていう単位で生きてるし、ダーク☆創造主様に力を注がれまくったから、インフレを起こしてるんですよねー

 

 

「なんだか寂しいわ……」

 

「また会えるでしょ?」

 

「……そうね……あ!」

 

 

いきなり永琳が何かを思い出したかのように声を上げた

 

 

「言い忘れていたわ。 ここから出ても、パスが通っているから結界内の時間軸に戻れるの。 だからすぐ戻ってくる必要はないわ。ゆっくりお話ししてきなさいね」

 

「うん」

 

 

……すごく大事なことをなぜ忘れてしまっていたのだろう……私も言えることじゃないか

 

 

「それじゃあ、行ってくるね」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

裂け目に手をかけて、中に入っていく

 

 

「狼華」

 

「ん?」

 

 

足を入れると、永琳が何か布のようなものを渡してきた

 

 

「これは?」

 

「病衣よ。 あなた今包帯だけだから、これでも着てきなさい」

 

「ありがと」

 

 

入るのを中断し、病衣を着る

 

袖に腕を通し、紐を結んで終了

 

 

「それじゃあ、改めて」

 

「ちゃんとしてね」

 

「はーい」

 

 

裂け目の中に入っていく

 

中は真っ黒な場所だけど、つながっている先から光が流れ込んできてそれが道になっているから、その方向に進めばいい

 

 

「…………」

 

 

……しばらく歩くと出口に着いた

 

……長かった。 もう少し調整が必要かな

 

入るときと同様に空間に線を引いて裂け目をつくると、見慣れた景色がそこにあった

 

ちょうど目の前にリオがいて、こちらを凝視していた

 

 

「……結構速かったにゃ」

 

 

裂け目から出て閉じると、リオが声をかけてきた

 

 

「向こうではじかんの流れが違っていたから、私の方ではそうでもないよ」

 

 

リオのすぐそばに座る

 

 

「……にゃ? ……あー、あのにゃかはそうにゃっていたのか」

 

「うん」

 

「……それで、その首輪と体はどうしたにゃ?」

 

 

やっぱり気づいたか。 気づかなきゃおかしいけど

 

 

「身体が幼くなったのは事故だよ」

 

「その辺の事情はにゃんとにゃくわかったにゃ」

 

「…………」

 

 

……いっか

 

 

「……それでこの首輪は通信機。 永琳とお話ができるの」

 

「それはいいにゃ。念話みたいにゃものかにゃ?」

 

「そうなるね」

 

『……あー、テステス……聞こえてる?』

 

 

噂をすればなんとやら……

 

説明してるところにちょうどきてくれるなんて、タイミングが良すぎです

 

 

「聞こえてるよ」

 

『ならよかったわ。そっちは今は昼間かしら?』

 

 

周囲を見回す

 

……うーん、わからない。 明るいから多分……

 

 

「昼間だと思う」

 

『……ちょうど重なったわね。 どう? お仲間さんには会えた?』

 

「会え――」

 

「動いちゃ、だめ、だっ!」

 

「もっと、激しく……っあ!」

 

「…………」

 

 

茂みのほうから嬌声が……

 

……すっかり忘れてたよ、あの二人のことを

 

 

「…………」

 

『…………』

 

「…………」

 

 

沈黙が……辛い

 

 

『……今のは?』

 

 

訊いてくるのは少し楽だ

 

 

「ただいまお楽しみ中です」

 

 

直球かつ遠まわしに言ってみた

 

 

『……気を遣わなくてもいいわ。 発情しちゃうのは仕方ないから』

 

 

達観したかのような言いぐさだ

 

 

「何かあったの?」

 

『前にね、助けた子が発情しちゃったことがあったから……それでね』

 

「なるほど……」

 

『女の子だと思ったら男の子で、だけど、あれ? ってなって……ほんとびっくりよ。 とりあえずできる範囲で鎮めてあげたわ』

 

「…………」

「…………」

 

 

隣にいたリオをみたら凍り付いていた。 聞こえてるのこれ?

