終わりのセラフ〜転生した少年〜   作:鬼城

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今回は主人公の秘密?が明かされますよ〜!

それでは、どうぞ!


二十六話 真実

「俺が…シノアを殺そうとした?それに…陵についてって?グレンの事も…」

 

「落ち着いて、優。今から説明するんだからさ」

 

「ああ、ごめん陵」

 

シノアの議題を聞いて思った通り優は驚いていた。そして優以外のみんなも顔を暗くしている。

 

「優さんは人体実験をされていました。その力が暴走したのでしょう。理性はすでにありませんでしたし…」

 

「俺が知っている事を話すと…『終わりのセラフ』それが優の力の正体だね。」

 

「『終わりのセラフ』ですか…何故そんなことを知っているんですか?陵さん」

 

「知っているって言うわけじゃないんだけど…ある人から言われたんだ。『終わりのセラフ』を救えってね。『セラフ』は天使の中で高位の『熾天使』の意味を持つんだ。つまり天使の力…優の力は誰にも止められない…」

 

俺の言葉に息を呑むシノア達…

誰にも止められないのにどうやって救うんだ。と俺は思っているのだが…

 

「俺…あの時…天使の姿見たかもしれない。ラッパを持ってた。阿朱羅丸もそれに嫌な顔をしてた…」

 

「じゃあ、止める方法がないならどうすればいい!」

 

「落ち着け、君月。」

 

君月が怒りを出している中、三宮が落ち着くように言う。そんな重たい空気の中部屋にある声が響いた。

 

「そのために陵がいるんだけど?」

 

急に沙鬼が出て来て誰もが驚く。優は初めてなので動揺も見て取れた。

 

「お…おまえ誰なんだ!」

 

「私?私は陵の鬼で沙鬼っていうんだけど…あなたは、百夜 優一郎ね?」

 

「陵の鬼…」

 

「そんなことはいい、どういうことだ!そのために陵がいるってーー」

 

君月が沙鬼に向かって叫ぶ。それを沙鬼は鬱陶しく見ながらも答える。

 

「今から教えてあげるわよ…でもその前にあなた達はこの話を信じる事が出来る?」

 

「あの…えっと沙鬼さん。僕はなにがあっても信じます。それが、家族っていうものですよね?」

 

「よく言った与一!俺もよくわからないけど信じる!」

 

「やっぱり、馬鹿だな優。」

 

さっきまでの重たい空気が嘘のように明るい空気に変わる。

 

「それなら大丈夫ね。いきなりだけど、陵は…転生してこの世界に来たの。これは転生する前の陵の家族の話…」

 

そして、沙鬼は語り始めた。

 

 

鈴谷家ーーそれは、神の加護を受けている由緒正しい家。そこに彼…鈴谷 陵は生まれた。陵は普通の人とは違いとある儀式によって生まれた神の子として上げ祀られた。

 

陵の親ーー鈴谷 陽一と鈴谷 朱里は研究員で『魂』の研究をしていた。『魂』は神が創り出すもの、そのため神の力が必要になってくる。それを知って二人が導き出した答えが…神の儀式による子供の誕生ーー。彼らは家に伝わっている神を利用しようと考えた。ただ、実験を成功させるがために…

 

壊れている…そう誰もが思うだろう。彼らは神をも利用したのだからーー

 

その神の力をもった子供すらも利用しようと考えたのだからーー

 

じゃあ…彼らはその実験を成功させて何になろうとしたのだろうか?いや…何になりたかったのだろうか?

 

 

「ああ、神がくれた子供…陽一さん。」

 

「ああ、そうだな。この子なら耐えられるかもしれん。」

 

不気味な部屋…実験器具だろうかそれがたくさん置いてある部屋で陽一と朱里は自分の子供である陵を眺めていた。彼らが研究しているのは『魂』についてのものだ。『魂』は神が創っているのでその『魂』を創るためには神の力が必要とされる。

 

「あと…神の力があれば…完成なんだ!朱里あれをーー」

 

「分かりました。」

 

そして朱里が出したのは禍々しいオーラを放つ液体…それを注射器に入れて目の前で眠っている陵にそれを注射する。それは陵の血液により身体中を巡るだろう。

 

「これで…陵は魂を生み出す事ができる‼︎やったぞ!ついに!」

 

狂ったようにそう繰り返す陽一。彼らは成功させた『魂』を創るーーいわゆる永久機関を…陵の神の力によりさっきの液体は変換され『魂』となる。

 

「でも、陽一さん…暴走したらーー」

 

「大丈夫だ。陵は神の子なんだ!」

 

その言葉通りに陵は暴走することなく魂を生み出していった。だが…魂を生み出すということは一人の身体に複数もの自我が出来るということ…それをコントロール出来るわけもなく限界が訪れた。

 

「くそっ!どうしてだ‼︎」

 

「そんな…失敗…」

 

結果、鈴谷 陵は死んだ。彼らが利用していた神の子は死んだ。光が差さない部屋にさらに希望の光が薄れていく。機械音だけが響くそんな部屋に突如として一筋の光が現れた。

 

禁忌を犯した彼らに神が現れた。

 

何故?

 

壊れた彼らに助けの手が伸ばされた。

 

何故?

