終わりのセラフ〜転生した少年〜   作:鬼城

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お気に入り登録してくださった皆様ありがとうございます!これからオリジナルを増やしていけたらと思っています。

では今回は、前回に書いたとおり優は一回休みです。
それでは、どうぞ!


十七話 人体実験

ーー5日後ーー

ー日本帝鬼軍ーー地下ー

 

地下に続く階段を降りていく人影。

しばらくしてその影は歩みを止める、その目の前には檻のような扉がありそれを守るようにして軍人が二人立っていた。

 

「止まってください。ここから先は立ち入り禁止です。」

 

その内の一人がその人影、柊 シノアに制止の声をかけた。

 

「この制服を見てわかると思いますが、私は日本帝鬼軍の人間です。それも吸血鬼殲滅部隊の…」

 

「たとえ、殲滅部隊の方でなっても尉官以下の人間は立ち入ることを禁止されています。」

 

シノアが、吸血鬼殲滅部隊だと言ってもその軍人は断固として拒否してくる。

それほどまでにここは、隠されている場所なんだろうか。

 

「一体ここは、なんの施設なのですか?」

 

「モルモットの実験場だよ。」

 

「おい‼︎」

 

「大丈夫だろ、新宿兵はみんな知ってんだから。」

 

シノアの質問にもう一人の軍人があっさりと口を割った。シノアはもっと情報を聞き出すべくさらに質問を続ける。

 

「…モルモット、というのは?」

 

「捉えた吸血鬼どもの体を使って弱点を探ってんだよ。」

 

「つまりは、人体実験ですか?」

 

「はっ、あいつらが人間だっていうならそうだな。」

 

(弱点ねぇ。無駄だと思いますが…)

たとえ、弱点があっても人間は吸血鬼のスピードにほとんど追いつけないし、吸血鬼自身、自分達の弱点を知っているだろう。

 

「…まぁ、いいです。入れてください。」

 

「いや、だから尉官以下の者は…」

 

シノアはスッと手を前にだし、柊家である象徴のものを出す。

 

「私は、日本帝鬼軍を統べるーーーー、柊家の血に連なる人間です。これでも通れないでしょうか?」

 

「い…いえ‼︎もちろん大丈夫です‼︎」

 

流石にコレは予想してなかったのか、驚き。そして血の気の引いた顔を見せる軍人二人。

そんな二人を無視してシノアは歩き出す。

 

「あ…あの、お聞きしたいのですが…なぜ柊家の方がその…軍曹などという階級にーーー。」

 

と一人が、シノアに躊躇いながらも聞く。

 

「軍曹って響きが好きなので、あと軍の中でのくだらない権力争いに興味がないんです。そのせいで姉は死にましたし……じゃ、通りますね。いいですか?」

 

「…………は…はい」

 

そして目の前にあった扉が開かれシノアはさらに奥へと進んでいく。

途中、檻の中にいる吸血鬼が目に入るがそんなことは気にしない。しばらく進んでいくと光のある一つの部屋についた。ゆっくり覗いて見ると、そこには沢山の実験器具と研究者。そして…

 

「見つけたーー」

 

シノアは目的であったある一人の男性の姿を見つけた。

 

「グレン中佐、5日探しました。」

 

「へぇ、そりゃご苦労なこったな。」

 

その人物、一瀬グレンはシノアが来たことになんの驚きを見せず持っている資料をただ眺めている。

 

「少し、聞きたいことがあります。」

 

「答えるかよ。だから帰…「優さん達がまだ目を覚ましません。」

 

グレンの言葉を遮るようにシノアは言う。

 

「いったい、グレン中佐は優さん達に何をしたんですか?…いえ優さん達で何をしようとしてるんですか?」

 

シノアはそう言った後、鬼呪促進剤の薬をグレンの机に投げ捨てる。

 

「優さん達の《黒鬼》シリーズの装備は特殊なものだから特殊配合の薬を渡せーーと中佐に言われてそうしましたが……あの優さんの暴走はその薬のせいじゃないんですか?いったいあの戦場でのあれはなんなんです?答えてくださいグレン中佐。」

 

「はは、お前が感情見せるなんて珍しいな。怒ってんのか?で…なんて答えたら納得する?何もしてないって答えたら安心するのか?」

 

「馬鹿な!何もしてないわけが…」

 

