終わりのセラフ〜転生した少年〜   作:鬼城

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アニメで言うと2クール目の始めに突入しました!

それでは、どうぞ!


二章 名古屋決戦 前編
十九話 呼び出し


目を開けるとそこは白い空間。もう何度も体験してきたことなので、だいぶ慣れてきたきがする。

 

「で?今度はなんのようかな?沙鬼」

 

「そんな冷たいこと言わないでよ、陵に大事な話があるから…」

 

大事な話とはなんのことだろうか。色々ありすぎてどれだかわからない。でも、あるとしたら…あれしかないだろう。

 

「最近になって、変な夢を見る。魂をくれやらなんやら言う声が聞こえる夢を…それのこと?」

 

「ええ、それのことよ。でも…そんな頻繁に接触して来るなんて…」

 

「それが何かあるの?」

 

「…その声に応じてはダメよ。あなたがあなたではなくなるから。」

 

俺が、俺ではなくなる?そんな意味のわからないことを言う沙鬼。いったいあの夢に何があると言うのか…それに、必ず水に沈められるその夢は何故か、いつもある光によって助けられる。あれはなんなのだろうか。

 

「あっそれと、能力使えるからそこらへんよろしくね♪」

 

そして、短い会話を終えて俺は深い眠りについた。

 

 

ーー日本帝鬼軍 第二首都 新宿ーー

 

吸血鬼たちの新宿襲撃戦からーーー七日後ー

 

俺と優は呪術資料室と書かれた部屋の中で本を読んでいた。朝からかなりの陵を読んでいたため周りの机には分厚い本が数冊たばねられている。

目的は、ミカを人間に戻す方法を知ることなのだが…流石にそんなことは載っていない。そろそろ、首も痛くなってきた。まぁ、朝から同じ姿勢でいるのだから当たり前なのだが…

 

「優さん、陵さん、またここでしたか。」

 

「んぁ?シノアか…」

 

「はーい、みんなのアイドル柊 シノアちゃんでーす。」

 

優の言葉にシノアはふざけるように言う。俺は二人の会話を無視しながら本にまた目を落とした。それを見てかシノアが不貞腐れた顔で言ってきた。

 

「陵さん、『俺のアイドルだ』とかなんとか言ってみてはどうです?」

 

「なっ!?」

 

シノアの急な言葉に俺は顔を上げて驚く。

 

「陵さん顔赤いですよ?」

 

「シノアがそうさせたんだろう‼︎」

 

「はいはい、お前ら俺の前でイチャつくな。」

 

俺たちの会話に優が呆れながら割って入る。これの何処がイチャついて見えるのか…

 

「あはは〜、まぁそれはそれとして…まだ絶対安静ーーという命令は解けてないはずなんですがねぇ。」

 

「安静が長すぎんだよ。《鬼呪装備》は傷の再生も加速させんだし、もう全然問題ないっての」

 

「優、それは医者がきめるもんだよ。」

 

傷が再生したとしても俺の剣で貫かれた事実は変わらない。優のことだから大丈夫だと思うが…

そんな中、シノアは俺たちの本をひょいっと取る。

 

「ま〜たエロ本ですか?まったくこれだから男の子は…」

 

そして、パラパラとページを開いていくシノア。だが、その本の中のあるページを見て動きを止める。

 

「…ミカさんを人間に戻したいんですか?私の持っている情報でよければ、話しますよ。聞きます?」

 

シノアが言った事が意外だったため優と俺は目を見開く。

 

「「うん聞く!」」

 

「あは、もうそんな時ばっかり素直でかわいいですよねぇ。」

 

「いいから、早く話せよ。」

 

優がそう急かすとシノアは流暢に事を話し始める。

 

「まずーー人間の吸血鬼化は滅多に起こりません。吸血鬼は人間と違い増えることを嫌ってますし…何より貴族の吸血鬼にしか『人間を吸血鬼に変える権限』が与えられてないからです。」

 

「つまり、ミカは貴族に選ばれたってことか?」

 

「おお、優さんその調子です。あと、吸血鬼の強さは生きた年数と、主の能力がかなり色濃く反映されると言われています。ミカさんのあの強さはおそらくーー相当高位の貴族に選ばれたのでしょう。」

 

「高位の…貴族……あいつか…」

 

