「狼華」
草が生い茂る草原の中、ふと、背後からリオの声で呼ばれる
「?」
振り返ると、全裸姿のリオが両手に片方ずつ衣装を持って立っていた
片方は胸の部分に紐リボンが付いた、前開きのワンピースみたいな服。 もう片方は……肌の露出が多めなビキニだった
「……どうしたの?」
「狼華、こっちとこっち……どっちが似合うかにゃ?」
リオが服を見ながら訊いてくる
「うーん……」
前開きのほうは可愛げがあっていい。 だけど、ビキニの方は大人な色っぽさがある
リオの身体的にビキニのほうがよさそう
……ということで――――
「布面積が少なくて際どいほうがいい!」
本能を解放
ビキニのほうを指差し、叫ぶ
「にゃん♪ 狼華ってば――」
リオが恥ずかしそうに喋っている最中、突如、視界が暗転した
<> <> <> <> <>
「…………」
唐突に眠気が吹き飛び、目を覚ます。 窓の外は薄暗く、日はまだ昇っていないみたいだった
……この窓は確か、マジックミラーみたいに外側からは見えないようになっているみたい。 オンオフで切り替えられるとか
……ああ、服選びは夢でしたか。 現実的にリオがそんなことをするはずなんて……多分ないと思う。 今は気分がいいみたいだから話を持ちかけてくるかも
「…………」
ふと、腹部に重みを感じた
窓から自分の身体に視線を移すと……
「すぅ……すぅ……」
もう一人の私がいた
……違った、白狗だった。白狗が私の上で幸せそうな顔をして寝ていた
「…………」
なぜか私も白狗も病衣の紐が全て解け、全開になって素肌が晒されていた。 妙に汗ばんでいて艶々してる
……それにしても、布団はどこにいったんだろう? ちゃんとかけて寝なかったのかな
手を動かそうとする
「……?」
……動かなかった
「…………」
今度は足を動かそうとする
「………………」
……動かなかった
何があった、私の身体よ。 なぜか手足に赤くて半透明の鎖が巻き付いてるんですが……これが原因なんでしょうか……
……思い出せない。 なぜこうなったのかわからない
部屋に入ったところまでは覚えてる。 布団に潜ったところも覚えてる。 だけどその後のことが思い出せない
「すぅ……すぅ……」
今になって、股がヌメヌメしている感触が伝わってきた
「…………!!」
……理解した。 理解しました
白狗が上に乗っていること、服がはだけていること……それから股の感触……
「…………」
……どうやら、白狗と夜の営みをしていたみたいです。 身体を動かせなくなったのもわかった
……うん、そういえば永琳も遠まわしに言ってたけど、白狗はノヴァと同じ両性だったね。 性欲が普段より強いのをすっかり忘れてたよ
「………………」
……あぁ、身体にはほとんど付いてないみたいだから、たぶん、全部中に注がれちゃったかな。 動けないし、時間もそれなりに経ってるみたいだから、出したとしてもできちゃってそう
……私のお婿はもういるから、朔に婿入りさせたいなぁ
「……ん」
上に乗っていた白狗が目を覚ました。 顔をこちらに向け、寝ぼけ眼で私を見つめてくる
……微かだけど、頬が紅潮してる気がした
「…………?」
下腹部のあたりに固いものが当たった。 そらが、脈打ちながら大きくなってきた
「……」
白狗が少し上半身を起こした
「…………」
視線を徐々に下に下ろしていくと……
「……///」
……白狗の股の間から、大きくて猛々しいものが……
思わずじっと見てしまった
……へ、下手したら繋やノヴァより大きいかも///
……って、いけない……エッチなことは考えちゃだめだ。 リオの中にいる悪魔と同じになっちゃう
「……いれてもいい?」
白狗が起き上がり、立派なものを股に当てがってきながら言ってくる
「駄目」
やったのにやり足りないとかおかしいよ
……独りのときはどうしてたんだろうね。 独りだから異性とか知らなかったかな
「…………」
そう考えていると、白狗が私の足を掴み、広げようとしてきた
「……あっ、ちょっと……!」
「……抵抗しないの?」
