上手くかけたかは、わかりませんが読んでくれると嬉しいです!
では十四話どうぞ!
ー四年前ー
「ねぇねぇ、陵ちゃん〜」
俺が本を読んでいる時ミカがそう声をかけてくる。
「なに?」
俺はパタンと本を閉じ寝転がっているミカの方をみる。
「陵ちゃんさ…なんか僕たちと距離置いているようだけど…僕たちは親に捨てられたどうし家族なんだから。もっと、甘えてもいいんじゃないかなぁ〜。」
ミカの『家族』という言葉に心臓がドキンとはねるのを感じた。俺が百夜孤児院の皆と同じ、家族に捨てられたということは、ここにいる皆が知っていることだ。それでも俺は百夜孤児院の子供ではないのでいろんなとこで譲ってきた。一緒にいてもそれは家族ではなくただの友達。そうこれまで割り切ってきたのだ。それでも、ミカは家族だと言ってくれるらしい。
「でも…俺は百夜孤児院の子供じゃないから。」
「なら…今なっちゃえばいいじゃん!」
そんな無茶ぶりを言ってくるミカ。それでも俺は嬉しかったのかもしれない。初めて家族というものができそうだと…
「ありがとう…ミカ。」
「いいえ、どういたしまして陵ちゃん!」
そしてミカは皆がいる方へ「みんな〜聞いて〜」と言いながら走っていく。俺はその背中を見送った。
これが俺に家族が出来た瞬間であり、皆との距離が縮まった瞬間でもあった。
◆
新宿五丁目まで行く間にも吸血鬼は襲ってくる。
やはり、そろそろ飽きてきたものだ。死ね!人間、と襲いかかってくる吸血鬼。それを全て一撃で消していく。これではまるで吸血鬼での流れ作業をしているみたいだ。
「…おい!ここでずっと戦ってても拉致明かねぇぞ。先へ行こう!」
「賛成だ。グレン中佐の命令も敵司令塔がいる新宿五丁目へ集合しろ、だ。敵の頭を一気に叩くぞ!」
「優くん、陵くん!」
さっきから吸血鬼ラッシュであまり目的地まで進んでいない。それに流石にみんな疲れている、というのが見て取れた。
「行きましょう、優さん、陵さん。」
「「よし、行くぞ!」」
そして俺たちは目的地へ急ぐため走る。
その時、隣を走っていたシノアが思い出したように言ってきた。
「あ…、ところで最前線にいく前にちょっといいですか?優さん、陵さん。」
「あ?なんだよ?」
「どうしたんだい?」
こんな時に何を言ってくるのだろうと疑問に思うがきっと大切なことなのだろうとシノアの次の言葉をまつ。
「突然ですが、今から優さんの第一回目の修業を始めまーす。」
「はぁ?修業?…つか陵は?」
あまりの急なシノアの言葉に優は走っている足を止めそうになる。
「はい足を止めないで〜、ちなみに陵さんは優さんと違って頭がいいですので授業は必要ないでしょう?まぁ、前線に行きながら説明します。」
「ちょ、お前…こんな状況で何言っ…」
「こんな状況だから言っています。すでにさっきの吸血鬼の貴族とぶつかってわかったと思いますが…いくら優さんたちが《鬼呪装備》でも最上位《黒鬼》シリーズの保有者とはいえ今のままだったら瞬殺です。前線にでてもまるで役に立ちません。もうね、あれです。地面に落ちているうんこ以下の存在…」
「「何の話(かな?)」だよ!」
話が急に変わったのでシノアに優とツッコミを入れとく。
(瞬殺ねぇ。確かに勝てるとは思わないけどね。)
確かにあいつ、クローリーは強かった。吸血鬼の中でも上の実力にはいるだろう。はたして俺は勝てることができるのか?いやこれは愚問だな。必ず勝たなくてはいけないのだから、ここで弱気になってはいけない。
一人で色々考えている間にも優とシノアの話は進んでいく。
そしてシノアが急にあるものをだした。
それは沢山の錠薬のようなものが入っている小さな箱だった。
「薬?」
「ええ、いま一番最先端の修業法です。ドーピング、ドーピング。飲むと鬼と同化しやすくなって本来の力が引き出せます。」
