終わりのセラフ〜転生した少年〜   作:鬼城

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やっとここまでかけました。

三巻の終わりまで書いてあります。
最後まで読んでくれると嬉しいです!


十三話 戦争の始まり

百夜 茜と書かれた部屋に入る。

ふと窓の方へ行ってみた。最近は窓の方へ行くことが多くなった気がする。

窓から新宿の方を見ると沢山の煙がたっていた。

(優ちゃん、陵ちゃん…大丈夫だよね?)

 

彼等が新宿の方へ任務に行ったことはグレンから聞いていた。彼等は強い。そうわかっていても心は落ち着かない。せめて自分が強ければと思うが…行っても足手まとい。

 

「帰ってきてね。優ちゃん、陵ちゃん。」

 

そのか細い声は虚空へと消えた。

 

 

「やっと着いた。新宿だ。」

 

やっとここまで来たというのに心は重い。きっとさっきまで続いたシノアの説教がこれほどまでに疲れさせたのだろう。

それでもゆっくりしている暇などない。ここ、新宿は今襲われているのだから早く向かわないといけない。

急いで中に入ると警報を伝える放送が耳に入った。

 

『緊急警報!緊急警報!吸血鬼たちの襲撃がありました!!敵は西防御壁に攻撃を仕掛けています。民間人こ皆さんは東防御壁へ退避してください‼︎』

 

「一体どういうことだよ!新宿は日本帝鬼軍の第二都市だぞ‼︎吸血鬼が攻めてくることなんてあるのかよ!吸血鬼殲滅部隊は何してんだ‼︎」

 

周りの軍人はとても慌てているようだ。

 

「どうなってる?」

 

「言葉どうりだよ。吸血鬼たちが攻めてきたらしいよ。」

 

ドオンとあちこちで爆発音が聞こえる。

上の方を見上げると数機のヘリコプター。きっとあの中に吸血鬼たちが乗っているんだろう。

するとその数機の中の一機が与一と同じ矢によって撃ち落とされていく。

(ん?あれは鬼呪装備なのかな?)

 

「あれって僕と同じ鬼呪装…‼︎」

 

「の、グレード版です。」

 

「鬼呪装備を簡略化した通常呪術装備だ。銃のような一般火器では吸血鬼は殺せないからな…。」

 

どうやらあれらは鬼呪装備ではないがそれと似たやつみたいだ。

 

「こりゃひでぇな。完全に戦争じゃねぇか…」

 

君月が呟く。

これでも持ちこたえてはいるようだがこのままだとここはもうすぐ墜ちるだろう。

 

「グレン中佐が言ってた通りだ。関西の吸血鬼どもはあたしたち、日本帝鬼軍を潰すつもりだ!」

 

 

 

『兵士のみなさんは西へ‼︎吸血鬼が大挙して押し寄せてきています‼︎渋谷本隊が合流するまで…なんとか防ぎきってください。』

 

また放送が流れる。その放送を優は黙って聞いている。そして、、

 

「で、俺たちの部隊はどう動くんだ?」

 

と聞く。

 

「私たちは吸血鬼殲滅部隊ですよ?もちろん吸血鬼が出てきたのなら…」

 

俺は不敵に笑ってみせる。

 

「前線だね!」

 

そして俺たちは急いで西へ向かった。

 

 

ある建物の屋上。グレンは一人吸血鬼の行動を観察する。

 

「おーおー、始まったな、本当に攻めてきやがった。んで…どーこが司令塔だ?」

 

吸血鬼の司令塔らしき人物を探す。そして、そいつはいた。車の上に立っている吸血鬼。他の吸血鬼と違ってとても、だす雰囲気が違っていた。かなり遠くから道具を使って、見ていたのだがその吸血鬼はこちらに気づいたみたいだ。

俺と目が合う。

 

「お〜っと、やべぇ。この距離で気づくのかよ。」

 

「あの、グレン中佐。こんなところで悠長にしてる場合では…」

 

後ろから聞き慣れた声が聞こえてくる。

その声がした方へ振り向くとやはりそこには見慣れた女性。名前は花依 小百合。俺が中佐なら小百合は少尉の位につく。

 