足を広げられて間に入られた
まずい……これは非常にまずい
ノヴァで経験したからなんとなくわかるけど、両性は充填が早いから一度にたくさんしない限り常に爆発寸前。 私の知らない間にやったみたいだけど、それでもきっと足りない……
「っ……」
身体を抱き起こされ、壁に押し付けられた
「……狼華って軽い」
それはノヴァにも言われた気がする
「……世界には、私以外に同じ種族はいないと思っていたから……同族に会えて凄く嬉しい」
腰を持ち上げられながら告げられる
……まぁ、確かに嬉しい。 一時期は繋みたいに嘆いていたから
「もう……我慢できない」
「……」
覚悟は……決められなかった
<> <> <> <> <>
「おはよう。 ずいぶんと遅いお目覚めね」
部屋から出ると、永琳からソファーに座ったまま声をかけられる
白狗が満足しきるまでずっと一方的な愛を受け続けていた私は、あの後、動かせないままやられ続けるという縛りプレイから解放された
……実際は目が覚めてから九回戦が始まりそうだったから、白狗が休んで拘束が解除された間に、全力を振り絞ってなんとかして部屋から出てきたんけど……
「……っ」
すぐ傍の壁にもたれ座り込む
「はぁ……」
思わずため息がこぼれた
「あら、大丈夫?」
永琳が不思議そうに訊いてくる
「……聞こえてたんじゃないの?」
「防音だから聞こえないわよ。 何かあった?」
黒暴走ノヴァ並み……いや、それ以上に激しかったから思いっきり声を上げてたけど……聞こえなかくてよかった///
それにしても、全身が痛い。 特に腰がすごく痛い。 だんだん弱くなってる気がする
……あ、身体が幼少期に戻ったのと、激しい運動のせいか
カチッ
すぐ横でドアが開く音がした
白狗が出てきてこちらを見る
「……♪」
無言だけど、表情はにこやかだ
……ちょうど終わってたんだ……
「……お疲れ様」
「永琳……」
「大体把握したわ。 大変だったわね」
「……」
白狗がきた瞬間に何が起こっていたか理解できるなんて……
……永琳も似たような場面に遭遇したんだっけね
壁に手をかけて立ち上がり、少しずつ感覚が戻ってきている足を動かして永琳の傍に寄る
「永琳」
「何?」
「あれをどうやって鎮めたの?」
白狗に聞こえないように喋る
「危険だと思ったのは色が変わり始めたときね。 だから直視せずに後ろに回り込んで、ね?」
「……」
私は思いっきり引っかかったのに……なんという観察眼の持ち主だ
「……で、見たらどうなったの?」
「……赤くて半透明な鎖が身体に巻き付いて、指一本動かせなくなった」
その後は吊り上げられたり固定されたり散々だった
「……見なくて正解だったわ」
「その後に、今までため込んでいたらしい性欲を全てぶつけられた」
「あの子と一生を遂げてあげたら?」
「私はもういるよ?」
ノヴァという最愛の夫が。 一夫多妻でリオとも関係とってるけど
「知らなかったわ。 誰かいい相手はいないかしら……」
「……とりあえずシャワー浴びてくるよ」
「はいはい」
バスルームのほうに向かい、ドアを開けて白狗に手招きする
「~♪」
尻尾を揺らしながら白狗が来る
中に入ると洗面器があり、その反対側にはかごと洗濯機が置いてあった。 奥はカーテンで仕切られているから、そこがシャワールームかな
とりあえず病衣を脱ぎ、包帯を解いてかごに入れる。 もう包帯は必要ないかな
白狗がその上に脱いだ病衣を乗せてくる
……バスローブは……白いものが壁にかけてあった。 汗でべとべとになったものを再び着ることがなくてよかった
カーテンを開けると少し広い空間になっていて、正面に鏡、右側にユニットバスが、反対側にはシャワーが備え付けられていた
シャワーのほうへ向かおうとして、唐突に眩暈が起きた
「……っ」
なんとか身体を支えて持ち直す
そんなに早くくるわけがないから、きっと疲労かな
ふと、鏡に映った自分の身体の、下腹部の紋様が目に入った
……ノヴァはこのことを知らないけど大丈夫かな
[いいと思うわよ?]