つまり、飲んだら強くなる。という薬なんだろう。
「じゃあそれ飲みゃ、吸血鬼の貴族もーー」
「少なくともすぐに殺されたりはしなくなるでしょう。理論上、1錠飲めば1.5倍ーー、2錠飲めば1.8倍の力が使えます。」
「そうなんだ。じゃあ何錠まで飲めるの?」
普通の事を聞いただけなのだがシノアが驚いた顔をする。優は優で頭に?を浮かべていた。
「あはは、よくわかりましたね。この薬は三錠飲めば内臓全てが破裂します。二錠でもショック死しかねないダメージがあります。なので普通は一錠まで、おまけに効果時間は15分、薬が切れた瞬間鬼呪装備すら解除されて完全に無防備になります。そこでこれの登場です。」
そして、シノアが取り出したものは普通のアラームだった。きっとこれで戦う時間をきめるのだろう。
「このアラームは13分で鳴ります。鳴ったら全力で逃げてください。残り2分であなた方はただの人間ですから。ちなみにこの薬の効果が出始めるのに10秒掛かります。」
(なるほど、だからクローリーと戦う時この薬を渡さなかったのか)
その十秒でクローリーなら俺たちを殺すことができた、とシノアは考えたのだろう。
「ちょっと質問」
「なんです?優さん。」
「これが前にお前が言ってた。鬼呪装備の本当の使い方なのか?これさえあれば全部、鬼呪装備の力を引き出せる?」
それは優が一番聞きたかったであろう質問だった。
優はすぐに力を求める。それは今も昔も変わっていない。
「いえいえ、これは一時的処置です。鬼呪の力を使いこなすにはもっと勉強と修業が必要ですが…その後それでも足りない部分を補うためのドーピングです。でもーー今はそれ、やってる時間ないでしょう?なにせ戦争始まっちゃいましたし。」
「確かに…」
シノアの言葉に納得する優。
「それが戦場だ。」
「三宮…そればっかだな。」
「君月、知らなかったのか?三宮は流行語大賞狙ってるんだよ。」
「おい、陵。殺すぞ!」
そんな会話に与一がまあまあと割って入る。
「でも…薬飲んで強くなるとか…なんか嫌だなぁ…」
そんな不安げな与一の言葉にシノアは自信満々に言う。
「ああ、そこは安心してください。この薬人体に副作用がありまくるのは日本帝鬼軍お墨付きですから。」
「「全然だめじゃねーか‼︎」」
(絶対、自信満々に言うことじゃなかったな。)
「あはは、だから極力飲みたくないですが〜今回は仕方ないので皆さんに配りまーす。」
そして、俺の手に例の薬が渡される。
その中には結構な量の薬が入っていた。見た目は普通の薬だ、それでも死ぬ可能性がある薬だから丁重に扱わなければならない。
「飲むタイミングは?」
「まぁ、今回はグレン中佐がいるので中佐が命じるでしょう。でも中佐にその暇がなさそうなら私がしますが…」
「分かった。じゃあ行こうか。」
そして、一度走りを止めた足を再び動かした。
◆
前線ーー
新宿五丁目 交差点。
グレンの前には金髪の吸血鬼。服装からして貴族ではないらしいがそこらへんの吸血鬼に比べたら格段に強いと言えるだろう。それは剣を交えただけでわかった。
(俺に意識を向けさせれば俺たちの勝ちだ。)
そしてその吸血鬼と戦いながらも悟られないように吸血鬼を罠のある方へ誘導していくグレン。
「おーおー、なんだてめぇ強ぇ〜な、おい!」
「…そう?でも君は強くない。」
「そうか?」
相手の隙を見て一瞬で距離をつめて、吸血鬼の頭に呪符をはる。
これには流石の吸血鬼も回避出来ずに驚いている様子だった。
「爆裂しろ。不動明王呪」
その言葉のあと呪符がドオンと音を立てて爆発する。
やったか?と思ったがそれだけではダメらしい。数十メートル先に爆発を回避した吸血鬼の姿があった。
「…ちっ、今のよけんのかよ。たまんねぇな、おい。」
「爆発が遅いよ…それにそんな古い呪術が吸血鬼に通用するとでも?」
(気付いていないな。これなら殺れる!)