 

神すらも…壊れていたーー

 

違うーー

 

それならば、何故神は…彼等に力を貸したのだろうか。

 

 

「禁忌を犯した人間…ほう?死んでいるのかその子は…ならば…」

 

一筋の光から声が響く。形をもっていない神は陵を見ると不敵に笑ったように見えた。

 

「おお、神よ!我らに力を与えて下さるか!」

 

「神の力か…それならばこれをやろう。我はその代わりにこの身体をいただくぞ!」

 

頭を垂れるように座る陽一に君臨した神は神の力である神通力を手渡す。その代わりにーー陵の上から一筋の神鳴りが落ちた。

 

二度目の生を受けた彼ーー鈴谷 陵はこの時呪いをもった。その呪いの力は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『破壊』と呼ばれる力ーー

 

あの時現れた神は…破壊神ーーこれこそが神の罪そのものだった。

 

 

 

 

 

そして、陽一と朱里は二人して神に選ばれた陵のことをこう言った。

 

『エルの実験体』と…

 

 

「じゃあ…陵さんの力は!破壊…」

 

「…俺が…破壊?」

 

一連の話を聞いて俺は何かが消えていくのがわかった。途端に恐怖が襲ってくる。

 

俺が…守れない。破壊…なんで…破壊…守ると決めたのにーー壊すのは…俺?また、失う…じゃあ、俺はなんのために生まれてきたんだろう?本当は誰も…俺のことを必要としていないんじゃ…

 

 

嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

 

壊れていく頭の中…「落ち着きなさい」と言う沙鬼の声すらも届かない。意識が途切れる…

 

「シ…ノア…助け…」

 

意識が途切れる前…俺はシノアを見て手を伸ばした。だがその手は何かを掴むことすらなく空を切った。

 

 

「やっと…やっと我を受け入れるか?」

 

「……」

 

真っ暗な暗闇…そこには光などない。そして俺に話しかけてくるのはおぞましい何か…

 

「我は…破壊の神ーー汝が求める力与えようぞ?」

 

「俺は…破壊の力などいらない!」

 

「嘘じゃ…汝は我と一体ーー汝は汝の存在と一緒に大好きなものを消したいと思っておる。さぁ、受け入れるか?」

 

「違う!違う…違う。」

 

力の入らない手で破壊神の影を殴る。

 

「汝の親は汝を道具としか見ていなかった。汝は道具。ただの人形じゃ、それが何を望む?」

 

「人形…」

 

今の自分に一番あっている言葉だ。そうだ…俺は道具なんの価値もない道具…

 

「汝の事はよう分かる。我も道具じゃ、さぁ手を取れ。」

 

「俺は…もう傷つきたくない!」

 

そして俺は殻に閉じ籠った。破壊神からも全ての人からも何もかもを拒絶するように…

 

 

目を開ける。そこには見慣れない天井がうつった。

 

「ここは…どこ?」

 

ゆっくり起き上がる。

 

「…!?」

 

起き上がると激しい頭痛が襲う、俺は思わず頭を押さえた。次第にその頭痛は薄れていった。そして、この状況に頭を働かせる。

 

一、拉致された可能性。

二、親戚の家である可能性。

ともかく呪いをもって生まれた俺は他人と関わる訳にはいかない。早めに脱出する必要がある。

 

ゆっくり、物音を立てないように扉がある方へ歩いていく。扉につくとその扉に耳をあててみた。

 

「誰も…いない?」

 

もし、拉致されていたならそれはおかしい。人一人はいるはずだ。そしてしばらく待ってみても人の気配は感じられなかった。恐る恐る扉を開く。

 

やっぱり誰もいない。

これなら…逃げれる‼︎

急いで走り出す。だが…かどをまがった所で誰かとぶつかって思いっきり尻もちをついてしまった。

 

「大丈夫か?…って陵じゃんか!目、覚めたのか!」

 

どうやら俺を知っているらしい。顔を上げるとそこには黒髪に緑の目をした男子が立っていた。だが…俺はその顔に身に覚えがない。

 

「なんで…俺の名前…」

 

「ん?まぁいいか、あいつらも待ってたしついて来いよ!」

 

俺の言葉は聞こえなかったらしくその男は俺を引っ張って歩き出す。しばらくしてついた場所には女子が二人と男子が二人…やはりその顔は初めて見る顔ばかりーー

 

「りょ…陵さん!目が覚めたんですか!?」

 

そう言って駆け寄ってくるのは薄紫色の髪をした女子ーーその顔は心配していたというようなものだろうか。次々に俺を囲うようにして集まってくるその四人…

 

「あの後、急に倒れて…心配をかけないで下さい。」

 

そう言って薄紫色の髪をした女は俺を抱きしめてくる。それは何処か懐かしいようにも思えた。だが、そんな事は今はどうでもいい。問題は何故この人達は自分の事を知っているのかだ。

 

「え…っと…」

 

「どうかしましたか?」

 

そして、次に俺が言った言葉でその五人は固まる。そう、俺の…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君たちは誰?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という言葉によって…

 

 

 

 

 

さっきまでの五人の喜びの暖かい感情は一気に氷点下まで落ちた。




読んでくださりありがとうございました!

次回、早めに出しますのでよろしくお願いします!
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