……幻聴がきた
それよりも、争いを止めるために交渉をしてるとかロディに聞いたから、何か起こらないか心配だ
カーテンを閉めてシャワーのほうへ近づいていき、取り付けてある装置を一通り見てみる
……このつまみを回せばいいのかな。 こっちのほうで温度が変えられるのか。 ……大体適温だ
つまみを捻ると、最初からお湯が出てきた。 水が出てくると思って離れておく必要はなかったか
「…………」
白狗がそばにくる
「……っと」
シャワーを浴びようとすると、白狗が抱きついてきた
「……白狗?」
「……いい匂い」
「…………」
装置を外せたので、白狗に浴びせる
「ひゃん!」
「………………」
そういうのは嬉しいけど、回してきている手の位置的にアウトだから……
しばらく顔に浴びせ続けた後、自分の身体にかける
汗とか白狗の唾液とかいろいろと付いてるから、手を使って洗い流す
……白狗の腕が邪魔だからとりあえず上半身だけ洗ってしまおう
「…………っ」
白狗が胸を揉んできた
「……白狗」
「……?」
「もしかして……まだやり足りないの?」
「……してもいいの? ……きゃっ!」
お湯を浴びせる
「あれだけやったのにまだやるの?」
「今日の分は満足♪」
……今日の分?
「これからは毎日しようね♪」
顔面に向けて冷水を浴びせる。 浴びせると抱きつきが解除された
……このシャワー凄い。 水とお湯が瞬時に切り替えられる
お湯に切り替えた後、下半身を洗っていく
……避妊処理のつもりじゃないけど、垂れてきたら困るから出しておかないと
……とはいっても……粘度がありすぎて出てこない……
「狼華……手伝う?」
「……結構です」
何されるかたまったもんじゃない
……それにしても毎日とか
「流石に毎日は無理だからね?」
ベッドから出られなくなっちゃうから
「……たまにならいいの?」
なぜそうまでしてやりたがるのか……。 まぁ、たまにならいいか
「いいよ」
そう言うと、白狗が満円の笑みを浮かべた
「狼華大好き♪」
「っとと……」
白狗が勢いよく抱きついてくる。 白くて長い髪が私の身体にかかった
……ちょうど洗い終わっててよかった。 白狗はもう洗ったか
つまみを捻ろうとしてあることに気が付いた
「…………?」
装置を持っている手に違和感を感じた
見てみるとこっちでもお湯と水の切り替え、と出したり止めたりできるようになっていた
……わざわざ壁に取り付けてあるつまみを捻らなくてもよかったか
カーテンを開け、バスローブの隣にかけてあった小さめのタオルを首に掛け、大きめのタオルで身体を拭く
拭き終わると、バスローブを着て白狗に大きめのタオルを渡す
白狗の分のバスローブを持ち、拭き終わるとタオルと交換して渡した
「…………」
拭いているときの動作もそうだけど、着るときの動作が可愛らしい。 ……あんな一面がなければ
着たのを確認すると、バスルームから出る
「さっぱりした?」
「そりゃもう、すごく」
今までは、リオに水の中に閉じ込められてぐるぐるさせられたから
「それはよかったわ。 今日は非番だから朝食を作れるけど、ごはんと味噌汁と、後は何がいい?」
何にしよう……
食べなくても平気だったからすごく迷う
ご飯とみそ汁があるのか。 だったら……
「しょうが焼きがいい」
肉食系女子、ここに現る
「……霊獣だから野菜を食べると思ったわ」
霊獣とはいえ狼っ子なので、お肉が食べたいです。 脂肪がつく? ……胸にね
「……盛り付けの野菜は多めにしておくわね。 白狗もそれにするわ」
そう言って、永琳がキッチンに向かっていった
テーブルについて完成を待つ。 白狗が隣に座った
……さて
「白狗」
「……?」
「何か自分のことでおかしいと思ったことない?」
この子にも青いカーソルが付いているから、何かしら悩みを持っているはず
「おかしいこと?」
「うん」
「……気が付いたら森の中に居た」
「他には?」
「それだけ」
「…………」
記憶を持たずに転生してきたってことなのかな
「どうしたの?」
考えていると白狗が不思議そうに訊いてくる
「なんでもないよ」
「ふーん……」
部屋に香ばしい匂いが立ち込めた
「そろそろ出来上がるから、手伝って頂戴」
「はーい」
<> <> <> <> <>
「はぁ~美味しかった」
テーブルの上には空になった食器が種類別に積まれていた