優にはこころあたりがあるみたいだ。でもそれは俺と考えている吸血鬼とは違うだろう。ミカのあの強さ…クルルの可能性が高い。優はクルルを知らないだろうが…

 

「心当たりがあるようですが…また、憎い吸血鬼を皆殺しにするー!とか考えてます?」

 

「いや、ミカが生きてた。今はそれだけでいい、なぁ陵?」

 

「そうだね。吸血鬼は嫌いだけど…」

 

そして俺たちは顔を見合わせて笑う。ミカが生きていたことにより少しだけどなにかが変われた気がする。

 

「んで、シノア、おまえ吸血鬼を人間に戻す方法はーー」

 

と、優が聞くとシノアは首を振る。どうやら、そこまでは知らないようだ。まぁ、本にも書いてないことをシノアが知っているとは思わなかったけど…

 

「そか、そりゃ残念。」

 

「…なんか優さん急に大人っぽくなりましたねぇ、生きる目的が変わったからでしょうか。」

 

「俺は最初っから大人だろうが。」

 

「なるほど、優は最初っからバカだねぇ」

 

「んだと、陵。」

 

そんな会話をしていると部屋にあるスピーカーからザッと音を立てて呼びだしがかかる。

 

「呼び出します、百夜 優一郎 、鈴谷 陵 特殊二等兵 、新宿中央軍官舎一号執務室へ出頭しなさい。繰り返します、百夜 優一郎、鈴谷 陵ーーーー」

 

どうやら、俺たちが呼ばれたみたいだ。それに、一号執務室とはまた厄介…

 

「グレンが呼んでんのか?」

 

「いや、違うと思うよ一号執務室だから…多分上位の階級《柊家》からのだと思うよ。あってる?シノア」

 

「はい、その通りです。日本帝鬼軍の中枢ーー《柊家》なので、早く行った方がいいですよ。」

 

「《柊家》って確か…壊滅した日本をとりまとめて復興させたっていう、呪術組織の中心だよな。あれ、そういやおまえも名字に《柊》が…」

 

優はシノアを見ながら言う。それにシノアは一瞬ポカンとした反応を見せるが、すぐに笑顔を見せる。というか、優は知らなかったのか…さすがっと言った方がいいのだろうか。

 

「あ…ついに気付いちゃいました?そうですそうです、一族の一員です。とても偉いんです。さぁ、敬いなさい思う存分敬いなさい。」

 

「うぜえー …?ということは、陵はすごい奴に手を出したんだな。」

 

「だろう?本当疲れるよ…」

 

「えーー、冗談で言ったんですが…酷いですよ陵さん。」

 

と言い、泣く真似をするシノア。だと思ったのだが…少しだが俺には涙が見えた気がした。これにはさすがに驚いてやりすぎた、と反省する。

 

「まぁでも、それも込みでシノアと付き合ってるんだから、俺はそんなことは気にしないよ。」

 

俺はシノアに向けて笑って見せる。シノアもそのとき笑顔で答えてくれた。その笑顔にドキッとするが、俺は何事もなかったかのように部屋を出て行った。

 

 

部屋を出て行った後、少し遅れてきた優が「おい、待てよ!」といいながら追いかけてくる。

 

「優、おそいよ。」

 

「たく、あっそうだ。シノアが柊家は危ない所だから気をつけろってさ。」

 

「ああ、知ってるよ。きっと、呼び出したのは柊 暮人だろうからね。」

 

俺は、呼び出したであろう人物の名前を上げる。だが、優は頭に?を浮かべていた。優のことだ知らないとは思っていたが…ここまでくると腹が立つのもまた事実。

 

「本当に、何も知らないんだねぇ。」

 

「うるせぇよ。吸血鬼殺すのに必要ないだろ。」

 

そして、しばらく歩いて行くとグレンの姿が見えた。グレンは近くにある柱にもたれかかって俺たちの方を見ている。何か用でもあるのだろう。

 

「よぉお前ら、体の調子はどうだ?」

 

「見ての通りだよ。」

 

「っていうか、お前こそ大丈夫なのかぁ?剣で刺されて血ぃ吐いてたろ。」

 

と、グレンの言葉にそれぞれ返す。

 

「別に、ガキが心配することじゃない。で、そんなに慌ててどこに行く?」

 

「別に慌ててねぇけど、伝令聞こえてねぇの?」

 