「ん〜別に悠長にしてるわけじゃなぇけどな。新宿攻めんなら見張り塔がいるだろ。とすれば吸血鬼どもはここを狙ってくると思…、って言ってるそばから来たぞ小百合。」

 

小百合の後ろには一人の吸血鬼。

それに小百合は気づいていないみたいだ。だが慌てることはない、なにせ…

ズガッと音がして小百合の後ろにいた吸血鬼は跡形もなく消える。

吸血鬼が消えたと同時に現れたのは十条 美十。位は大佐だ。グレンは彼女がいることに気づいていた。だからさっきは慌てなかったのだろう。

 

「遅ぇよ。美十。」

 

「何が遅いよ。急に戦争するとか言い出してこんなとこ呼んで…一体どういうことなの?」

 

そして美十のそばからスッともう一人現れる。今いるグレン達は気づけたが、並みの人だったら現れたのにも気付けないだろう。それほど上手く気配を殺して現れるその女性は、雪見 時雨、 位は小百合と一緒の少尉だ。

 

「グレン様 ただいま参りました。」

 

「なーんかすげぇこと始まったみたいだなぁ。どうすんだ?新宿の殲滅部隊はまるで対応できてないぞ、これ。」

 

そしてもう一人歩いて現れたのは五士 典人 こいつも美十と一緒の位、大佐になっている。

その計4人が集まったことをグレンは確認すると、グレンは口を開く。

 

「よし、俺のチームは全員揃ったな。」

 

「はぁ?なんで名門十条家の令嬢であるわたしがあんたなんかのチームに…」

 

「キーキーうるせぇ。」

 

「うるさくなあぁぁぁぁい‼︎」

 

美十はグレンの言葉に早くも怒り叫んでいる。

そんな美十を無視して優達の監視させていた時雨の方を向く。

 

「んで、時雨優のチームはどうだ?」

 

「無事、吸血鬼の支配を解放して新宿に入りました。」

 

その言葉にグレンは少し驚く。

 

「へぇ、早ぇな。じゃあこの戦争にも参加できるか?強くなるには実戦が一番だからなぁ。死ななきゃ強くなる。」

 

そして、外の状況を見渡す。

ところどころで爆発音がして元々ボロボロだった建物がさらにボロボロになっていく光景を静かに見つめる。

 

「行くぞ、お前ら。司令塔は五丁目の交差点にいる吸血鬼どもだ。とりあえず頭を潰しゃ状況も変わんだろ。」

 

そして司令塔を倒すべく、交差点に向けてグレンのチームは歩き出した。

 

 

「あはぁ〜、これは見られてますねぇ。」

 

一人の吸血鬼 フェリド•バートリーはある一点を見つめて言う。

 

「……見られてる?」

 

「いえいえ、こちらの話です。ところでミカ君、君は血を吸わなくていいんですか?」

 

顔を上げると、人の血を飲んでいるたくさんの吸血鬼の姿が目にうつる。

 

「…うるさい。お前には関係ない。」

 

本当は今でも血を飲みたいという吸血鬼としての感情を抑えることで精一杯だが今はその衝動は収まっているようだ。まだ、我慢できる。そう自分に言い聞かせる。

 

「で〜も、戦時中の今飲まないと吸血鬼の街では法に縛られて、直接人間の血を飲めませんよ〜?」

 

「はっ、お前は法を守らず僕の血を飲んでたじゃないか。フェリド•バートリー。」

 

「はは、人聞きの悪いことを言わないでよミカ君。君の方から飲んでと言ったんでしょう?で…僕の屋敷から銃や吸血鬼の都市を脱出するための地図を盗んでいた。」

 

そして蘇るのは昔の記憶。まだ僕が人間だったころの儚い記憶。

 

「僕はお前の道楽で家族を皆殺しにされた。」

 

あの時のことを少し思い出したためか声が憎しみを込めたものに変わる。

 

「あーらら、吸血鬼になった今でもまだそんな古いことを怒ってるんですかぁ?」

 

僕はフェリド•バートリーを睨む。そしてトンッと車から飛び降りる。

 

「いや…僕が怒りを感じるのは家族を守るだけの力がなかった自分にだけだ。」

 

「ふふ、相変わらず自罰的ですね。で…最後に残った家族ーーー、あの三人だけは守る〜ですか?愛だなぁ…あははは、あっでもミカ君本当に人間の血は吸っとかなきゃだめですよ?血が欠乏したら僕らは暴走して《鬼》になっちゃうんだから。」