たれで汚れた口元をナプキンで拭く
「そう言ってくれると嬉しいわ」
肉の絶妙な焼き加減に、たれと細かくすり潰したしょうががしっかりと絡み付いてる。 そして、なんといっても味噌汁の味が、塩分が抑えられて甘みが出ていた
一体どこで料理テクを学んだんだろう
「実はこれね、焼き方は自己流だけど、たれと味噌は二種類から三種類のものをブレンドするっていうのを料理友達から教えてもらったのよ」
「へえー」
その料理友達はきっと料理スキルの上限が限界に達してるんだろうね。 頬がとろけて落ちそうになりました
「白狗が来てから、今期に入って初めて非番よ。 白狗はどうだった?」
「美味しい♪」
尻尾が大きく揺れて私の身体に当たる
「初めて非番って……今までなかったの?」
「医者は大変なのよ。 機械で診察も何もかもできれば楽なんだけど……ねえ」
あのボイスレコーダーを聞いたから、納得することができた
永琳が椅子から立ち上がり、食器を持ってキッチンに行った
その間に三人くらい座れるソファーに腰を下ろす。 ……柔らかい
白狗が隣に座ってきた
「難しいのは兆候がまったく一緒のものね」
キッチンから戻ってきた永琳が、別の一人用のソファーに座った
「たとえば?」
「大雑把に言うと、風邪から頭痛になってそこから重症になるっていうものね。 一体どこから菌が運ばれてくるのかしら……」
「病原菌はないの?」
「……あったわ。 でも、そこまでは強くないわ」
あるんだ。 ないかと思った
「医者の話で思い出したんだけど」
「?」
何を思い出したんだろう
「過激派のことよ」
「…………」
ほんの少しだけだけど嫌な思い出しかない
「月に移住するって話、あったじゃない?」
「うん」
「それでね、あなたを攻撃した男が、地上の妖怪を殲滅する計画を企てているみたいなの」
「!!」
どうして永琳がそんなことを知ってるんだろう
「月移住計画が実行される24時間前にそれをやるみたいよ」
「誰から聞いたの?」
「あの人は単純すぎるから普通に話してくれたのよ」
「…………」
それはラッキーだ
単純ならすぐにケリをつける必要がない
「すぐに伝えにいく?」
「うん」
「じゃあ、白狗も連れて行って頂戴」
「永琳……」
白狗が悲しそうに永琳を見た
「そんな顔しないの。 月に連れて行ったら殲滅派の一部にあなたは消されるのよ」
「…………」
今にも白狗が泣きそうだ
「今のあなたには狼華がいるでしょ?」
「……うん」
白狗が抱きついてきて顔を埋めた
「じゃあ、移住するまでの間はこっちにいましょう」
「うん…………んっ」
永琳がこっちのソファーに移って白狗の頭を撫でる
白狗が私から離れ、永琳のほうに行った
「それじゃあ狼華、白狗はこっちで見てるから行ってらっしゃい」
「うん、行ってきます」
空間に裂け目を作り、入り込む
「…………」
一旦、回廊内で伝えることを整理してみる
まずは白狗のこと。 これについてはすぐに解決できるからいいか。 大変なのはお相手探しくらいかな。 ……私たちぐらいしか同族いないよね。 繋はいるから……やっぱり朔かな
大事なのは殲滅作戦か。 隷音はしっかり考えてくれると思うから、直接言っても大丈夫だよね。 というか、流石にもう終わってるよね
「…………」
これくらいかな
それじゃあ、リオのとこに行くとしよう
メモしたものを「あ、これはこっちのほうがいいな」ってなってそれで通していたシナリオを書き直してると一日があっという間に過ぎる現象を個人的に『風が吹く』と呼んでいます。 由来は忘れました
以下、小説の件↓
繋に先を越されたから白狗を朔にあげてみるというおぞましい計画は、実行したら朔は一体どうなってしまうんだろうとあれこれ考えてると、風が吹く
慣れを感じ始めている狼華が身体的に辛いと言っていたのは、一回という単位が有り余る性欲を保有した白狗が休憩に入るまでということです。 幼さと激しい運動で片付けられるってすごい
この永琳ですが、憑依しているので原作の赤青のあれは着ません。 月に行っても一生白衣のコートに長ズボンです
お食事の描写は精神力の関係上、諦めましたm(__)m
その代わりに狼華ちゃんに感想を述べてもらいました
甘い味噌汁といえば白味噌を使ったものですね。 初めはシチューだと勘違いしました
P,S ようやくサブタイの影が浮き上がってきた