グレンの言葉で俺は少しだが言いたいことが分かった。優の言った通り俺たちは慌ててなどいない、それを「慌てて」と言うグレン。きっと、柊家の呼び出しに何故駆けつけているのかというようなことを言うつもりか…そして、お前らは俺のものだろ的なようなことを遠回しに言いたいのだろう。

 

「グレン、言っておくけど…俺は、いや俺たちは絶対に仲間を見捨てたり裏切ったりしないよ。それにはグレンも入ってるからいらない心配やめたら?」

 

俺の言葉に目を見開くグレン。そして、参ったと言うように頭をかいた。

 

「今日ほどお前を怖いとは思ったことはないな。」

 

「褒め言葉として受け取っとくよ。」

 

「でもな、一つ勘違いしてるぞ、俺はお前らの仲間じゃない。」

 

その言葉にさっきまでポカンとしていた優が「じゃあ、なんだよ。」と口を開く。そしてグレンは薄く笑みを浮かべながら続けた。

 

「上司、命の恩人、親代わり、これだけ揃ったらもうお前にとっては神だな。」

 

「「うぜぇ〜」」

 

「パパって呼んでもいいぞ。」

 

「はは、それならママは小百合さんかな?もう家族だね。」

 

「はは、陵、後で殺す。それじゃあ行ってこい。」

 

そして俺たちはグレンに見送られながらある建物の中に入って行った。

 

 

一号執務室に行くべく廊下を歩いているとその部屋から出てくる三宮の姿が目に入る。そんな三宮に優は近寄り声を掛ける。

 

「あれ、お前も呼ばれたの?」

 

「いや、呼ばれたあとだ。」

 

「どうだった?」

 

「ただの面接だった。今回の吸血鬼撃退に一役買った功績で階級が上がるかもしれない。」

 

面接…面接か、きっとこっちは三宮みたく階級が上がるとかの話ではないだろう。だとしたらどんな事を聞かれるのか…あの戦場での事を聞かれるのか…この考えに至ったがそれはないと首を振る。本隊が来たとき既に暴走は収まっていたのだから…

そんな事を考えていると三宮の叫ぶ声が聞こえた。

 

「ちょっと!少しは突っ込みなさいよ‼︎あんたもわかってるでしょう!あたしはあの戦場で全く役に立たなかった!あんなに偉そうなことばかり言ってたのにまた…また誰も助けることが出来なくて…わたしは…弱い、なのに多分あたしだけ出世する。名門 三宮家というだけでそれを卑怯だと笑うなら…」

 

そこまで、少し涙目で言う三宮の肩に優の手がポンっと置かれる。それによりさっきまでうつむいていた三宮の顔が少し上がる。

 

「三葉、俺は笑ってない。」

 

「…でも、」

 

「てか、知らなかった。ま〜さか自分のチームに二人もお嬢様がいるなんてさぁ、なぁ陵。」

 

「優と一緒にしないでよ、俺は知ってたよ。」

 

「優…おまえ馬鹿なのか?」

 

その言葉に優は「うるせぇよ」と反応したがすぐに真面目な顔持ちに変わる。

 

「ま…いっぱい偉くなって俺を助けてくれよ三葉。見てたと思うけど俺たち、家族を吸血鬼に囚われてんだ、あいつを…家族を取り返したい。」

 

「…多分それを面接で聞かれるぞ。わたしは『吸血鬼に仲間がいる疑いのある危険人物を見張れ』と上から命じられた。」

 

ここで言う危険人物は俺たちのことだろう。

 

「三宮は俺たちが危険人物だとおもう?」

 

「いや、あり得ないと言っておいた。誰かを騙せるような脳みそがあるようにはとても見えないとな、」

 

「はは、三宮らしいね。」

 

俺は三宮に向かって笑う。仲間とは素晴らしいものだとやはり思う。

そして、優が三宮にいう。

 

「三葉、信じてくれてありがと。俺もおまえを信じてるよ。」

 

「…優……柊家はーー怖い所だ気をつけろ。」

 

と三宮は一言残して歩いて行った。三宮の姿が見えなくなると優とともに目の前にある扉を見上げる。そして…俺たちはその扉を開けた。

 

 




と言うわけで今回はココで終了です。
次回は面接の所に入ります。暮人や深夜と葵がでて来るので書けるように頑張りたいです!

それでは次回もよろしくお願いします!
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