「じゃ人体実験してるって言ったら怒るのか?」

 

グレンから返って来たのは、とんでもない言葉だった。

人体実験…その言葉通り人間に行われる実験のことである。それをグレンは優達にしていると言ったのだ。

驚いているシノアを無視してグレンは続ける。

 

「か弱い人間が…崩壊した世界で生き残るにはどうしたらいい?吸血鬼を殺すには?ヨハネの四騎士を始末するには?お前の姉《柊 真昼》が開発した《鬼呪装備》はいったい何人の犠牲の上に完成した?《鬼呪装備》なしで、人間はこの世界で生き残れたか?」

 

「それは…」

 

「なら、いまさら綺麗ごと抜かすんじゃねぇよ。ガキ…それとも、優に惚れたか?」

 

流石にコレにはシノアは怒りに打ち震える。

 

「はは、私は陵さん一筋ですよ?それともそんな軽い女に見えますか?」

 

「怒るなよ、でも俺から見たらただ一方的にお前が陵を好きなだけに見えるけどな。まぁ、俺にはお前がどうなろうが構わない。ガキ同士の色恋をいちいち、俺に報告してくるなよ。帰れ、」

 

「待ってください。私の質問に…」

 

「か•え•れ」

 

グレンに冷たい目を向けられグッとうろたえるシノア。

そして、グレンはもとの自分の仕事へ取り掛かる。

 

「ああ、それとあの薬5日で抜けるから優達の奴目を覚ますぞ。そばにいてやれよ。」

 

シノアはその言葉を聞いて走りだして行った。シノアが去ったのを確認しグレンは一つの資料を取り出す。

 

「陵は薬を飲んでも暴走はしなかったか…つまりあいつはセラフの実験体ではないわけだ…もっと調べが必要だな。」

 

グレンの見ている資料には鈴谷 陵という名前が書いてありそのほとんどが白紙だった。

 

 

俺が目を開けるとそこは暗闇の中だった。

足の方には水溜まりが広がっておりどこか、不気味さが感じられる。

 

「ふふふ、もっと魂をくれ、力を求めろ。」

 

そんな声が暗闇の中で木霊する。

 

「…!?誰だ!」

 

「さぁさぁ、私が完全化するにはまだまだ足りない。早く早く。」

 

またしても不気味な声。俺はその声に向って叫ぼうとしたがその瞬間、グッと足が水の中に引っ張られる。

何も抵抗することが出来ず深く深く体が水の中へ入っていく。その冷たい水の感覚に俺は飲み込まれていく。完全に水に浸かったとき一筋の光が見えた。その光に向って手を伸ばす。今にも消えそうな光に、必死に必死に俺は手を伸ばした。

 

 

「…はっ!」

 

目が覚めるとそこには真っ白い天井。

さっきのはどうやら夢だったようだ。そのはずなのにさっきまでの水の感覚は消えない。本当に夢だったのだろうか?と錯覚までしてしまう。

 

「陵さん?」

 

不意に聞こえる声。その声のする方を見ると驚いた顔と恥ずかしいそうな顔をしているシノアがいた。

片手にタオルを持っているシノアはどうやら俺の汗を拭いていたらしい。ただそれだけで変わったことはない。そのはずなのにシノアは恥ずかしいそうにしている。

だが、その理由はすぐに分かった。

 

「…!?ごめん。」

 

どうやら俺がシノアの手を急に握ってしまったようだ。きっとあの夢が原因だろう。

 

「いえいえ、急でビックリしただけですから。それともシノアちゃんと手を繋ぎたかったですかぁ?」

 

顔をニヤニヤさせながらそう言ってくるシノアに、なっ!?と俺は顔を赤くする。

 

「それよりも、ここは?」

 

照れ隠しとして俺は話題を変える。シノアはそれでも茶化してきそうだが、今回はそんなことはなく、急に真剣な趣でこちらを見てきた。

 

「覚えて無いですか?」

 

その言葉で俺は色々と思い出していく。

(そっか、俺あのまま気を失って…)

 

「!?、俺は何日眠った?それにみんなは?」

 

「陵さんは5日寝ていましたよ。それとみんな無事ですが…優さんは陵さんと同じく昏睡状態でまだ目が覚めていません。」

 

「そっか…」

 