 

……っていうか、そんな感じの子が身近に一人居たね、そういえば。 創造主様っていう子が

 

 

「それで、その子は?」

 

『私と離れられなくなっちゃったらしくて、今は同居中よ。 リビングに入って右にスライドドアがあったでしょ?』

 

「えっと……」

 

 

記憶を探る

 

リビングに入って右……確かにあった。 ゲストルームって書かれてる

 

 

「うん」

 

『そこの部屋にいるわ。 狼華は療養中だったからわからないけど、さっきリビングに居たわ』

 

「……なんかごめん」

 

『それと、私が会議に出たり仕事に行っていたりした間にずっと看ていてくれたから、感謝しておくのよ?』

 

「うん」

 

 

そういえば、寝ている間に白っぽい影が見えたけど……あれがそうだったんだ

 

 

ピッ ピッ

 

通信越しに電子音が聞こえてきた

 

 

『そろそろ行かないと……帰ってきたらリビングに居て頂戴ね』

 

「はーい」

 

 

通信が途切れる

 

 

「………………」

 

 

リオが悲しそうな目で見てくる

 

 

「……リオ?」

 

「狼華……一つだけ言っておくにゃ」

 

 

何を言うつもりなんでしょう……

 

 

「……お体は大事に、にゃ」

 

「…………」

 

 

なんだこの猫、笑ってる

 

 

「絶対にフラグが立つにゃ。看てくれた妖怪とのフラグが確立にゃ」

 

「二度も言わなくていいから!」

 

「ひぎゃっ!」

 

 

尻尾を掴んでにぎにぎする

 

 

「にゃ、やめるにゃ!」

 

 

リオが四つん這いになる

 

構わず続ける

 

 

「もういわにゃいから……はにゃしてください……」

 

 

リオの腕が震えてきて、声が弱まっていく

 

それでも続ける

 

 

「狼華……どうして……」

 

 

地面に突っ伏したまま訊いてくる

 

どうして? それはね……

 

 

「からかった罰」

 

「…………すみませんでした」

 

「わかればよろしい♪」

 

「…………」

 

 

……あれ? 何かとても大切なことを忘れている気がする

 

周囲を見てみると何かが決定的に足りない

 

目の前で突っ伏してるのはリオで、茂みにいるのは繋と隷音で……あ!

 

……朔がいないんだ

 

自分の子なのに忘れてたよ。 これはいけない

 

 

「リオ、朔は?」

 

「……誰?」

 

 

リオに聞いたら、後ろから見知った声が聞こえてきた

 

……何気に酷い一言だ

 

 

「朔、よく見るんだにゃ」

 

 

復活したリオが促す

 

 

「…………」

 

 

じーっと朔が見つめてくる

 

 

「……!」

 

 

……はっとした表情に変わった

 

 

「……もしかして……お母様?」

 

「その通り。……ただいま、朔」

 

「……うそ…………」

 

「え……」

 

 

まだ誤解してる……?

 

 

「……私よりも胸が大きかったの……?」

 

「…………」

 

 

……な、なんて返したらいいのかわからない

 

 

「狼華はのびのびと生きてきたから、発育がきっと良かったんだにゃ」

 

 

ナイス、リオ

 

 

「……リオも大きい」

 

「朔はまだ子供にゃ」

 

「……お母様は?」

 

 

……まずい、朔がかなり胸にコンプレックスを抱えている。でも、それなりにあるはずなのに……どうしてなんだろう

 

 

「さ、朔、ないわけじゃないんだし、それなりにあるわけなんだから気にする必要はないよ?」

 

「…………」

 

 

朔が頬を膨らませて睨んでくる

 

 

「そ、それにあまり大きすぎると肩が凝っちゃうし、寝る時も大変だよ?」

 

「……そうなの?」

 

「そうなの。朔くらいの胸が丁度いい大きさなの」

 

 

睨んでくるのをやめてくれた

 

胸に手を当てて、顔を綻ばせていた

 

……一件落着かな

 

……まだもう一件あった

 

 

「リオ、あの街のことなんだけど……」

 

「……大体わかってるにゃ」

 

「…………」

 

「……ノヴァって言えばにゃんでかわかるかにゃ?」

 

 

……あ、あーはいはい

 

 

「ばっちりです♪」

 

 

ピィイイイン!!

 

 

「あいったぁあ!!」

 

 

何かとてつもなく堅いもので殴られた

 

何、私何か悪いこと言っちゃったの?

 

……リオがいつの間にかピコピコハンマーを持っていた

 

……あれ、あんな音が出るんだね。 すごく痛かった

 

 

「……じゃあ、にゃにされたかも?」

 

「もちろんです♪」

 

 

ピィイイイン!!

 

 

「…………」

 

 

……頭が、目がちかちか……する

 

ピコピコハンマーって凶器だよね……?