 

人間の血を飲んでいる吸血鬼を見る。その時感じたのは喉の渇きだった。

 

 

ー四年前ー

吸血鬼都市サングィネム

 

僕の前には一人の子供が横たわっている。

その子供を見ながら僕が感じてたのは喉の渇きによる苦痛。それでも血を飲むわけにはいかないとグッとその苦痛を押しとどめる。

 

「さぁ、ミカ。この人間の血を吸いなさい。そうすればあなたの細胞は動きを止める。人間の老いのない体ーー完全な吸血鬼へと変貌する。我らの同胞にーー」

 

「…ぼ、僕は…吸血鬼になるつもりはない!」

 

クルルがそんな僕を見て笑う。

 

「あはぁ、そんなこと言っても、体は我慢出来ないでしょう?全身が痛いはず、乾いて乾いて仕方ないはず…我慢せず欲望のままに…」

 

「うるさい!!」

 

スッと僕の顎に手を当てて来たクルルの手を叩く。パシッという乾いた音が部屋の中で響く。

 

「…じゃあ、このまま死ぬ?」

 

「吸血鬼になるくらいなら…死んだほうがましだ‼︎」

 

「そう、まぁ確かに…ね。でも貴方もう普通には死ねないわよ?わたしが貴方を変えちゃったから。血を飲まなければ意思のない醜い《鬼》に変わってしまうーーー。だから人間の血を…」

 

そんなクルルの言うことでさえも反対する。もともと死んだ体だ。生きている方がおかしいのだから。

 

「絶対に嫌だ‼︎」

 

クルルはそれでも笑っている。

そして自分の手を切りポタポタと血が流れるその血を僕の前に突き出す。

 

「じゃあ、人間ではないわたしの血を飲み続けるかーー。」

 

残された理性が血を飲みたいという衝動で埋め尽くされる。そして僕は気付いたらクルルの血を飲んでいた。

その時僕は気付く、僕は一生クルルから離れられない。と…だってもうクルルに頼るしか生きていけないのだから。

 

 

ドンッという音で吸血鬼の前に現れたのグレン達《月鬼ノ組》それぞれの人間と吸血鬼の主力がぶつかり合う。

 

「ここ制圧すりゃ俺らの勝ちだ。」

 

そしてグレンの刀から黒い霧のようなものがでる。

そんな奇妙な事にも驚かず冷静に判断していく吸血鬼。そして相手の司令塔は的確に指示をそれぞれの吸血鬼にだしていく。

 

「さぁ、吸血鬼を皆殺しだ!!」

 

「下等な人間どもを殺しなさい。」

 

そして、新宿を巡った戦争は始まった。

 

 

「なぁ、優。そろそろ吸血鬼殺すの飽きて来たんだけど…」

 

「そう言うなって。」

 

そしてこれで何体目かわからないがまた目の前の吸血鬼を一瞬で消していく。

俺たちが西へ着いた時ほとんどの人が希望を見るような目で声を上げた。まるで遅く登場した主人公のようなものだ…と、一人思いながら門前の吸血鬼を俺たちシノア隊で片付けていく。

 

丁度ほとんどの吸血鬼を殺り終えたときまたも、スピーカーから放送が流れる。

 

『命令を伝えます。命令を伝えます。現在かつてこの新宿をたった一部隊で吸血鬼から奪還した、《月鬼ノ組》の一瀬グレン中佐が出動されてます。あと少しみなさん持ちこたえてください。続いてシノア分隊へーー、一瀬中佐から命令です。至急新宿五丁目交差点にこい。敵の司令塔がいるーとのことです。』

 

五丁目といわれても俺はほとんどこの辺りの事を知らないので何処かわからない。

 

「ここからすぐだ!」

 

という君月の言葉が聞こえたので早く行けると安心する。

 

「よし、じゃあ行くぞ!吸血鬼どもを皆殺しにしてやる!」

 

(やっとこのときが来た。必ず勝つ!)

 

そして目的地に向かって俺らは走り出した。




次回はどこまで行くかなぁ。
やっぱり、ミカとの再会ですかね、

それでは次回もよろしくお願いします。
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