俺はみんなを守ることが出来ただろうか…

そう思いながら俺はシノアの方を見ていると首元に湿布が貼られてあることに気がついた。そして俺はシノアをめいいっぱい抱きしめる。

 

「!?」

 

「ごめん、吸血鬼に、噛まれちゃったね…」

 

「そ…そんなことですか…大丈夫ですよ。」

 

「コホンッ」

 

そんな会話をしているとわざとらしく咳払いをしてドアの前で立っている女。三宮 三葉がいた。

 

「イチャつくなら、外でやれ。」

 

そうは言っているものの、顔を赤らめているためまったく説得力がない。

 

「あらら?みっちゃん羨ましんですか?」

 

「そんなわけ、あるかぁ!」

 

そして二人の喧嘩がはじまる。まぁ一方的に三葉が攻撃を仕掛けてシノアがよけるというだけのものなのだが…

 

「本当っ、相変わらずうるせぇな。」

 

「まぁまぁ、君月くん、落ち着いて。」

 

そう言いながら次に入って来たのは、君月と与一の二人だった。どうやら、騒ぎを聞きつけてやって来たようだ。

その二人と目線があう。

 

「…りょ、陵くん!」

 

「目が覚めたのか!」

 

「おかげさまで、」

 

そして、与一は俺に飛びついてきて、それを君月は羨ましそうに見ている。

 

「ん?君月もくる?」

 

俺は両手を広げてみてみるが、君月は顔を赤くして叫ぶ。

 

「誰が!行くかよ!」

 

「じゃ、私が!」

 

君月が拒否したのでシノアがとびついてきた。

 

「「……」」

 

その光景を君月と三宮は無言で見つめていた。

 

 

ーーサングィネムーー

 

ビーー、

 

『鬼呪の毒の除去が完了しました。』

 

そんなアナウンスのあとカプセルが開きミカは、起き上がった。

 

「!」

 

そして零れたのは涙。それを左手で拭う。

 

「…涙なんか、吸血鬼になってから流したことなかったのに……」

 

この涙はきっと、家族に会えたことによるものだろう。

ミカはカプセルから出て着替えがあるところまで歩く。しばらくして、同様にカプセルから出てきた二人の吸血鬼が話しかけてきた。

 

「いやぁ、たかが人間ごときにひでぇ目にあったな。おまえが一番派手にやられてたけど、傷はどうだよミカ。」

 

「…」

 

「は、新入りの分際でまた無視かよ。」

 

吸血鬼の二人の内、青紫色の髪をした吸血鬼が、ため息を吐きながらそう言ってくる。

 

「しかし…いったいあの戦場にいたバケモノはなんだったんだろうな…」

 

そしてもう一人の黒髮をした吸血鬼が口を開いた。

こいつの言うバケモノは優のことだろう。

 

「ああ、あれなぁ。上位始祖会でもあれ問題になってるらしいぞ。」

 

「問題?」

 

「なんでも人間どもが、世界を滅ぼしかねない禁忌の研究に手をだしてるって、確か…《終わりのセラフ》とかいう…」

 

そんな二人の会話を聞いてもミカは無言を貫き通す。

そして、また青紫色の髪をした吸血鬼は続ける。

 

「今回の新宿襲撃も結局あれの回収が目的だったんだってさ。」

 

「さてね〜、指揮をとっていたフェリド様はそもそと何考えてるかわかんないとこあるしわかんねぇけど…でも、おまえは知ってるんじゃないの?ミカ。」

 

更衣室を出て行こうとしたところでそう声をかけられる。

 

「なにせあのバケモノ、おまえの知り合いだったんだろう?だからおまえクルル様のお気に入りなのか?…百夜 ミカエラ、おまえはいったい何者なんだ?」

 

「…何者?何者か?僕が何者か…見ればわかるじゃないか。ただの醜い吸血鬼だよ。」

 

「なんだよ、それ。」

 

そして今度こそ出て行こうとするミカだが、次は放送によって動きを止められる。

 

『伝令、伝令、百夜 ミカエラ様 第三位始祖 クルル•シェペシ様がお呼びです。至急…『王の間』にいらしてください。』

 

「ほら、お呼び出しだぞ女王のお気に入り。」

 

その声とともにミカはドアに手をかけた。

 





次回で四巻が終わるかなぁ。
次回が終わったあと、番外編を入れようかどうか迷っています。まぁ多分するかも?

それでは次回もよろしくお願いします!
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