 

 

「……///」

 

 

顔を赤らめながら今度は頬を抓ってきた

 

 

「……流石に公言はしたくにゃいにゃ……///」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

<> <> <> <> <>

 

 

 

 

 

 

 

 

頭のダメージが癒えた後、リオと朔と再び別れて永琳の自宅へと空間を繋いだ

 

窓の外は真っ暗だ。外では昼だったのに時間の流れが速いことを思い出させる

 

リビングに入ると、ソファーに真っ白くて長い髪に真っ白な獣の耳と尻尾を生やした少女が座っていた。 そして、頭の上には青い宝玉が浮いていた

 

その少女は、テレビに映っているものをただ見つめていた

 

 

「……!」

 

 

足音に気づいたのか、こちらを振り向く

 

金色の目がこちらをみつめてきた

 

 

「…………」

 

 

安心したのか、また背を向いてしまった

 

 

「…………」

 

 

思わずその場に硬直した

 

……同族の匂いがしたから

 

ソファーに近づいていき、ちょうど二人用のものに座っていたので隣に座る

 

ここで初めて、この子も病衣を着ていることに気づいた

 

 

「ただいま」

 

 

帰ってきてからのあいさつをする

 

 

「お、おかえり……」

 

 

おどおどしつつも返してきてくれた

 

 

「ありがとね、看ていてくれて」

 

「……どういたしまして///」

 

 

少女の尻尾が大きく揺れる

 

 

「名前はなんていうの?」

 

「……白狗(しらく)

 

「しらくっていうの?」

 

 

……白に……狗かな。 狗だから……狼だ!

 

 

「……うん」

 

「私は狼華。 よろしくね、白狗」

 

「……///」

 

 

白狗の尻尾が大きく揺れる

 

スキンシップに頭を撫でてみる

 

 

「っ……!? …………」

 

 

驚きはしたものの、されるがままになっていた

 

もう少し体を寄せて、密着してみる

 

 

「……!?」

 

 

白狗が硬直してしまった……けど、安心したのか体を預けてきた

 

尻尾が絶え間なく動いていた

 

 

ピーッ

 

電子音が鳴り響く

 

 

「……♪」

 

 

白狗は気づいてないみたいだ

 

ドアが開き、永琳が入ってきた

 

 

「……あ、狼華、おかえり」

 

「ただいま」

 

「どうやら仲良くなれたみたいね」

 

「うん」

 

 

仲良くなれた……っていうのかなこれ。 懐いたって表現のほうが正しい気が……

 

 

「それでお願いがあるんだけど……いい?」

 

 

お願い?

 

 

「いいけど?」

 

「白狗と一緒に寝てあげてくれない?」

 

 

それはまた……

 

 

「どうして?」

 

「今の状況のとおりよ。 その状態に入るとなかなか離れてくれなくなるわ」

 

「……うん」

 

 

なるほど

 

 

「それじゃあ、白狗を部屋に連れてくね」

 

 

くっついたまま離れない白狗を、仕方なくお姫様だっこして部屋に行く

 

ドアが開くと、そこには永琳の部屋のものと同じ大きさのベッドがあった

 

ベッドに腰掛け、白狗を隣に座らせる

 

 

「……ふあぁ~……」

 

 

なんだか眠くなってきた

 

そういえば昨日は寝てなかったっけ

 

枕元まで移動して布団を開ける

 

 

「白狗」

 

「……!」

 

 

呼びかけにこたえて白狗が布団に潜り込む

 

それに一緒になって潜り、布団をかけなおす

 

 

「…………」

 

 

金色の目が見つめてくる

 

 

「……!」

 

 

目の色が段々と変化していき、青色に変わっていった

 

完全に変わると抱きついてきた

 

 

「……はぁ、はぁ」

 

 

白狗の息遣いが荒くなってきた

 

密着した体が熱を持っているのを、病衣越しに感じる

 

……まさかこれって

 

 

「狼華……」

 

 

切なげな声で呼んでくる

 

 

「……っ!」

 

 

それを聞いた途端に体が麻痺してきた

 

身体が指一本動かせず、意識が遠のいていく

 

白狗が上にのしかかってくるのを最後に、意識が飛んでいった




ネタを探して30キロメートル

変換がしっかり働いてくれません


以下 小説の件

抱き枕ネタはオリジナルのほうから持ってきました。 ほとんど同じです

憑依された永琳は良心が3倍増しになっております。 妖怪なんて普通助けないと思うので

新たに登場した白狗ちゃんですが、これは1年くらい前に原案として作り出したプロトタイプの狼華ちゃんです。 ちょっとおどおどしてて、周りと接するのが苦手だけど優しく接してもらうと尻尾が勝手に反応する、といった具合です。 今はもう見る影もありませんが




P.S 狼華ちゃんと裸のお付き合いをすると生存フラグが乱立する
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