さっきの爆発は誘導させるための道具にすぎない。相手の吸血鬼がその場を離れないことから罠はバレていないことが分かった。
「あっはー、さっすがミカ君、第三位始祖クルル•シェペシのお気に入り。圧倒的な力と傲慢さでも、その傲慢さは足元をすくうよ。手伝おうか?」
不意に聞こえたその声は建物の上にいるさっきまでの戦いを見ていた吸血鬼の貴族のものだった。
「…なんだよ、それ。どこに僕の負けがある?それにお気に入りは僕ではなく陵ちゃんだろ?」
「あはは、負けるよ。足元見なきゃ、敵は最初から一対一で戦う気はないよ。」
その貴族の言葉でようやく気付いたようだ。その吸血鬼は足元をみて驚く。
「バレたぞ。時雨、殺れ。」
「はい。」
何処からともなく現れた時雨は、敵の足元にあった罠のもとである糸をひく。すると糸につけてあったクナイがあらゆる方向から吸血鬼に向ってドドドドと音を立てて落ちていく。
「五士、幻術展開。」
「もうやってる。」
時雨の攻撃さえもかわした吸血鬼を今度は五士が幻術で襲う。その幻術から吸血鬼はグレンの予想どうりのところへ逃げる。
「ほら、チェックメイトだ。吸血鬼。」
そして剣をその吸血鬼を殺そうと振り下ろしたその瞬間思わぬ邪魔によりグレンは相手に殴られただけで約10m以上も吹き飛ぶ。
「グレン!」
「うっは〜、やーべ予想と段違いだ。あの長髪の吸血鬼が尋常じゃなく強ぇ。」
さっきの攻撃によりグレンは満身創痍となる。
そして目の前の吸血鬼二人は何か話しているようだった。
「ねぇ、ミカ君。人間なめない方がいいよ。彼らは強かで欲深くて卑怯だからーー。な〜んてもと人間の君に言うのもなんだけどね〜。」
「うるさい。」
「あは〜さて、そろそろ本気で行こうか。二人でやれば…」
「もう問題ない。向こうのやり口はわかった。剣よ、もっと血を吸え。」
そしてさらに剣の色が赤くなる。
「ふふふ、やっぱり傲慢。その傲慢さはこないだまで人間だったせいなのかなぁ〜」
ミカとフェリドが話している時グレンはアラームを見ていた。そして呟く。
「こりゃ、薬二錠コースかねぇ。もしくは新宿捨てて撤退するかーー。それか優たち黒鬼装備の援軍が間に合うかーー。」
「いけません!グレン様!二錠飲んだら死ぬ可能性が…!!」
誰にも聞こえないように呟いたつもりだったのだが、小百合には聞こえたらしい。
「飲まなくても死ぬだろこれ。じゃなくても薬の効果時間があと八分、その制限時間内にあいつら始末しないとーー。」
「話は終わった?ならもう行くよ。」
金髪の吸血鬼が戦闘態勢に入る。
「そりゃ、ご丁寧にどうも、でももうちょっと待ってくれっかな〜?」
「どれくらい?」
「ちょっとお薬の時間なんで20秒だけ静かに待ってくれるとありがた…」
キンッと刃と刃が重なる金属音が響く。
「まぁ、待ってくれねぇよなぁ、おまけにーーてめぇさっきより速ぇじゃねぇか。」
「もう手加減はやめたんだよ。」
「戦場で手加減とかお子様だなァ、おい。」
そして相手の吸血鬼はもう一度剣を構える。
「そのお子様に殺されるんだ、おまえは。」
そして吸血鬼の速い攻撃。グレンはその攻撃で剣を弾き飛ばされ丸腰となる。
「うお…まず…くっそ…」
(こりゃここで死に…)
「お?敵の援軍はっけ〜ん、ミカちゃん早く始末しないとまずいよ〜」
その長髪の吸血鬼の声により俺はやっとか、と誰もわからないぐらいに笑った。
◆
前線につくとそこには吸血鬼に剣を向けられているグレンの姿があった。
「まずい‼︎グレン中佐が…!」
「全員すぐに薬を飲んでください‼︎中佐を救出して離脱します‼︎」
シノアの言葉を聞きすぐに用意してあった薬を口の中に放り込む。
「行くぞ!」
「おう!」
そして、全速力でグレンの元へ向かう。
だが、それでも一歩遅くグレンの前にいる吸血鬼は剣を構えてグレンの方へ剣を突き刺した。途端にグレンから流れる血。
「グレン‼︎」
「なっ!てめぇ…グレンになにしてんだあぁぁあ!」
優と二人で金髪の吸血鬼に向って走る。
(あ…れ?うそ…だろう?…生きて…ミカ!)
気付いてしまった。グレンを刺した吸血鬼は見覚えのある金髪。そして青色の目。二年も一緒に暮らした家族を見間違えるはずがない。でも隣を走る優はグレンを刺されたことにより頭に血がのぼって気付いていないみたいだ。このままだと優がミカを刺してしまうのは誰の目から見ても明らかだった。
(とめなきゃ。)
俺は優がミカを刺すより速くミカの前に立つ。
するともう優の剣はすぐそこまで迫ってきていた。
(剣で防ぐのは間に合わない!)
そしてドッと剣が己を貫く音が聞こえた。
読んでくださりありがとうございました。
次回は優の暴走まで書けたら書こうかと思います。
次回もよろしくお願いします!